M&A会社の業務には魅力があります。

筆者は、3年2ヵ月の間、M&Aのアドバイザリー業務に従事していました。起業をするという道を選択していなければ、M&A業界に身を置き続けていたであろうと確信するほど、M&A業務は刺激的でした。

この記事では、M&A業界で働いていた筆者が何にやりがいを感じたか、同僚や仕事で出会ったプロフェッショナルの方々が何に魅せられ仕事をしていたのか、ということを率直に記そうと思います。

この記事を最後までお読み頂ければ、なぜM&A会社が多くの人を惹きつけ、仕事大好き人間を作り出すのかがわかると思います。

社会的意義

1つ目の魅力は、社会的意義の大きさです。どの職業であってもプロと呼ばれる人は、社会的意義があることにやりがいに感じていると思いますが、M&A業務にも社会的意義があります。わかりやすい例を1つあげたいと思います。

最近、空前の売手市場で労働者が不足しているという報道をご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この問題は中小企業で特に深刻で、中小企業の経営者に後継者不在の問題を引き起こしています。時には優良企業であるにも関わらず、廃業を余儀なくされてしまうこともあります。

M&Aは、後継者不在による廃業を食い止める有効な手段です。

中小企業の経営者もしくはオーナーの中には、情報不足のため本来は価値があるにも関わらず後継者や会社の買手がいないことから廃業・撤退を検討する方がいます。

そういった経営者の方からご相談を受け、買手を探してくることがM&A会社の大きな役割の一つです。

M&A会社は、日本の優良な中小企業を未来につなげる重責を担っています。

スケール

2つ目はスケールの大きさです。

M&Aには、あらゆる取引の中でも極めて大きな金額が動くスケールの大きさがあります。企業の経営戦略に基づく、グローバル展開のためのM&A、先端技術や特許取得のために行われる巨額のM&Aは紙面を賑わせています。

ソフトバンクグループによるアーム買収等、役割が限定的なケースもありますが、こういった取引を手掛けているのは、投資銀行のM&Aアドバイザリー部門です。

近年の日本企業による、巨額のM&Aの事例を簡単にご紹介致します。

  • 武田薬品工業によるアイルランドの製薬メーカーであるシャイアー買収

(約6.8兆円_2018/5)

  • ソフトバンクグループによるイギリスの半導体メーカーであるアーム買収

(約3.3兆円_2016/7)

  • 日立製作所によるスイスの電力システム事業をABBより買収

(7,140億円_2018/12)

* 買収発表時

数年後には、社会を大きく変える可能性を持つM&Aに携わることに魅力を感じているM&Aアドバイザーは非常に多いです。

専門性

3つ目の魅力は、専門性が身につくことです。M&Aに携わるためには、専門性が要求されます。

例えば、A社の買収を検討しているクライアントから

「A社という会社を買収したいが、どの程度の金額が妥当だろうか。」

という質問を受けたとします。

正しい答えがそもそも存在しない中で、根拠のある数字を回答しなければならない難しさがあります。

その数字は、A社の純資産の金額でしょうか。それとも営業利益の5倍でしょうか。それとも将来の想定キャッシュ・フローを計算し現在価値に引き直したものでしょうか。根拠を持って回答することが要求されます。

買手であるクライアントのビジネスの理解、対象会社のビジネスの理解、シナジーの規模、マーケットの相場感、売手が納得する金額はどの程度なのか等、あらゆる情報を考慮した上での回答が必要です。

また、こんな質問はどうでしょうか。

「A社を買収したいが、どのように買収するのが一番良いか。」

法人税法を中心としたルールを正確に理解した上で、ストラクチャー(取引方法)を買手側、売手側の都合を考慮して組み立てる必要があります。

ストラクチャー(取引方法)には事業譲渡、会社分割、株式譲渡、合併、株式移転、株式交換等の様々な方法が存在しています。

上場会社を買収する場合には、金融商品取引法や証券取引所のルールにも従う必要があります。

ストラクチャー(取引方法)によって、買手、売手の税負担も変わるため、留意が必要です。

スケジュールがタイトな中で上記項目を調整し決めなければなりません。

ここでは、非常にシンプルな質問を記載していますが、他にも高度な専門知識がなければ対処することができない問題が数多くあります。

高度な専門性はクライアントからの信頼に繋がります。

新しい発見

4つ目の魅力は、新しい発見が日常的にあるということです。

数年も同じ会社や同業界に勤務をすれば、日常的に新しい発見をすることはないと思います。

しかし、M&A業界で働けば、新しい発見や学びが常にあります。

例えば、M&Aの取引プロセスに入った時には、対象会社を弁護士、会計士、税理士、戦略コンサルタント…等の専門家とともに徹底的に分析します。 

全く同じ会社は存在せず、対象会社固有の競争力の源泉や業務改善の努力等が明らかになります。勉強をすれば知ることができるものではないので、”新しい発見”と言えると思います。

