社員インタビュー
製薬業界で培った専門性を、人材を通じて業界全体の未来へ。ベンチャーでヘルスケアチームをゼロから立ち上げる理由

臼居 正晃
ヘッドハンター/プリンシパル(ヘルスケアチーム)
出身ファイザー(マーケティング新製品企画)
経験を守るのではなく、次の社会課題を解くために使いたい。
プロフィール・これまでの歩み
── まずは、これまでのご経歴を教えてください。
2002年にファイザーへ入社し、MRとしてキャリアをスタートしました。その後、マーケティング、ビジネスデベロップメント、ニュープロダクトプランニング(NPP)、サステナビリティ戦略へと領域を広げ、研究開発・製造・流通・コマーシャルをつなぐクロスファンクショナルな業務に携わってきました。
マーケティングでは、製品のビジネスオーナーとして、売上・費用管理に加え、事業開発、製造、流通、情報提供活動、関連部門やグローバルチームとの連携まで、事業全体を俯瞰してマネジメントする経験を積みました。
その後はNPP部門へ移り、経営陣とともに成長戦略を策定し、開発品の事業性評価、上市戦略、人員計画など、より上流の意思決定に携わりました。必要な人材数を算定し、組織体制を設計する中で、「事業を動かすのは、最終的には人である」ことを強く実感しました。
── 学生時代はどのように過ごしていましたか。
大学時代は体育会ヨット部に所属し、4年間の寮生活を送りながら全国制覇を目指しました。「レギュラーは氷山の一角」を合言葉に、部員一人ひとりが役割を担い、チーム全体で切磋琢磨する環境でした。厳しい競技生活を通じて培った体力、規律、リーダーシップ、そして組織の中で役割を果たす姿勢は、現在の仕事にも活きています。
製薬業界を選んだ理由
── なぜ、最初のキャリアにファイザーを選んだのでしょうか。
アメリカ留学中に経済学を通してファイナンス&バンキングを学び、世界の企業の時価総額を見ていました。当時、ファイザーは大型買収を経て世界トップクラスの企業となっており、「世界一を目指す企業で働きたい」と興味を持ったことが一つのきっかけです。
もう一つは、ファイザーの医薬品に支えられた原体験です。ヨット部時代に第7頸椎を損傷し、留学中に米国でファイザーの新薬を処方されたことで症状が改善し、留学生活を継続することができました。この経験から、医薬品には人の生活や人生を大きく変える力があると実感したことも、製薬業界を志した大きな理由です。
「社会課題の解決」をキャリアの軸に
── 製薬業界でのキャリアにおいて、特に印象に残っている仕事は何ですか。
大きな転機は、2016年にバイオシミラー事業の立ち上げに携わったことです。バイオ医薬品は高い治療効果が期待できる一方、医療費への影響も大きい領域です。その後続品であるバイオシミラーを普及させることは、患者さんの選択肢を広げるだけでなく、医療制度の持続可能性にもつながります。
この経験を通じて、「No one left behind──誰一人取り残さない」という考えのもと、サステナビリティを自分のキャリアの中心に置くようになりました。単に製品を患者さんに届けるだけでなく、社会課題に対して一人のビジネスパーソンとして何ができるかを考え、企業で得た経験や学びを、次は社会へ還元したい。この思いが、その後のキャリア選択にもつながっています。
製薬業界から人材業界へ──転身を決めた理由
── 人材業界への転身を考えたきっかけは何でしたか。
転職活動中、取締役の山田と代表の大野に出会い、約6ヶ月にわたり対話を重ねる中で、自分が製薬業界で培ってきた経験は、人材業界でも活かせるのだと気づかせてもらいました。
── 人材業界のどこに可能性を感じたのでしょうか。
ニュープロダクトプランニングの仕事を通じて、人材が事業を動かすことを実感していました。一つの製薬企業だけではなく、人材紹介を通じて複数の企業の事業成長に関われるのであれば、それも大きな社会貢献になると考えました。
また、ヘルスケア領域の人材紹介は、高度な業界理解が求められる分野です。製薬業界では、同じ職種名であっても、企業、製品、開発フェーズ、組織体制によって役割や求められる専門性が大きく異なります。その差異を正確に理解し、候補者と企業の双方を支援することは容易ではありません。そこに明確なアンメットニーズがあり、自身の専門性を活かして市場をより良くできる余地があると感じました。
リメディを選んだ理由
── 最終的な入社の決め手は何でしたか。
大きく2つあります。
1つ目は、これまでの経験を即戦力として活かしながら、ヘルスケア領域の事業をゼロからつくれることです。過去にも複数のビジネスユニットの立ち上げに関わってきたため、何もないところから仕組みと成果をつくることに強いやりがいを感じていました。
