東京大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。国内支店でMUFGの各種金融ソリューションの法人営業に従事し、銀行表彰を受賞。入社3年目で海外拠点に異動・駐在し、現地進出日系企業への融資・預金・為替デリバティブ商品等の法人営業を担当。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向し、投資銀行本部にてカバレッジ業務に従事。上場企業のM&A(TOB・経営統合等)やエクイティファイナンス(IPO・PO等)のオリジネーション(案件獲得活動)・エグゼキューション(案件執行)を経験。現在はハイキャリア層や金融プロフェッショナルを中心とした採用・転職支援を行う。
VCへの転職を相談するなら、希望する投資領域や職種、自分の経験に合う求人について、具体的に説明してくれる担当者を選びましょう。選考準備と応募管理も含めた5つの観点で、希望する支援を受けられるかを確かめます。希望する仕事と実績を伝えたうえで、担当者の回答を比べてください。
「VCに詳しい」「面接対策を行う」という紹介だけでは、自分に必要な支援を任せられるかは分かりません。実際の募集要項を使い、求人を紹介する理由と不足する経験、準備する内容を具体的に説明してもらえるかが、判断の材料になります。
本記事のポイント
| 判断したいこと | 相談で確かめる答え |
|---|---|
| 自分に合う求人を紹介してもらえるか | 投資領域と職種を区別し、自分のどの経験が募集条件に合うかを説明してもらう |
| 選考準備を任せられるか | 書類のどの実績を具体化し、面接や仮説の準備をどこまで確認するかを聞く |
| 応募を安心して管理できるか | 応募先、送付する書類、本人の承諾、選考の進捗を記録して進める |
VC転職の担当者は、紹介理由まで説明できるかで選ぶ
最初の相談では、気になる求人を一つ示し、自分を紹介する理由を聞いてみましょう。会社名や職位の希望だけを伝えるより、担当者が募集内容と経験をどう照らし合わせるかを確認できます。
GCPは投資担当、投資先支援、ファンド運営を別の募集に分け、UTECの投資職は科学技術への関心などを示しています。こうした違いを踏まえ、希望する仕事と経験に合う紹介理由を説明できるかで相談相手を選ぶと、登録後に何を任せるかが明確になります。
| 観点 | 初回に聞く質問 | 回答で確かめたいこと |
|---|---|---|
| 投資領域 | 希望する産業・技術や投資段階に近い募集を、どう探しますか | 領域の特徴と、現在応募できる募集の有無を分けて説明し、確認中の点も伝える |
| 職種 | 投資担当、投資先支援、運営のどの仕事を想定していますか | 本人が担う工程と、他チームとの分担を示す |
| 経験の適合 | 私の経歴のどこが必須条件に合い、何が不足していますか | 前職名だけでなく、担当した実務を要件と対応させる |
| 選考準備 | 書類と面接の何を、誰が確認しますか | 作業内容と担当者、応募先からの案内との関係を説明する |
| 応募管理 | 応募先への情報送付と、応募の承諾はどう確認しますか | 送付先・書類・本人の意思・進捗を追える |
知らないことをその場で確認する対応も、判断の材料です。「現在は紹介できるか未確認なので採用窓口へ確認する」という回答と、根拠を示さず応募を勧める回答は区別しましょう。即答の多さより説明の根拠を見ます。
希望する投資領域と仕事が見えているなら、その分野に対応する担当者を探してみましょう。金融・投資領域の担当者のプロフィールを確認し、紹介してほしい職種と、初回に確かめたい項目をまとめて相談を始めてください。
公式求人を一緒に読み、職種と要件を確認する
担当者の理解を確かめるには、募集要項の具体的な一文について質問する方法があります。求人の名称だけでは分からない違いを、公式募集の例で示します。以下は各社の募集内容であり、特定の紹介会社が現在取り扱うという意味ではありません。
JAFCO:必須欄の注記まで読んでもらう
JAFCOのキャピタリスト募集は、関連する経歴、新産業への興味・経験、会計・財務の知識等を必須欄に挙げた後に、いずれか又は準ずる経験と補足しています。見出しだけで全項目を同時に満たす条件へ読み替えず、注記も含めて確認する必要があります。
