
監修者
リメディ株式会社 ディレクター
馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji
神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
2026年8月時点の公式採用情報から見ると、日立製作所向けの職務経歴書は、事業領域と職種を二段階で選ぶことが出発点です。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズでは顧客と成果が異なり、SE、PM、設計開発、研究、品質保証でも主証拠が変わります。
日立は、IT、OT、プロダクトを組み合わせ、顧客や社会の課題へ取り組む事業を説明しています。会社の言葉を志望動機に写すのではなく、誰のどの課題に対し、自分が何を判断し、どの状態まで変えたかを示します。
事業と職種を二段階で選び、案件順を決める
最初に、過去案件の顧客、利用者、現場が最も近い事業領域を選びます。次に、応募する職種の仕事内容を動詞へ分け、自分の行動と照合します。
| 応募する役割 | 先頭に置く事実 | 主な成果物 |
|---|---|---|
| 顧客フロント | 顧客・社会課題と合意 | 構想、要件、ロードマップ |
| PM・PL | 責任範囲と意思決定 | 計画、リスク、品質、移行 |
| アプリ・基盤 | 要求と技術判断 | 設計、実装、テスト、運用 |
| AI・データ | 業務判断とデータ | 評価、モデル・基盤、監視 |
| 社会インフラ・OT | 停止影響と現場条件 | 安全、制御、保守、運用 |
| 研究・設計開発 | 仮説と検証 | 試作、評価、製品化への移管 |
業界名が同じでも、本人の責任が違えば先頭案件は変わります。社会インフラ案件に参加した事実だけでなく、顧客フロント、PM、基盤、品質保証のどこで判断したかを明確にしてください。
顧客フロントは課題特定と合意の中身を書く
公式のシステムエンジニア職紹介は、顧客課題の特定・コンサルティングから、要件、設計、開発、テスト、運用保守までを挙げています。提案額や会議数より、何を顧客の課題として定めたかから始めます。
- 経営、業務、現場、技術、規制のどこに課題があったか
- 顧客の発言以外に、どの事実を集めたか
- 比較した案と評価軸
- 経営、現場、ITの条件をどう合意したか
- 構想が採用・見送りになった理由
提案が採用されなかった案件も使えます。判断に使われた比較、見送り理由、次に必要な条件を説明できれば、課題を構造化した仕事として伝わります。
PM・PLは案件規模より変更時の判断を示す
案件規模を本人の力量へ直結させない方がよいでしょう。顧客、目的、体制、期間を示した後、スコープ、期限、コスト、品質、リスク、依存関係のうち、本人が責任を持った対象を書きます。
要件追加、設計変更、遅延、品質問題、調達制約などに対し、兆候をどう捉え、選択肢をどう作り、誰の承認を得たかを示します。判断前後の状態が追える記述にすると、管理責任が明確です。
| 管理対象 | 職務経歴書へ残す事実 |
|---|---|
| スコープ | 追加要求の影響と採否の条件 |
| 品質 | レビュー、試験、受け入れ、リリース判定 |
| 体制 | 顧客、協力会社、製品部門、開発、運用の役割 |
| 移行 | 切り替え条件、リスク、未解決事項 |
| 運用 | 受け入れ、監視、障害、改善の担当範囲 |
アプリ・基盤は技術選定と稼働後の責任を書く
アプリケーション経験は、対象業務と利用者の要求を設計へ落とした過程から書きます。機能一覧より、業務ルール、データ、既存システム、性能、可用性、セキュリティ、保守性の制約をどう比較したかが重要です。
プラットフォーム職では、クラウド、サーバ、ストレージ、ネットワーク、セキュリティの名称だけで終えません。可用性、性能、コスト、移行、復旧の条件を先に置き、比較候補と見送り理由を示します。
稼働実績はリリース完了で終えず、移行、受け入れ、監視、問い合わせ、障害、追加改善のうち関与した範囲を記します。稼働前に離任したなら、運用へ引き渡した成果物と未解決事項を終点にします。
AI・データはLumadaの名称より業務判断を示す
Lumadaの公式説明は、顧客体験の設計、商品・サービス開発、利用データの収集・分析、改善をEnd-to-Endで支援する考え方を示しています。職務経歴書では名称を知っていることより、データをどの顧客・業務判断へ使ったかが重要です。