また、M&Aの取引中でなくても、法改正や世界中で行われるM&Aや資本政策、ファイナンス手法、裁判事例を学ぶので、日常的に新しい発見や学びがあります。

優秀な同僚とパートナー

M&A業界は、これまでに記載の通り、知識面での専門性が要求されるため、勉強ができるという意味で優秀な方が多いです。

優秀な同僚と議論をしたり、ナレッジの共有をしたりすることで切磋琢磨できることに魅力があります。

M&Aのプロセスが始まれば、各分野の専門家が案件に参加します。弁護士や会計士、税理士をはじめとする士業の方やコンサルタントが入るので、さらに知見を高められる機会が得られます。

大企業の経営層でもない限り、日常的に上記のような人々と働くことはないと思いますので、これは非常に魅力的な要素の一つです。

高年収:平均年収2,000万円以上の会社も

M&A会社の年収が非常に高いことは、上場企業の平均年収ランキングの記事が経済メディアを中心に配信されているので、ご存じの方も多いと思います。

参考のため、本記事でも上場のM&A会社の平均年収を紹介します。(直近年度)

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社名 平均年収(千円) 平均年齢
日本M&Aセンター  13,195 35
M&Aキャピタルパートナーズ 24,781 31
ストライク 15,398 36
GCA 20,633 37
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上記の会社は、上場企業としては比較的若い会社であるため、平均年齢も若干低くなっています。それにも関わらず、異常値ともいえるほど平均年収が高いです。

上記の会社が付加価値の高い業務を行っているということはもちろんですが、明解な給与制度の設計により、従業員がモチベーション高く働くことができるような仕組みが整っています。これが高い平均年収という結果に繋がっているのです。

ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーをはじめとする外資系投資銀行では、上記年収の数倍の報酬が得られるケースもあります。

日系の大手証券会社でも高年収を得ることが可能です。

日系金融機関の投資銀行業務に従事する従業員は、支店や管理部門の従業員と異なる報酬制度になっていることが多く、年俸制の会社も多いです。

一流のクライアント

M&Aのサービスは、基本的にクライアントが売手であっても買手であっても経営者もしくはオーナー(株主)に提供するサービスです。

彼らは、一般の従業員と比較すると権限と責任が大きく、判断の誤りが会社全体を揺るがすことに繋がる可能性があるため、要求水準が高いです。

高い要求に応えること、責任をもって仕事をしているクライアントに対してサービスを提供することは、M&Aアドバイザーの高いモチベーションに繋がっています。

どんな仕事であってもクライアントに成長させてもらっている側面があります。クライアントが一流であることは、良い成長に繋がります。

貴重な体験

M&Aの業界で体験できる貴重な体験の一つに経営者同士の交渉があります。

経営者同士が本気で交渉をする機会を目の当たりにする機会は、経営者でもない限りなかなかないのではないでしょうか。

経営者であったとしてもM&Aほど大きな意思決定は中々ないですし、ほとんどの経営者は、M&Aを経験したことがありません。

この百戦錬磨の経営者同士の交渉という機会に戦略策定から積極的に携わることができるのは、稀有な仕事であると言えます。M&A会社の大きな魅力の1つです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここに記載の通り、M&A業界にはたくさんの魅力がありますが、貴方が魅力に感じることに取り組めるM&A会社に入社することが最も重要です。

自分にあったM&A会社を知りたい場合には、是非ご相談を頂ければと思います。

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執筆者の経歴
大野プロフィール画像
大野紘也|三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、独立系M&Aアドバイザリー会社のTMACへ転職。上場企業・バイアウトファンドによる国内外のM&Aに従事。その後、リメディ株式会社創業。(社)日本証券アナリスト協会検定会員