東京大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。国内支店でMUFGの各種金融ソリューションの法人営業に従事し、銀行表彰を受賞。入社3年目で海外拠点に異動・駐在し、現地進出日系企業への融資・預金・為替デリバティブ商品等の法人営業を担当。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向し、投資銀行本部にてカバレッジ業務に従事。上場企業のM&A(TOB・経営統合等)やエクイティファイナンス(IPO・PO等)のオリジネーション(案件獲得活動)・エグゼキューション(案件執行)を経験。現在はハイキャリア層や金融プロフェッショナルを中心とした採用・転職支援を行う。
事業開発・経営企画・金融の経験からCVCを目指すなら、これまでの仕事を投資実務や事業連携にどう生かせるかを考え、応募先を選びましょう。2026年10月に確認した公式募集には、投資経験がある人を優遇する求人や、プロダクト開発などの経験を応募条件に含む求人もあります。投資経験の有無だけでは、応募できる求人は決まりません。
CVCとは、事業会社がスタートアップへ出資し、事業連携や成長支援に取り組むコーポレートベンチャーキャピタルです。投資、事業部との共創、投資先支援のどの仕事を担いたいのかを考え、求人の必須条件と自分の実務を照らし合わせてください。
本記事のポイント
| 知りたいこと | 応募前の答え |
|---|---|
| 投資未経験でも候補になるか | 投資関連の経験を優遇とする募集や、事業・プロダクト開発側の経験を条件に含む募集がある。ただし、他の必須能力まで不要という意味ではない |
| CVCでは何を担当するか | 投資候補の探索・審査・契約に加え、事業部との連携や投資後の支援も含む募集がある。求人ごとに任される仕事と責任の範囲を確認する |
| 給与は何で比較するか | 個別の提示額と、固定給・賞与・時間外手当を比較する。部署名だけで共通の相場や平均を決めない |
今の経験からCVCを目指すなら、応募する役割を決める
CVCの募集に応募するときは、前職の業界名よりも自分が実際に担当した仕事を起点にしてください。投資銀行やFASで分析をした経験と、事業会社で提携先のサービスを導入した経験では、説明すべき実績が異なります。
フロンティアインターナショナルは投資関連の経験を優遇条件に挙げています。バンダイナムコエンターテインメントは、投資実務の経験、またはプロダクト開発などの経験を応募条件に含めています。この違いを踏まえると、CVCという部署名で候補を絞るより、自分が担当してきた業務から求人を探す方が、応募条件に合う点と足りない点を把握しやすくなります。
| 現在の経験 | 候補となる仕事 | 不足を確かめる点 |
|---|---|---|
| VC・CVCや事業投資 | 投資候補の探索、DD、投資実行、投資後管理 | 応募先の事業テーマ、社内部門との連携、担当する契約・審査の範囲 |
| 事業開発・経営企画 | スタートアップとの事業企画、検証・導入、関係者との合意形成 | 企画だけか実行まで担ったか。投資や財務の知識も必須条件に含まれるか |
| 投資銀行・FAS・コンサル | 事業調査、財務分析、取引実行支援、プロジェクト推進 | 助言側での担当と、出資側で任される判断・実行の違い |
| 投資・事業開発の双方が未経験 | 現職で得られる顧客課題の分析、事業計画、社外企業との検証実務 | 資格や学習だけでなく、募集が求める実務を、自分の経験から説明できるか |
この表は採用可否の判定ではありません。例えば経営企画でも、中期計画の集計だけを担当した人と、投資・提携案件の実行を担当した人を同じ経験とは扱えません。職種名の一致と実務の一致を区別しましょう。
投資寄りと事業開発寄りのどちらで応募するか決めきれない場合は、関心のある募集と自分の担当業務を並べると相談しやすくなります。金融・投資領域に対応する担当者を選び、どの工程の経験から説明するかを話してください。
CVCの仕事は投資実務・事業連携・投資先支援にまたがる
CVCは、事業会社が外部のスタートアップへの投資を通じ、事業上の連携などを目指す活動・組織です。ただし、投資した後に何を担当するのかまで確かめないと、入社後の仕事は分かりません。
投資実務は、候補の発掘から審査・契約までを扱う
公式募集には、投資候補の発掘、市場や事業の調査、デューデリジェンス、契約交渉、投資実行が登場します。デューデリジェンスは、投資を判断するために事業・財務・法務などの情報を調べ、リスクを確かめる作業です。
バンダイナムコエンターテインメントの募集は、投資委員会への提案まで業務に含めています。分析資料を作る人と、投資の賛否を提案して契約を進める人では責任が違うため、「案件に関与した」だけでは担当範囲を伝えきれません。
