
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
平岡 弦 | HIRAOKA Gen
慶應義塾大学卒業後、デロイトトーマツグループの有限責任監査法人トーマツに新卒入社。パブリックセクター部門にて、官公庁へのアドバイザリー業務に従事しつつ、大手事業会社のシステム導入案件や機関設計領域におけるコンサルティング案件に従事。パブリックセクター部門では官公庁を通し、スタートアップのエコシステム組成に貢献し、スタートアップへの伴走支援も行う。その後、ヘッドハンターファームである株式会社アサインに参画し、取締役直下の組織にて、ハイエンド層のキャリア支援を担う。前職のコンサルティング業界の知見を強みとしつつ、コンサルティング業界への支援を軸に専門領域を広げ、様々な方へのご支援を実現。その後、当社にヘッドハンティングをされ、入社を決意し、現在はシニアコンサルタントとしてM&Aアドバイザリーファーム、戦略・総合コンサルティングファームなどを中心とした転職サポートに従事。20代若手からエグゼクティブ層まで、幅広い支援を経験し、業界トップクラスの実績を誇る。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)の志望動機は、自分が解きたい課題、EYSC固有の接点、貢献を裏づける経験、入社後の貢献仮説の4要素で組み立てます。Purposeへの共感だけで始めず、先に応募職種を決めることが重要です。
まず「どの求人に応募するのか」「その仕事で誰の何を変えたいのか」「似た課題で自分は何を判断したのか」を答えられるか確認してください。答えが曖昧なら、文章を書く前に求人票と自分の経験を照合する必要があります。
EYSCの志望動機は4要素で作る
4要素のうち、最初に決めるのは「解きたい課題」です。企業の魅力から書き始めると、誰でも言える企業紹介になりがちです。自分が仕事で目にした課題を起点にすれば、応募部門と経験の接点を絞れます。
| 要素 | 決める内容 | 確認する問い |
|---|---|---|
| 解きたい課題 | 仕事で観測した制約や未解決の問題 | 誰の、どの意思決定や業務を変えたいか |
| EYSC固有の接点 | Purpose、セクター、ユニット、現行求人とのつながり | なぜその応募職種でなければならないか |
| 貢献の証拠 | 自分の役割、判断、巻き込み、起きた変化 | 入社後にも再現できる行動は何か |
| 入社後の貢献仮説 | 最初に生かせる経験と、これから補う専門性 | 受け身の学習希望で終わっていないか |
一文に圧縮するなら、「私は[観測した課題]を解きたい。EYSCの[応募職種・支援テーマ]なら[対象]まで扱えると考え、[自分の判断・行動]を生かして[最初の貢献]をしたい」という順です。これは完成文ではなく、事実を入れるための情報スロットです。
書き上げた後は、社名を別のファーム名へ置き換えても成立するかを見ます。成立するなら、EYSC固有の接点が足りません。一方、自分の経験を別人の経験へ置き換えられるなら、証拠の粒度が不足しています。
「なぜEYSCか」はPurposeと仕事の交点で決める
EYSCを志望する理由は、Purposeの言葉と応募職種の仕事を、自分が解きたい課題で接続すると具体化できます。Purposeだけを引用しても、どの仕事を選び、何を変えたいのかは伝わりません。
EYのPurposeは「Building a better working world」です。公式ページでは、優れた知見や高品質なサービスを通じた信頼の構築、ステークホルダーへの長期的価値、持続可能でインクルーシブな成長が示されています。
志望動機では、この言葉をそのまま自分の価値観として借りません。たとえば、顧客、従業員、取引先のうち、誰への長期的価値を増やしたいのかを一つ選びます。次は、その価値を阻んだ事業上の制約を自分の経験から示す作業です。
EYSCのキャリア採用情報は、仕事を業界軸の「セクター」と専門性軸の「ユニット」で示しています。したがって、企業全体への共感から一段進み、どの業界課題に、どの専門性で向き合うかまで決めることができます。
| 抽象的な表現 | 具体化する方向 |
|---|---|
| 社会貢献に共感した | 誰への長期的価値を、どの課題を通じて増やしたいかを示す |
| グローバルに働きたい | 国や組織をまたいだ制約のうち、自分が扱いたい論点を示す |
| 構想から実装・定着まで支援したい | 構想、実装、定着のうち、現職ではどこまで担い、次にどこを担いたいかを示す |
「グローバル」「成長」「社会貢献」を消す必要はありません。ただし、その言葉だけで志望理由を完結させないことが大切です。現行求人の担当領域と自分の経験を続けて書き、抽象語の意味を限定してください。
応募部門別に企業固有の理由をつくる
