東京大学を卒業後、株式会社クニエに入社。ヘルスケアチームにて、医療機関向けの業務改革およびDX支援に従事。製薬企業と医療機関の治験リクルートメント領域における新規サービス立ち上げプロジェクトでは、病院現場の業務プロセス整理やシステム要件の検証を担当。また、医療機関を対象とした医療DX推進プロジェクトに参画し、診療記録や問診票・同意書などの電子化を通じて、業務効率化と情報共有基盤の整備を支援。現在はこれまでのバックグラウンドを活かし、プロフェッショナルファームに在籍する / 志望する方向けの転職支援を行う。
保険数理の実務経験者が外部の監査補助・助言へ転職する際は、数理実務・会員資格・職位の組み合わせで応募先を選びます。あずさは実務と正・準会員、EYSCは職位別の資格と実務・プログラミングを求め、PwCにも管理職の追加条件があります。
研究会員だから応募を一律に見送る必要はありませんが、科目合格だけで応募条件を満たすとも限りません。決算、商品開発、リスク管理・ALM、モデルのどこを担当したかと、現在承認されている会員区分を照合しましょう。
研究・準・正会員のどの段階で応募を考えるか
研究会員以上を対象とする職位もあります。EYSCのコンサルタント・シニアコンサルタントがその例です。ただし、同じ募集で関連領域の経験とVBA等も求めています。会員区分だけを抜き出さず、実務と共通スキルまで読みます。
| 現在の会員区分・実務 | 先に照合する募集 | 資格以外に確認する条件 |
|---|---|---|
| 研究会員で関連する保険数理実務がある | EYSCのコンサルタント・シニアコンサルタント | 対象業務の経験、VBA等のスキル、日本語・英語の条件 |
| 準会員で保険数理実務がある | あずさ、EYSCの上記職位等 | 募集が扱う決算・商品・モデル等と自分の担当領域の一致 |
| 正会員で管理職も検討したい | PwCのManager以上、EYSCのマネージャー以上等 | PwCの職位別の経験年数と英語、EYSCの関連実務・スキル |
| 資格学習のみで保険数理実務がない | 本稿の経験者向け募集とは分けて検討する | 資格だけを根拠にせず、先に数理実務を積む方針を考える |
PwCは、望ましい資格として準会員や基礎科目合格者等も挙げています。一方、Manager以上では正会員とある程度の英語力が必須です。「科目合格者も記載されている」という一点だけで、管理職の条件まで満たすとは読めません。
資格の区分は分かっていても、保険会社での決算・商品・リスク管理の経験をどの職位で説明するか迷うことがあります。その場合は、現在の会員区分と担当領域を伝え、応募する役割について相談できる担当者を選んでください。
アクチュアリーコンサルは保険数理の監査補助と助言を担う
今回の募集が扱うのは、保険数理の監査・監査補助と助言です。あずさは責任準備金等や経済価値ベースのバランスシートの監査、PwCは保険負債の適正性確認などを記載しています。EYSCは責任準備金関係の監査補助と、保険数理コンサルティングを挙げています。
助言の対象は、会計基準への対応、保険商品の開発、リスク管理・ERMやALM、保険数理モデルの開発支援・レビューなどです。計算業務を続けたいのか、企業の課題を聞き、方法の検討や説明まで担いたいのかで、希望する担当は変わります。
募集に業務が並んでいても、入社直後からすべてを担当するとは限りません。リメディの見解として、監査補助と助言の担当割合、最初に関わる領域、顧客への説明を任される範囲を選考中に聞くことを勧めます。
数理専門職以外も比較したい人は、Big4でIT以外のプラクティスを選ぶ考え方から、希望する専門領域を広げて検討できます。
あずさは保険数理実務と正・準会員を求める
有限責任あずさ監査法人のアクチュアリー業務(保険)は、保険数理実務と正・準会員の両方を必須としています。実務経験の所属先は、保険会社、監査法人またはコンサルティングファームです。
ページには研究会員のタグもありますが、応募条件の本文が示す資格は正会員・準会員です。必須条件の本文を優先し、タグだけで研究会員も同じ条件で応募できるとは判断しないでください。英語力は尚可としています。
アドバイザリー業務には、会計コンバージョン、経済価値ベースの規制対応、リスク管理・ERM、モデル関連、保険計理人、保険負債のデューデリジェンス等が並びます。自分が経験してきた数理領域を起点に、今後深めたい仕事との接点を探せます。
PwCは経験年数と管理職の追加条件を読む
PwC Japan有限責任監査法人のAS募集は、保険会社、監査法人、保険数理コンサルティングファームでの決算関連・商品開発業務について、3年以上を記載しています。Managerクラス以上は8年以上です。保険業界で働いた年数全体へ読み替えないようにしましょう。
