
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
井上 晶斗 | INOUE Akito
大阪府立大学を中退後、教育系のベンチャー企業へ入社。新店舗の立ち上げと全店舗管理を担当し、2年間で1店舗から12店舗へ増やす。立ち上げ業務からサービスの平準化までの一連の業務に従事。その後、エス・エム・エスに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代までの方のキャリア支援を行う。社内のキャリアアドバイザーの中で上位の成績を収めた後に、リメディに参画。現在は、M&A・不動産・建設業界でエグゼクティブ採用・転職支援に従事。
M&Aキャピタルパートナーズ(MACP)の志望動機は、①なぜM&A、②なぜMACP、③自分の成果をどう再現するかの3点で組み立てます。高い報酬や成長環境への関心だけで始めず、前職で最後まで解けなかった顧客課題を起点にすると、仕事を選ぶ必然性が伝わります。
本記事は、企業情報部のM&Aアドバイザーを検討する中途応募者が対象です。銀行・証券・保険の営業、メーカー・SaaS・不動産などの法人営業、会計・法務系の経験を、MACPが公式に示す直接提案と初期検討から成約までの仕事へどうつなぐかを解説します。
例文には置換欄を残しています。数字や経験を借りず、自分が説明できる事実だけを入れてください。
志望動機は「なぜM&A・なぜMACP・成果の再現」で組み立てる
志望動機をいきなり文章にすると、「経営者に寄り添いたい」「成長したい」といった抽象語が増えがちです。先に3つの判断を別々に書き出し、最後に一つの話へつなげます。
| 判断 | 確認する事実 | 完成した状態 |
|---|---|---|
| なぜM&Aか | 前職で顧客から受けた相談と、自分の担当範囲では残った課題 | M&Aという手段を選ぶ理由を、自分の経験から説明できる |
| なぜMACPか | 直接提案、初期検討から成約までの専任支援、組織支援、顧客の納得を優先する姿勢 | 会社の特徴を並べず、自分が選ぶ1〜2点を言える |
| 成果の再現 | 顧客の選び方、仮説の変え方、協働、自分が担った範囲 | 実績の数字と、MACPで使う行動がつながっている |
この順番なら、「稼ぎたいからM&A」ではなく、前職で生まれた問題意識が、M&AとMACPの仕事へ自然に続く構成になります。成果は動機の代わりではなく、その仕事を担う準備があることを支える材料です。
まず企業情報部M&Aアドバイザーの担当範囲を確かめる
MACPの企業情報部M&Aアドバイザーは、上場・大手企業の成長戦略ニーズや、中堅・中小企業の潜在的な事業承継ニーズに対し、アウトバウンド営業で譲渡検討企業を開拓します。案件が具体化した後は、譲受企業とのマッチングから案件実行、クロージングまでを一人のアドバイザーが担当すると、現行の募集要項に記載されています。
| 仕事の工程 | 公式情報から確認できる役割 | 志望動機につなげる前職経験 |
|---|---|---|
| ソーシング | 経営者へ直接提案し、潜在的な譲渡ニーズを見つける | 新規開拓、休眠顧客の再開拓、潜在課題を起点にした提案 |
| マッチング | 譲受企業とのマッチングを進める | 相手ごとに条件を分け、双方が判断できる選択肢を作った経験 |
| 案件実行 | 論点を整理し、社内外の関係者と案件を前へ進める | 法務・財務・技術部門などを巻き込み、条件調整した経験 |
| クロージング | 初期検討から成約まで専任で支援する | 長期案件で前提の変化を追い、意思決定まで伴走した経験 |
専任制は、すべてを独力で処理する意味ではありません。公式採用情報では、会計・法務・ドキュメント・買収戦略など、社内の専門的な知見を活用する方針も示されています。したがって「一人で売り切った経験」だけでなく、自分が顧客への責任を持ちながら、必要な専門家を動かした経験も有力な材料です。
この担当範囲に魅力を感じないまま志望動機を作ると、会社名だけを合わせた文章になります。まず、自分がソーシングからクロージングまで担いたいのかを確認しましょう。
「なぜM&Aか」は前職で残った顧客課題から始める
