
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
平岡 弦 | HIRAOKA Gen
慶應義塾大学卒業後、デロイトトーマツグループの有限責任監査法人トーマツに新卒入社。パブリックセクター部門にて、官公庁へのアドバイザリー業務に従事しつつ、大手事業会社のシステム導入案件や機関設計領域におけるコンサルティング案件に従事。パブリックセクター部門では官公庁を通し、スタートアップのエコシステム組成に貢献し、スタートアップへの伴走支援も行う。その後、ヘッドハンターファームである株式会社アサインに参画し、取締役直下の組織にて、ハイエンド層のキャリア支援を担う。前職のコンサルティング業界の知見を強みとしつつ、コンサルティング業界への支援を軸に専門領域を広げ、様々な方へのご支援を実現。その後、当社にヘッドハンティングをされ、入社を決意し、現在はシニアコンサルタントとしてM&Aアドバイザリーファーム、戦略・総合コンサルティングファームなどを中心とした転職サポートに従事。20代若手からエグゼクティブ層まで、幅広い支援を経験し、業界トップクラスの実績を誇る。
ITコンサルタントのキャリアは、年代だけでは決まりません。一方で、経験を積むにつれて求められる役割は変わります。リメディ編集部では、20代は基礎を再現できる形にする時期、30代は専門とリード経験を結びつける時期、40代は次に担う役割を選ぶ時期と整理しています。
対象は、現在ITコンサルとして働いている人と、入職後のキャリアまで考えたい人です。SEから転職できるかを知りたい場合は、入口の判断を扱う別記事が対応します。30代・40代SEからコンサルを目指す場合の考え方で、先に現在の経歴と入口の選択肢を確認してください。
年代は経験を整理する軸の一つであり、優劣を決める基準ではありません。年齢ではなく、担った役割、残した成果、再現できる強みを軸に読んでください。公的統計は年代別の傾向に限って使い、個人の評価とは分けて扱います。
この記事の結論|年代別キャリアの見取り図
年代別に整理したいのは、次に積む経験と、その経験をどの役割へつなげるかです。表の「主題」は一律の正解ではなく、自分の経験を棚卸しするための問いとして使ってください。
| 年代 | この時期の主題 | 次に積みたい経験 | 避けたい失敗 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 土台づくり。構造化・資料化・検証・クライアントワークの型を身につける | 目の前の作業を「型」に落として反復し、専門の芽を見つける | 土台を飛ばして動けるつもりになり、専門が定まらないまま30代へ |
| 30代 | 専門性とリード経験を結びつける | 得意領域を「解ける課題」まで具体化し、案件やチームを動かす経験を積む | 案件数は増えても、何を任せられる人かを説明できない |
| 40代 | 次に担う役割と責任の範囲を選ぶ | ファーム内の上位役割、事業会社、独立などを、実績・関係資産・望む責任で比べる | 選択肢の名称だけを比べ、実際に担う責任との差を見落とす |
公的統計で確認できるのは年齢階級別の賃金傾向であり、個人の市場価値ではありません。その限界を確認したうえで、役割の深まりを考えます。
年代別賃金と能力レベルの資料をどう読むか
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」では、一般労働者の所定内給与を年齢階級別に確認できます。この表はITコンサル限定の統計ではなく、職務能力や転職市場での評価も示しません。年代別の給与傾向を見るための参考に限定して使います。
| 年齢階級 | 所定内給与額(全産業・男女計/千円) |
|---|---|
| 20〜24歳 | 232.5 |
| 25〜29歳 | 267.2 |
| 30〜34歳 | 299.5 |
| 35〜39歳 | 328.7 |
| 40〜44歳 | 351.4 |
| 45〜49歳 | 372.7 |
| 50〜54歳 | 380.4 |
| 55〜59歳 | 392.0 |
全産業・男女計の所定内給与は、20〜24歳の232.5千円から45〜49歳の372.7千円まで年齢階級ごとに上がっています。50代でも上昇は続きますが、伸び幅は小さくなります。ここから言えるのは雇用者全体の賃金傾向までで、30代の市場価値が最も伸びるとは判断できません。
