
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
緒方 隆恭 | OGATA Takayuki
東京大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。国内支店でMUFGの各種金融ソリューションの法人営業に従事し、銀行表彰を受賞。入社3年目で海外拠点に異動・駐在し、現地進出日系企業への融資・預金・為替デリバティブ商品等の法人営業を担当。
その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向し、投資銀行本部にてカバレッジ業務に従事。上場企業のM&A(TOB・経営統合等)やエクイティファイナンス(IPO・PO等)のオリジネーション(案件獲得活動)・エグゼキューション(案件執行)を経験。現在はハイキャリア層や金融プロフェッショナルを中心とした採用・転職支援を行う。
2026年8月時点、M&A仲介からPEファンドへの直接転職は可能ですが、成約実績だけでは不十分です。案件発掘や経営者との交渉は強みになる一方、投資判断、財務モデリング、DD、投資後支援をどこまで担えるかが問われます。
転職ルートは「M&A仲介出身」という肩書では決まりません。買い手側の課題整理や企業評価まで自分で行った人と、売り手開拓・マッチングを中心に担った人では、応募先も先に補う経験も変わります。担当工程から逆算することが出発点です。
本記事のポイント|直接応募は担当工程で見極める
先に確認したいのは、案件数よりも自分で判断した範囲です。企業評価に関わったとしても、前提を置いたのか、専門家の分析を受け取ったのか、最終判断者へ説明したのかで、PEへの距離は異なります。
| 現在の経験 | 検討しやすいルート | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 買い手の課題整理、企業評価、DD、条件変更まで説明できる | PE投資チームへ直接応募 | 投資仮説と下振れ時の見送り条件を置けるか |
| 売り手開拓とクロージングに強く、分析は専門家へ委ねてきた | 直接応募を絞りつつFAS経由も検討 | DD・バリュエーションを自分の判断として話せるか |
| 経営者との接点は豊富だが、買い手側の実行経験が薄い | 投資銀行・FA、ソーシング寄り職種を検討 | 案件発掘後の買収実行を補えるか |
| 成約後のPMIや事業支援にも関与した | ハンズオン型PE、投資先支援寄り職種を検討 | 自分が変えたKPI・業務・意思決定を説明できるか |
直接応募が合う人は、投資家の問いに置き換える準備ができる人です。「成立させるにはどうするか」だけでなく、「どの条件なら買い、何が崩れたら見送るか」を過去案件で答えます。
準備が必要な人は、無理に経歴を大きく見せる必要はありません。自分に欠ける能力がはっきりすれば、迂回ルートにも目的が生まれるからです。
M&A仲介からPEファンドへ転職できるか
結論は、条件付きで転職可能です。PEの公式採用情報にはM&Aやアドバイザリーの経験を活用できる募集がある一方、案件発掘から投資後の企業価値向上、Exitまでを業務に含める募集もあります。
アドバンテッジパートナーズのJBO採用情報では、投資銀行のM&A・アドバイザリー等が活用できる経験として挙げられています。ただし、これはM&A仲介の経験者を無条件で対象にするという意味ではありません。同じ募集には投資実行、モニタリング、経営戦略・業務改善、Exitも含まれます。
M&A仲介は、売り手と買い手を結び、条件を整え、取引を成立へ導く仕事です。対してPEは、ファンドとして投資する側として投資可否を決め、投資後の経営にも関わります。プロセスが似ていても、背負う判断は同じではありません。
選考で評価されるのは、仲介会社の知名度や売上順位だけではなく、担当案件で投資判断に近い材料を扱った深さです。肩書より関与の深さを示せるなら、直接応募を検討する余地があります。
| 取引の場面 | M&A仲介の主な責任 | PE投資担当で増える責任 |
|---|---|---|
| 案件の入口 | 譲渡意向や買収ニーズを把握し、相手候補を探す | 投資方針に合う案件を選別し、初期の投資仮説を置く |
| 企業評価 | 交渉や候補先探索に必要な企業価値の材料を整える | 事業計画を検証し、下振れケースとリターンを自ら評価する |
