東京大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。国内支店でMUFGの各種金融ソリューションの法人営業に従事し、銀行表彰を受賞。入社3年目で海外拠点に異動・駐在し、現地進出日系企業への融資・預金・為替デリバティブ商品等の法人営業を担当。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向し、投資銀行本部にてカバレッジ業務に従事。上場企業のM&A(TOB・経営統合等)やエクイティファイナンス(IPO・PO等)のオリジネーション(案件獲得活動)・エグゼキューション(案件執行)を経験。現在はハイキャリア層や金融プロフェッショナルを中心とした採用・転職支援を行う。
運用経験は、担当したファンドごとにアセットクラス・運用スタイル・担当資産の規模・パフォーマンスの4項目と担当範囲を並べて書くと、運用会社の募集要項に沿った職務経歴書になります。数値は公表済みかどうかで線を引きます。アモーヴァ・アセットマネジメントの日本株ファンド・マネージャー募集は、履歴書と職務経歴書に加えてトラックレコードの記載を求めています。
本記事の対象は、日本株・外国株のアクティブ運用、インデックス運用、債券運用、クオンツ運用、信託銀行の年金運用に携わってきた人と、アナリストや運用ミドル・バックからファンドマネジャーを目指す人です。PEファンドの投資担当の書類は扱いません。
本記事のポイント
書類の中心に置くのは「どのファンドで、何を自分が決め、結果をどう説明してきたか」です。成績の数字を大きく見せるより、担当範囲が読み取れることを優先します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中心に書くこと | ファンドごとのアセットクラス、運用スタイル、担当資産の規模、パフォーマンスと、自分が決めた範囲(運用方針・売買判断・補助) |
| 数値の扱い | 公募投信の運用報告書などで公表された数値を、担当期間と基準日をそろえて書く。私募や年金口座の個別成績は書かない |
| 根拠にした資料 | 楽天投信投資顧問、野村アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、りそな銀行、アモーヴァ・アセットマネジメント、第一生命保険の公式募集要項(2026年10月18日確認) |
| 書かないこと | 顧客名、保有銘柄の明細、社外に公表されていない成績、チームの判断を自分の判断のように書くこと |
| 次の行動 | 応募先の募集要項で運用スタイルと担当範囲の記載を確かめ、載せるファンドの順番を決める |
同じ「運用経験」でも、担当してきた業務で書類の組み立ては変わります。自分に近い行を次の表で探してください。
| 現在の担当 | 先に書く項目 | 補う材料 | 次の行動 |
|---|---|---|---|
| 日本株・外国株のアクティブ運用 | 運用スタイルと売買判断の範囲 | パフォーマンスの要因分析、顧客への説明 | 担当ファンドごとに判断の根拠を1行で書く |
| インデックス(パッシブ)運用 | ポートフォリオ構築とキャッシュ管理 | 運用ツールの開発・改良、新商品の立ち上げ | 作ったツールと減った作業を書き出す |
| 債券運用・マクロ分析 | 金利・クレジットの判断範囲 | 顧客の運用ニーズに応えた運用案 | 判断した時期と比較対象を添える |
| クオンツ運用 | モデルの開発・改良と運用への反映 | 顧客へのパフォーマンスレビュー | 使った言語とデータを具体的に書く |
| 信託銀行の年金運用(顧客フロント) | 運用提案と運用報告 | ポートフォリオ管理への関与 | 担当した顧客の種類と提案の中身を書く |
| アナリスト | 推奨がポートフォリオに採用された経緯 | 運用判断に関わった範囲 | アナリスト経験を考慮する募集から当たる |
| 運用ミドル・バック、投信営業 | ファンドの資金管理や商品知識 | パフォーマンス分析、文章での報告 | 隣接経験を明記して応募できる募集を選ぶ |
