東京大学を卒業後、株式会社クニエに入社。ヘルスケアチームにて、医療機関向けの業務改革およびDX支援に従事。製薬企業と医療機関の治験リクルートメント領域における新規サービス立ち上げプロジェクトでは、病院現場の業務プロセス整理やシステム要件の検証を担当。また、医療機関を対象とした医療DX推進プロジェクトに参画し、診療記録や問診票・同意書などの電子化を通じて、業務効率化と情報共有基盤の整備を支援。現在はこれまでのバックグラウンドを活かし、プロフェッショナルファームに在籍する / 志望する方向けの転職支援を行う。
HRBPへの転職では、人事経験と、入社後に担当する事業課題を照らして応募先を選びます。2026年10月に確認した3社の募集でも、採用戦略を担う仕事、担当部門の運営を支える仕事、組織や制度を設計する仕事で必要経験は異なりました。
本記事は、採用・制度運用・育成・労務などの実務経験があり、事業部に近い人事へ進みたい人を対象にしています。HRBPという肩書の有無に加え、組織の課題に対して自分が何を決め、実行したかを整理すると、応募できる募集と先に経験を増やしたい募集を区別できます。
本記事のポイント|HRBPは担当する事業課題で選ぶ
最初に確かめたいのは、入社直後の担当業務です。「将来は組織設計に関わる」という説明と、採用時点で任される仕事は分けて読みます。
| 現在の主な経験 | 募集を見るときの着眼点 | 応募前に整理すること |
|---|---|---|
| 採用計画・中途採用 | 採用を中心に担うか、組織運営も担うか | 採用要件や施策を誰と決めたか |
| 評価・育成・労務の運用 | 担当事業の人事施策を実行する役割か | 現場の課題を把握し、施策を変えた経験 |
| 人事企画・組織開発 | 組織・役割・制度の設計を求めるか | 設計から導入・改善までの担当範囲 |
給与計算を長く担当していても、組織設計の経験を求める募集の条件とは異なります。経歴の年数とともに、必須要件に合う実務があるかを確認してください。
採用を続けながら制度にも関わりたいのか、事業責任者と組織運営を進めたいのかで、比較する求人は変わります。希望する担当範囲がまだ曖昧な場合は、人事経験を伝えて相談相手を選ぶ方法もあります。
採用中心・部門運営・組織設計で仕事はどう違うか
3社の日々の業務の重心は、クーリエが採用戦略、ブレインパッドが担当部門の運営、天地人が人材計画や制度設計です。
クーリエは採用戦略を起点に組織づくりへ広げる
クーリエのHRBP募集は、採用戦略と採用要件の設計、採用課題の分析、ハイレイヤー採用、チームのKPI管理を挙げています。採用から組織づくりへ視野を広げる説明があり、制度改善や人材開発にも関与する役割です。
採用人数だけでなく、どの人材が事業に必要かを定義した経験、採用チャネルや選考を改善した経験を整理したい募集です。組織設計を専業で担当したい人は、採用業務の割合と、担当を広げる時期を確認しておきましょう。
ブレインパッドは担当組織の運営から人事施策を実行する
ブレインパッドのHRBP募集では、採用部と人事部を分けています。HRBPはオンボーディング、異動や休復職のフォロー、評価会議の運営などを通じ、担当部門の状況を知ることから始めると説明しています。
そのうえで組織長の意思決定を支え、人事施策や研修を現場へ展開し、課題を全社の人事へ伝えます。制度を立案する仕事だけを望むと、日常の組織運営との間で認識がずれるかもしれません。運用で得た情報を改善へどう使うかまで尋ねると、担当範囲を理解できます。
天地人は人材計画と制度・育成を設計する
天地人のHRBP募集は、中期事業計画に基づく人材配置の構想、組織構造と役割の設計、後継者計画を掲げています。評価・等級・報酬制度の見直しや管理職育成も含み、組織を設計する実務を比べる際の募集例です。
採用施策を実行したことと、中期の事業計画を踏まえて役割や制度を変えたことは別の実績です。後者を経験してきた人は、課題の発見、設計した内容、導入後に修正した点を説明できるようにしておきます。
3社の必須条件から、いま応募できる募集を選ぶ
応募条件では、必須と歓迎の区別を保って読みます。一部の経験が選択式でも、別に列記された条件まで不要になるわけではありません。
| 募集 | 必須条件の主な内容 | 歓迎・尚可の例 |
|---|---|---|
