
監修者
リメディ株式会社 ディレクター
馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji
神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
本記事のポイント
証券営業からM&A仲介へ転職できる?
証券会社で新規開拓、富裕層・経営者対応、法人ソリューション、M&A実務を経験した人は、M&A仲介へ直接転職を狙える場合があります。複数社の公式採用サイトには証券出身社員の事例があります。ただし、金融商品を提案した経験と、会社の譲渡を成約まで担う経験は同じではありません。担当顧客、案件期間、意思決定者、社内外調整を分けて準備してください。
リテール営業でも応募できる?
営業経験を広く対象とする求人はあります。リテール営業では、顧客ゼロから接点を作る力、相場変動時にも対話を続ける力、経営者・富裕層との信頼構築を示せます。一方、法人財務や組織の意思決定は補強が必要です。顧客属性ではなく、課題把握から意思決定までの行動を伝えましょう。
志望動機では何を差別化する?
「高い報酬」や「成長市場」だけでなく、証券営業で感じた顧客支援の限界と、応募先の案件モデルを接続します。たとえば、専門部署へ引き継いだ後も経営者に最後まで寄り添いたいなら、専任制や一気通貫で担える範囲を企業固有の理由にできます。
証券営業からM&A仲介へ転職できるか
証券営業からM&A仲介への転職は、公式事例のある現実的なルートです。M&A総合研究所は営業経験を条件とするM&Aアドバイザー求人を掲載し、公式メディアで野村證券や大手証券会社から転身した社員を紹介しています。M&Aキャピタルパートナーズにも、大手証券会社でリテール営業や法人向け提案を経験した社員の公式インタビューがあります。
ただし、準備すべき内容は証券会社内の役割によって変わります。M&A・投資銀行部門、法人営業、リテール営業の順に、M&A業務へ直接説明できる工程が異なるためです。会社名や営業成績だけでなく、自分が顧客のどの意思決定を支えたかを分解してください。
| 証券での経験 | 直接ルートの見立て | 強み | 補う点 |
|---|---|---|---|
| M&A・投資銀行部門 | 高 | 企業分析、資料、実行、専門家連携 | 中小企業オーナーの直接開拓、仲介モデル |
| 法人営業 | 中〜高 | 役員折衝、資本政策、組織意思決定 | 譲渡案件の一気通貫推進 |
| リテール営業 | 中 | 新規開拓、富裕層・経営者との信頼構築 | 法人財務、長期案件、複数株主の調整 |
| 営業マネジメント | 経験次第 | 行動設計、育成、成果の再現 | 自ら案件を持つプレイヤー実績 |
証券営業の経験が評価される4つの場面
顧客ゼロから接点を作る新規開拓
証券リテールでの新規開拓は、M&A仲介の案件発掘へ接続しやすい経験です。名簿や既存関係だけに頼らず、誰を選び、どの仮説で接点を作り、断られた後に何を変えたかを説明しましょう。行動量の多さより、改善を続けて商談化した過程が再現性になります。
相場変動時の顧客対話
市場が想定と反対に動いた場面で、顧客に不都合な情報も伝え、判断を支えた経験は重要です。M&Aも条件変更や買い手の離脱など不確実性を伴います。良い局面だけでなく、難しい局面で信頼を守った行動を準備してください。
適合性を踏まえた提案
顧客の資産状況、目的、リスク許容度を確認して提案を変えた経験は、経営者の希望と会社の状況を分けて聞く姿勢につながります。ただし、金融商品の適合性とM&Aの利益相反・説明責任は同一ではありません。顧客本位を具体的な行動で示すことが大切です。
法人・オーナー双方を捉える視点
オーナー個人の資産と法人の資本政策を同時に見た経験は、事業承継の入口で役立ちます。一方、会社の譲渡では従業員、取引先、買い手、株主など影響範囲が広がります。個人の希望だけでなく、企業の存続と成長まで考えた経験があるか振り返りましょう。
入社後に証券営業の強みが生きるのは「会う前」と「迷う時」
公式の仕事内容では、M&A仲介の担当範囲は企業への提案からトップ面談、条件調整、成約まで続きます。証券営業の経験が生きやすいのは、商品知識をそのまま持ち込む場面ではなく、まだ相談になっていない経営課題へ接点を作る時と、顧客が不確実な選択肢の間で迷う時です。
面談前の仮説で、経営者に会う理由を作る
新規開拓で業界、顧客属性、過去の反応から提案仮説を変えてきた人は、譲渡を前提にしない初回接点で力を使えます。相手にとっての価値は、件数を追うことではなく、事業承継、成長資金、株主構成など話す意味のある論点を持って面談を始められることです。企業価値評価や譲渡意向の確認は別途学ぶ必要があります。