2つ目は、IPOという貴重な機会です。完成された大企業では得にくい経験に、当事者として関われることに魅力を感じました。年齢を理由に守りへ入るのではなく、培ってきた専門性を持って新しい市場へ挑みたい。山田、大野の能力と人柄、そして会社の可能性に惹かれ、リメディへの入社を決めました。
入社後のリアル
── 入社して感じた難しさやギャップはありましたか。
人材紹介は一見すると「人と企業をつなぐ」シンプルな仕事に見えます。しかし実際には、転職を考えていない方に転職も一つの選択肢であることを伝え、その方に合う企業を探し、選考を支援し、複数の選択肢から納得できる意思決定へ導くまで、多くのプロセスがあります。しかも相手は人ですから、計算式だけでは答えが出ません。この複雑さは、入社して初めて実感した部分です。
仕事で最も重要なのはコミュニケーションです。単に正しい言葉を伝えるだけではなく、相手の理解に合わせて表現を変え、ときには言葉になっていない思いを言い換え、ときにはプロとして別の選択肢を提案する。候補者と企業の双方に対して、信頼を積み上げながら意思決定を支える力が求められます。
自身の転職経験から始まった、ヘルスケアチームへの挑戦
── そもそも、なぜリメディでヘルスケアチームを立ち上げようと考えたのでしょうか。
製薬・医療機器企業で実際に働いた経験を持ち、複雑な事業や職種の違いまで理解した上で支援することは容易ではありません。自分自身が転職活動をする中で、ヘルスケア出身者が本当に納得できるキャリア選択をするには、業界の内側を知る人による支援が必要だと実感しました。
そのため、チームを立ち上げる前から、ヘルスケア企業出身者が、ヘルスケア領域を専門に支援するヘッドハンターの必要性を強く感じていました。業界の内側を知る人間だからこそ、求人票の表面だけではなく、各部門の役割や事業背景まで理解し、候補者の経験を正しく紐解くことができます。
ゼロからつくる面白さ──ヘルスケアチームの立ち上げ
── ヘルスケアチームをゼロから立ち上げることに、不安はありませんでしたか。
もちろん業界が異なるため、新たに学ぶべきことは多くありました。ただ、前職でも新しいビジネスユニットの立ち上げを複数経験していたので、ゼロから事業をつくること自体に大きな不安はありませんでした。
前職では、営業やマーケティング、開発、メディカルなど、さまざまな部門のメンバーと進めるクロスファンクショナルなプロジェクトをリードしてきました。それぞれの人がどのような役割を担い、何を考えて仕事をしているのかを理解しながら、共通の目標に向けてプロジェクト全体を動かす仕事です。人材紹介という業界は初めてでも、異なる立場の人を理解し、チームや事業を前に進める経験は活かせると考えていました。
── 実際に、どのようにヘルスケアチームを立ち上げていったのでしょうか。
まず、人材紹介ビジネスの構造と収益プロセスを理解することから始めました。候補者との面談から応募、選考、ご入社に至るまでのプロセスを可視化し、各段階で管理すべきKPIを整理しました。
次に、広範なヘルスケア市場をセグメントし、重点的に支援する企業・業態を定めた上で、競合環境におけるリメディのポジショニングを設計しました。その中核に据えたのが、独自のネットワークと、ヘルスケア業界経験者による高い専門性です。
市場を分析し、仮説を立て、戦略と実行計画へ落とし込み、企業との接点や候補者支援へつなげていく。製薬企業で培った経験を活かしながら、新規事業の基盤を自ら構築できることに、ゼロイチならではの醍醐味を感じています。
既存取引が確立した市場で、信頼を起点に新たな選択肢をつくる
── 企業開拓は、どのように進めたのでしょうか。
製薬企業では、すでに複数の人材紹介会社と取引があり、「現在の採用チャネルで十分」と判断されることも少なくありません。そのため、新たな取引を始めていただくには、単にサービスをご案内するだけでなく、ヘルスケア業界への深い理解や、既存の紹介会社とは異なる候補者ネットワークなど、リメディならではの提供価値を具体的にお伝えする必要があります。
その上で、これまで築いてきた人的ネットワークを活かしながら、企業との接点を一つずつ広げています。その過程では、旧友や、お世話になった先輩・上司と再会し、新たな形で協業する機会も少なくありません。かつて苦楽をともにした仲間と、今度は業界の人材課題を解決する立場で力を合わせられることに、大きな意義と喜びを感じています。
現在の仕事と、専門性が生む介在価値
── 現在はどのような仕事を担当していますか。
現在は、企業側を支援するRA(Recruiting Advisor)と、候補者側を支援するCA(Career Advisor)の両方を担当しています。企業に対しては、独自のネットワークやSNSを活用して接点をつくり、事業戦略や組織課題、採用背景まで理解した上で人材獲得を支援します。候補者に対しては、これまでの経験・専門性・志向を構造的に整理し、中長期のキャリア形成も踏まえて最適な企業やポジションをご提案します。