補う材料の列に挙げた経験を書類に書けていない場合、応募先の要件に答えきれない箇所が残ります。足りない項目を先に把握してから書き始めると、書き直しが少なく済みます。
ファンドマネジャーの職務経歴書で見られるポイント
見られるのは、運用で何を自分が決めてきたかと、その結果を数字と言葉で説明できるかの両方です。銘柄を当てた経験だけでは、運用責任の範囲までは伝わりません。
募集要項に繰り返し出る業務と要件
確認した募集要項を並べると、運用そのものに加えて、成績の分析と顧客・投資家への報告が繰り返し出てきます。業務として挙げる会社と、応募要件に置く会社があるため、区分の列も合わせて見てください。
| 要件 | 募集要項での記載 | 区分 |
|---|---|---|
| 売買判断とポートフォリオ管理 | りそなアセットマネジメントは売買の意思決定と投資ウエイトの決定、アモーヴァは担当ファンドのポートフォリオマネジメント・リスク管理・キャッシュマネジメントを業務に挙げる | 業務内容 |
| パフォーマンスの分析 | 楽天投信投資顧問のインデックス運用の募集はパフォーマンス分析の能力を必須とし、アモーヴァはパフォーマンス要因分析の知識を「求める知識」として挙げる | 必須/求める知識 |
| 運用報告の執筆 | 楽天投信投資顧問は法定の運用報告書と月次レポートの運用状況報告の執筆を業務に挙げる | 業務内容 |
| 顧客への説明 | アモーヴァは既存顧客への運用状況の報告と、見込み顧客への過去の実績や運用戦略の説明を業務に挙げる。りそな銀行の年金運用は運用提案と運用報告を担う | 業務内容 |
| 運用経験の年数 | 野村アセットマネジメントの円外債は内外債券運用経験3年以上、アモーヴァの即戦力枠は日本株アクティブ運用経験7年以上を必須とする | 必須 |
| データ処理の技能 | 野村アセットマネジメントの円外債はExcel/VBAやSQL等、アモーヴァの外株パッシブはPython・SQL・VBA等でのデータ処理を挙げる | 必須/スキル |
成績の分析と報告が業務に入っている以上、書類でも成績を説明した経験が問われます。
ファンド単位で4項目と担当範囲を書く
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、アナリストを銘柄の調査担当、トレーダーを売買の実施者とし、ファンドマネージャーを運用方針を立ててポートフォリオを組み替え、トレーダーに発注を依頼する運用チームの責任者と説明しています。job tag によれば、運用はチームで行うのが一般的です。
ここはリメディの見解ですが、チームで運用する仕事だからこそ、ファンドごとに「自分は運用方針を決めたのか、売買判断を任されたのか、補助として関わったのか」を書き分けると、応募先は任せられる範囲を比べやすくなります。上の表で楽天投信投資顧問、アモーヴァ、りそな銀行が分析や報告を業務や要件に挙げているため、4項目の後には分析と報告の担当を1行添えるのが有効です。
- アセットクラス:日本株、外国株、国内債券、外国債券、REIT、マルチアセットなど
- 運用スタイル:アクティブかパッシブか、グロースやバリュー、クオンツなどの手法
- 担当資産の規模:ファンドの純資産総額や受託額を、時点とともに
- パフォーマンス:公表済みの数値を、担当期間・比較対象・基準日とともに
PEファンドの投資担当の書類との違い
同じ「ファンド」でも、上場株式や債券を運用するファンドマネジャーと、非上場企業に投資するPEファンドの投資担当では、書類の単位が違います。ファンドマネジャーはファンドと運用期間が単位で、PEファンドは投資案件が単位です。
PEファンドに応募する場合の案件の並べ方は、PEファンドの職務経歴書の書き方で扱っています。両方に応募するなら、書類は分けて作ります。
運用会社向けの書類に絞っても、同じファンドのどの実績を冒頭に置くかは応募先によって入れ替わります。公募と私募のどちらを先に書くか、成績をどこまで載せるかを決める基準は、応募する枠の業務内容です。
