東京大学を卒業後、株式会社クニエに入社。ヘルスケアチームにて、医療機関向けの業務改革およびDX支援に従事。製薬企業と医療機関の治験リクルートメント領域における新規サービス立ち上げプロジェクトでは、病院現場の業務プロセス整理やシステム要件の検証を担当。また、医療機関を対象とした医療DX推進プロジェクトに参画し、診療記録や問診票・同意書などの電子化を通じて、業務効率化と情報共有基盤の整備を支援。現在はこれまでのバックグラウンドを活かし、プロフェッショナルファームに在籍する / 志望する方向けの転職支援を行う。
金融リスクモデルコンサルへの転職では、対象モデルと、開発・検証・管理のどこを担ったかをもとに応募先を選びます。2026年10月に確認したKPMG、PwC、EYの募集は、経験条件に加え、モデル業務の広さや監査との関わりも異なります。
対象は、金融機関等で信用・市場・流動性リスクの計測、モデル開発・検証、ALMなどに関わった方です。金融工学に関心を持つ理数系出身者の応募条件も確認し、担当したい仕事に合う募集の選び方を解説します。
対象モデルと開発・検証の担当から応募先を選ぶ
同じ「リスク管理」の募集でも、数理モデルを作る仕事と、管理態勢全般を整える仕事は同じではありません。モデルの種類と担当工程を先に特定すると、自分の実績と応募先の業務を比べられます。
| これまでの担当 | 実績として説明すること | 募集で確かめる仕事 |
|---|---|---|
| モデルの開発・高度化 | 使用目的、入力データ、前提、手法を選んだ理由 | 信用・市場等の対象、開発と運用の分担 |
| モデルの検証 | 検証対象、確かめた仮説、限界、指摘後の対応 | 検証・監査支援・助言のどれを担うか |
| 計測・リスク管理 | 数値を作る手順、変動の分析、利用者への説明 | 計測実務を続けるか、管理方法の設計を支援するか |
| 関連実務がない理数系等の経験 | 学習した数理と、実際に作成・分析したもの | 経験以外の応募条件と対象職位があるか |
KPMGはモデル開発・検証を含むリスクアナリティクス、PwCは金融リスク管理全般とモデル関連支援、EYは金融工学・クオンツの監査専門家業務と助言を募集しています。数値を扱う仕事であることだけでは、希望する担当か判断できません。
職務経歴書に記載するモデル名と担当工程を挙げても応募先を絞れない場合は、監査支援と助言のどちらを希望するかも書き添えてください。金融分野の経験を整理できる担当者は、次の一覧から選べます。
3つの募集は経験条件と仕事の広さが異なる
応募条件は、経験の選択肢と全員に共通する条件を分けて読みます。比較するのは次の個別募集です。必須と歓迎の違いにも注意してください。
| 募集主体・職種 | 主な対象業務 | 応募条件の組み合わせ |
|---|---|---|
| 有限責任あずさ監査法人/リスクアナリティクス | 信用・市場・流動性リスク等。モデルリスク管理、開発・検証、予想信用損失、規制対応など | 関連する金融機関・当局・コンサル等の業務経験、またはモデル開発・検証経験。経験枝にかかわらずOffice基本スキル等が必要 |
| PwC Japan有限責任監査法人/金融機関向けリスク管理・金融リスクモデルコンサルタント | リスク管理態勢、金融規制、モデル構築・検証、データ分析と業務への定着 | 社会人経験3〜10年程度、大卒以上。対象となる金融関連法人の業務経験、またはコンサル・監査法人の関連業務経験 |
| EY新日本有限責任監査法人/FSO FAAS金融工学・クオンツ関連サービス | 時価評価や市場リスクのモデル等に関する監査専門家業務、変更・導入の助言 | 金融業界・コンサルでの金融工学関連経験、または強い関心と理数系の背景やExcel VBA利用経験。日本語はネイティブレベル |
KPMGはモデル以外の関連業務も含む
KPMGの職務には、金融商品の時価算定モデル、信用・市場リスクの計測モデル等の開発・検証があります。ただし、再建・破綻処理計画や規制対応なども含み、列挙する業務のいずれかを担当する想定です。モデル開発だけに従事する募集とは読めません。