応募部門は「興味があるテーマ」ではなく、持ち込める経験と解きたい課題の重なりで選びます。2026年8月11日の確認時点で、職種一覧はセクター、金融サービス、ストラテジー・アンド・トランスフォーメーション、M&A、テクノロジー、ピープル、リスク、Otherの区分を掲載しています。
求人は変動します。応募時には最新の職種名、担当範囲、応募資格を確認してください。まず全体像を知りたい場合は、EYSCへの転職に必要な準備も参照できます。
| 応募ルートの候補 | 公式情報にある支援テーマ | 志望動機で使える経験の証拠 |
|---|---|---|
| 戦略/EY-Parthenon | 成長戦略、市場参入、投資・事業評価、ポートフォリオ、戦略実行 | 曖昧な意思決定を構造化し、調査・検証から実行へ移した経験 |
| 顧客体験(CXT) | 新規事業、顧客接点DX、マーケティング・営業、顧客・社員体験 | 顧客データと現場業務をつなぎ、接点やプロセスを変えた経験 |
| Supply Chain & Operations | 社会課題とサプライチェーン方針、E2Eオペレーション、デジタル変革 | 調達・需給・製造・物流の局所課題を全体最適へ広げた経験 |
| Technology/AI & Data | IT戦略から導入、データ・AI変革、プラットフォーム、ガバナンス | 技術導入ではなく、意思決定や業務成果まで変えた経験 |
| People Consulting | 人事・組織変革、業務プロセス、テクノロジー、導入後の改善 | 制度やシステムを、人の行動や事業成果へつなげた経験 |
| Risk Consulting | 動的リスク管理、ガバナンス、レジリエンス、デジタル高度化 | 経営目標と不確実性を同時に扱い、判断の仕組みを変えた経験 |
戦略やM&Aを志望する場合は、組織名を古い理解のまま使わないよう注意が必要です。EYSCは2025年7月1日からEY-Parthenonを拡張し、戦略コンサルティングとトランザクションを統合したブランドとして再定義しています。応募時点の求人名と役割を正にするのが安全です。
TechnologyのうちAI & Dataを検討する方は、EYのAIコンサルタントの仕事内容と転職準備も確認してください。志望理由は技術名の列挙ではなく、データやAIを誰のどの判断へつなげたいかに置きます。
自分の経験から「貢献できる証拠」を選ぶ
証拠として強いのは、成果の大きさより、自分が何を観測し、何を判断し、誰を巻き込んだかを説明できる経験です。非公開の数字や架空の成果を足す必要はありません。
- 現場で観測した制約を一つ選ぶ
- 自分が担った役割と判断を切り分ける
- 関係者の意見が分かれた場面と、合意の作り方を示す
- 実装・定着までの担当範囲と、起きた変化を示す
- EYSCでも再現できる行動と、補う必要がある専門性を分ける
事業会社の企画・営業経験を使う場合
事業会社では、自社の一部門だけでは解けなかった制約が素材になります。たとえば、顧客接点の改善案を作ったものの、データ定義や現場業務との分断が残った経験です。部分最適で止まった理由と、自分が部門間をどうつないだかを示せば、CXTや戦略領域との接点を検討できます。
SIer・エンジニア経験を使う場合
システム名や技術名を並べるだけでは、入社後の貢献は伝わりにくくなります。要件が定まらない局面で、業務側の意思決定をどう支えたか、導入後に使われる状態まで何を変えたかを選びます。技術をビジネス価値へ翻訳した判断がTechnologyやAI & Dataとの接点です。
人事・管理部門の経験を使う場合
制度や統制を導入した事実だけでなく、運用が定着しなかった理由や経営目標との衝突を扱った経験を選びます。人事であれば、制度・業務・システムをまたいで人の行動を変えた場面。リスク領域であれば、守るべき基準と事業機会を同時に検討した場面が具体的な証拠になります。
どの経歴でも、本人が確認できない成果値は書かないでください。「改善した」だけでなく、会議体が変わった、判断の順序が変わった、部門間で共通の基準を持てたなど、自分が事実として説明できる変化へ置き換えます。
NG例をEYSC向けの志望動機へ直す
NG例を直すときは、文章を華やかにするのではなく、足りない事実を特定して一つずつ補うのが近道です。以下の文例は情報の粒度を示す仮設定であり、そのまま使うものではありません。
NG1:Purposeへの共感だけで終わる
修正前:「Building a better working worldに共感し、より良い社会をつくりたいと考え志望しました。」
足す情報:誰への長期的価値か、自分が観測した課題は何か、どの応募職種で向き合うか。たとえば「現職で顧客接点と業務データの分断を経験したため、CXTで顧客体験と現場業務を同時に変えたい」のように、Purposeを仕事の選択へ接続します。
NG2:グローバル・成長環境だけを理由にする
修正前:「グローバルな環境で幅広い案件を経験し、成長したいと考えています。」
足す情報:扱いたい課題と、すでに持つ貢献の証拠。SC&Oなら、国や組織をまたぐ需給判断の制約を見た経験などです。学びたいことより先に、持ち込める判断や行動を書きます。