運用成績・運用資産規模・守秘の範囲の書き方
書いてよい数値は、運用しているのが公募投信か、私募投信・投資一任か、年金の顧客口座かでおおむね決まります。目安は、社外で確認できる情報かどうかです。
| 商品・口座の種類 | 社外で確認できる情報 | 職務経歴書に書ける形 | 書かないもの |
|---|---|---|---|
| 公募投信 | 交付運用報告書に基準価額の推移、最近5年間の推移、ベンチマークとの差異などが載る | ファンド名、担当期間、公表されている騰落率やベンチマークとの差 | 公表前の月次数値、社内のみの分析資料 |
| 私募投信・投資一任 | 運用会社のウェブサイトでは開示しない例がある(楽天投信投資顧問は開示ファンドを公募投信のみと明記) | 顧客の種類、運用スタイル、担当範囲、規模の大まかな幅 | 顧客名、個別の運用成績、手数料などの契約条件 |
| 年金の顧客口座 | 運用報告は顧客向けに行う業務とされる(りそな銀行の年金運用の募集要項) | 担当した顧客の種類と数、提案した運用の型、運用報告を担った頻度 | 年金基金名、資産配分の明細、個別の成績 |
表の「書ける形」は、前職の規程で社外への開示が認められている範囲が前提です。前職の就業規則や秘密保持の取り決めは会社ごとに違うため、迷った項目は数値を外して書く方に寄せます。
パフォーマンスは担当期間・比較対象・基準日をそろえる
交付運用報告書にはベンチマークとの差異が載るため、公募投信なら成績を比較対象とセットで示せます。書類でも、成績の数字には「どの期間の」「何と比べた」「いつ時点の」を添えます。
担当になる前の期間や、離任した後の期間を含めた数値は、自分の運用成績ではありません。公表されている期間と自分の担当期間がずれる場合は、ずれがあることを書き添えます。日本証券アナリスト協会が普及に取り組むGIPS(グローバル投資パフォーマンス基準)は、運用会社によるパフォーマンスの公正な表示と完全な開示のための自主基準です。会社がこうした基準で成績を表示している場合、書類の数字もその考え方から外れない形にしておくと、面接での説明と食い違いません。
担当資産の規模は時点と自分の権限を添える
純資産総額や受託額は、時点によって大きく変わります。規模を書くときは「いつ時点で」「そのうち自分が判断した部分はどこか」を添えないと、運用部全体の規模を自分の担当のように読まれます。
私募や年金口座で正確な金額を書けない場合は、「○百億円規模」のような幅で示すか、規模を書かずに顧客の種類と担当口座の数で示します。伝えたいのは金額の大きさより、どの範囲を任されていたかです。
顧客名・保有銘柄・未公表の数値を書かない
アモーヴァの日本株ファンド・マネージャー募集では、最終面接にCIO、人事部長とあわせてコンプライアンス部門が同席すると案内されています(参考の選考フロー)。顧客資産を預かる仕事では、情報の扱い方そのものが見られていると考えた方が自然です。
ここはリメディの見解ですが、顧客名や保有銘柄の明細、社外に出ていない成績を書類に載せると、実績の証明になるどころか、応募先に入社後の情報管理を心配させます。公表済みの数値は基準日と担当期間をそろえて使い、それ以外は顧客の種類と運用の型に言い換えるのが安全です。
トラックレコードを別紙にする場合
アモーヴァの日本株ファンド・マネージャー募集は、応募書類について「簡単で構わないのでトラックレコードの記載を」と求め、職務経歴書内に書いてもよいとしています。別紙にするか本文に入れるかは、応募先の指定にまず従います。
別紙にする場合も、職務経歴書のファンド欄と期間・ファンド名を一致させておくのが前提です。別紙だけに出てくるファンドがあると、どちらが正しいのかを面接で確かめられることになります。
経歴別に強調すべき実績
運用スタイルによって、募集要項が重く見る経験ははっきり分かれます。アクティブ運用なら判断の根拠と経験年数、パッシブ運用ならポートフォリオ構築の正確さと運用ツールの開発が、前に出る経験です。