条件が揺れた時も、不都合な情報を隠さず対話を続ける
相場下落や提案見送りの局面で顧客との関係を保った経験は、買い手候補の離脱や条件変更が起きた案件で生きます。売り手に都合のよい話だけをするのではなく、選択肢と影響を分けて伝えることで、経営者が判断を止めずに済みます。ただし、M&A固有の契約条件や利害調整は証券取引とは異なります。
オーナー個人と会社の希望を分けて聞く
富裕層・法人の双方を担当した人は、個人資産の意向と会社の成長課題を分けて聞く習慣を生かせます。これは、売却対価だけでなく従業員、取引先、買い手との相性まで論点を広げる土台です。入社後は、株主間の関係、会社法・税務・契約、買い手側の投資判断を補い、信頼構築を案件全体の合意形成へ広げる必要があります。
これらは公式業務と証券経験の接点を整理した編集部の見解であり、特定部門への配属や成果を保証するものではありません。応募先ごとに、顧客獲得の方法、専任・分業の範囲、入社後に担当する工程を確認してください。
金融商品営業と会社譲渡支援の違い
証券営業とM&A仲介はいずれも信頼が重要ですが、対象と期間、関係者が違います。前職を否定する必要はありません。違いを理解したうえで、証券で得た力をどこに使い、何を新しく学ぶかを示す方が説得力があります。
| 比較 | 証券営業 | M&A仲介 | 準備する答え |
|---|---|---|---|
| 対象 | 金融商品・資産形成・資本市場 | 会社・事業の譲渡と成長 | なぜ会社の意思決定まで担いたいか |
| 主な相手 | 個人、富裕層、法人 | オーナー、買い手、専門家、株主 | 複数利害をどう調整したか |
| 案件期間 | 商品・提案により異なる | 発掘から成約まで長期化し得る | 成果が遅い期間に何を続けるか |
| 成果 | 預かり資産、収益、顧客成果等 | 案件発掘、進捗、成約、顧客価値 | 数字と顧客本位をどう両立したか |
リテール・法人・M&A部門別の転職ルート
リテール営業は、新規開拓と経営者・富裕層との関係構築を主軸に直接応募を検討できます。法人営業は役員折衝や資本政策の提案をM&A工程へ接続しやすく、M&A部門経験者は担当した分析・資料・交渉・実行の範囲を示せます。
| 現在地 | 第一候補 | 迂回候補 | 選考での焦点 |
|---|---|---|---|
| リテール新規開拓 | 営業経験を広く見る仲介会社 | 法人営業・M&A周辺職種 | 顧客獲得の再現性と法人理解 |
| 富裕層オーナー担当 | ソーシング、一気通貫型 | 金融提携 | 個人資産と法人課題を分けて説明 |
| 法人ソリューション | M&Aアドバイザー | FA・FAS | 役員折衝と案件推進の範囲 |
| M&A・投資銀行 | 経験者ポジション | ミッドキャップ・専門部門 | 担当工程と仲介モデルへの適応 |
公式社員事例から転職理由を組み立てる
M&Aキャピタルパートナーズの公式インタビューでは、証券会社で事業承継課題を持つオーナーに会いながら、当時の職域では専門部署へ紹介するところまでだった経験が転職の背景として語られています。M&A総合研究所の公式メディアにも、証券会社で個人・法人営業やマネジメントを経験し、一気通貫の支援へ移った社員の事例があります。
ここから学べるのは文章のコピーではありません。前職で出会った顧客課題、自分の職域で届かなかった範囲、応募先で担いたい工程の3点を、自分の実体験でつなぐことです。会社固有の分業や専任制まで確認すれば、志望理由が企業研究と一致します。
公式求人3社で見る応募先の違い
| 企業 | 公式情報の特徴 | 証券経験の接続 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| M&A総合研究所 | 営業経験、AI/DX、分業、教育支援 | 新規開拓、論理性、法人・個人営業 | 配属部門とマッチングの分担 |
| 日本M&Aセンター | 多様な前職、一連の業務、組織的支援 | 証券営業、M&A部門、オーナー支援 | 部門の顧客基盤と担当工程 |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 専任制、直接提案、専門家支援 | 新規開拓、顧客本位、案件責任 | 専任で担う覚悟と開拓モデル |
