
監修者
リメディ株式会社 ディレクター
馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji
神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
三菱総合研究所のキャリア採用は、公共政策、ヘルスケア、エネルギー、金融・AI、経営・DX、研究・提言、事業企画などに分かれています。職務経歴書は会社全体へ向けた汎用版にせず、応募する募集要項を一件選び、その領域に近い案件から並べます。
重要なのは専門用語の多さではありません。課題をどう定め、どの方法で調べ、提言や実証を経て、どこまで実行に関わったかが追える構成にします。以下の書き方は、現行の公式職種一覧と募集要項を踏まえたリメディの見解です。
本記事のポイント
- 応募する募集要項を一件選び、職務要約と最初の案件をその領域に合わせる
- 専門性は、方法、成果物、相手の意思決定への影響、自分が担った範囲で示す
- 秘密情報を伏せても、課題、役割、分析方法、成果の種類は具体化する
現行募集を一件に絞り、職務要約を組み立てる
三菱総合研究所のキャリア採用職種一覧には、政策・公共、ヘルスケア、エネルギー、金融・AI、経営・DX、事業企画、研究・提言などの募集があります。「三菱総研で働きたい」という理由だけでは、どの経験を先に置くか決まりません。応募先の業務と条件を、自分の過去案件へ一つずつ対応させます。
| 応募先で担う工程 | 書類に残す内容 | 成果物の例 |
|---|---|---|
| 問題設定 | 政策・社会・経営・技術の何を問いにしたか | 論点、調査課題、評価軸 |
| 調査・分析 | 情報源、方法、前提、分析の限界 | 調査設計、モデル、分析結果 |
| 提言・構想 | 選択肢、比較、採用された判断 | 報告書、制度案、構想、RFP |
| 実証・実装 | PoC、業務変更、運用までの担当範囲 | 実証計画、要件、運用開始 |
職務要約は、在籍企業の紹介より、専門テーマ、主な顧客、問題を解くために使った方法、自分が最後まで担った工程を先に置きます。たとえば「エネルギー制度と事業性評価を扱い、公開情報と顧客データの分析から事業計画の意思決定まで担当」のように、問いと成果の使われ方を一文でつなぎます。
四つの工程をすべて一人で経験している必要はありません。担当していない工程を埋めず、強い工程と隣接経験を分けます。要約で「社会実装まで」と書くなら、主要案件にも実証後の判断や運用開始が必要です。案件が提言までなら、要約もその責任範囲に合わせてください。
政策・公共経験は制度名より問いと提言を示す
三菱総合研究所の政策・公共領域へ応募する場合、担当した制度名や委員会名だけでは本人の役割が伝わりません。政策目的、対象者、現状の課題、調査方法、比較した選択肢、提言、実施主体との調整を一つの案件として書きます。
調査では、公開統計、アンケート、ヒアリング、文献、実証データのうち何を使ったかを明示します。方法を選んだ理由、欠損や偏りへの対応、結論の限界も必要です。文献数やインタビュー件数だけでなく、誰が何を決めるための調査だったか、その結果がどの判断に使われたかまで示してください。
提言実績は「戦略を提案した」で終えず、比較した選択肢、評価軸、採用案、見送った案、実施条件を書いてください。提言がそのまま採用されなかった案件でも、評価条件を作った、反対理由を整理した、実行可能な範囲へ修正した、といった自分の仕事を説明できます。
関係者調整は会議数ではなく、前提が異なった相手と、合意に使った事実を示してください。政策目的と現場運用のずれをどう整理し、承認事項、保留事項、次の作業、担当者をどう決めたかを書くと、調整で担った役割が明確です。
民間DX経験はBPRからPoCまで担当工程を切り分ける
三菱総合研究所の民間企業向けDXコンサルティング募集要項には、業務分析・BPR、システム構想、RFP策定、PMO、PoC、AI活用支援が職務例として並びます。「DXを推進」とまとめず、自分が担った工程と成果物を対応させてください。
BPRでは現行業務の対象、観察・ヒアリング方法、課題、変更案、利用部門との合意を書きます。システム構想では業務要件、技術・予算・期間の制約、比較案、採用理由を示します。RFPでは要求項目の作成だけでなく、経営、業務、ITの条件をどうまとめたかが本人の担当です。
PMO経験は進捗会議の運営だけでは弱い説明です。依存関係、リスク、品質、未決事項をどう見える形にし、誰へ判断を求めたかまで示します。PoCは、検証した仮説、成功条件、得られた事実、本導入・見直し・中止の判断を一組にします。
同募集要項は、コンサルティング経験だけでなく、事業会社での企画、開発、推進、管理なども応募経験の例に挙げています。社内向けの業務を「外部コンサルティング」と言い換える必要はありません。利用部門、意思決定者、外部ベンダーとの関係をそのまま示し、経営方針や現場要望をどの条件へ落とし込んだかを書きます。
DX・AIプロダクトは技術名より判断への使い方を書く
三菱総合研究所のDX・AI関連採用情報には、ソフトウェア開発、DX、アジャイル、デザイン思考、顧客・市場調査などの経験が示されています。公式の募集例にはPython、GIS、Julia、最適化、統計、機械学習などもありますが、全職種に共通する一律の要件ではありません。