「社会的意義が大きい」「経営者と仕事ができる」は、M&Aに関心を持ったきっかけにはなります。ただし、自分の経歴との間に空白があるため、そのままでは職種を変える理由になりません。前職の案件を振り返り、自分が解けなかった地点を特定します。
- 誰の決断に関わったか:企業オーナー、経営者、事業責任者など
- 何を相談されたか:事業承継、成長投資、撤退、資本政策、後継体制など
- どこまで支援できたか:自社商品による提案、紹介、分析、契約まで
- 何が残ったか:紹介後の伴走、選択肢全体の比較、最終判断までの支援など
たとえば金融営業なら、事業承継の相談を受けて専門部署へつないだ後、経営者の意思決定まで担当できなかった経験が起点になります。メーカーやSaaSの営業であれば、自社商材で改善できる範囲を超え、企業の存続や事業構造そのものが論点になった場面を振り返れます。
会計・法務系の専門職は、分析や助言を提供した後、その知見がどの選択に使われ、関係者がどう合意したかまで関わりたかった経験が候補です。いずれも現職を否定する必要はありません。前職で培ったものがあるからこそ、次は担当範囲を広げたいという順序なら、転職理由と志望動機がぶつかりにくくなります。
なお、M&Aは顧客課題への唯一の答えではありません。MACPも公式に、顧客にとって正しいM&Aを追求する姿勢を示す会社です。「M&Aを成立させたい」より、「経営者がM&Aを含む選択肢から納得できる決断をするまで支えたい」と置く方が、仕事の責任を捉えた志望理由になるでしょう。
「なぜMACPか」は直接提案と初期検討から成約までの担当範囲で決まる
MACPの特徴をすべて並べると、企業研究の要約にすぎません。自分の原体験と近い1〜2点を選び、「その仕事の進め方でなければ、前職で残った課題を解けない」と説明してください。
| MACPが示す特徴 | 経験との接点 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 経営者への直接提案 | 自分で対象を選び、潜在課題の仮説を作って接点を開いた | 営業力を生かせそう |
| 初期検討から成約までの専任担当 | 長い案件で前提の変化を追い、意思決定まで伴走した | 裁量が大きそう |
| 専任担当と組織支援の両立 | 顧客窓口を担いながら、専門部署の知見を提案へ生かした | 優秀な人と働きたい |
| 顧客の納得を優先する誠実さ | 短期の売上より、不利益の説明や再検討を優先した | 顧客第一に共感した |
直接提案を選ぶなら、訪問件数ではなく、なぜその企業を選び、最初の反応を受けて仮説をどう変えたかまで用意しましょう。初期検討から成約までの専任担当を選ぶなら、契約までの長さではなく、途中で変わった前提と自分の役割を話してください。
誠実さを理由にする場合も、「顧客を大切にしてきた」という自己評価では足りません。自社に有利な進め方を選べた場面で、顧客へ不確実性を伝え、延期や条件変更を提案した事実があるかを確認してください。MACPの公式人物像は、顧客が納得していない場合に成約を急がず、より良い選択肢を再考する姿勢を示しています。
営業実績は志望理由を支える1〜2文に圧縮する
営業実績は強い材料ですが、志望動機の大半を占めると自己PRとの区別がつきません。志望理由の中では、結果よりも「同じ仕事の進め方をMACPで使える」と示す1〜2文に絞り、詳細は別の代表案件として準備しましょう。
短くする時は、次の5要素から、応募理由に直結するものを選んでください。
- 担当顧客・役割・確認できる成果
- 最初に置いた顧客課題の仮説
- 顧客の反応を受けて変えた行動
- 社内外の関係者と自分の担当範囲
- MACPでも続ける行動と、新たに学ぶ専門性
Before
法人営業で社内上位の成績を収めたため、その営業力を生かしてMACPでも活躍したいです。
After
前職では[対象顧客]への新規提案で、[本人が説明できる成果]を残しました。成果につながったのは、初回の反応から[顧客課題の仮説]を見直し、[巻き込んだ関係者]と提案を組み替えたことです。この行動を経営者への直接提案でも生かしつつ、M&Aの[補う専門性]を身につけ、初期検討から最終判断まで責任を持ちたいと考えています。
