
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
緒方 隆恭 | OGATA Takayuki
東京大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。国内支店でMUFGの各種金融ソリューションの法人営業に従事し、銀行表彰を受賞。入社3年目で海外拠点に異動・駐在し、現地進出日系企業への融資・預金・為替デリバティブ商品等の法人営業を担当。
その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向し、投資銀行本部にてカバレッジ業務に従事。上場企業のM&A(TOB・経営統合等)やエクイティファイナンス(IPO・PO等)のオリジネーション(案件獲得活動)・エグゼキューション(案件執行)を経験。現在はハイキャリア層や金融プロフェッショナルを中心とした採用・転職支援を行う。
銀行業界は、銀行単体の平均年間給与が870万〜934万円台まで確認でき、2024年の金融業・保険業の離職率も8.0%です。全員に「やめとけ」ではありません。ただし、営業目標、異動、規制対応、DXによる仕事の変化に合わない人は、入行後に後悔しやすい業界です。
本記事のポイント
銀行業界は本当にやめた方がいいですか?
全員に避けるべき業界ではありません。金融業・保険業の離職率は2024年で8.0%と産業計14.2%を下回ります。一方で、営業目標、転勤、規制、システム/DX対応のどれかに強い拒否感がある人は、業務との相性を慎重に見極める必要があります。
銀行業界が「やめとけ」と言われる理由は何ですか?
理由は、商品販売の目標、転勤・異動、事務ミスへの厳しさ、低金利期から金利上昇期への業務変化、デジタル化によるスキル転換です。特に支店営業だけを想像している人は、規制産業としての管理密度に戸惑いやすいです。
銀行業界の離職率は高いですか?
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、金融業・保険業の離職率は8.0%です。産業計14.2%より低く、統計上は高離職率の業界ではありません。退職判断では、平均値よりも所属部門と評価制度を見る必要があります。
銀行業界は将来性がないですか?
将来性がないとは言えません。日銀の金融システムレポートは貸出の伸びや不動産関連融資、海外・ノンバンク向けの変化を論点に挙げています。銀行の仕事は、預貸中心から法人ソリューション、資産運用、リスク管理、システム/DXへ広がっています。
銀行から転職するならどんな業界が近いですか?
法人営業・与信・財務分析の経験は、M&A仲介、FAS、コンサル、事業会社の経営企画・財務で評価されやすいです。リスク管理やDX経験は、金融機関内の本部職だけでなく、金融×ITのポジションでも説明しやすくなります。
転職エージェントを使うメリットは何ですか?
銀行は職種名だけでは業務範囲が伝わりにくいため、第三者と一緒に職務経歴を翻訳する価値があります。融資、事業承継、審査、AML、システム企画などを、応募先の評価軸に合わせて職務経歴書へ落とすことが重要です。
銀行業界とは:まず何を銀行と呼ぶか
銀行業界は、預金、融資、為替を中核にする免許制の規制産業です。対象は、銀行持株会社、メガバンク、地方銀行、信託銀行、ネット銀行、政府系金融機関です。証券会社、保険会社、ノンバンク、リース会社は隣接業界として扱い、銀行本体とは分けます。
この線引きが大切です。たとえば三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行では、持株会社と銀行単体で人員構成や平均給与が異なります。銀行の働き方を知りたい人は、持株会社の高い平均年収だけで判断しない方がよいです。
| 分類 | 主な仕事 | 代表企業 | 転職時の見方 |
|---|---|---|---|
| メガバンク | 法人・個人・海外・市場を横断 | 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行 | 職種と異動範囲を分けて確認 |
| 地方銀行 | 地域企業・個人向け金融 | 横浜銀行、千葉銀行、福岡銀行 | 地域密着と営業範囲を確認 |
| 信託銀行 | 資産承継、年金、不動産、受託財産 | 三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行 | 専門性の深さを確認 |
| ネット銀行 | デジタルバンキング、決済、データ活用 | 住信SBIネット銀行、楽天銀行 | 金融とITの比重を確認 |
| 政府系金融機関 | 政策金融、地域・産業支援 | 日本政策金融公庫、日本政策投資銀行 | ミッションと採用要件を確認 |
銀行業界が「やめとけ」と言われる本当の理由
銀行業界の不安は、単に「忙しい」だけでは説明できません。銀行は顧客資産と信用を扱うため、商品提案、審査、事務、コンプライアンス、システム管理まで細かいルールが置かれます。自由な営業会社の感覚で入ると、裁量より手続きが先に来る場面がストレスになりがちです。