| 担当 | 先に示す経験 | 補足する経験 | 書き方の注意 |
|---|---|---|---|
| アクティブ運用 | 運用戦略の立案、銘柄選定と組入比率の判断 | 企業説明会や取材での情報収集、エンゲージメント | 判断の根拠と結果を同じ行に置く |
| インデックス運用 | ポートフォリオ構築、注文に応じたキャッシュ管理 | 運用ツールの開発・改良、新商品の企画 | 正確さを保った工夫を具体的に書く |
| 債券運用・マクロ分析 | 市場分析、投資判断、ポートフォリオ構築 | 顧客の運用ニーズに応える運用案の提案 | 金利見通しと実際の判断を分けて書く |
| クオンツ運用 | 定量モデルによる運用、戦略の開発・改良 | 運用オペレーション、顧客へのパフォーマンスレビュー | モデルの中身より運用への反映を書く |
| 年金運用(信託銀行) | 運用提案、運用報告、ポートフォリオ管理 | セミナーや勉強会の企画、新たなプロダクトの組成 | 顧客の課題と提案の対応を書く |
日本株・外国株のアクティブ運用を担当してきた人
アモーヴァの日本株ファンド・マネージャー募集は、社内のアナリストと協働して銘柄を選び、ベンチマークや競合を上回るパフォーマンスを目指すことを業務に挙げています。書類で区別したいのは、アナリストとの分担と、自分が最終判断した範囲です。
同じ募集は、議決権行使関連業務やエンゲージメント活動への協働も業務に含めています。投資先企業との対話に関わった経験があるなら、運用欄の補足として1行加えておくと、業務内容との対応がはっきりします。
インデックス(パッシブ)運用を担当してきた人
アモーヴァの外株パッシブの募集は、ポートフォリオ管理ツールを使った構築、顧客からの注文に対するキャッシュ管理、各種運用ツールの開発・改良を主業務に挙げています。楽天投信投資顧問のインデックス運用の募集も、ExcelとVBAでのスプレッドシート作成が必須です。
パッシブ運用は成績で差を示しにくいため、作ったツール、短くなった作業、立ち上げに関わった新商品を具体的に書きます。トラッキングエラーなどの指標を書く場合も、公表の有無と期間を確かめてからにします。
債券運用・マクロ分析を担当してきた人
野村アセットマネジメントの円外債の募集は、内外債券運用経験3年以上に加え、エコノミスト業務やマクロ経済分析の実務経験3年以上でも応募要件を満たす形にしています。運用経験が浅くても、分析を担ってきた年数と内容は前に出せる材料です。
同じ募集は、顧客の運用ニーズに応える運用案の構築と提案も業務に挙げています。金利見通しを書くだけでなく、その見通しをどの運用案に落とし込み、誰に説明したかまで書くと、業務内容と対応します。
クオンツ運用を担当してきた人
野村アセットマネジメントのグローバルクオンツの募集は、Excel VBAやPythonでのプログラミングと国内外株の定量データ分析を必須にし、顧客への提案やパフォーマンスレビューの経験を望ましい要件に挙げています。書くべきは、モデルの手法名より、モデルを運用に反映した経緯です。
信託銀行・年金運用の顧客フロントを担当してきた人
りそな銀行の年金ポートフォリオマネージャーの募集は、企業年金の運用で顧客対応、ポートフォリオ管理、受託推進、運用提案、運用報告を担う仕事です。運用会社のファンドマネジャー職に応募するなら、ポートフォリオ管理に関わった部分を顧客対応と分けて書きます。逆に年金運用の顧客フロントに応募する場合は、運用提案と報告の実績が冒頭に来ます。
書類選考で評価されにくい書き方
評価されにくい書類に共通するのは、数字や銘柄名は多いのに、運用の中で何を決めたのかが読み取れないことです。担当範囲の書き漏れが、成績の印象を弱めます。
運用成績の数字だけで担当範囲が分からない
「年率○%の超過収益を達成」とだけ書くと、その成績のうち自分の判断がどこまで効いたのかが分かりません。運用方針を決めたのか、銘柄選定を担ったのか、補助だったのかを、成績の前に書きます。