技術名を挙げる場合は、その技術をどの課題と判断に使ったかを続けます。GISなら対象地域と分析単位、最適化なら目的関数と制約、機械学習なら予測・分類の対象と評価方法を、開示できる範囲で記載します。モデル精度だけでなく、施策や実証の判断へどう使ったかが重要です。
プロダクト経験では、開発した機能数より、顧客・利用者の課題、優先順位、検証、開発チームとの合意、提供後の確認を中心にします。自分がどこから参加し、どの判断まで担ったかを明確にしてください。
エネルギー経験は制度・市場・採算を同じ案件で示す
三菱総合研究所グループのエネルギー領域に関する公式採用情報は、事業性評価、収益性分析、制度・市場を踏まえた戦略、提案書・報告書、関係者調整を職務例に挙げています。制度、市場、採算の複数条件を顧客の判断へまとめた案件を選びます。
事業性評価では、需要、価格、投資、運用、制度などの前提を分け、結果に影響する変数を示します。複数のシナリオを作った場合は、差を生む条件と、顧客が採用した判断を書いてください。非公開の前提値を伏せても、評価の仕組みと自分の担当は残せる内容です。
関係者調整では、発電事業者、需要家、行政、技術部門、財務部門など、実際に関わった相手を開示可能な区分で示してください。意見が異なった点、共通の評価軸、合意した次の作業を書くと、専門知識を実行へつなげた役割が明確です。
研究実績は問い・方法・利用先を一組にする
三菱総合研究所向けの研究実績は、問いと利用先を最初に明確にします。仮説、方法、データ、分析、示唆は、その判断へ至った根拠として続けてください。公開論文や報告書がある場合は、著者・担当の範囲を明示します。共同研究では、チーム全体の成果と、自分が担った設計、分析、執筆、説明を分けます。
理論や方法の新しさだけでなく、政策、制度、事業、技術選択のどの判断に使われたかを示します。利用先が未定の基礎研究なら、問いの設定、方法を選んだ理由、再現性、限界を中心にし、実装したようには書きません。
MRIアカデミーへの期待より学習を実務へ生かした経験を書く
三菱総研グループレポート2025は、MRIアカデミーを2024年4月に開校したと説明しています。同資料によると、MRIアカデミーは400時間を超える研修プログラムを提供しています。この数字は提供プログラム全体の規模であり、特定職種に400時間の受講を義務付ける説明ではありません。
応募書類では「研修で学びたい」を中心にせず、現職で新しい制度、技術、業界を学び、仕事へ生かした事例を置きます。学習のきっかけ、情報源、試した方法、他者のレビュー、実務で変えたことを書けば、専門性を更新してきた過程が伝わります。
成果と守秘義務は、確認できる事実で両立させる
三菱総合研究所向けの成果は、売上や工数削減だけではありません。政策案の選択、調査結果の採用、事業方針の承認、RFP確定、PoC開始、実証後の継続・見直し、業務運用開始など、顧客や社会の判断と実施状況も成果になります。
数字を使う場合は、対象、期間、定義、自分の担当を明記します。チームで作ったモデル、報告書、プロダクトは、全体成果と自分の設計・分析・説明・管理を分けてください。職務経歴書には、自分の実績として説明できる事実だけを書き、確認できない効果を「大幅改善」と評価したり、架空の数値を加えたりしません。
顧客名や非公開数値を書けない場合も、業界、課題の種類、プロジェクト体制、自分の役割、分析方法、成果物、意思決定への影響は一般化して示せます。「大手企業」だけで終えず、秘密情報を推測されない範囲で具体化してください。公開データを使った分析では、公開値と自分の推計も分けます。
面接では主要案件の判断過程を説明する
三菱総合研究所の公開採用情報からは、非公開の面接質問や評価配点は分かりません。職務経歴書に記した主要案件について、「なぜその問いを置いたか」「どの事実を集めたか」「何と比較したか」「誰のどの判断を前へ進めたか」の四つへ答えられるようにします。
政策案件なら政策目的と対象者、DX案件なら業務課題と利用部門、研究案件なら仮説と方法、プロダクト案件なら顧客課題と優先順位が出発点です。本人の判断とチームの決定を分け、分析の限界も説明してください。
失敗や見直しを扱う案件も一件用意します。初期仮説、反証となったデータ、関係者の指摘、変更案、最終判断の順に整理すると、最初から正解を知っていたような説明を避けられます。
三菱総合研究所向け職務経歴書を相談すべきケース
三菱総合研究所の応募先を複数領域から選べない場合や、研究成果を顧客価値へ結び付けられない場合、守秘義務のため実績が抽象的になる場合は、応募前に案件を整理する余地があります。相談時は募集要項と職務経歴書に加え、公開可能な論文、報告書、登壇資料、成果物一覧も用意し、応募領域と最初の案件が一致しているかを確認してください。
自分で準備してよいケースと次に読むべきテーマ
三菱総合研究所の応募職種が定まり、案件ごとの問い、方法、成果物、自分の責任範囲を説明できるなら、自分で準備を進められます。職務経歴書を整えた後は、方法を選んだ理由、分析の限界、提言後の変化を同じ案件で説明できるようにしてください。