事業連携は、投資先と社内事業部の双方と進める
JERAは、投資先との共同事業や自社への技術導入を、社内各事業部と連携して支援する業務を示しています。バンダイナムコエンターテインメントも、投資先と自社のアセットを組み合わせた事業企画・開発を掲げています。出資の検討に加え、事業として使えるかを検証する仕事が含まれます。
事業開発経験を生かしたい人は、提携先の発掘だけでなく、社内のどの部署と導入条件を詰め、誰が検証を担当するのかまで確かめてください。投資先との窓口と、導入プロジェクトの責任者を同じ人が担うかどうかは、求人名からは決まりません。
投資先支援には、管理と成長支援の両方がある
フロンティアインターナショナルは、投資後のモニタリングと企業価値を高める支援、Exitまでを業務に含めています。投資実行で仕事が完結しない募集です。同社の当該職種はM&A・PMIにも関わるため、少数持分の投資だけを希望する場合は担当範囲を確認する必要があります。
投資先を支援したい人も、経営状況を確認する仕事なのか、顧客開拓や事業開発を実行する仕事なのかを募集要項で確認しましょう。CVC以外のファンド運営や専門支援職まで比較したい場合は、ベンチャーキャピタルの職種・仕事内容と求人の見方で検討範囲を広げられます。
出所:三井住友フィナンシャルグループ「CVC」、フロンティアインターナショナルの採用情報、バンダイナムコエンターテインメントの採用情報、JERAの採用情報(2026年10月確認)
公式募集の必須条件と歓迎条件を読み分ける
「投資経験」「事業開発経験」という言葉が載っていても、必須か、歓迎か、代替条件かで意味が変わります。確認した募集の違いは次のとおりです。募集継続や条件の変更は、応募前に各社の採用ページで確認してください。
フロンティアインターナショナル:投資関連経験は優遇として明記
同社のCVC/M&A職は、起業家支援への関心、関係者との協業、学習意欲などを必須条件に挙げています。VC・CVC、コンサルティングファーム、M&Aアドバイザリー等での実務や、投資・企業買収に関連する実務は優遇欄にあり、一部には必須ではない旨も記載されています。
この募集では、投資部門に在籍したことだけが入口ではありません。ただし、起業家への関心だけで職務を遂行できるという意味でもありません。自分の経験から、調査、社外との協業、事業の実行にどう貢献するかを説明する準備が要ります。
バンダイナムコエンターテインメント:経験の選択条件に、領域への関心を加える
同社の必須条件には、投資戦略・投資実行・事業開発やExitの経験と、プロダクト開発・カスタマーサクセス・関連するプロジェクト管理等の経験が、「または」で挙げられています。同社が挙げるプロダクト開発の経験には、製品・サービスの企画から販売までが含まれます。それに加え、エンターテインメント領域への強い興味・関心も求めています。
投資側の経験と開発側の経験を、両方とも必須と読み替えるのは不適切です。逆に、条件に書かれた業務を一つだけ抜き出し、「調査をしたから条件を満たす」とも判断できません。自分が担った工程を示し、募集要項が求める経験に当たるかを確かめましょう。ビジネスレベルの英語は歓迎要件に分類されています。
JERA:尚可の経歴と、必須の能力を区別する
JERAの日本語欄は、投資銀行・VC・PE等の投資経験、または商社・事業会社でのエネルギー関連の事業開発経験を、あると望ましい経験に挙げています。プロジェクト管理、英語文書の読解、日本語と業務英語などは必須欄の条件です。
同じページの英語欄には、投資評価とDDを主導する能力も必須として記載されています。日本語欄で投資経験が尚可だからといって、投資判断の能力も不要とは読めません。日本語・英語の記載を含め、担当する分野と必要な能力を採用窓口へ確かめてください。
出所:フロンティアインターナショナル「CVC/M&A」、バンダイナムコエンターテインメント「CVC/フロント・事業開発 全般」、JERA「CVCユニット」(2026年10月確認)
CVCの提示条件は職務と固定給・変動給をそろえて比べる
フロンティアインターナショナルの当該募集は、800万〜1,200万円を提示しています。月給には月60時間分の固定残業手当を含みます。賞与と業績に応じたインセンティブ賞与の記載もあります。これは同社の特定職種の提示条件であり、CVC全体の平均や、応募者への確約額ではありません。
バンダイナムコエンターテインメントとJERAの当該募集は、いずれも応相談です。他社の公開レンジをそのまま当てはめず、実際の提示額と担当職務を合わせて比べてください。
固定残業の対象時間は、そのまま実際の残業時間を示す数字ではありません。また、業績に連動する報酬を固定給と同じものとして扱うと、入社後の手取りの見通しがずれます。条件通知では、次の点を分けて確認しましょう。