一方で、この制約は市場価値にも変わる要素です。法人営業で財務諸表を読み、融資や事業承継を扱った経験は、M&A仲介やFASでも評価されます。問題は、銀行の規制と目標を「ただの我慢」と受け止めるか、金融専門職の訓練として使い切るかです。
| 不安の理由 | 起きやすい場面 | 転職判断への影響 |
|---|---|---|
| 営業目標 | リテール、法人RM、金融商品提案 | 数字への向き合い方が合わないと消耗する |
| 転勤・異動 | 総合職、広域コース、大手行 | 生活設計と合わない場合は早めに確認 |
| 規制・事務 | 融資審査、AML、コンプライアンス | 正確性が苦手な人はミスマッチ |
| DX変化 | 店舗削減、デジタルチャネル、勘定系 | 学び直しに前向きな人には機会 |
| 年収イメージ差 | 持株会社と銀行単体の混同 | 入社後ギャップの原因になる |
メガバンク・地銀・信託・ネット銀行で何が違うか
同じ銀行でも、きつさの出方は業態で変わります。メガバンクは組織規模が大きく、海外・大企業・本部職まで選択肢が広い反面、異動や評価のルールも複雑です。地方銀行は地域密着の濃い顧客接点が強みですが、地域経済や店舗網の見直しに影響を受けます。
信託銀行は年金、不動産、資産承継など専門性が高く、営業というより専門金融に近い仕事もあります。ネット銀行はデジタル前提のため、店舗営業よりもシステム、データ、サービス設計の比重が高いです。応募前には銀行名より業態と職種を先に見るべきです。
| 業態 | 後悔しやすい人 | 合いやすい人 | 確認質問 |
|---|---|---|---|
| メガバンク | 異動範囲を狭くしたい人 | 大企業・海外・本部まで経験したい人 | 配属・異動の範囲はどこまでか |
| 地方銀行 | 地域営業を避けたい人 | 地域企業の経営支援に関わりたい人 | 店舗・法人営業の比率はどうか |
| 信託銀行 | 専門勉強を避けたい人 | 資産承継・不動産・年金に強くなりたい人 | 担当領域の専門性は何か |
| ネット銀行 | IT変化が苦手な人 | 金融×デジタルで働きたい人 | システム/DX職との連携はどうか |
数字で見る銀行業界の実態
「やめとけ」という言葉だけで判断すると、銀行業界を過度に悪く見てしまいます。公的統計では、金融業・保険業の離職率は産業計より低く、所定外労働時間も産業計を少し上回る程度です。ただし、これは金融業・保険業全体の平均で、銀行の支店・本部・市場・DXを個別に示すものではありません。
| 指標 | 金融業・保険業 | 産業計 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 離職率 | 8.0% | 14.2% | 公的統計上は低め |
| 月間総実労働時間 | 145.5時間 | 141.1時間 | やや長い |
| 月間所定外労働時間 | 12.5時間 | 11.5時間 | やや長い |
給与面も同じです。銀行持株会社の平均年収は高く見えますが、転職先として実際に配属される銀行単体の数値も確認する必要があります。2026年3月期の三菱UFJ銀行と三井住友銀行、2025年3月期のみずほ銀行を比べると、銀行単体でも800万円台後半から900万円台前半の水準が確認できます。
| 銀行 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続 | 出典年度 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 9,143千円 | 40.1歳 | 15.8年 | 2026年3月期 |
| 三井住友銀行 | 9,338千円 | 41歳2月 | 17年6月 | 2026年3月期 |
| みずほ銀行 | 8,230千円 | 40.3歳 | 2025年3月期有報参照 | 2025年3月期 |
数字から見ると、銀行業界を一律に避ける理由は弱いです。むしろ見落としやすいのは、給与の高さと引き換えに、顧客資産、信用リスク、法令、システム障害リスクを背負う点です。高い緊張感をどう受け止めるかが分岐点になります。
銀行を辞めない方がよい人
「やめとけ」を見てすぐ退職へ動く前に、残った方がよいケースも確認してください。銀行経験は、転職市場で職務経歴として説明できる形になって初めて価値を持ちます。何となくつらい段階で辞めると、次の応募先で何を任されていたかを具体的に語れないままになります。
| まだ辞めない方がよい人 | 理由 | 先に作る実績 |
|---|---|---|
| 法人営業1年未満 | 財務分析・融資提案の実績が薄い | 担当先、提案内容、回収した課題 |
| 本部異動の可能性がある人 | 審査・企画・リスク・DXで市場価値が変わる | プロジェクト経験、規制対応、業務改善 |
| 転職理由が人間関係だけの人 | 次の面接で再現性を説明しにくい | 職種軸の理由、希望する業務範囲 |
