
監修者
リメディ株式会社 ディレクター
馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji
神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
あずさ監査法人への応募では、監査、IT、データ、リスクの経験を一つの「専門性」にまとめないでください。応募ポジションの成果物を先に決め、その成果物を作った案件から並べるのが基本です。2026年8月19日に確認した公式採用情報を基に、IT監査・アドバイザリー、AI・データ、リスクコンサルで先に示す実績と記載順を分けます。
あずさ監査法人向け職務経歴書のポイント
職務要約の冒頭で、監査・保証、助言、開発のどれを担ってきたかを明記するのが出発点です。役割と本人の判断が分かれば、資格名や技術名はその裏づけです。
| 応募タイプ | 先に示す実績 | 結果の確かめ方 |
|---|---|---|
| 会計監査 | 担当領域、重要論点、実施手続、判断 | 監査調書、レビュー対応、結論の根拠 |
| IT監査・保証 | ITリスク、統制、評価手続、発見事項 | 評価結果、改善合意、再確認 |
| AI・データ | 監査・業務課題、データ、検証、本番運用 | 品質、どの業務判断に使われたか、運用後の変化 |
| リスク助言 | 事象、原因仮説、調査、再発防止 | 実装、責任者、モニタリング |
監査・保証・助言・開発を混ぜない
公式採用情報は、会計監査に携わる公認会計士、アドバイザリーの専門職、バックオフィス職を分けて案内しています。公式FAQも、会計監査は公認会計士のみが行える業務と説明します。所属先より実際の役割を明確にしてください。
事業会社で監査対応をした人は、監査手続を実施したように書かず、被監査側で整備した統制、提出資料、改善対応を示します。ITコンサル出身者は、助言と保証を混同せず、応募求人に共通するリスク評価や統制の経験を切り出します。
公式求人4タイプで先に示す実績を決める
以下は公式の採点基準ではありません。仕事内容と応募条件を職務経歴書で示す経験へ対応させたものです。
| 公式求人 | 確認できる仕事・経験 | 先に示す実績 | 弱い書き方 |
|---|---|---|---|
| IT監査・アドバイザリー | IT統制、セキュリティ、ITガバナンス。基幹・金融システムの企画、開発、運用やPMO、監査等の経験 | 対象プロセス、リスク、統制、手続、発見、改善 | システム経験を技術名だけで示す |
| AIエンジニア | AI関連プロダクトの開発・運用。自ら要件定義しながらプロダクトを開発した経験や、アプリ・クラウド・DB等の経験 | 業務課題、要件、データ制約、検証、運用 | モデル名や精度だけを書く |
| BI・データ活用 | BIツールを使った分析ダッシュボードの開発・導入経験が必須。SQL、DB、分析、ERP等は尚可 | データ品質、設計、可視化、利用部門の判断 | ツール名と画面数で終える |
| リスクコンサル | 有事対応、再発防止、GRC領域の関連経験 | 事象、原因仮説、調査、施策、モニタリング | 「課題解決を支援」とだけ書く |
IT監査経験は対象から結論までつなぐ
IT監査・保証の案件では、対象、リスク、手続、発見、結論の順で書きます。「IT全般統制を担当」だけでは、何を評価し、本人がどこまで判断したかが分かりません。
| 要素 | 書く内容 | 確認する問い |
|---|---|---|
| 対象 | 業界、業務プロセス、システム、期間 | 何を評価したか |
| リスク | 財務報告、セキュリティ、運用上の論点 | なぜ重要か |
| 手続 | 資料、質問、サンプル、再実施等 | どの証拠を集めたか |
| 発見 | 例外、統制不備、追加確認 | 事実と推測を分けたか |
| 結論・改善 | レビュー、被監査側との合意、再確認 | 誰が結論を出したか |
AI・データ職は利用先の判断まで書く