相談では「私のどの経験を、この条件に当てはめていますか」と聞けます。投資部門への在籍だけで判断する説明や、注記だけから準備不要とする説明なら、募集の原文と自分の担当業務をもう一度照合してください。
GCP:同じ会社でも、投資・支援・運営を区別する
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)の公式採用は、職種ごとの応募窓口を設けています。投資担当は投資仮説や経営支援、運営職は投資実行手続や投資家向け報告、支援職は経営・組織や採用の支援などを担います。
キャピタリスト募集には社会人経験3年以上や業務英語などの必須条件があり、研究開発等の経験は歓迎に分類されています。運営職や支援職には別の要件があるため、「GCPの求人」と言われたら、職種名と入社後に担当する仕事まで聞いてください。必須条件の一つが一致するだけで、すべての要件を満たすとは判断できません。
UTEC:必須・歓迎・背景の例を混ぜない
UTECのキャピタリスト募集は、科学技術への関心、チームで課題を解く力、業務英語を必須条件に挙げ、修士・博士課程修了等を歓迎としています。想定する経歴の例は別欄です。歓迎を必須へ格上げせず、必須能力も省略しない説明かを確認しましょう。
同じ採用ページのHR職は、投資先の組織づくり等を担い、別の実務要件を示しています。研究経験がある人なら「科学技術への理解を、投資候補の調査や事業の検討にどう生かせるか」、人事経験がある人なら「投資職と支援職のどちらに自分の経験が合うか、その理由は何か」を相談できます。
出所:JAFCOのキャピタリスト募集、GCPの採用情報、GCPのキャピタリスト募集、UTECの募集要項(2026年10月確認)
希望する職種が未定なら、紹介会社の比較より先に、VCの職種・仕事内容と求人の見方で候補を整理すると、初回相談の話題を絞れます。
求人の紹介理由と提示条件を具体的に確認する
求人を受け取ったら、経験が合う条件と不足する条件を分けて説明してもらいましょう。「金融出身だから」「新規事業の経験があるから」という説明だけでなく、実際に担当した業務が求人のどの条件に合うのかまで確認します。
例えば投資候補の事業調査を担う募集なら、過去に調べた市場、比較した事業、自分が判断材料として提供した情報を振り返ります。投資先の組織・採用支援なら、人事制度を設計したのか、経営陣と採用要件を決めたのかで、伝える実績が変わるはずです。
非公開の説明は、未確認の項目と次の確認先を聞く
非公開の求人や条件を紹介されたら、現時点で開示できる業務・要件と、まだ説明できない項目を区別します。「企業名を聞ける段階」「採用窓口へ確認する項目」「応募の承諾前に受けられる説明」を質問し、分からないまま応募を進めないようにします。
公表されていないことだけで、その求人や紹介会社を不適切と決める必要はありません。判断に必要な情報を得られるか、得られないなら応募を保留できるかが確認点です。取扱い社数や非公開案件の多さは、自分が応募できる求人の裏付けと同じではありません。
提示額は、職位と固定・変動の内訳を聞く
JAFCOの当該募集は応相談、GCPの当該キャピタリスト募集は給与非公開です。担当者が想定額を説明した場合は、求人の条件か、未確定の目安かを聞いてください。固定給と賞与、長期的なインセンティブがある場合の条件も、ひとまとめにしないで確認します。
投資先やファンドの仕組みを確認せずに、他社の提示レンジを当てはめるのは避けましょう。実際に担当する仕事、職位、変動部分の条件が分かれば、現職の待遇と比較する項目も絞れます。
紹介される条件を自分でも把握したい人は、金融専門職の公開検索で、仕事内容や提示条件を比較できます。VCだけの一覧ではないため、求人を読むときは希望する投資職かを確認し、初回相談に持っていく比較候補として使ってください。
書類添削と面接対策は、確認する内容で比べる
選考準備の支援を比べるときは、「添削あり」という表示に加え、何を見直してもらうかを聞きます。文章を整える作業と、経験が募集の要件に合うかを検討する作業では、準備できる内容が違います。
GCPの投資職は、市場・財務・経営チームの評価や投資仮説の構築を業務に挙げています。この仕事を志望するなら、実績を示す数値の多さより、何を調べ、その結果をどう判断に生かしたかまで伝わるように、書類を一緒に見直してくれる担当者に相談しましょう。
