「年収は落とせない。でも、このまま社内で調整役を続ける自分にも納得できない。」
30代後半。新卒で大手生命保険会社に入り、約15年。営業部長として2年間のマネジメントを経て、支社の企画課長として業務執行と営業戦略の立案を担当していました。同年代の中でも高年収帯で、ご家族もいました。
転職の理由は、報酬でも役職でもありませんでした。
社内の意見は「何が正しいか」より「誰が言うか」が重要視されている。上司の姿がそのまま自分の将来像になることにも納得できない。社内調整している時間を顧客への貢献に使いたい。そういう環境を求めていました。
ご相談をいただいた時点で、活動開始から約2ヶ月。現職の専門性に近い保険領域のコンサルティングファームを本線に進めていましたが結果が出ず、焦りを感じる中で目的が「とにかく内定を取ること」にすり替わりかけていました。
担当した古山が最初にしたのは、求人票を並べることではありません。
「なぜ転職するのか。年収と安定を守ったまま、何を変えたいのか。」
軸の部分を言語化するお手伝いから始め、A様ご自身が以前から関心を持たれていた人材業界について改めて検討したいとのお話があり、報酬制度とビジョンを整理して各社を比較しました。
最終的にA様は、固定給を中心にした報酬制度と、その制度を選んでいる会社の思想に納得し、設立3年目・少数精鋭の人材紹介会社へ未経験で入社しています。
| 転職前 | 決定した方向 | |
| 企業・業界 | 大手生命保険会社 | 設立3年目・少数精鋭の人材紹介会社 |
| 主な経験・役割 | 支社の企画課長/営業部長としてのマネジメント | 転職エージェント |
| 今回の焦点 | 年収と安定は守りたいが、業界は変えたい | 固定給中心の報酬設計と、その背景にある会社の考え方 |
※候補者本人への公開インタビューではありません。担当した古山の支援記録をもとに、社名・時期・属性・数値を一般化して再構成しています。
「早く内定を獲得したい」という焦り
退職日が先に決まり、結果が出ない期間が続くと、判断の基準は「受かるかどうか」に寄っていきました。ただ、古山からお願いしたのは新しい求人を見ることではなく、過去の意思決定の振り返りでした。新卒以降の職歴ではなく、学生時代まで遡りました。
A様はスポーツに打ち込んでいましたが、高校進学時に選んだのは強豪校ではなく「これから強くなりそう」な学校だったそうです。強豪を倒す側に回りたい、という理由でした。
一方で、新卒で生命保険会社を選んだ理由は生活の安定。この二つを並べると、安定志向と大手志向はイコールではないと分かります。
整っていない環境で、これから伸びる組織を自分の力で押し上げる。A様にはもともとそのような環境で燃えてきた過去がありました。
また、次の転職を最後にして、社外の人に価値を提供する仕事で長く働きたい。ただし、年収と勤務地は家族のために守りたい。
この整理で、「業界未経験」という理由で外していた人材業界が、検討対象に戻りました。
ただ、人材業界に踏み切れなかった最大の理由は、報酬が成果次第で動くことへの不安でした。インセンティブの比率が高く、収入が読みにくい。この不安が、長く関心を持ちながら応募に至らなかった理由でした。
子どもが小さく、住宅の購入も視野にある状況では、上振れより下振れが問題になります。
まずお伝えしたのは、成果主義の人材会社は多いものの、中には固定給を高く担保できる会社もあるということです。そのうえで、なぜその会社が固定給を高く設定しているのかという制度設計の背景まで含めて説明しました。また、足元の年収だけでなく、ワーストケースやそこからどう伸びるのかをお示ししたうえで、人材業界を選択肢として見直すかはA様に判断いただきました。
30代後半で未経験業界に挑む不安には、古山自身の経験を包み隠さず話すことでギャップがないようにフォロー
最後まで残っていた不安は、報酬よりも「この年齢で未経験の業界に入って、本当に活躍できるのか」でした。そこで古山が話したのは、他の成功例ではなく古山自身の話です。なぜ金融から人材業界に飛び込んだのか、そして入社直後の立ち上がりが実際にどうだったのか。うまくいったことだけでなく、想像以上に苦しかった時期も包み隠さず伝えました。
その結果、A様にとって未経験の仕事である人材業界の仕事像が具体的になり、報酬設計も含めてご自身で比較したうえで、最終的に納得感を持って決断されました。
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