- 基本給と手当はいくらか。時間外労働に対してどう支給するか。
- 賞与は固定か、会社業績・個人評価でどの部分が変動するか。
- 提示額が想定する職位と、投資・事業開発の担当範囲は何か。
- 入社一時金がある場合、在籍・返還条件と翌年度以降の総額はどう変わるか。
出所:フロンティアインターナショナル、バンダイナムコエンターテインメント、JERAの公式採用ページ(2026年10月確認)
投資を主に担う仕事で条件を比較したい場合は、金融専門職の検索から、職種や提示条件を確認できます。CVC専用の一覧ではないため、検索結果では事業開発や投資先支援まで担当するかも読み、希望する仕事に近い求人を選んでください。
親会社との関係から、入社後に担う仕事を確かめる
投資対象に興味を持てることに加え、社内の誰と事業を進めるかも応募先選びの条件です。JERAの共同事業・技術導入、バンダイナムコエンターテインメントの自社アセットを使う事業開発は、社内と投資先の双方に関わる仕事として示されています。
CVCには社内の投資部門や子会社、外部VCと組むファンドなどの形態があります。ブランド名から雇用関係を想像せず、雇用法人・所属・担当先を個別に確かめましょう。バンダイナムコエンターテインメントの募集には、専門性に応じて契約社員を打診する場合があるとの記載もあります。
| 確認したい関係 | 質問の例 |
|---|---|
| 投資判断と事業連携 | 出資の検討と、事業部への導入の検討は、誰がどの段階で判断しますか |
| 本人と専門部署 | DD・契約・事業部調整のうち、入社直後に私が主担当になる工程はどこですか |
| 成果の評価 | 投資リターンと事業連携の成果を、それぞれどの指標・期間で評価しますか |
| 方針変更時の仕事 | 親会社の重点領域が変わると、既存投資先の支援や担当者の配置はどう決まりますか |
これらは各社に共通の問題があるという指摘ではありません。入社後に自分が引き受ける仕事を、募集の説明と照合するための質問です。CVC以外の選択肢も比較したい人は、主要VCの企業タイプと転職先の選び方も参照してください。
必須経験が足りないときは、近い実務から準備する
応募条件に合う経験がある人と、投資・事業開発の双方が未経験の人では、準備の順番が違います。応募する前に経験を積むかは、希望求人の必須条件と、今説明できる実務の差で決めてください。
隣接経験がある人は、実行した工程を明らかにする
事業開発の経験者なら、検証テーマの設定、提携条件の合意、導入後の運用など、企画から先に進めた仕事を示しましょう。バンダイナムコエンターテインメントは企画から販売までの経験群を示し、JERAは共同事業や技術導入の支援を業務に含めています。企画書の作成だけだった場合は、その範囲を正確に伝えます。
金融や助言業務の経験者は、分析した資料だけでなく、自分の分析がどのような判断に使われたかを整理してください。契約交渉を担当していないなら、その経験があるように書く必要はありません。投資実務を必須とする募集に合わない場合は、関連経験を優遇する募集も確認できます。
完全未経験なら、学習と実務を分けて積む
財務やスタートアップ投資の学習は、実際に案件を担当した経験とは別です。投資・事業開発の双方を説明できない場合は、現職での新規事業検証、提携案件、事業計画の策定など、応募先が求める実務を経験する方法を検討してください。
役職や資格だけを目標にするより、希望する求人を読み、どの業務の経験が足りないのかを確かめる方が、準備することを絞れます。事業開発で補うのか、財務・取引の実務を先に担うのかを決めたうえで、直接応募する募集と、経験を積んでから検討する募集を分けましょう。
職務経歴書は投資判断と事業連携で書き方を変える
投資寄りの募集には判断に使った分析と担当工程を、事業連携寄りの募集には合意形成から実行までの仕事を示します。チームの成果と本人の仕事を区別すると、募集要項との対応が伝わります。
| 経験 | 抽象的な書き方 | 具体化するときの項目 |
|---|---|---|
| 事業開発・経営企画 | スタートアップとのアライアンスを推進 | 解きたかった事業課題、比較した相手先、合意した条件、自分が担当した検証・導入、その結果 |
| 投資・金融・助言 | 投資案件の分析と実行を支援 | 自分が調べた事業・財務上の論点、分析の結論、判断に与えた情報、契約や実行での担当工程 |
| 投資先支援 | 投資先の成長に貢献 | 支援前の課題、経営陣と合意した施策、本人の実行内容、成果と未解決の課題 |
数値を添える場合も、会社全体の数字を自分の成果に置き換えないでください。例えば案件の規模だけでなく、採用・不採用を判断する際に、自分がどのような情報を提供したかを説明します。失敗した検証や採用されなかった提案も、判断を変えた理由を説明できれば、実務を伝える材料になります。