── 製薬企業での経験は、現在の仕事にどう活きていますか。
マーケティングや新製品企画では、営業、メディカル、開発、薬事、マーケットアクセスなど、さまざまな部門と協働してプロジェクトを進めてきました。それぞれの部門がどのような目的と責任を持ち、何に悩むのかを理解しています。
そのため、同じように見える求人でも、実際に求められる経験や役割の違いを見分けられます。例えば、コマーシャル領域と開発領域は、同じ製薬企業内でも必要な専門性がまったく異なります。求人と経歴の言葉だけを表面的に照合するのではなく、業務の実態まで紐解いた上で、候補者と企業の双方に提案できる。業界の内側を知っているからこそ実現できる、適材適所のマッチングが、自分の強みだと思います。
── 仕事のやりがいと難しさを教えてください。
候補者の方の人生を大きく左右する意思決定に関わる以上、やりがいより先に責任の重さを感じます。だからこそ、感覚だけで話すのではなく、根拠に基づいた情報を届け、できる限り納得できる判断を支援することを大切にしています。
その上で、候補者の方が新しい仕事を得た喜びを一緒に分かち合えること、転職活動の中で抱えていた切実な悩みが整理され、「相談してよかった」と言っていただけることは、大きなやりがいです。一人の転職の先には、その方の家族や大切な人の生活もあります。その責任を忘れずに向き合いたいと考えています。
カルチャー・働く環境
── リメディのカルチャーをどのように感じていますか。
心理的安全性の高い組織だと感じています。高いコンプライアンス意識を持ちながら、同時に新しいことへ挑戦するイノベーティブな会社です。意思決定のスピードも速く、今日決まったことが翌日には動き始めている。大企業とは異なる、ベンチャーならではの推進力があります。
働き方は週3日のオフィス勤務と週2日のリモートワークが基本で、家族との時間も確保しやすい環境です。また、AIを積極的に活用しており、単調なオペレーション業務を減らしながら、人に向き合う仕事へ時間を使えます。前職では得られなかった新しい技術を学べることも、大きな魅力です。
今後の展望
── リメディで、これから何を実現したいですか。
まずは、ヘルスケア事業の成長を通じて、会社のIPOに貢献することです。そして将来的には、ヘルスケア部門をリメディの中核事業へと成長させたいと考えています。
製薬業界で得た知見を、今度は人材を通じて社会へ還元する。適切な人材が適切な場所で力を発揮すれば、企業の事業が前進し、その先にいる患者さんや社会にも価値が届きます。ヘルスケアの専門性を持つ人材がキャリア支援に携わるという、新たな職業選択肢を確立し、業界全体へ広げていきたいと考えています。
転職エージェントとして、次の挑戦を探している方へ
── すでに人材紹介の経験がある方へ、メッセージをお願いします。
リメディで求められるのは、求人を紹介して選考を進めるだけの仕事ではありません。候補者の人生と企業の事業を深く理解し、必要であればまだ取引のない企業を開拓し、新しい選択肢そのものをつくっていく仕事です。
決められた枠の中で動くのではなく、自ら市場を捉え、仮説を立て、仕組みをつくりながら成果を出したい方には、大きな挑戦機会があります。一方で、候補者の人生に関わる責任、高いコンプライアンス意識、相手に対する誠実さは欠かせません。
これまでエージェントとして培ってきた経験を、個人の成果だけでなく、チームや事業づくり、市場づくりにまで広げたい方と、一緒に働けたらうれしいです。
ヘルスケア業界で専門性を培ってきた方へ
── 製薬・医療機器など、ヘルスケア業界の出身者へ伝えたいことはありますか。
ヘルスケア業界で働いていると、人材紹介会社で働くという選択肢は、なかなか思い浮かばないかもしれません。しかし、製薬企業や医療機器企業で培った専門性は、一社の中だけでなく、業界全体の人材流動を支える力にもなります。
複雑な事業や職種を正しく理解し、候補者の経験を紐解き、本当に合う機会を見つけることは、業界経験者だからこそできる仕事です。製薬・医療機器企業の出身者がエージェントとして候補者に寄り添うことで、表面的な求人紹介ではない、より精度の高いマッチングが実現できます。
私自身、長く勤めた大企業を離れ、リメディに参画しました。製薬で積み重ねた専門性は、新しい場所で別の価値へ変えることができます。「製薬企業出身者による、製薬企業で働く方のための、専門性あるキャリア支援」を広げることができれば、ヘルスケア業界における持続可能な雇用の仕組みにもつながるはずです。経験を守るのではなく、次の社会課題を解くために使いたい方と、ヘルスケア事業の未来を一緒につくれたらうれしいです。