好調な期間だけを切り出す
成績のよい期間だけを選んで書くと、担当期間全体との違いを面接で問われたときに説明が苦しくなります。公募投信なら交付運用報告書で最近5年間の推移が確認できるため、担当期間全体で書いておけば、問われても同じ数字で説明できます。
チームの運用判断と自分の判断が区別できない
運用委員会やチームで決める会社では、「当ファンドは○○した」という書き方になりがちです。主語を自分に置き直し、提案した、決定した、実行したのどれに当たるかを動詞で区別すると、読み手は担当範囲を取り違えません。
運用報告や顧客説明の経験を書き落とす
楽天投信投資顧問は運用報告書と月次レポートの執筆を業務に挙げ、第一運用部の募集では高度な文章作成能力を必須にしています。運用欄に売買の話しか書いていないと、報告書を書く力が伝わりません。担当したレポートの種類と頻度を1行で書き添えます。
募集要項から選ぶ成果指標
成果指標は、応募先の募集要項が業務や要件に挙げた言葉から逆算して選びます。次の表は、確認した募集要項の記載ごとに、書く項目と指標の例をまとめたものです。
| 募集要項で求められる経験 | 職務経歴書で書く項目 | 成果指標 | 避けたい表現 | 改善の方向 |
|---|---|---|---|---|
| ポートフォリオマネジメント・リスク管理(アモーヴァ) | 担当ファンド、判断の範囲、リスクの管理方法 | ベンチマークとの差、リスク指標の推移(公表範囲) | 「運用全般を担当」 | 判断した項目を動詞で分けて書く |
| パフォーマンス要因分析(アモーヴァ、楽天投信投資顧問) | 要因分析の対象と頻度、使った手法 | 分析をもとに見直したポジションの例 | 「分析力がある」 | 分析から変えた判断を1件示す |
| 運用報告書・月次レポートの執筆(楽天投信投資顧問) | 担当した報告書の種類、頻度 | 担当ファンド数、執筆を続けた期間 | 「資料作成を担当」 | 報告書の名称と担当部分を書く |
| 見込み顧客への実績・戦略の説明(アモーヴァ) | 説明した顧客の種類、場面 | 説明の回数、受託や追加入金につながった件数(公表可能な範囲) | 「営業支援を経験」 | 説明した中身と相手の種類を書く |
| 運用ツールの開発・改良(アモーヴァ外株パッシブ) | 作ったツール、使った言語 | 短くなった作業時間、減った手作業の工程 | 「業務効率化に貢献」 | 作業の前後を比べて書く |
| 運用提案・運用報告(りそな銀行の年金運用) | 担当した顧客の種類、提案の内容 | 担当顧客数、提案が採用された件数 | 「顧客対応全般」 | 顧客の課題と提案の対応を書く |
成果指標の列は、自分の実績に置き換えて使う前提です。手元にない数値は作らず、その行は項目と担当範囲だけで書きます。
成績が振るわなかった期間の書き方
ベンチマークを下回った期間を書類から消す必要はありませんが、言い訳を長く書く必要もありません。下回った要因の分析と、その後に見直した運用プロセスを短く書けば、要因分析を業務に挙げる募集の要件にそのまま答える材料になります。
企業タイプ別の見せ方
同じ経歴でも、応募先が運用会社の運用部か、信託銀行の年金運用か、資産を保有する側の投資部門かで、書類の冒頭に置く経験は変わります。冒頭の3行を応募先ごとに入れ替えると考えてください。
| 応募先のタイプ | 募集要項に出ている重点 | 職務経歴書の冒頭に置く経験 | 補足として書く経験 |
|---|---|---|---|
| 運用会社のアクティブ運用部 | 運用経験の年数、アナリスト経験、銘柄選定とパフォーマンス創出 | 担当ファンドと運用スタイル、判断の根拠 | エンゲージメント、顧客への説明 |
| 運用会社のパッシブ運用部 | ポートフォリオ構築、キャッシュ管理、運用ツールの開発 | インデックスや投信の運用経験、データ処理の技能 | 新商品の企画、ファンド計理の知識 |
| 信託銀行の年金運用 | 運用提案、運用報告、顧客対応 | 年金・機関投資家向けの提案や報告の実績 | ポートフォリオ管理への関与 |