秘密保持の対象となる社名・取引条件・未公表情報は、応募書類へそのまま載せず、開示可能な範囲で匿名化します。応募先が知りたい担当工程を示すために、現職の機密を持ち出す必要はありません。
面接準備では投資理由と事業連携の仮説を組み立てる
志望理由は「スタートアップを支援したい」で止めず、なぜその事業会社で取り組むかまで考えます。投資と社内の事業を結ぶ業務がある募集では、応募先の事業テーマを理解する準備も欠かせません。
以下は、公式に示された投資・共創業務をもとにした練習用の質問です。各社が実際に出題する質問や、共通の選考課題を示すものではありません。
- 関心のあるスタートアップは、どの顧客課題を解決し、何を強みにしていますか
- 応募先の事業と連携するなら、双方にどの利点があり、何を検証しますか
- 連携の見込みがあっても、投資を見送ると考える条件は何ですか
- 社内事業部と相手企業の意見が異なるとき、何を材料に合意を探りますか
回答では、公開資料で確認した事実と自分の仮説を分けてください。連携先の売上や技術の実績を想像で補わず、追加で何を調べるかまで話せるようにします。応募先が財務的な成果と事業上の成果をどう評価するかは、面談で確認する論点です。
金融・助言業務から移る人は、過去の取引を実現した理由だけでなく、自分が出資側なら何を確認するかも検討しましょう。事業開発から移る人は、事業連携と出資の理由を同じものとして話していないかを見直します。
CVCへの応募を進める前に相談したいこと
必須条件に対応する実績があり、担当範囲と希望する仕事も一致しているなら、自分で応募準備を進められます。公式募集を読み、職務経歴書に担当工程を記載し、未確認の条件を質問にしておきましょう。
フロンティアインターナショナルのM&A・PMI、バンダイナムコエンターテインメントの事業開発、JERAの社内共創のように、これらの募集には投資以外の仕事も含まれます。投資判断と事業連携の双方に関わりたい人には検討しやすい仕事です。投資判断だけに職務を限定したい人は、事業部との調整や実行に使う時間を確かめ、希望と合わなければ担当範囲の異なる募集も比較してください。
相談する価値があるのは、例えば必須条件に挙がっている経験に、自分の仕事が当てはまるか迷う場合や、投資・事業開発のどちらで実績を示すか決めきれない場合です。求人の原文と担当実績のメモがあると、経験の過不足を具体的に話せます。
- 応募候補の募集要項と、自分が満たす必須条件・未確認の条件
- 投資・提携・事業検証のうち、自分が担当した工程と成果
- 担当職務、雇用形態、固定給・変動給について外せない希望
日程が気になる場合は「予定する選考段階と、条件提示までの見通し」を確認します。再応募については「制限や、次回までに求める追加経験」を、一時金については「対象の有無と在籍・返還条件」を質問してください。他社の慣行で空欄を埋めず、応募先の回答を残します。
募集条件は読めても、担当した案件をどう説明するかに迷う場合は、求人と実績メモを用意して相談相手を選んでください。応募前に、不足する経験、伝えるべき担当工程、採用側へ確認する質問を一緒に検討できます。
CVCへの転職でよくある質問
投資未経験でもCVCへ転職できるか
投資関連の実務を優遇とする募集や、事業・プロダクト開発側の経験も条件に含む募集があります。ただし、ほかに求められる能力や、その領域への関心についても確認が必要です。投資未経験と、関連する実務がすべて未経験の場合を分けて考えてください。
CVCへの転職で英語は必須か
募集によります。今回確認したJERAの募集は英語を必須条件に含め、バンダイナムコエンターテインメントはビジネスレベルの英語を歓迎に置いています。CVC全体の共通条件にせず、応募する仕事の記載を確認してください。
CVCと独立系VCのどちらを選べばよいか
社名や区分だけでなく、担当する投資工程と事業連携の範囲で選びます。親会社の事業部と投資先の共創に関わりたいなら、その仕事が明記されたCVCの募集を探してみましょう。投資対象や運営体制まで広げた比較は、主要VCの企業タイプを参照してください。
投資先支援を希望する場合も投資職に応募するのか
募集の担当範囲によります。今回確認した募集には、投資実務と投資後の支援を併せて担う例があります。支援が業務に含まれることと、支援だけを担当する募集であることは別なので、探索・審査・契約も担うかを確認してください。



バンダイナムコエンターテインメントは自社アセットを使う事業開発を、JERAは社内事業部と投資先の共同事業・技術導入を業務に挙げています。こうした仕事に応募するなら、提携を発表した事実に加え、関係部署と何を決め、自分がどこまで実行したかを書くと、担当内容を具体的に説明できます。