Afterに数字を入れるなら、職務経歴書と口頭の両方で説明できるものに限ります。チーム成果を自分だけの成果にしたり、M&Aに関わっていない経験をM&A案件のように見せたりしてはいけません。
代表案件を顧客理解、判断、協働、再現行動まで詳しく作り込む場合は、M&Aキャピタルパートナーズの中途面接対策を併せて確認してください。志望動機では短く、深掘りされたら同じ事実を詳しく話せる状態が理想です。
高い報酬や成長環境だけに寄せない
報酬への関心を隠す必要はありません。ただし、「成果に見合う報酬を得たい」が最初に来ると、顧客の重要な決断を担う理由と、MACPである理由が残ります。報酬は入社判断の条件として検討し、志望動機では担いたい責任を先に置きます。
| 弱くなりやすい表現 | 残っている疑問 | 自分の事実を使った直し方 |
|---|---|---|
| 成果主義の環境で稼ぎたい | 顧客にどの価値を出したいのか | 成果を出す過程で向き合った顧客課題と、次に担いたい責任を先に話す |
| 大きな案件で成長したい | 何を学び、誰の判断に使うのか | 前職で不足した知識と、M&Aのどの工程で使いたいかを示す |
| 経営者に寄り添いたい | 難しい場面で何を判断したのか | 顧客の希望と自社都合がずれた時に取った行動を話す |
| 若いうちから裁量を持ちたい | 裁量に伴う責任を理解しているか | 自分が窓口を担い、専門家へ相談しながら案件を進めた経験を添える |
MACPが公式に掲げる高い情熱は、長く働けるという自己申告ではなく、顧客が正しい判断をできるよう専門性を高め続ける姿勢を含みます。「成長したい」なら、何を学び、どの顧客判断へ使うのかまで書きましょう。
報酬制度や働き方も含めて入社後の現実を確認したい人は、M&Aキャピタルパートナーズの評判で条件面を切り分けて検討できます。
経歴別の例文は本人の事実へ置き換える
以下は、そのまま暗記する回答ではありません。角括弧の中を本人が説明できる事実へ置き換え、不要な文は削ってください。実際に経験していない事業承継相談や経営者折衝を足すのは避けます。
金融営業から応募する場合
前職では[法人・オーナー等の顧客層]を担当し、[資金調達・資産運用・事業承継等の実際の相談]に向き合ってきました。[具体的な案件]では[本人が取った行動]によって[確認できる成果・変化]を得ましたが、[紹介後を担当できない/自社サービスの範囲を超える等]ため、経営者の最終判断まで伴走できない課題も感じました。そこで、M&Aを含む経営上の選択に初期段階から関わり、成約まで責任を持つ仕事を志望します。なかでも、経営者へ直接提案し、マッチングからクロージングまで専任で担う貴社の体制に魅力を感じました。前職で培った[仮説提案・長期関係構築等]を生かし、[財務・企業評価・契約等の補う知識]を学び続けたいと考えています。
金融知識があることだけで終えず、「相談を受けた後にどこまで担い、どこから先に問題意識を持ったか」を明確にしてください。専門部署へつないだ経験を、自分が成約支援まで担当したように広げないことも大切です。
メーカー・SaaS・不動産などの法人営業から応募する場合
[商材・サービス]の法人営業として、[顧客層]の新規開拓と提案を担当してきました。[具体的な案件]では、当初の[課題仮説]を顧客との対話から[修正内容]へ変え、[関係部署]を巻き込むことで[確認できる成果]につなげました。一方、自社商材で支援できる範囲を超え、[事業の存続・成長戦略・資本面等、実際に見えた経営課題]が残る場面もありました。今後は単一商材の提案にとどまらず、経営者の重要な選択へ長く伴走したいと考え、M&Aアドバイザーを志望しています。紹介を待たずに経営者へ直接提案し、初期検討から成約まで担当する貴社で、顧客を選ぶ仮説と提案を更新する力を生かしたいです。
「トップ営業だからM&Aでも売れる」とは言い切りません。商材や意思決定構造が変わる以上、何が再現でき、何を新たに学ぶかを分けます。
会計・法務・FASなどの専門職から応募する場合