| 生命保険会社など資産保有側の投資部門 | ポートフォリオの検討・構築、運用会社の選定・モニタリング、契約管理 | 運用会社を評価・比較した経験、資産配分の検討 | 契約実務、ビジネス英語 |
資産保有側に応募する場合は、運用会社の立場で顧客に運用を説明してきた経験を、運用会社を選ぶ仕事に生かせます。第一生命保険の投資業務担当の募集は運用会社の選定・モニタリングを業務に挙げ、提出書類は和文の履歴書と職務経歴書で、ポストによって英文CVを依頼する場合があるとしています。
外資系運用会社の中途採用は、日系運用会社で実績を出した人が対象になるのが一般的、というのがjob tagの説明です。英文の書類を求められることを前提に、和文と英文でファンド名や期間をそろえておきます。
アナリスト・隣接経験からファンドマネジャーを目指す場合の書き分け
運用経験がまだない人でも、応募できる枠はあります。ただし枠ごとに求める経験が違うため、書類の書き方より先に決めるのは応募枠の選び方です。
| 現在の経験 | 応募の現実性 | 先に作る実績 | 書き方 |
|---|---|---|---|
| アナリスト(バイサイド・セルサイド) | アナリスト経験を考慮する募集なら高い | 推奨がポートフォリオに採用された例、モデル運用への関与 | 推奨と運用成績のつながりを書く |
| 運用ミドル・バック | 候補枠や若手枠なら中程度 | 資金管理や発注、パフォーマンス計算の担当範囲 | 運用部と連携した場面を具体的に書く |
| 投信営業・法人RM | 隣接経験を明記する募集なら中程度 | 商品知識、顧客への運用説明 | 説明してきた商品と顧客の種類を書く |
| 金融での運用・分析経験なし | 運用会社の運用職へ直接は低い | 隣接職への転職、分析経験の蓄積 | まず隣接職の要件に合わせて書く |
アナリストから目指す場合
アナリスト経験の扱いは会社によって違います。野村アセットマネジメントの日本株アクティブの募集は、運用経験がない場合でも日本株アナリストの経験は考慮するとしています。りそなアセットマネジメントは、経験や専門性に応じてファンドマネージャーかアナリストとして配置する形です。一方、アモーヴァの即戦力枠は日本株アクティブ運用経験7年以上と日本株アナリスト経験3年以上の両方を必須にしています。
即戦力枠の年数要件は、書類の工夫では補えません。経験年数が届かないなら、アナリスト経験を考慮する枠や、ファンドマネージャーとアナリストを経験に応じて振り分ける枠から当たる方が、書類で説明できない要件が残りません。
ここはリメディの見解ですが、アナリストからの応募で伝わりやすいのは、推奨した銘柄の数よりも、推奨がポートフォリオにどう採用され、運用成績にどう効いたかです。job tag もアナリストを経てファンドマネージャーに移行するのが一般的としており、モデルポートフォリオやサブ運用など、運用判断に関わった範囲を分けて書くと、移行の準備ができていることを示せます。
運用ミドル・バックや投信営業から目指す場合
楽天投信投資顧問の国内外株式・REITのファンドマネージャー候補の募集は、若手であれば運用ミドル・バック業務の経験だけでも検討するとしています。同社の第一運用部の募集は、投資信託の営業やミドル・バックオフィスを含む投信関連業務の経験を必須にし、営業から運用へのキャリアチェンジを歓迎要件に挙げています。
この場合に書くのは、担当してきたファンドの資金管理、発注、パフォーマンス計算、顧客への商品説明などと、それを運用部とどう連携して進めたかです。同じ募集はTOEIC800点以上を入社後2年以内に取得するよう求めているため、英語の現状も曖昧にせず書いておきます。
運用経験がない場合
金融で運用や分析に関わった経験がない場合、運用会社の運用職へ直接応募するより、上の表のアナリストや運用ミドル・バック、投信営業などの隣接職で経験を積む道が現実的です。その段階の職務経歴書は、運用職ではなく応募する隣接職の募集要項に合わせて書きます。