| DD・契約 | 当事者と専門家の間で資料・日程・条件を調整する | 調査論点を決め、発見事項を価格・契約・投資可否へ反映する |
| クロージング後 | 引き継ぎや当事者間のフォローを行う場合がある | 株主として経営計画、組織、KPI、Exitに継続して関与する |
この違いを踏まえると、「企業評価を経験した」「DDに関わった」という言葉だけでは足りません。誰が論点を決め、誰が数値を検証し、誰が最終判断をしたのかを分けると、直接応募の材料が見えるようになります。
仲介経験のうち、PEで評価につながりやすいもの
移しやすいのは、企業を紹介する力だけではありません。案件を生み、動かす力は、PEのソーシングや投資実行にも接点があります。
案件発掘と経営者との関係構築
オーナー経営者へ接点をつくり、譲渡を検討する背景や事業上の悩みを聞き取った経験は、ミドルマーケットの案件発掘に近い強みです。単なる架電量ではなく、なぜ相手が対話に応じ、どの論点で信頼を得たのかまで説明すると、関係構築の再現性が伝わります。
買い手ごとに事業の魅力を組み替える提案
同じ会社でも、買い手の戦略によって評価される顧客基盤、商流、技術、人材は変わります。候補先を数多く挙げたことより、候補先を選んだ理由と、相手の戦略に合わせて何を伝えたかが重要です。
条件交渉とクロージングまでの進行
基本合意、DD、条件調整、契約、クロージングでは、経営者、買い手、弁護士、会計士など複数の当事者が動きます。論点が止まった局面で、誰の懸念をどうほどいたかを示せば、取引を前へ進める力の証拠になります。
ただし、これらは投資業務の入口です。成約件数が多くても、買い手の投資基準、下振れリスク、投資後の施策を自分で考えていなければ、投資担当としての評価には直結しません。
事業承継案件の理解を、投資テーマへつなげる
事業承継案件では、株式の譲渡だけでなく、後継経営者、幹部人材、取引先との関係、オーナーへの依存が論点になります。PEで生かすには、経営者の悩みを聞いた経験を、投資後に解く課題へ置き換えてください。
- オーナーが退任した後、誰が意思決定を担うのか
- 主要顧客や仕入先との関係は個人に依存していないか
- 成長投資に必要な人材・資金・管理体制は何か
- 買い手のアセットを使う場合と、独立性を保つ場合で何が変わるか
こうした問いは、仲介で得た定性的な情報を投資仮説へ変える練習になります。守秘義務を守りつつ、どの懸念を誰から聞き、買い手候補や条件にどう反映したかまで話せると、営業実績とは違う強みになります。
公式採用情報から見える、補うべき4つの経験
PE各社の公式採用情報を比べると、仲介経験者が確認すべき不足は4つに整理できます。どの会社にも同じ条件があるわけではありませんが、投資判断、モデリング、DD、投資後支援は複数の業務にまたがる基礎です。
| 公式採用情報 | 確認できる主な業務・要件 | 仲介出身者が照合する点 |
|---|---|---|
| アドバンテッジパートナーズ | 案件発掘、投資実行、モニタリング、戦略・業務改善、Exit、投資家報告 | 成約前だけでなく、投資後とExitまで見通せるか |
| インテグラル | 投資検討・実行、財務モデリング、ストラクチャリング、契約交渉、投資先支援 | モデルとDDを価格・契約・投資可否へつなげられるか |
| J-STAR | ソーシング、投資実行、Value Creation、Exit。シニア層では投資実行の主導経験等 | 職位に見合う投資主導経験があるか |
投資判断|成約ではなく、買う・見送るを決める
仲介では成立可能性を高める提案が大切です。PEでは、魅力的な案件でも価格、競争環境、経営陣、Exitの見通しから見送ることがあります。過去案件を使い、見送る条件まで置くと投資判断に近づきます。
財務モデリング|数字を作るだけでなく前提を疑う
企業評価の資料を扱った経験があっても、LBOモデルを自分で組み、売上成長、利益率、借入返済、Exitの前提を変えてリターンを見る業務とは異なります。モデルの速さより、リターンを動かす前提を説明できるかが大切です。
DD|日程調整ではなく、発見事項を判断へ反映する
専門家との窓口や資料依頼も有用な経験ですが、投資側では調査範囲を設計し、発見事項を価格、契約、モデル、見送り判断へ落とします。選考では、調整と判断を分けて話す必要があります。