- 何を予測・分類・抽出し、誰が使ったか
- データの範囲、品質、更新、権限
- 評価指標、比較基準、誤りの影響
- 本番利用、監視、例外処理
- 結果を踏まえて変えた業務やモデル
再利用可能なアセットを作った経験があるなら、部品を使った事実だけでなく、適用条件、変更点、品質確認、別案件へ残した知見を書きます。
社会インフラ・OTは停止影響と現場条件を書く
社会インフラ領域で「社会を支えた」と書くだけでは、本人の仕事が分かりません。対象利用者、停止や誤動作の影響、運用時間、法令・標準、現場設備、保守期間など、システムや製品が守る必要のあった条件を示します。
IT・OT連携の経験では、情報システムと制御・運用の境界を書きます。データ取得、制御指示、ネットワーク断、手動運転、保守など、設計に影響した条件を具体化してください。
ここはリメディの見解ですが、日立がIT、OT、プロダクトの組み合わせを事業の特徴としているからこそ、現場の制約をIT要件へ変えた判断は企業固有性の高い証拠になります。単なる大規模案件の経験とは分けて示すべきです。
研究・設計開発は技術成果を製品化へつなぐ
研究開発・設計開発では、論文、特許、試作、図面の数だけで判断させません。解くべき課題、要求、仮説、比較方法、検証結果、次工程への移管を一つの流れにします。
研究では新規性と実用条件を分け、既存手法との差、実験条件、再現性、限界を示します。設計開発では性能だけでなく、コスト、製造性、保守性、安全、規格、供給、環境条件をどう比較したかを書きます。
品質保証・PMOは問題発見後の是正を書く
監査件数や会議運営だけでは成果になりません。基準、対象、検知したリスク、是正の判断、確認結果、標準への反映を一つの流れにします。
PMOは、現場PMの代行か、経営・組織横断の統制かを分けてください。見積・計画、リスク、品質、進捗、ゲートのどこを評価し、どの条件で継続・見直しを判断したかを書きます。
職務要約と主要案件の責任範囲をそろえる
職務要約は、会社紹介より、対象顧客・社会課題、専門領域、責任工程、主要成果を先にします。主要案件は、課題、制約、体制と本人役割、判断、成果物、結果、残課題の順にすると読みやすくなります。
例:交通事業者向け運行システムで、要件定義から移行・運用設計までPLとして担当した。運行継続と段階移行の条件を整理し、顧客、開発、運用部門の合意を得て切り替えへつなげた。
この例文は日立製作所の選考基準ではなく、読者自身の実績へ置き換えるための型です。架空の数値を盛らず、承認や移行など確認できる事実を、面接で説明できる範囲で書いてください。
要約で「構想から運用まで」と書くなら、運用開始、利用部門の受け入れ、監視、障害対応、改善の証拠が必要です。証拠がなければ、終点をリリースや移管までに直します。
提出前に個別募集と照合する
- 応募する事業と職種を一件の募集で確定している
- 募集要項の動詞と、自分の案件の行動が対応している
- 大規模、高信頼、社会貢献という抽象語に頼っていない
- 品質、安全、移行、運用の責任を具体化している
- チーム成果と本人の判断を分けている
- 顧客・設備・セキュリティ情報の守秘義務を守っている
応募事業・職種を絞れない、ITとOT・製品の接続を説明しにくい、守秘義務で成果が抽象的になる場合は、求人票と主要案件を並べて整理します。第三者へ見せる際も、会社名を伏せた状態で本人の判断が読めるかを確認してください。
あなたの経歴で狙える非公開求人と想定年収レンジを受け取る
業界特化のヘッドハンターが、公開求人に出ない選択肢と次の一手をご案内します。
日立製作所の職務経歴書に関するFAQ
事業領域と職種はどちらを先に決めますか?
まず過去案件の顧客・現場に近い事業領域を選び、その後に本人の責任が近い職種を決めると整理しやすくなります。最終的には個別募集の仕事内容を優先してください。
社会インフラ経験がなくても応募書類を作れますか?
作れます。応募職種に近い課題、技術判断、品質、運用の経験を示します。経験していない公共性や安全要件を持っているように書かず、隣接経験と未経験領域を分けます。
成果の数値を開示できない場合はどうしますか?
承認、要件確定、移行完了、運用受け入れなど、確認できる状態へ表現を変えます。対象、期間、本人の担当も併記してください。