賃金は年齢だけで変わるものではなく、職種、勤務先、役割など多くの要因を含みます。個人の経験を考えるときは、年齢階級別賃金と切り分けて、どの範囲の業務を自律的に担い、どんな成果を残したかを確認するほうが適切です。
IPAのITスキル標準(ITSS)は、能力と実績に基づく7段階のレベルを定めています。レベル2以下は主にスキル習熟度、レベル3は習熟度と専門領域のプロジェクト経験、レベル4は習熟度と専門家としての認知度、レベル5以上は主に専門家としての認知度で評価する考え方です。レベル4では高度試験や職種別経歴書など、レベル5以上では職種別経歴書と専門家による面接が評価手段に含まれます。
ITSSのレベルは年齢や役職を表すものではありません。以降の年代別整理は、この評価の変化を参考に、リメディ編集部がキャリアの棚卸し用に置き換えたものです。実際の到達度は年代にかかわらず個人ごとに異なります。働き方と負荷を判断したい場合は、コンサルの残業実態も参照してください。
20代のITコンサル|基礎を再現できる経験に変える
20代で確認したいのは、目の前の作業から再現できる進め方を身につけているかです。厚生労働省の職業解説では、ITコンサルに入る経路として、情報系・経営系の学習後に実務経験を積む道と、システム構築・運用や経営コンサルの経験から移る道が紹介されています。入職年齢は一様でないため、20代というだけで経験の浅深は判断できません。未経験からの入口はコンサル業界への転職で扱い、ここでは入職後に積む経験に絞ります。
リメディ編集部が20代の主題と考えるのは、指導を受けてできる作業を、背景と判断根拠まで説明できる経験に変えることです。論点の構造化、資料化、仮説検証、顧客との調整を、完了した作業ではなく、次の案件でも使える進め方として残します。ITSSのレベル3が専門領域のプロジェクト経験も評価対象とする点は、実務から何を得たかを言葉にする視点と同じ方向です。
例えば議事録であれば、発言を記録するだけでなく、論点、決定事項、次の行動を分け、会議後の意思決定に使える形にすると経験の質が変わります。同じ作業を繰り返すときも、判断基準と改善点を残せば、次の案件で再利用できます。以下は、現在の状態から次に積む経験を考えるための整理例です。
| いまの位置 | 次に積みたい経験 | 言語化の方向 |
|---|---|---|
| 指示された作業を正確にこなせる | 作業の背景にある論点を自分で言えるようにする | 「何をやったか」でなく「なぜそれが必要だったか」 |
| 資料は作れるが型が定まらない | 再現できるフォーマット・切り口を数種類持つ | 「毎回ゼロから」でなく「この型で整理した」 |
| 専門領域がまだ見えない | 関わった案件で自分が面白いと感じた領域をメモする | 「なんでもやります」でなく「ここを深めたい」 |
案件の切り替わりが速いと、経験を振り返らないまま次へ進みがちです。その状態が続くと、対応した案件は増えても、得意領域と再現できる進め方を説明しにくくなります。案件が終わったら、自分が判断したこと、次回も使える手順、深めたい領域を短く記録すると、専門を選ぶ材料が残ります。
30代のITコンサル|専門性とリード経験を結びつける
30代の所定内給与は全産業の統計でも上昇していますが、それを個人の市場価値と読み替えることはできません。リメディ編集部では、30代の棚卸しでは、専門性と、案件やチームをリードした経験を分けて確認するのが有効だと考えています。ITSSのレベル3が専門領域のプロジェクト経験を、レベル4が専門家としての認知度も評価対象とする点を、振り返りの参考にできます。
専門性は、業界名や技術名を一つ選べば完成するものではありません。「どの領域で、どんな課題を、どの範囲まで解けるか」まで言葉にすると、経験の深さを確認できます。幅広い案件を経験している場合は、共通して使った判断基準や、繰り返し任された工程を探ると、軸を見つけやすくなります。
マネージャーを目指す場合も、昇格の有無だけでは経験の価値を判断できません。論点設計、提案、進捗・品質管理、後進支援のうち、どの範囲を実際に担ったかを分けて振り返ります。専門を深める道と管理範囲を広げる道は併行することもあるため、役職名だけで二者択一にしないことが大切です。
| 観点 | 伸びやすい向き合い方 | 横ばいになりやすい向き合い方 |