| 依頼する準備 | 担当者に聞くこと |
|---|---|
| 職務経歴書 | 応募する仕事に対し、どの案件・工程を先に説明すべきか。チームと本人の成果が混ざっていないか |
| 投資職の仮説整理 | 市場・競争・経営陣などの何を根拠に考えたか。不明点と追加調査をどのように示すか |
| 支援職・運営職の説明 | 組織課題への対応や、正確な実行・管理の実績を、募集業務に合わせて説明できるか |
| 応募先からの案内 | 実際に求められた課題と、一般的な練習を区別して準備できるか |
投資仮説を用意する場合も、公開情報で確認した事実と、自分が考えた見通しを分けます。魅力を述べるだけでなく、判断が変わる条件や、追加で知りたい情報を話せるかまで一緒に確認してもらうと、何を準備すべきかが具体的になります。
一方、投資先の採用支援やファンド運営を希望する人に、投資担当と同じ仮説資料を一律に求める必要はありません。GCPの運営職には契約・投資実行の手続や報告、UTECのHR職には組織づくりの支援などが示されています。応募する役割に合う準備を相談してください。
出所:GCPのキャピタリスト募集、GCPのファンド運営職募集、GCPの投資先支援職募集、UTECの募集要項(2026年10月確認)
初回相談の前に、希望と実績のメモを用意する
初回相談では、職務経歴書が完成していなくても、希望と担当実績のメモがあると話題を具体化できます。自分が担当していない仕事を補ったり、志望する投資領域を無理に一つへ絞ったりする必要はありません。未定の部分もそのまま記録します。
- 投資領域:関心のある産業・技術、国内外、事業の立ち上がり段階など。なぜ関心を持つかも一言添える
- 希望する役割:新規投資、投資先支援、運営の候補。複数あるなら、まだ決めていない理由を書く
- 本人の実務:担当した案件の目的、自分の作業・判断、結果、今後も説明できる専門分野
- 条件:勤務地、報酬、転職時期、避けたい仕事内容。希望と変更できない条件を分ける
- 応募履歴:応募・紹介を受けた企業と職種、窓口、選考状況、提出済みの書類
投資未経験なら、未経験の業務も具体的に伝えてください。投資の実行は未経験でも事業調査をした人と、調査・取引・事業支援のいずれも未経験の人では、相談で伝える経験が違います。GCPやUTECのように職種別の募集がある場合、希望する職種を選ぶところから相談できます。
伝える案件は、守秘義務や社内ルールに従い、開示できる内容に限ります。未公表の取引先名や契約条件を出さなくても、役割、論点、担当工程を匿名で説明する方法を検討できます。
応募前に、情報共有先と同意の手続きを決める
エージェントへの登録と、個別企業へ応募書類を送る判断は、それぞれ何に同意するかを確認して進めましょう。厚生労働省は、職業紹介で扱う個人情報の目的や同意、適正な管理について指針を示しています。求人者へ個人データを提供する際の事前同意も、運営資料で説明しています。
具体的には、応募企業と職種、送付する書類、送付の時点を担当者と確認します。面談で渡した職務経歴書が、どの目的・範囲で使われるかを理解したうえで、応募への同意内容を記録に残すようにしましょう。
| 場面 | 確認する内容 |
|---|---|
| 初回登録・書類提出 | 利用目的、相談記録と書類の共有範囲、問い合わせ先 |
| 個別求人への応募 | 企業・職種・送付書類の版、応募への承諾、送付後の連絡方法 |
| 別の企業・職種への提案 | 当初の希望と何が違うか、情報提供や応募の意思を改めてどう確認するか |
| 担当者の変更・利用終了 | 引き継がれる記録、保留中の応募、保存や削除についての手続き |
これらの確認例は、紹介会社ごとの利用規約の確認に代わるものではありません。自分の情報がどこへ渡るか分からない場合は説明を受け、必要な確認が終わるまで応募を保留してください。
出所:厚生労働省「職業紹介事業者等が適切に対処するための指針」、「職業紹介事業の運営」(2026年10月確認)
複数の相談先と直接応募を、同じ一覧で管理する
相談先を併用するなら、会社ごとの説明を比べる前に、応募先と応募経路を一つの一覧に記録してください。直接応募、紹介、過去の応募履歴が別々になると、どの窓口からどの職種へ進めたかを確認し直す手間が増えます。