職務要約と運用実績欄の書き方と改善例
書類の欄は、職務要約、運用実績、活かせる知識・スキル、自己PRの4つです。運用実績欄をファンド単位の表にすると、読み手は4項目を横に比べられます。
書類の構成と各欄の役割
| 欄 | 役割 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 3〜5行で全体像を伝える | 運用歴、主なアセットクラスと運用スタイル、担当範囲の広がり |
| 運用実績 | ファンドごとの担当を比べられるようにする | ファンド名(書ける範囲)、期間、4項目、自分が決めた範囲 |
| 活かせる知識・スキル | 募集要項の技能要件に答える | データ処理の言語やツール、英語、資格 |
| 自己PR | 運用の考え方と再現できる手順を示す | 運用プロセスの特徴、成績が振るわなかった時期の見直し |
職務要約の改善例
改善前の例は、担当の広さは分かっても、何を任されてきたかが読み取れません。
Before:資産運用会社にて株式運用に従事。複数のファンドを担当し、良好なパフォーマンスを上げてきました。
After:資産運用会社で国内株式のアクティブ運用を○年担当。うち○年は公募投信○本の運用責任者として運用方針と銘柄選定を決め、残りの期間は私募投信の副担当として組入比率の提案を担いました。運用報告書と月次レポートの運用状況欄を執筆し、機関投資家向けの運用説明にも同席しています。
After の○の部分は、自分の実績に置き換えて書きます。責任者だった期間と副担当だった期間を分けるだけで、担当範囲の伝わり方が変わります。
After の形に沿って、まず自分の職務要約を3〜5行で書き出してみてください。下書きを入力しながら作るなら、作成ツールで書き始めることもできます。
運用実績欄の改善例
Before:日本株ファンドを運用し、ベンチマークを上回る成績を達成。
- After(ファンド欄):公募投信「○○ファンド」(国内株式・アクティブ・中小型グロース)、担当期間○年○月〜○年○月、純資産総額は○年○月末時点で約○億円
- 担当範囲:運用責任者として運用方針、銘柄選定、組入比率を決定。売買の執行はトレーディング部に依頼
- パフォーマンス:担当期間のベンチマークとの差は○%(交付運用報告書の公表値、基準日○年○月○日)
- 分析と報告:月次で要因分析を行い、運用報告書の運用経過を執筆
私募投信や年金口座では、ファンド名と成績の行を「国内の機関投資家向け私募投信(国内株式・アクティブ)」のように言い換え、担当範囲の行は同じ形で残します。数値を外しても、何を任されていたかは十分に伝えられます。
面接で深掘りされる項目
面接では、書類に書いた成績や判断の一つひとつについて、根拠と経緯を説明できるかが確かめられます。次の表は、書類の項目ごとに確認されやすいことをリメディの見解でまとめたもので、各社の公式な質問内容ではありません。
| 書類に書いた項目 | 面接で確認されやすいこと | 準備しておく材料 |
|---|---|---|
| パフォーマンス | 成績の要因、ベンチマークを下回った時期の判断 | 担当期間の公表値と、要因分析のメモ |
| 運用スタイル | その手法を選んだ理由、応募先の運用方針との違い | 応募先の公開ファンドの運用方針 |
| 担当範囲 | チームの中で自分が決めたこと、決めなかったこと | 意思決定の流れと自分の役割の説明 |
| 顧客への説明 | 説明した相手の種類と、伝え方を変えた例 | 説明資料の構成(社外秘の内容は除く) |
| 守秘の範囲 | 書類に書かなかった情報とその理由 | 前職の規程に沿った線引きの説明 |
アモーヴァの日本株ファンド・マネージャー募集の参考フローは、書類選考の後、シニアファンドマネージャー、運用部の部長層、CIOと段階を上げて面接し、その後にリファレンスチェックを行う流れです(場合により内定後)。プロセスの後半ではバックグラウンドスクリーニングのデータベースチェックも実施するとしています。