投資後支援|成約後に何を変えるかまで考える
PEの仕事はクロージングで終わりません。売上、粗利、運転資本、人材、ガバナンスなど、投資先の経営課題を経営陣と解いていきます。仲介案件を振り返り、買収後の最初の課題を考えておくと、仕事理解が伝わります。
投資銀行出身者でも投資判断と投資後支援をどう示すかは課題になります。違いを比べたい人は、投資銀行からPEファンドへの転職ルートも参考にしてください。
4つの不足は、別々の勉強項目として終わらせない方が実践的です。過去案件を一つ選び、事業計画の前提をモデルへ置き、DDで確かめる論点を決め、発見事項が価格・契約・投資可否をどう変えるかまで一続きで考えます。そのうえで、投資後初期に経営陣と合意するKPIを置いてください。
途中で説明できなくなる場所が、次に補う経験です。モデルを作れてもDDの結果で前提を変えられないなら分析と判断の接続が課題です。DDを説明できても投資後の施策が抽象的なら、事業運営の理解を深める必要があります。
狙う企業タイプとポジションをどう選ぶか
応募先は知名度ではなく、経験が重なる業務から選びます。特に案件発掘やオーナー経営者との対話に強い人は、中堅・中小企業や事業承継を投資テーマとするファンドとの接点を作りやすいでしょう。
投資チームを狙う人
ソーシングの実績に加え、企業分析、価格、DD、契約条件、投資後の施策まで一つの案件で説明できる人に向きます。案件全体の判断責任に近かったかを確認してください。
ソーシング寄りの役割を狙う人
経営者との接点形成や事業承継ニーズの把握に明確な強みがある人は、案件発掘寄りの役割と相性があります。ただし、入社後の担当範囲がソーシングに限られるとは限りません。投資実行までの範囲を募集要項と面接で確認します。
投資先支援寄りの役割を狙う人
PMI、経営管理、業務改善に関与した経験があれば、ハンズオン型の投資先支援との接点があります。「助言した」ではなく、実行して変えたことを示せるかが分かれ目です。
職位も仕事内容と合わせます。たとえばJ-STARの公式採用情報では、マネージャー/プリンシパル層に投資実行を主導した経験等が示されています。仲介で年次が高いからといって、PEでも同じ職位が適切とは限りません。
募集要項を読むときは、応募資格の職種名だけで終えず、入社後の担当範囲を照合する必要があります。以下の4点が分かれれば、自分の経験と不足を具体的に比べやすくなるでしょう。
| 募集要項で読む場所 | 確認する問い | 仲介経験者が用意する材料 |
|---|---|---|
| ソーシング | 全員が案件発掘を担うか、専任組織があるか | 接点の作り方、経営者が対話に応じた理由、投資候補として検討を進めた判断 |
| 投資実行 | モデル、DD、資金調達、契約交渉のどこまで担うか | 自分で行った分析と、専門家・買い手へ任せた作業の境界 |
| 投資先支援 | 投資担当が継続するか、支援チームと分かれるか | 成約後の課題仮説、PMIや事業支援へ関与した事実 |
| 職位 | 若手の育成枠か、案件主導を期待する採用か | 主担当、支援、最終判断者のどの位置にいたか |
案件発掘の比重が高い会社でも、投資委員会資料や投資先支援を担う可能性があります。反対に、投資チームの募集でも職位ごとに期待範囲は変わります。会社名より役割を読むことが、応募先を絞る基準です。
直接転職が難しい場合の迂回ルート
直接応募が難しいときは、足りない能力を職務で補う経路を選びます。以下の表では、直接ルートと迂回ルートを同じ判断軸で比べました。
| 前職 | 狙う職種 | 企業タイプ | 足りない経験 | 書類・面接での見せ方 |
|---|---|---|---|---|
| M&A仲介 | PE投資担当へ直接 | 中堅・中小企業、事業承継を扱うPEなど | 投資判断、LBO、投資後支援 | 買い手側の論点、価格・条件が動いた理由、自分なら買う条件を一つの案件で示す |
| M&A仲介→FAS | DD・バリュエーションを経てPE投資担当 | 投資実行で分析を重視するPE | DDの論点設計、財務分析 | 発見事項を価格・契約・投資可否へどうつないだかを示す |
| M&A仲介→投資銀行・FA | 買い手側M&Aを経てPE投資担当 | 複雑なストラクチャーや資金調達を伴うPE | 買い手側の実行、資金調達、モデル | 買収目的、資金構成、交渉論点への自分の関与を示す |