NG3:現職への不満を転職理由にする
修正前:「現職では上流工程に関われず、より大きな仕事をしたいため転職します。」
足す情報:現職で担った範囲、その範囲から見えた未解決課題、次に広げたい責任です。「上流」という抽象語を避け、構想・実装・定着のどこまで担ったのかを明示します。
完成文には自分の事実を入れてください。架空の案件名、削減率、売上額を加えると、深掘りされた際に一貫性を失います。数字がなくても、役割、制約、判断、関係者、実装範囲の具体化は可能です。
書類用と面接用へ調整する
書類と面接で主張は変えず、情報量だけを調整します。どちらも「課題→EYSC固有の接点→証拠→貢献」の順を守るため、回答の軸は同じです。
応募書類では、まず短い骨子を作ります。課題とEYSC固有の接点に前半を使い、後半で経験の証拠と入社後の貢献を示してください。面接では同じ骨子を簡潔に話せる長さへ整え、経験の詳細は深掘りに備えて分けて持ちます。
| 用途 | 残す内容 | 調整する点 |
|---|---|---|
| 応募書類 | 解きたい課題、応募職種、自分の経験、入社後の貢献 | 前提説明を短くし、各要素を一文ずつ置く |
| 面接回答 | 同じ4要素 | 最初に結論を述べ、相手の深掘りに応じて経験の詳細を足す |
丸暗記するのは全文ではなく、4要素の一文ずつです。とくに「なぜその部門か」と「自分の何を再現できるか」は、別々に質問されても答えられるようにします。
- その課題を重要だと考えたきっかけは何か
- EYSCの中でも、なぜその求人・チームなのか
- 過去の経験のうち、入社後にも再現できる行動は何か
- 経験がない領域を、入社後どのように補うか
- 担当範囲について、まだ確かめられていない点は何か
面接の進み方や想定質問は本記事の範囲外です。準備を進める際は、EYSCの面接対策とEYSCの選考難易度と準備を確認してください。志望動機の主張と、面接で話す経験の事実関係を一致させることが前提です。
応募前に求人・社員情報で仮説を確かめる
志望動機は、応募前に完成させる文章ではなく、求人や対話で確かめる仮説です。配属や担当案件を外から断定せず、応募時点で確認できる情報と未確認事項を分けるのが出発点です。
| 確認対象 | 見るポイント | 志望動機への反映 |
|---|---|---|
| 職種一覧・個別求人 | 現在の求人名、担当範囲、求める経験 | 応募部門と自分の証拠が一致するかを見直す |
| 社員情報・対話 | 支援テーマ、役割分担、入社後に期待される立ち上がり | 貢献仮説の前提を確かめる |
| 面接での確認 | 案件や配属を断定せず、担当可能性と育成・支援の考え方を質問する | 未確認事項を残したまま言い切らない |
質問は「どんな案件がありますか」だけで終えず、自分の仮説を添えてください。たとえば「私は顧客データと現場業務をつないだ経験をCXTで生かしたいと考えています。応募求人では、構想と実装の役割分担をどのように捉えればよいでしょうか」と聞けば、志望理由の前提を具体的に検証できます。
応募先が合う可能性が高いのは、求人の支援テーマと自分の解きたい課題が重なり、持ち込める行動を説明できる場合です。反対に、企業ブランドへの関心しかなく、職種を選べない場合は急いで文章を整えないほうがよいでしょう。先に複数求人を比較し、応募しない選択肢も含めて判断してください。
EYSCの志望動機でよくある質問
コンサル未経験でも志望動機を書けますか?
書けます。コンサル経験の有無より、応募求人が扱う課題に近い経験を事実として示せるかを確認してください。現行求人には、事業会社での類似経験を応募資格例として挙げる職種があります。
他のBig4との違いはどう書けばよいですか?
根拠のないカルチャー比較や優劣は避けます。EYSCのPurpose、セクターとユニット、応募求人の支援テーマのうち、自分の課題意識と経験に接続するものを選んでください。他社についても同じ粒度で公式求人を確認したうえで比較します。
Purposeは志望動機に入れたほうがよいですか?
引用自体を目的にする必要はありません。Purposeと自分の課題意識に本当の接点がある場合に使います。入れる場合も、誰への長期的価値を増やしたいのか、応募職種の仕事へどうつながるのかまで説明してください。
複数部門で迷う場合はどう決めますか?
同じ経験を各求人へ当てはめず、求人ごとに「解きたい課題」と「持ち込める証拠」を書き分けて比較します。担当範囲や求める経験が確認できない部分は、社員情報や面接で質問する項目として残してください。
EYSCの志望動機は、応募職種を決め、自分が見た課題と公式情報、自分の行動証拠を一本につなぐと具体化できます。Purposeの引用や完成例文の模倣ではなく、本人が説明できる事実から作ってください。
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