人材要件には、総合企画・リスク管理・財務企画やALM・営業企画での経験と計画立案能力・係数感覚、数理・財務モデリングやビッグデータ解析の力量も挙がっています。同募集は高いコミュニケーション能力と協調性を必須に挙げています。
これらを好きな一項目だけでよい条件とは読み替えません。企画部門の所属名やモデリングツールの利用だけで決算・商品開発の経験条件を省かず、本人の担当内容で応募対象となるかを募集側に確認する必要があります。
資格の欄では、正会員、準会員、基礎科目合格者等を望ましい条件に挙げています。ただし、Manager以上は正会員が必須で、ある程度の英語力も必要です。ビジネス英語が尚可という記載を、この職位の例外を省いて読むことはできません。
業務は生損保の監査・サポートに加え、リスク管理・ALM、IFRS、取引支援、プライシングや分析などに及びます。希望する数理テーマを伝え、監査業務を含む担当範囲との一致を確かめてください。
EYSCは職位別の会員資格とVBA等が条件になる
EYの今回の募集主体はEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)です。保険会社、共済、監査法人またはコンサルティングファームで、職務内容に挙げる領域を経験していることを求めています。
- マネージャー・シニアマネージャー:日本アクチュアリー会の正会員
- コンサルタント・シニアコンサルタント:日本アクチュアリー会の研究会員以上
- 米国・英国のアクチュアリー会の同等会員資格でも可
- VBA等のプログラミングスキルも必要
資格の段階とプログラミングは、どちらか一方を選ぶ条件ではありません。研究会員以上の若手職位を検討する人も、経験した数理業務と、実際にVBA等を使って行った処理を説明できるようにします。
歓迎経験には、生保・損保の決算、ESR・ERM、商品開発の認可申請、金融庁への出向、資産運用・ALM、AIやデータ処理、ビジネス英会話等があります。歓迎経験を全員への必須条件とせず、まず必要な資格・スキルと経験業務を照合しましょう。
担当業務には、責任準備金関係の監査補助、財務報告体制や収益性分析、商品開発支援、保険数理モデルの開発支援・レビューが挙がっています。開発とレビューのどちらを希望するか、これまでのモデル経験をどこへ生かすかまで具体化できます。
英語の必須・尚可は会社と職位で異なる
英語は、点数だけで全社を比べられません。あずさの今回の募集は英語力を尚可としています。PwCはビジネス英語を尚可としつつ、Manager以上にはある程度の英語力を必須としています。
EYSCは、日本語がネイティブまたはビジネス以上、TOEIC600点以上は望ましいとしています。一方で基本的な英語の読み書きは必要です。600点を一律の必須へ上げることも、英語を使わなくてよいと考えることも、募集の記載とは合いません。
リメディの見解として、英語で扱う資料と顧客・海外メンバーとのやり取りを質問すると、自分の実務との距離を確かめやすくなります。EYSCの当該募集は東京勤務でリモートワーク可ですが、海外からのリモート勤務は不可とも明記しています。語学力と勤務可能な場所は別に確認してください。
決算・商品・ALM・モデルで担当した判断を職歴に書く
「決算担当」「モデル担当」という職務名に、自分が検証・判断した内容を添えると、本人の役割を伝えられます。次の表は公式募集の業務から考えたリメディの記載提案です。経験していない開発や顧客説明を、自分の実績へ付け加えるものではありません。
| 経験した領域 | 本人の経験から記す内容 | 区別して伝えること |
|---|---|---|
| 数理決算・保険負債 | 担当した計算・検証の工程、結果の差異を調べた方法、説明先 | 定型処理と判断を要した検証 |
| 商品開発・プライシング | 前提や収益性の検討、検証した内容、他部門との協議での役割 | チーム全体の成果と本人の担当 |
| リスク管理・ALM | 扱ったリスク、分析方法、結果をどの議論へ使ったか | 計算結果の作成と、その解釈・提案 |
| 保険数理モデル | 作成・変更・検証のどこを担当し、どの点を見直したか | モデルの操作と開発・レビュー |
守秘が必要なモデルの数値や顧客名を開示せずに、対象とした業務、採った方法、本人の役割を説明してください。検証結果から何を判断でき、何が未確定だったかを言葉にすると、数理を使って果たした役割を伝えられます。
モデルを動かした経験と、前提を変える判断や結果の検証を担った経験は分けましょう。何を引き継ぎ、どこから自分で検討したかをたどると、新しい職場でも生かしたい専門性を具体的に話せます。