| M&A仲介→事業会社M&A・投資先企業 | 経営企画・PMI・事業責任を経て投資担当または投資先支援 | ハンズオン型PE | 投資後の事業運営 | 成約後にKPI・組織・業務をどう変え、何を学んだかを示す |
FAS経由は、DDの発見を取引条件へつなぐ
財務DDやバリュエーションを経験するだけでなく、発見事項が事業計画、価格調整、補償条項、投資可否にどう反映されたかを追える役割を選びます。分析作業の正確さに加え、判断への影響を言語化できるとPEへ接続しやすくなります。
投資銀行・FA経由は、買い手側の実行を補う
買収目的の整理、候補先の評価、資金調達、ストラクチャリング、契約交渉に近づけるかを見ます。売り手側の資料作成だけで終わるのではなく、買い手が価格とリスクをどう判断したかを説明できる案件が必要です。
事業会社・投資先企業経由は、経営の実行を補う
PMIや経営企画という肩書だけでは、投資後支援との距離を測れません。KPIの定義、予算管理、採用、営業改革など、結果に責任を持った範囲が判断材料です。投資後支援を志望するなら、提案から実行まで担う経験を示します。
FASを選ぶなら、レポート作成だけでなく、DDの発見事項が取引条件に与えた影響まで追える環境かが判断軸です。詳しい接続はFASからPEファンドへの転職ルートで確認できます。
投資銀行・FAを選ぶなら、買い手側でM&Aを実行し、資金調達やストラクチャリングへ近づけるかが判断軸です。事業会社や投資先企業を選ぶなら、投資後の実行責任を持てる役割かを確かめます。
どの経路でも、転職を重ねること自体が目的ではありません。次のPE選考で「前回足りなかった能力を、この職務で身につけた」と説明できることが重要です。経路より獲得能力を見ると、遠回りを避けやすくなります。
職務経歴書では、成約件数より判断の中身を書く
職務経歴書の中心は、売上や件数の羅列ではなく、案件ごとの判断と役割です。数字を出せる場合も、その数字を生んだ行動と投資業務への接点を添えます。
| 弱く見えやすい書き方 | 改善する方向 |
|---|---|
| 多数の案件を開拓し、クロージングまで一貫して担当 | どの経営課題を起点に提案し、候補先をなぜ選び、どの論点で条件が動いたかを書く |
| 企業価値評価とDDを経験 | 自分が作成・検証した前提、専門家へ依頼した範囲、結果を誰へどう説明したかを分ける |
| 難しい交渉をまとめ、成約に貢献 | 対立点、制約、選択肢、自分の提案、最終合意への影響を順に示す |
| 経営者と強いリレーションを構築 | 信頼を得た行動と、聞き取った経営課題を案件設計へどう反映したかを書く |
ディールリストは、一案件を6要素で分けると作りやすくなります。
- 案件の背景: 株主と会社が何に困っていたか
- 候補先の選定: なぜその買い手群を選んだか
- 企業評価: どの前提を自分で確認したか
- DD・交渉: 何が見つかり、条件がどう変わったか
- 自分の役割: 自ら実施、共同、調整、報告を分ける
- PEへの接点: 自分なら買う条件と投資後の課題を置く
案件ごとに同じ分量を書く必要はありません。面接で深掘りされても説明できる案件を中心にし、その他は担当工程と結果を短くまとめます。主担当でない案件は、チームの成果ではなく自分が担った論点を明記してください。
企業評価やDDでは、作業の境界を曖昧にしないことが重要です。専門家が作ったモデルを確認したなら、その事実を正直に書き、自分が置いた論点を補います。実施と関与を分ける方が、面接の深掘りに耐えます。
案件名や金額を開示できない場合は、業界、取引類型、担当工程、論点を特定されない粒度で示します。守秘義務を破って具体性を出すのではなく、考え方を具体化するのが安全です。
面接の転職理由は「過去・投資責任・準備」で組み立てる
転職理由は、仲介への不満ではなく、引き受けたい責任の変化として話します。「仲介は成約で終わる」「PEの方が上流」といった言い方では、現職で得た学びも、投資後に必要な地道な実行も伝わりません。
- 仲介の案件で見た経営課題を述べる
- 助言・調整だけでなく、投資判断と投資後の実行に責任を持ちたい理由を述べる
- 応募先の投資領域・関与スタイルと、自分の経験が重なる点を示す
- 不足するモデル・DD・投資後支援をどう準備しているかを示す