| クーリエ HRBP | 年間50名以上の採用経験または両面型の紹介営業経験。加えて人事・採用実務、中途採用、人事制度の設計・導入を必須欄に掲載 | 新卒採用、研修設計、事業成長への関与、デジタル活用 |
| ブレインパッド HRBP | 事業会社の人事経験3年以上。全社・経営視点、管理職や現場との信頼形成・対話を進める力 | 施策の企画・導入、人材開発、IT・コンサル企業の人事経験 |
| 天地人 HRBP | 人事企画・HRBP・組織開発のいずれか5年以上。ビジネスレベル以上の英語 | 海外採用、成長企業、制度設計・運用、専門職組織の人事経験 |
クーリエの最初の条件は採用経験と両面営業経験の選択ですが、制度設計・導入の経験も必須欄にあります。人材紹介の経験だけを根拠に、条件を満たしたと判断しないようにしてください。
ブレインパッドでは企画・導入の経験を尚可としています。天地人では人事企画等の経験年数と英語を必須とするため、同じ人事経験者でも応募先によって確かめる項目が変わります。HRBPの肩書だけでは判断できません。担当した仕事と必須条件を照合してください。
提示額は担当範囲と給与の内訳まで比べる
採用戦略を軸にする募集と、部門の人事運営を担う募集では、担当職務と給与の内訳まで比べます。下表の金額は個別求人の提示レンジで、HRBP全体や各社の平均ではありません。
| 募集 | 公開されている金額 | 合わせて読む条件 |
|---|---|---|
| クーリエ HRBP | 600万〜1,300万円 | 採用戦略を軸とする募集。賞与・給与改定の記載があり、提示額の内訳は個別に確認 |
| ブレインパッド HRBP | 600万〜900万円(目安) | 月30時間または40時間分の固定残業代あり。超過分追加支給。管理監督者の等級は固定残業なし |
| 天地人 HRBP | 当該ページに金額表示なし | 組織・制度設計等を担う募集。担当職務と提示条件を選考で確認 |
金額の上端だけを見ても、自分の条件は分かりません。ブレインパッドのように等級で時間外手当の扱いが変わる場合は、適用される等級と基本給・賞与の内訳を提示書面で確かめます。
仕事内容と必要経験が合う募集を探す際は、職種「人事」と勤務地などの条件を指定できます。HRBPをキーワードに求人を調べ、担当業務と給与条件を比べてください。検索先には人事全般の募集も含まれるため、各求人の職名と業務内容で絞り込みます。
職務経歴書では、処理した業務と変えた仕組みを書き分ける
ここはリメディの見解ですが、3社の募集が挙げる採用戦略、施策展開、制度改善の仕事に対しては、自分が判断した内容を書くと担当範囲が伝わります。「人事業務を幅広く担当」だけでは、組織課題への関与が読み取れません。
採用経験は、人数に加えて要件と施策の判断を示す
採用職種や担当人数に加え、その人材を必要とした理由、責任者と合意した要件を記載してください。チャネルの見直しを行ったなら、応募数だけでなく、課題をどう調べたかと変更した施策を書いてください。
文章の組み立て例は「担当職種の採用が進まない原因を調べ、現場責任者と必要経験を再確認し、選考で確かめる項目を変更した」です。これは実績の書き方の例であり、読者にない経験や成果を付け加えるものではありません。
制度・育成経験は、現場への導入と修正まで説明する
評価会議の運営や研修の実施は、HRBPの業務と重なる経験です。そのうえで、制度が現場で使われなかった理由を把握し、運用をどう修正したかまで説明できるかを見直します。
制度そのものを決めた人、部門へ説明した人、運用結果を集めた人は同一とは限りません。共同の成果には関係者を明記し、自分が担った提案・調整・実行を区別すると、面接でも説明がぶれません。
労務・人事運営の経験は、例外対応と連携を具体化する
異動や休復職を処理した経験では、必要な手続きを行う力に加え、現場との調整内容を記せます。ブレインパッドの募集も組織運営支援を挙げており、運用経験を一律に低く評価する必要はありません。
ただし、個別事情や機微な情報は書類へ載せず、相談を受けた課題、専門部署との役割分担、合意した対応を抽象化して説明します。管理職の判断を支えた経験と、自身に決裁権があった経験も区別しておきましょう。
実務の件数と、組織長と行った判断は別の情報です。評価運営や異動調整の経験なら、どの問題を把握し、誰に何を提案したかまで書くと、部門を支える仕事との対応を検討できます。
人事経験を増やしてから動くケース