|---|---|---|
| 専門の決め方 | 1つの領域を「解ける課題」まで具体化する | 案件ごとに領域が変わり、軸が定まらない |
| リードへの上げ方 | 論点設計・提案づくり・後進育成に手を伸ばす | 手を動かす役割にとどまり続ける |
| 自己評価の置き方 | 「何をリードできる人か」で自分を語れる | 昇格の可否だけで自分の価値を測る |
案件数や忙しさは、そのまま専門性の説明にはなりません。自分が設計した論点、引き受けた責任、結果として変わったことを1案件ずつ書き出すと、リード経験の有無が見えます。昇格が想定より遅い場合は、役職名だけで自己評価せず、現在担っている責任と次に足す経験を分けて考えます。役職別の年収はコンサル業界の年収で確認できます。
40代のITコンサル|パートナー/事業会社/独立の分岐をどう考えるか
40代のキャリアを、職業情報の平均年齢38.3歳から機械的に導くことはできません。この数値は関連する職業分類の統計であり、転機となる年齢を示すものではないからです。リメディ編集部では、40代の棚卸しをファーム内で責任を広げる、事業会社で変革の実行を担う、独立して案件獲得から実行まで担うという3つの例で整理しています。これらは網羅的な進路でも、年代による既定路線でもありません。
| 分岐 | 何をする人か | 向きやすい条件 | 選ぶ前に確認すること |
|---|---|---|---|
| ファーム内の上位役割 | 案件獲得、品質、売上、組織運営の責任を広げる | 専門領域の提案実績がある/顧客と継続的な関係を構築してきた | 案件実行と組織・売上責任の比重が志向に合うか |
| 事業会社の変革リード職へ | DX推進・経営企画・PMOなど、当事者として変革を回す | 「支援」より「自分が成果を出す」ことに関心/特定業界・機能の深さがある | 提案して去る立場から、腰を据えて実行する立場への変化を受け入れられるか |
| 独立・当事者側へ | 自営やフリーランス、あるいは経営層として自ら意思決定する | 自分の名前で仕事が来る関係資産がある/裁量と引き換えに収入の変動を受け入れられる | 案件が途切れたときの備えと、営業まで含めて自分で回せるか |
事業会社の変革職を検討するときは、IPAのDX推進スキル標準が比較軸になります。同標準の「ビジネスアーキテクト」は、変革の目的設定、ビジネスモデルと業務プロセスの設計、戦略の実行、関係者の調整、成果創出までを担う役割です。現在の経験のうち、この定義と共通する部分と、提案後の実行・定着化など追加で必要な部分を分けて確認します。IT業界の職域と年収はIT業界の年収とIT業界とはで扱っています。
厚生労働省の職業情報提供サイトには、ITコンサルの「一般的な就業形態」として、正規75.0%、自営・フリーランス20.5%などの回答結果が載っています。ただし、これは実際の就業者数の構成比ではなく、その職業で働く人が多いと感じる形態を尋ねた複数回答の調査です。数値から独立の多少や年代別の傾向は判断できません。独立を検討する場合は、実績に加え、案件獲得の経路、収入変動への備え、営業や契約まで自分で担う意思を確認します。
選択肢を比べるときは、肩書や所属先の印象より、実際に担う責任を見ます。ファーム内であれば案件獲得と組織運営、事業会社であれば実行と定着化、独立であれば営業と収入変動までが比較対象です。現在の実績のどこが次の役割に通用し、どこが未経験かを書き分けると、進路名だけを比べるより具体的に判断できます。
年代を通じて磨き続ける力と、持ち運べる資産
厚生労働省のITコンサルタントの能力プロフィールでは、傾聴力5.4、説明力5.0、文章力4.9、読解力4.9などが示されています。これらは不要になる技能の順位ではなく、職業間で比較するための指標です。相手の話をつかみ、考えを文書と言葉で伝える力は、現在の役割を振り返る具体的な軸です。
キャリアの棚卸しでは、論点をどう設計したか、関係者の合意をどう作ったか、自分の判断をどう説明したかの3点に分けると、案件固有の経験から別の環境でも再現しやすい力を抽出できます。技術や業界知識も重要ですが、知識名の羅列だけではなく、それを使って何を判断したかまで残します。