一覧には企業、職種、担当者、提出した日と書類、現在の段階、次の連絡日を記載します。同じ企業でも職種が違えば扱いがどうなるかは、採用側や担当者へ確認が必要です。重複応募の扱いを推測しないで、応募の前に履歴を伝えましょう。
併用する社数に共通の正解はありません。返信や準備が追いつかない場合は、紹介を受ける範囲を絞り、何を各担当者に依頼するかを決めます。例えば、技術領域の投資職の検討と、ファンド運営職の検討では、相談する内容が異なります。
JAFCO・GCP・UTECには、公式の応募窓口もあります。紹介会社が現在扱わない求人なら、公式窓口での応募を検討できます。エージェント経由か直接応募かだけで選考が有利になるとは決めず、募集側の案内と既存の応募履歴に沿って進めてください。
回答が曖昧なら、担当変更や応募保留を検討する
違和感があるときは、まず回答してほしい点を具体化します。求人の役割が不明なら「投資判断と投資先支援のどちらを主に担うか」、経験が合う理由が不明なら「必須条件のどの部分を満たすと考えているか」を聞いてください。
確認先と返答予定が分かれば、待つか別の候補を進めるかを判断できます。反対に、質問後も業務や条件の説明を得られず、応募の意思確認も済んでいないなら、応募をいったん保留する選択があります。
担当変更を依頼する場合も、「投資先の組織支援を希望しているが、投資担当の求人だけが届く」「面接練習より、ファンド運営業務の経験を、応募書類でどう伝えるか確認したい」と、必要な支援を伝えましょう。会社全体への評価より、希望と提供される内容のずれを明らかにする方が、次の相談につながります。
特定のVCだけに関心が偏っているときは、主要VCの企業タイプと転職先の選び方も使い、投資対象や役割の近い候補を自分でも検討できます。候補を広げることと、希望と違う仕事に応募することは別です。
相談後は、誰に何を任せるかを決める
初回相談の終わりには、次の確認事項と、それを進める担当者を決めます。紹介可否を確認する、職務経歴書を見直す、応募先の選考案内を確認するといった作業を、誰がいつまでに進めるかを残してください。
公式募集を読み、応募条件と自分の経験を比較し、応募先の案内に沿って準備できるなら、直接応募も選択肢です。エージェント利用をすべての人に同じように勧める必要はありません。
相談の予約前に、希望職種と投資領域、説明できる実績、応募済みの企業を短くまとめておきましょう。求人紹介を依頼する場合も、紹介できるかを確認する段階と、個別企業への応募を決める段階を区別できます。
希望と実績のメモができたら、担当者の経歴・対応領域を見て相談相手を選んでください。求人の条件に合う経験、書類や面接で説明したい内容、応募前に解消したい疑問を伝え、準備の進め方を相談しましょう。
VC転職のエージェント選びでよくある質問
VCへの転職にはエージェントの利用が必要か
一律に必要ではありません。JAFCO・GCP・UTECには公式の応募窓口があります。自分で募集を選んで準備できるか、希望する職種と経験が合うか、応募管理などで相談したい点があるかを考えて利用を決めてください。
複数のエージェントを使ってもよいか
併用する場合は、各社の利用条件を確認し、応募する企業・職種・経路を一つの一覧で管理してください。同じ企業への応募が重ならないよう、過去の応募や直接応募の状況も担当者へ伝えます。管理できる範囲で使うことが前提です。
投資未経験なら何を相談すればよいか
未経験の工程と、既に担当した実務を伝えます。事業調査、取引支援、組織・採用支援などの経験のどこが募集に合うかを聞き、投資職以外も検討するかを決めてください。前職名だけで応募可能性を判断しないことが出発点です。
非公開求人が多い紹介会社を選べばよいか
件数の説明に加え、自分が検討できる職種・条件を聞いてください。現在の紹介可否、開示される情報、応募の承諾までの手続きを確認し、説明が足りなければ保留します。非公開という名称だけで自分に適した求人とは判断できません。
報酬については何を担当者に聞けばよいか
説明された金額が求人の条件か未確定の目安かを聞き、職位、固定給、賞与、長期的なインセンティブがある場合の条件を分けて確認します。公開されていない条件を他社の数字で補わず、採用側へ確認する項目を残してください。



公開されている求人でも、その担当者から紹介を受けられるとは限りません。現在紹介できる求人なのか、採用側に確認中なのかを聞き、公式窓口への直接応募も含めて応募経路を決めましょう。