採用・評価の運用が中心だった人は、社内で改善提案の経験を増やすことも選択肢です。応募時期の考え方は、募集内容を踏まえたリメディの見解として示します。
人事施策の運営に加えて改善案を提案してきた人は、具体的な必須条件に合う募集を調べて応募を検討できます。人事経験の年数が合っていても、担当部門や英語など別の条件がある場合は、その項目を個別に確認してください。
決められた採用・評価の手順だけを担当してきた人は、現場の課題に対する改善策を提案する経験を増やす選択肢があります。評価会議で繰り返す困り事を集め、制度担当や部門長へ運用の改善を提案するなど、現職で担える範囲から始めます。
人事の実務自体がない人には、今回の3社を同じ条件で勧めることはできません。人事担当として業務を経験するか、社内の組織改善活動へ関わるかを検討し、応募要件に必要な仕事を確かめる段階です。
事業会社の内部で人事を担うか、外部から企業の変革を支援するかも別の選択です。後者を検討する場合は、人事・組織コンサルへの転職で見られる経験で、仕事の相手と担当範囲を比べられます。人材紹介の経験を整理したい人は、RA・CAと両面型の仕事内容も参考にしてください。
面接では、事業責任者と何を決めたかを話す
クーリエは、経営と人材戦略の連携、採用データを使った施策、組織課題への対応などを面接で対話する項目として挙げています。これは同社の説明であり、他社共通の面接質問ではありません。
準備の方法としては、課題・判断・結果を分けると話を組み立てられます。例えば評価制度の運用改善なら、何が支障だったか、部門長と何を決めたか、自分が変えた手順、残った課題の順に説明します。結果がまだ分からない場合は、実施したことと検証中のことを区別してください。
応募先への質問は、「入社後に主に担当する事業部はどこですか」「採用、労務、制度企画の専門チームとはどう分担しますか」「担当部門の要望と全社方針が異なるとき、誰が決定しますか」のように具体化できます。責任と決定権の違いを知るための質問です。
英語を必須とする募集なら、会議、文書、交渉のどの場面で使うかも確かめます。語学要件がない募集まで同じ基準で諦めず、応募する職種の記載に合わせて準備しましょう。
HRBPへの応募前に相談すること
必須条件と希望する担当範囲が合い、実績を具体的に説明できる人は、自分で応募準備を進めることもできます。求人票の業務を自分の経験と一つずつ比べ、説明が難しい箇所を記録しておきます。
相談が役立つのは、採用経験はあるが制度経験の条件も問われる場合や、複数の募集で職務の範囲が違う場合です。肩書より担当した仕事を確認するため、検討中の求人と、課題・行動・結果を書いた実績メモを用意してください。
応募先によって異なる人事経験の条件や、担当部門との分担を整理したい人は、求人票と実績メモをもとに相談できます。下の担当者一覧から相談相手を選び、応募する職務と先に補いたい経験を確認してください。
HRBP転職でよくある質問
HRBPという肩書の経験がないと応募できませんか?
肩書だけで決まりません。ブレインパッドは事業会社の人事経験を必須とし、天地人は人事企画・HRBP・組織開発のいずれかを挙げています。ただし年数や他の必須条件は募集ごとに確認してください。
人材紹介の経験だけでHRBPに転職できますか?
紹介営業の経験だけでは、今回の3社の要件を一律に満たしません。クーリエは両面営業経験を選択肢に含めるとともに、中途採用や制度の設計・導入なども必須欄に掲載しています。
英語は必須ですか?
今回確認した天地人の募集では必須です。3社共通の条件にはできないため、担当する業務と募集要項を照合します。
採用担当とHRBPはどう違いますか?
名称だけでは区別できません。クーリエは採用戦略を主軸に、ブレインパッドは部門の人事運営を中心に説明しています。入社直後の担当業務を確かめて比べると具体的です。
資格取得を優先した方がよいですか?
今回の募集が必須とするのは人事実務や制度・組織への関与などです。資格の学習は知識を補う手段ですが、先に自分の実務と募集条件の差を確認することをリメディは提案します。



クーリエは採用戦略を、天地人は人材配置や制度の設計を職務に挙げています。ここはリメディの見解ですが、採用の経験を広げたい人と、組織設計を深めたい人では、選ぶ募集が変わります。入社直後に担当する仕事と、その後に広げられる仕事を分けて聞いてみましょう。