前職の関係者に確認が入りうる以上、書類の担当範囲や成績を大きく書くほど、確認の場面で食い違いが出るリスクは高まります。責任者と副担当の期間を分ける、公表値だけを使うといった書き方は、確認に耐える書類にするための備えです。
年収交渉につながる実績の書き方
提示条件の話し合いでは、書類に書いた担当範囲がそのまま比較の材料になります。運用責任者だった期間、担当した顧客の種類、新ファンドの立ち上げへの関与は、任されていた範囲の広さを示す材料です。
楽天投信投資顧問、りそな銀行、りそなアセットマネジメント、第一生命保険の募集要項は、記載した年収を目安とし、選考や経験に応じて決めると書いています。裁量労働制を選んだ場合の手当の扱いが載っているのは、りそな銀行とりそなアセットマネジメントの募集です。賞与の扱いや手当の有無は会社ごとに違うため、提示を受けたら内訳まで確かめます。
第一生命保険の投資業務担当の募集は、選考の過程で直近の給与関連書類の提出を求める場合があるとしています。現在の報酬について書類や面接で伝えた内容が、提出書類と食い違わないようにしておきます。
ファンドマネジャーの職務経歴書を相談すべきケース
運用スタイルと担当範囲がはっきりしていて、応募先の募集要項とも合っているなら、自分で書き進めて問題ありません。迷いが出やすいのは、出せる数値の線引きと応募枠の選び方です。
| 自分で進めてよいケース | 相談すると早いケース |
|---|---|
| 公募投信の運用責任者として、担当期間の公表値をそろえて書ける | 私募や年金口座の経験が中心で、どこまで書いてよいか判断できない |
| 応募先と同じアセットクラス・運用スタイルの経験がある | アクティブからパッシブなど、運用スタイルを変えて応募したい |
| 募集要項の年数要件を満たしている | アナリストや副担当の経験が中心で、応募できる枠が分からない |
| 応募先が1〜2社に絞れている | 運用会社・信託銀行・資産保有側を併願し、冒頭の書き分けに迷う |
運用会社のファンドマネジャー職が向いているのは、担当ファンドの成績を、要因分析と顧客への説明まで含めて自分の言葉で語れる人です。一方、顧客と向き合う提案や報告の仕事を軸にしたい人には、年金運用の顧客フロントのように提案と報告が業務の中心にある職種の方が合う場合があります。
表の「相談すると早いケース」に当てはまる項目が多いなら、書類を仕上げるより先に応募枠の候補を絞るのが近道です。金融領域を担当するエージェントから相談相手を選べば、私募や年金口座の実績をどこまで書くかと、併願の組み方を一緒に詰められます。
よくある質問
運用成績は数字で書かないと不利ですか?
公表済みの数値があるなら、担当期間と比較対象をそろえて書いた方が伝わります。私募や年金口座で書けない場合は、運用スタイルと担当範囲、要因分析の取り組みで示せば足ります。書けない数値を推計で埋めないことの方が大切です。
私募投信や年金口座の運用経験はどう書けばよいですか?
顧客名と個別の成績は外し、顧客の種類と運用スタイル、担当範囲で示すのが基本です。面接で深く聞かれても、書類に書いた範囲を超えて顧客名や成績を話さないよう、書類と同じ線引きで答えられるようにしておきます。
共同運用やサブ運用の経験はどう書けばよいですか?
共同運用であることは隠さずに書き、その中で自分が決めた部分を分けます。たとえば「組入比率の提案は自分、最終決定は運用責任者」のように書けば、役割の境目がはっきりし、面接でも同じ説明ができます。
英文のレジュメも用意すべきですか?
応募先次第です。ポストによって英文CVを依頼する募集もあるため、外資系運用会社も視野に入れるなら、英文版を先に用意しておくと急な依頼に慌てずに済みます。
PEファンドと運用会社を併願する場合、書類は分けるべきですか?
分けた方がよいです。そのうえで、両方の書類で会社名・在籍期間・役職などの経歴はそろえておきます。運用会社の選考ではリファレンスチェックを行う例もあり、前職の関係者に確認が入ったときに書類ごとの経歴の説明が違うと、食い違いとして問われかねません。