数理計算より、全社のリスク評価や仕組みの設計・定着へ関心が向く人は、非ITのリスクコンサルへの転職判断も比較できます。保険数理のモデル・計測と、内部監査や法務などを起点にする仕事を区別して選んでください。
面接では数理の判断を相手へどう説明したかを準備する
面接準備では、計算の方法と判断の理由を分けて振り返ります。数理手法の名前だけでなく、何の課題に使い、どの前提を置き、結果を誰へどう説明したかまで用意すると、希望する外部支援の仕事との接点を伝えられます。
たとえば「既存のモデルを使う際に、前提や結果の妥当性をどこまで確かめたか」「分析結果を、数理以外の担当者が判断に使えるようどう説明したか」を自分の実務から整理します。これはリメディの準備提案で、実際に出題された面接質問ではありません。
EYSCの当該募集は選考2回で、想定ランクに応じて適性検査・ケース面接の可能性を記載しています。選考プロセスが変わる可能性も明記されているため、応募時の案内に従ってください。他社も同じ流れとする根拠には使えません。
提示職位と担当範囲をそろえて待遇を比べる
処遇を比べる際は、提示職位と責任範囲を先にそろえます。あずさの今回の募集は給与を法人規程に準ずるとし、昇給・賞与、時間外勤務手当を記載しています。同じ資格を持つというだけで、各社の待遇を同額として比べることはできません。
リメディの見解として、条件面談では固定部分と賞与に加え、顧客対応と数理作業の担当を聞くことを勧めます。学習を続ける人は、制度があると決めつけず、資格取得支援の有無や繁忙期の業務についても確かめてください。
- 提示職位の固定部分・賞与・時間外勤務の扱いは、どの条件で決まりますか。
- 監査補助、モデルの検証、アドバイザリーはどのように分担しますか。
- 数理の検討から顧客への説明まで、本人が担う範囲はどこですか。
- 資格取得の支援制度はありますか。受験時期と業務が重なる場合はどう調整しますか。
職位・処遇・担当業務を求人票で比べたい人は、下の検索でコンサル・専門職から探せます。保険数理に限定した一覧ではないため、アクチュアリー関連の募集があるかと、資格・実務・待遇の条件を遷移先で確認してください。
アクチュアリーコンサルへの転職でよくある質問
正会員になるまで応募を待つべきですか?
一律に待つ必要はありません。EYSCのコンサルタント・シニアコンサルタントは研究会員以上ですが、関連実務とVBA等も必要です。現在の資格・経験で条件が合う職位を選びましょう。
科目合格と会員資格は同じものですか?
会員資格には理事会の承認が必要です。日本アクチュアリー会の2026年度試験要領は、研究・準・正会員の取得条件を区別しています。応募書類では、合格科目と現在の会員区分を分けて記載してください。
2027年度の制度見直しで今の資格は変わりますか?
日本アクチュアリー会は2027年度以降の試験・研修制度の見直しを公表し、承認済みの会員資格は変わらないと案内しています。制度見直し後に新たに準会員・正会員の承認を受ける場合は、その時点の要件を公式案内で確認してください。
保険営業だけの経験でも本稿の募集を検討できますか?
本稿は保険数理の実務経験者向けです。保険業界での勤務や資格学習だけを、決算・商品開発・モデル等の実務へ置き換えることはできません。実務経験を作る段階と、経験者募集への応募を分けて考えてください。
応募条件が合う職位を選び、担当業務を確認する
保険数理実務、会員資格、必要なスキルが募集と合い、希望する担当業務も見えている人は、公式募集から応募を進める準備ができます。資格取得の途中でも、今の条件に合う職位から照合してください。
反対に、保険数理の実務がない人は、その経験をどう積むかが先です。関連実務がある人でも、一社の数理業務を継続して深めたいのか、外部支援で複数の課題を扱いたいのかが決まらない場合は、応募前に希望を整理しましょう。
相談担当者を使う場合は、保険数理の領域と資格条件について話ができるかを確かめてください。選び方に迷う人は、ハイクラス転職のエージェントを選ぶ基準から、相談したい内容に合う担当者を検討できます。
会員区分と実務がどの職位に対応するか、監査補助と助言のどちらを深めたいかが決まらない人は、担当した数理領域と希望を用意して相談できます。決算・商品・モデルの経験と、顧客への説明をどこまで担いたいかを伝え、応募先を選ぶ論点を整理してください。



資格試験で合格した科目と、現在の会員区分は分けて伝えましょう。取得予定の資格も別に記すと、現在の条件で照合できる募集と、今後候補にしたい職位を整理しやすくなります。