たとえば、「事業承継案件で、成約条件だけでは解けない組織と成長投資の課題を見ました。今後は買い手候補を紹介する立場から、投資可否と成約後の改善に責任を持つ立場へ移りたいと考えています。経営者との対話と案件推進の経験を生かしつつ、LBOとDDの論点設計は学習と案件振り返りで補っています」という順番です。
| 深掘りされる質問 | 避けたい回答 | 準備する内容 |
|---|---|---|
| なぜその案件をPEとして検討するのか | 有名企業だから、成約したから | 市場、競争優位、経営課題、価格を踏まえた投資仮説 |
| 最も大きい下振れリスクは何か | DDで専門家が確認する | 崩れやすい前提、確認方法、価格・契約・見送りへの影響 |
| あなたはその案件を買うか | 情報がないので判断できない | 現時点の結論、追加で必要な情報、結論が変わる条件 |
| 投資後の初期に何へ着手するか | 経営陣と相談して決める | 優先KPI、組織上の制約、経営陣と合意すべき事項 |
面接官と異なる結論でも、前提と判断条件が明確なら議論できます。正解を当てに行くのではなく、結論が変わる条件を示すことが重要です。
文章例をそのまま使うのではなく、自分が実際に見た課題へ置き換えます。応募先については投資対象、案件規模、ソーシング方法、投資後の関与を公式情報で確認し、その会社である理由までつなげてください。
不足を隠さず、何を準備しているかを話すことも大切です。経験していないことを「できます」と言うより、不足と補い方をセットで示す方が、経歴の整合性を保てます。
今応募する人と、準備してから動く人の分かれ目
今応募を検討しやすいのは、一案件を深く説明できる人です。買い手の狙い、対象会社の魅力とリスク、価格・条件が動いた理由、自分の担当、買収後の課題を一続きで話せるか試してください。
- 買い手候補を選んだ理由を事業戦略から説明できる
- 企業評価の前提と下振れ要因を自分の言葉で説明できる
- DDの発見事項が条件や契約へ与えた影響を説明できる
- 自分ならどの条件で投資し、何があれば見送るかを答えられる
- 買収後初期に確認するKPIや組織課題を挙げられる
5項目のうち説明が曖昧なものがあっても、それだけで応募を止めると機械的に決める必要はありません。募集職位や求人ごとに求める経験の範囲が異なるためです。不足と現行の募集要件を照合して判断します。
準備状況を確認する際は、モデルの学習時間だけでなく、案件を説明したときに質問へ答えられるかを重視します。自分の回答を録音し、「事実」「自分の判断」「今後の仮説」が混ざっていないか確認すると、書類と面接のずれを減らせます。応募前に声に出して確認してください。
反対に、分析をほぼ専門家へ委ね、売り手開拓と進行管理以外を説明できないなら、応募先を広げる前に準備が必要です。まずは過去案件を投資目線で再分析し、自分の不足がモデル、DD、買い手側実行、投資後支援のどこにあるかを特定します。
Paper LBOは、買収価格、借入、返済、Exitの前提を通して投資判断を練習する材料です。計算だけで終えず、どの前提が崩れれば見送るかまで答えます。進め方はPaper LBOの選考対策で詳しく解説しています。
準備期間中は、現職でも買い手側の課題整理、企業評価の前提確認、DDの論点整理、成約後のフォローへ関与する機会を探せます。資格名を増やすより、実務で説明できる材料を一つ増やす方が、選考で使いやすいでしょう。
M&A仲介からPEを目指す人が相談前に整理すること
相談の前に、案件・不足・応募先の3点を自分で整理できます。深掘りに耐える案件を一つ選び、自分が行ったことと専門家へ依頼したことを分け、不足を補える応募先・迂回先を仮置きしてください。
- 案件: 買い手の狙い、対象会社の論点、条件変化、自分の担当を短く書く
- 不足: 投資判断、モデリング、DD、投資後支援を○・△・未経験に分ける
- 応募先: 投資領域、職位、担当範囲を公式採用情報で確認する
一方、直接応募で評価される経歴か、FASや投資銀行を経るべきか、同じ案件でもどの論点を前に出すかは、募集状況と経歴の組み合わせで変わります。だからこそ、応募前の順番設計は個別判断が欠かせません。
相談時には、会社名を伏せた案件概要、担当工程、現在準備していること、希望する投資領域を持参すると、直接ルートと迂回ルートを比べやすくなります。経験を盛らずに棚卸しすることが、準備の出発点です。