AIエンジニアの公式求人は、AI関連プロダクトや業務支援ツールの開発・運用を扱います。自ら要件定義しながらプロダクトを開発した経験は、業務内容ではなく必須条件です。BI・データ活用でも、ツール名だけでなく、データがどの判断に使われたかまで示してください。
対象業務、利用者、元データ、品質上の制約、設計、検証、本番運用の順で書きます。モデル精度や処理件数を使う場合は、測定条件と本人の担当範囲を説明できる数字に限ります。
リスク職は再発防止の実装を示す
リスクアドバイザリーでは、問題の発見だけでなく、原因の分析と施策の実装が重要な材料です。事象からモニタリングまでを一つの流れにします。
| 段階 | 書く内容 | 避ける表現 |
|---|---|---|
| 事象 | 発生した問題と影響範囲 | 「重大な課題」だけ |
| 原因仮説 | 制度、プロセス、人、システムの仮説 | 結論を先に断定 |
| 調査 | 対象資料、関係者、検証方法 | 「ヒアリングを実施」だけ |
| 施策 | 責任者、手順、統制、教育、システム | 提案書を作って終了 |
| 定着 | 実装、運用確認、モニタリング | 未実装を成果とする |
職種別のBefore・After構造
以下は完成済みの例文ではなく、事実を並べる骨格です。角括弧の部分を自身の実績に置き換え、自分の実績で説明できない架空の数値は加えません。
IT監査・保証
Before:「複数社のIT監査を経験した」
Afterの構造:「[業界・対象プロセス]の[リスク]に対し、[本人の担当]で[評価手続]を実施。[発見事項]を[関係者]と確認し、[結論・改善確認]まで担った」
AI・データ
Before:「AIとBIを使って業務を効率化した」
Afterの構造:「[監査・業務課題]に対し、[データと品質上の制約]を整理。[設計・検証]を担当し、本番運用後に[どの業務判断で使われたか]と[確認できる変化]まで確かめた」
リスクアドバイザリー
Before:「ガバナンス高度化を支援した」
Afterの構造:「[事象]に対して[原因仮説]を置き、[調査範囲・方法]を設計。[利害関係者]と[再発防止策]を実装し、[モニタリング方法]を定めた」
守秘義務を守りながら本人責任を残す
顧客名や機密の数値を伏せても、業界、対象プロセス、論点、担当手続、判断主体、成果物は記載できる情報です。要点は、伏せる情報と残す責任を分けることです。「大手企業を支援」だけにすると、本人が何をしたかまで消えてしまいます。
チームの結論と個人の判断も別物です。最終結論を上位者が出した案件では、本人が設計・実施した手続、作成した調書、レビュー指摘への対応を事実として書きます。
隣接経験と不足を分ける
基幹システムの開発、セキュリティ管理、PMO、内部監査、ITコンサルは、IT監査求人が示す応募経験に含まれます。ただし、監査経験と同一にはしません。共通する責任、未経験の手続、応募前に補う知識を分けます。
AI・データ職でも、開発経験を監査知識の代わりにせず、利用業務への理解を別に示します。資格は経験の補助であり、担当していない業務を経験済みに変える材料ではありません。
提出前に書類と口頭説明をそろえる
提出前は、中心に置いた実績ごとに「なぜその手続・設計・施策を選んだか」を自分の言葉で説明できるか確認します。役割、証拠、判断主体が一貫していれば、監査と助言、チームと本人を混同しにくくなります。
- 応募ポジションが職務要約の冒頭にある
- 監査・保証、助言、開発の役割を分けた
- 対象、リスク・課題、手続・設計、結果がつながる
- 顧客機密を伏せても本人の責任が残る
- 数字の出所と測定条件を説明できる
- 現行求人の条件を提出直前に再確認した
まとめ|応募職種の成果物を起点に整理する
あずさ監査法人向けの職務経歴書は、応募職種に求められる成果物を起点に組み立てます。IT監査ならリスクと評価手続、AI・データなら業務課題と検証・運用、リスク職なら原因分析と再発防止が主線です。求人と実績を一対一で照合できる人は自分で進められます。役割の境界や守秘義務に配慮した書き方で迷う場合は、提出前に第三者と整理してください。