[会計・法務・M&A関連等の専門領域]で、[分析・助言・案件支援]を担当してきました。[具体的な案件]では、[複雑な論点]を[顧客が判断できる形へ変えた行動]により、[確認できる成果・変化]を得ました。その経験から、専門的な結論を示すだけでなく、経営者との最初の対話から相手候補との調整、最終判断まで自分が前に立って支援したいと考えるようになりました。専任アドバイザーが初期検討から成約まで担いながら、会計・法務等の専門チームの知見も引き出す貴社の体制に惹かれています。[専門性]を土台に、[新規提案・顧客開拓等の補う経験]を磨きたいと考え、志望しました。
専門職の場合、「知識を生かせる」だけでは応募職種の営業責任が抜けます。顧客接点を自ら作りたい理由まで言えないなら、企業情報部M&Aアドバイザー以外の職種も比べるべきです。
志望動機を書く前に応募職種を確定する
同じ採用サイトにある職種でも、担当工程と応募条件は異なります。ソーシングへの関心がない人が、企業情報部M&Aアドバイザー向けの例文を使うと、志望動機と希望業務が食い違います。
| 募集職種 | 主な担当範囲 | 志望動機で確かめること |
|---|---|---|
| 企業情報部 M&Aアドバイザー | アウトバウンドによるソーシングからクロージングまで | 自分で顧客接点を作り、初期検討から成約まで担いたいか |
| 主任採用 M&Aアドバイザー | 同じく初期検討から成約まで担当。M&Aに近い実務経験を前提とする募集 | IBD・FASやM&A仲介で担った工程を正確に説明できるか |
| M&Aディールサポート | 案件が具体化した後の案件実行からクロージング。新規開拓は担当しない | ソーシングより案件実行へ軸足を置きたいのか |
募集職種や条件は変わる可能性があります。応募時には職種名だけでなく、担当工程と必須経験を確認してください。他職種を志望する場合も、本記事の例文を流用せず、各職種の仕事内容から作り直します。
面接の深掘りに備えて5つの整合を確認する
現行の企業情報部M&Aアドバイザー募集には、部長面接、社長面接、会食面接の3回が掲載されています。ただし、面接回数は変更される可能性があるとも記載されています。各面接で実際に聞かれる設問や評価の比重は公開情報から確定できないため、応募後の案内を優先してください。
どの段階でも話が変わらないよう、次の5点を同じ事実でつなげてください。
- 転職理由:前職で何を学び、どの担当範囲を広げたいのか
- なぜM&A:残った顧客課題に、なぜM&Aの仕事で向き合いたいのか
- なぜMACP:直接提案・初期検討から成約までの担当・組織支援・誠実さのどれを選ぶのか
- 代表実績:志望理由を支える行動を、職務経歴書と同じ数字で説明できるか
- 入社後:再現する行動と、新たに補うM&Aの専門性を分けているか
「M&Aに興味がある」から始めるのではなく、前職の事実から順に話しても同じ結論になるかを確かめましょう。志望動機だけ整っていても、転職理由で現職批判が強くなったり、代表実績で役割を大きく語ったりすれば一貫性は崩れます。
MACP固有の面接準備は中途面接対策、公開情報から選考全体を確認する場合は選考難易度の記事、M&A仲介業界を横断した質問・職務経歴書の準備はM&A仲介の面接対策で深掘りできます。
自分で仕上げられる場合と相談で整理が早い場合
例文を増やすより、職務経歴書、応募職種、志望動機の間に食い違いがないかを確かめる方が先です。次の表で、応募前に自分で進められる状態かを判断してください。
| 自分で仕上げやすい状態 | 相談で整理が早い状態 |
|---|---|
| 前職で残った顧客課題を一つに絞れている | M&Aを選ぶ理由が、報酬や現職への不満に戻ってしまう |
| MACP固有の特徴を、自分の経験と1〜2点でつなげられる | 会社の魅力を並べても「他社ではだめな理由」が残る |
| 職務経歴書と同じ数字・役割で代表実績を話せる | 営業成績は強いが、成果に至った自分の行動を短く言えない |
| 企業情報部M&Aアドバイザーのソーシング責任を理解している | 企業情報部、主任枠、ディールサポートのどれが合うか決まらない |
| 再現できる行動と、入社後に学ぶ専門性を分けている | M&A未経験を隠そうとして、経験を大きく見せてしまう |
自分で進める場合は、3判断を短い骨子にした後、声に出して簡潔に説明できる長さへ整えます。相談する場合は完成原稿を用意する必要はありません。職務経歴書と代表案件のメモがあれば、なぜM&Aか、なぜMACPか、どの成果を使うかの順で整理できます。