必須の経験は2つの選択肢です。それとは別に、Word・Excel・PPTの基本スキル、緻密に考えて説明する力などを求めています。プログラミング経験やExcel・SAS・Python等による分析は「尚可」であり、特定言語をすべての応募者に必須とはしていません。
PwCは関連業務経験と共通条件を一緒に確認する
PwCが挙げる金融関連業務は、リスク管理、ALM、財務企画にとどまらず、金融商品開発やトレーディング、事業・経営・デジタルの企画等も含みます。社会人経験と学歴の条件を満たすかに加え、自分の仕事がどの経験に当たるかを特定してください。
モデル開発・検証やデータ分析等は、望ましい経験・スキルの欄に記載されています。そのため、モデル開発が未経験という理由だけで対象外とは判断できず、金融機関に在籍していれば担当職務を問わず応募条件を満たすともいえません。
EYは職位と経験条件の留保を区別する
EYはスタッフからマネージャーを対象とし、スタッフについては、条件に合致しない場合も前向きな意欲やポテンシャルを勘案して選考することがあると記載しています。この留保はスタッフの条件です。未経験から全職位に応募できると解釈しないでください。
経験のない人向けの選択肢でも、金融工学・クオンツへの強い関心に加え、理数系の背景やExcel VBAの利用経験を挙げています。業務知識を学びたいという希望と、現在説明できる数理・分析の経験を別々に準備しましょう。
モデル開発・検証・管理の実績をどう示すか
職務経歴書は「リスク管理システムを担当」から、モデルの目的と本人の判断が分かる説明に直します。以下は公式募集にある職務をもとにしたリメディの準備提案です。各社の採点基準や出題実績ではありません。
開発した人は手法より先に使用目的を説明する
使った言語や推計手法だけでは、どの問題を解いたかが伝わりません。何を計測するためのモデルか、どの情報を入力し、どの前提を採用したかを先に話します。そのうえで、比較した方法と採用理由、実装・検証のうち自分の担当を示してください。
「モデルを高度化した」という記載なら、変更の必要性、評価に使った基準、変更後に確認した結果を補足できます。改善が確認できた範囲だけを実績にし、確認していない運用効果を付け足さないようにします。
検証した人は指摘と対応を分ける
検証では、どの前提やデータを確認し、どの問題を見つけ、結果を誰に伝えたかを記します。指摘を出した本人と、モデルを修正した担当者が異なるなら、その役割も明確にしてください。
検証の価値を「誤りを見つけた件数」だけで説明する必要はありません。適用条件、使えない場面、追加確認が必要な点をどう報告したかも、本人の仕事です。金融機関や顧客のモデル係数、保有データを公開せず、検証の考え方を説明できる形に整えます。
計測・管理の人は数値を誰の判断に使ったか示す
定期計測を担当した方は、入力の点検、前回からの変動の分析、結果の報告を分けて書き出します。モデル自体を作っていなくても、管理や説明で担当したことは具体化できます。ただし、計測を実行した経験を開発経験に言い換えないことが前提です。
金融機関の他部署からコンサルへの経路も検討する場合は、銀行員の出身部署別に見る転職ルートで、モデル以外の経験を使う選択肢も確認できます。
監査の専門家業務とアドバイザリーを分けて選ぶ
EYの募集は、監査の内部専門家業務を含みます。デリバティブ等の時価評価結果やモデル、関連内部統制を監査する仕事と、顧客のモデル変更・導入を助言する仕事を、一つのチームで提供する説明です。
監査支援を経験したい人と、顧客のモデル設計を支援したい人では、応募時に伝える希望が変わります。「監査案件と助言案件はどのように担当するか」「最初に任されるモデルと確認作業は何か」という質問なら、希望との一致を確かめられます。
監査法人に所属するという理由だけで、すべての求人が同じ監査業務とは限りません。応募先の担当業務と必須条件を確かめ、自分が経験した工程と照合してください。
理数系・プログラミング・英語の条件を読み違えない
Python、統計ソフト、英語の位置づけは募集ごとに違います。知識を持つことと、その業務の経験条件を満たすことを分けると、不足を誤って大きく見積もらずに済みます。
| 確認する条件 | 今回の募集での記載 | 準備の仕方 |
|---|---|---|