| M&A/FASを狙う人 | 財務・与信・経営者折衝の証拠が必要 | 案件規模、分析資料、顧客折衝内容 |
反対に、健康面に支障が出ている、配置転換の余地がない、営業目標が価値観と根本的に合わない場合は、早めに外部選択肢を見てもよいです。大切なのは、銀行を辞めるかではなく、辞めた後に何を強みにするかを先に決めることです。
銀行経験を活かせる転職先
銀行経験は、同業内だけでなく隣接領域にも広がります。法人RMなら経営者折衝、融資、事業承継、財務分析を説明できます。審査・リスク管理なら信用リスクや規制対応、市場部門なら為替・債券・デリバティブ、DXなら勘定系やデータ活用の経験が転用しやすいです。
| 銀行での経験 | 活かしやすい転職先 | 訴求すべき材料 |
|---|---|---|
| 法人営業/RM | M&A仲介、FAS、事業会社財務 | 財務分析、事業承継、経営者折衝 |
| 融資審査/与信管理 | FAS、リスク管理、投資審査 | 信用リスク、キャッシュフロー分析 |
| 市場部門 | 金融専門職、事業会社財務 | 為替、金利、ALM、市場リスク |
| リテール営業 | 資産運用、保険、富裕層営業 | 顧客本位提案、相続、ローン |
| システム/DX | 金融IT、SaaS、DXコンサル | 勘定系、データ、セキュリティ |
みずほフィナンシャルグループの年収や銀行単体との違いを詳しく見たい方は、みずほフィナンシャルグループの年収記事も参考になります。三菱UFJ銀行や三井住友銀行などを検討する場合も、応募時点の募集職種、配属可能性、評価制度を個別に確認してください。
銀行業界の選考対策と相談準備
銀行へ応募する人も、銀行から転職する人も、最初に職種を分けてください。リテール、法人RM、審査、信託、リスク管理、市場、システム/DXでは、面接で問われる経験が違います。銀行名だけで応募先を選ぶことは、配属後のミスマッチの原因です。
リメディは金融領域を含むハイクラス転職支援で、Google口コミ4.9/5.0(2026年6月時点)の評価を得ています。銀行の職務経歴は、業界外の採用担当者には伝わりにくい領域です。融資、審査、営業推進、DX、AMLなどを、応募先の評価軸に合わせて翻訳する準備が必要です。
相談前には、担当顧客の規模、扱った商品、提案した課題、審査や稟議で担った役割、異動可能性、転勤制約を整理しておくと話が早く進みます。銀行に残る選択肢も含めて、転職すべきタイミングを一緒に検討できます。
ハイクラス転職・キャリア相談のご案内
- ハイクラス求人の比較・検討をサポート
- キャリアの選択肢を中長期で整理
- 年収・職種・希望条件に合う求人を確認
- 各業界の専門領域に詳しいヘッドハンターが最適なキャリアをプランニング
転職意思が固まる前の情報収集にも
ぜひご活用ください。
銀行経験を後悔なく活かすポイント
銀行経験を活かすには、職務経歴書で「何を売ったか」だけを書かないことです。金融商品や融資の実績だけではなく、顧客課題をどう特定し、どの資料を作り、どの部署と調整し、どのリスクを見たのかまで分解します。プロセスを言語化できる人ほど、隣接業界で評価されやすいです。
| 準備項目 | 書くべき内容 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|
| 営業実績 | 顧客属性、課題、提案、成果 | 目標達成率だけを書く |
| 財務分析 | 財務諸表、CF、担保、与信判断 | 「融資を担当」とだけ書く |
| 規制対応 | AML、コンプラ、監査、改善内容 | 守秘義務に触れる詳細を書く |
| DX経験 | 業務改善、データ活用、システム連携 | ツール名だけ並べる |
銀行の仕事は外から見ると似て見えがちです。だからこそ、支店営業、法人RM、審査、本部、システムのどこで何を担ったのかを具体化する必要があります。特にM&A仲介やFASを狙う場合は、法人の意思決定者と向き合った経験を前面に出してください。
銀行業界への転職・転職見直しを検討するなら
銀行業界は「やめとけ」と言い切れる業界ではありません。離職率は公的統計上低めで、給与水準も高いです。一方で、営業目標、転勤、規制、DX変化に合わない人は、早い段階でキャリアの見直しを進めた方がよい場合があります。
判断に迷う場合は、銀行に残って積むべき経験と、今すぐ外に出すべき職務経歴を分けてください。業界全体の働き方や評判をさらに確認したい方は、銀行業界の評判記事もあわせて確認できます。
銀行への応募、または銀行からの転職を検討している方は、リメディにご相談ください。職務経歴書の整理、金融隣接業界の選定、面接での転職理由の伝え方まで、現実的な順番で支援します。
ハイクラス転職・キャリア相談のご案内
- ハイクラス求人の比較・検討をサポート
- キャリアの選択肢を中長期で整理
- 年収・職種・希望条件に合う求人を確認
- 各業界の専門領域に詳しいヘッドハンターが最適なキャリアをプランニング
転職意思が固まる前の情報収集にも
ぜひご活用ください。