この「持ち運べる力」をどう言語化するかは、キャリアのどの局面でも効いてきます。エンジニアとして積んだ経験がコンサルの土俵でどう価値になるかは、エンジニアのスキルはコンサルでどう武器になるかに翻訳の型を整理しました。自分の経験を「やったこと」ではなく「何を判断し、どう動かしたか」で語れるようになると、年代が変わっても市場との対話が続けやすくなります。
年代別・キャリアの「動くタイミング」の考え方
動くか準備を優先するかは、年齢ではなく、次の役割で使える経験と不足する経験を分けられるかで判断します。案件名ではなく、課題、自分の責任、判断、成果の順で経験を説明できるかを確認してください。説明できない部分があれば、直ちに不利という意味ではなく、振り返りや追加経験が必要な箇所です。
| 年代 | まず動いてよい状態 | 準備を優先したい状態 |
|---|---|---|
| 20代 | 型が身につき、深めたい領域の芽が見えている | 作業はこなせるが、何を積んでいるか説明できない |
| 30代 | 「解ける課題」まで専門を具体化できている | 案件量はあるが、リードできる領域を言い切れない |
| 40代 | 次に担いたい責任と、そこで使える実績を説明できる | 進路の名称は比べているが、役割と責任の違いを整理できていない |
よくある質問(FAQ)
40代からITコンサルのキャリアを広げるのは遅いですか?
年齢だけで進路の可否は決まりません。まず、自分がこれまでに担った責任を「案件・組織・売上」「変革の実行・定着」「案件獲得・経営」などに分けます。次の役割で新たに負う責任と、現在の実績の差が分かれば、応募を始めるか、現職で経験を足すかを判断できます。
30代でマネージャーになれないと、キャリアは詰みますか?
マネージャー昇格が遅いという事実だけで、以後のキャリアが決まるわけではありません。昇格要件は勤務先ごとに異なるため、現在の担当範囲と次の役職で求められる責任の差を確認します。論点設計、提案、品質管理、後進支援のどこまでを担ったかを書き出せば、昇格以外の成長と、次に積む経験を分けて考えられます。
20代でITコンサルに入って、ついていけますか?
ついていけるかは年齢より、入社後の支援、配属される案件、現在の経験との接続で変わります。入社前には、最初の配属で任される作業、レビュー体制、受けられる研修、一人で担うまでの目安を募集要項や面談で確認してください。入社後は、構造化、資料化、仮説検証などの作業ごとに、指導を受けた点と自分で判断できた点を分けて振り返ります。
40代になったら独立した方がいいのでしょうか?
独立は年代による既定路線ではありません。厚生労働省サイトの就業形態データは複数回答の認識調査であり、実際の独立者比率や年代別傾向は分かりません。判断には、指名で相談される専門性、案件獲得の経路、契約・請求・税務を含む運営負担、収入変動への備えを使います。裁量だけを比べず、ファームに所属する場合に得られる営業基盤やチーム支援との差も確認してください。
年代別のITコンサルの年収はどれくらいですか?
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、ITコンサルタントが属する主な職業分類に対応する年収は889万円です。同サイトも、統計データは必ずしもITコンサルだけを表すものではないと注記しています。年代別のITコンサル年収を直接示す公的統計ではないため、年齢別の金額は断定できません。企業・役職別の情報は、コンサル業界の年収とIT業界の年収の記事を参照してください。
年代別のキャリアで迷ったら|相談の前に整理したいこと
相談や応募の前に整理したいのは、現在担える業務、再現できる強み、次に担いたい責任、足りない経験の4点です。20代・30代・40代という区分は、その振り返りを始めるための補助線にすぎません。年代の一般論に自分を合わせるのではなく、実際の経験から次の行動を決めます。
自分で4点を整理でき、応募先の役割との差も説明できるなら、まずは自分で情報収集を進められます。一方、経験が幅広く軸を絞れない、進路ごとの責任の差が分からない、現職に残る選択肢も含めて比べたい場合は、第三者と棚卸しすると比較軸を作りやすくなります。
リメディは、ITコンサルの職務経歴を確認しながら、実績の共通点、進路ごとに変わる責任、追加で積みたい経験を整理するサービスです。転職を決めていない段階でも、現職に残る場合と移る場合の両方を比べる相談が可能です。
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