| プログラミング・分析 | KPMGはプログラミングやExcel・SAS・Python等の分析を尚可。EYは統計ソフト等の知識を歓迎 | 言語名に加え、分析や実装で自分が判断した部分を説明する |
| 関連実務がない場合 | EYは強い関心と理数系の背景やVBA経験を挙げ、スタッフにはポテンシャル選考の留保 | 学習した内容と実際に作成・検証したものを区別する |
| 語学 | KPMGは英語を歓迎。EYは日本語ネイティブレベル、英語推奨で必須ではないと明記 | 読解・説明・議論の現在の水準を伝える。PwCは当該募集で必要水準を確認する |
非ITの内部統制や法務、品質管理を主な経験とする場合は、専門用語が似ているという理由だけでモデル職に絞る必要はありません。非ITのリスクコンサルへの応募判断も比較対象です。
EYは英語を推奨としつつ、必須ではないと明記しています。ここはリメディの見解ですが、すべての不足を同じ重さで数えるより、応募条件と歓迎を分ける方が準備の順番を決められます。言語の学習計画とは別に、いま説明できる数理・分析の成果物を確かめましょう。
担当モデル・職位・配属を応募前に確かめる
希望がモデル中心の仕事なら、募集名だけで決めず、初期担当と仕事の配分を聞きます。KPMGには広い財務リスク支援があり、PwCには態勢構築や分析の業務への定着も含まれています。
- 「最初の案件では、どのモデルと工程を担当する想定ですか」
- 「開発・検証と、それ以外の管理態勢の支援はどう分担しますか」
- 「その職位には、分析の実行、レビュー、顧客への説明のどこまでを任せますか」
勤務地も個別条件です。PwCは東京・大阪、EYは遠隔地勤務の相談が可能と記載しています。働く場所の希望がある場合は、配属と案件で実際に対応できるかを確認してください。報酬は担当職位と提示条件で比べ、広いコンサル職の統計をモデル職の平均には使いません。
業務と応募条件の候補が見えた方は、コンサルティング業界の求人検索で別の募集も探せます。金融リスク以外の職務が含まれる場合があるため、対象モデルと必要経験は、検索後に個別の求人票で照合してください。
金融リスクモデルコンサルへの転職でよくある質問
モデルの開発経験がなければ応募できませんか?
すべての募集で開発経験が必須とは限りません。KPMGは関連金融業務との選択肢、PwCは対象業務の経験条件を設けています。モデル業務を希望する場合は、応募資格とは別に、入社後の担当と育成の想定を確認してください。
金融機関以外の出身でも検討できますか?
コンサルティング会社や監査法人等の関連業務を条件に含む募集があります。社名や在籍業界だけで判断せず、募集が挙げる金融工学、モデル、関連リスク業務のうち何を担当したかを説明してください。
Pythonを使えれば経験条件を満たしますか?
言語の使用歴だけでは判断できません。対象データ、分析の目的、モデルの前提、検証方法を説明できるかも確かめます。Python等が必須か歓迎かは募集によって異なるため、言語名だけで応募可否を決めないでください。
面接ではどんな数理問題が出ますか?
今回確認した募集要項から、各社の具体的な出題内容は特定できません。準備では、自分が扱ったモデルの前提、方法の選択理由、限界を説明できるようにします。採用窓口へ選考形式を確認し、案内された内容に沿って対策してください。
相談前に対象モデルと担当工程を揃える
応募条件と担当したい仕事が合い、実績を具体的に示せるなら、公式採用ページから応募を進められます。資格や技術を広く増やすより、募集で必要とする経験を説明できるかを確認するのが先です。
希望するモデルと募集全体の仕事が一致するか分からない場合は、対象モデル、担当工程、希望職位をメモにします。検証と監査支援のどちらが希望に近いかも、相談で確認したい論点です。
候補求人と担当経験を用意すれば、モデル中心の担当を希望するのか、管理態勢まで広く支援したいのかを相談で伝えられます。担当者を選ぶ際には、金融モデルの仕事と応募職位について何を整理したいかを添えてください。



KPMGとPwCの募集はモデル以外の業務も含みます。ここはリメディの見解ですが、応募資格に合うかだけでなく、入社後に何を主に担当したいかを伝えると、配属について確認する内容が具体的になります。開発、検証、管理のどれを深めたいかまで決めてから求人を比べてください。