報酬だけで応募先を決めると、専任・分業、直接開拓・提携、担当案件の規模といった仕事の違いを見落とします。報酬構造はM&A仲介の年収記事も参考にしながら、応募時点の公式募集要項で制度を確認してください。
職務経歴書は営業成績を顧客意思決定へつなぐ
証券営業の職務経歴書では、預かり資産、収益、表彰などの数字だけでなく、顧客の課題と提案プロセスを示します。特に、相場が不利に動いた局面、顧客の反対、社内専門部署との連携、提案を見送った判断は、顧客本位と案件推進を証明する材料です。
| 弱い表現 | 不足 | 改善方向 |
|---|---|---|
| 新規開拓で表彰 | 方法と再現性が不明 | 対象選定、接点、仮説、改善、商談化を書く |
| 富裕層へ総合提案 | 顧客課題と判断が不明 | 資産・法人・承継の論点をどう分けたかを書く |
| 法人案件を専門部署へ紹介 | 紹介後の関与が不明 | ニーズ発掘、情報整理、同席、顧客フォローを書く |
| 顧客本位を徹底 | 抽象的 | 販売を見送った判断や不利情報の説明を書く |
詳細な書き分けはM&A仲介の職務経歴書の書き方で確認できます。
面接で準備する質問と逆質問
面接では「なぜ証券を辞めるか」より、証券で得た力を残しつつ、なぜM&A仲介で担当範囲を広げたいのかを説明します。前職批判ではなく、顧客支援の次の責任として語りましょう。
- 証券会社で最も難しかった新規開拓をどう改善したか。
- 顧客に不都合な情報を伝えた場面で、信頼をどう守ったか。
- 事業承継や法人課題に接した際、自分はどこまで関与したか。
- 金融商品の提案と会社譲渡支援の違いをどう理解しているか。
- M&Aの知識不足を入社前後にどう埋めるか。
逆質問では、初回接点の作り方、担当工程、マッチング部門との役割、専門家支援、未経験者が単独担当になる条件を確認します。公式サイトで分かる内容を聞き直すのではなく、自分の証券営業経験が現場で生きるかを検証できる問いにしてください。
証券営業の案件経験をM&Aの工程へ対応させる
証券会社で「事業承継に関わった」「法人へM&Aを提案した」と書く場合、本人の担当範囲を正確に切り分ける必要があります。リテール担当者がオーナーの課題を見つけて専門部署へ紹介した経験と、M&A部門で企業分析や条件交渉を担った経験では、応募先へ示せる証拠が異なります。M&A仲介の公式募集要項は、案件開拓、企業評価、買い手提案、トップ面談、条件調整、契約、成約までの仕事内容を掲げています。証券で担った工程と、仲介会社で新たに担いたい工程を分けてください。
| 証券会社での経験 | 本人が説明する行動 | M&A仲介で接続する工程 | 補うべき範囲 |
|---|---|---|---|
| リテールの新規開拓 | 対象選定、初回接点、断られた後の改善、継続提案 | 経営者への直接提案、案件の起点づくり | 法人財務、会社組織としての意思決定 |
| 富裕層・オーナー対応 | 個人資産と法人課題を分け、専門部署へつないだ過程 | 事業承継課題の発見、初期面談 | 譲渡意思の形成、相手探し、契約実務 |
| 法人ソリューション営業 | 経営課題、提案仮説、役員合意、社内専門部署との連携 | 企業課題の整理、買い手・売り手への提案 | 一案件を成約まで主担当として動かす経験 |
| M&A・投資銀行部門 | 分析、資料作成、交渉、実行支援の具体的な担当 | 企業評価、条件調整、案件進行 | 中小企業オーナーへの直接開拓、仲介モデルの理解 |
商品販売の実績をM&A案件の実績へ言い換えてはいけません。一方で、相場が急変したときに不利な情報を説明した経験、販売を見送った判断、顧客の家族や法人担当者を交えた合意形成は、顧客本位や複雑な意思決定を支えた証拠になります。扱った商品名を並べるより、顧客の判断が難しい局面で何を説明し、どの選択を支えたかを示しましょう。
リテール・法人・M&A部門で実績の見せ方を変える
同じ証券会社出身でも、応募時に使う中心実績は異なります。リテール営業は新規開拓と長期の信頼維持、法人営業は経営課題と組織的な提案、M&A部門は分析・実行の専門性が中心です。営業マネジメント経験者は、部下の成果だけでなく、自分自身が最近どの顧客課題を解き、どの案件を動かしたかも用意してください。
| 経歴 | 職務経歴書の主役 | 応募時に説明する再現性 | 避けたい表現 |
|---|---|---|---|
| リテール営業 | ゼロからの接点、難しい相場での説明、長期関係 | 既存顧客がいない状態での対象選定と接点設計 | 富裕層担当だから経営者営業も同じと断定する |
| 法人営業 | 資本政策・承継・財務課題を含む提案と役員折衝 | 社内外の専門家を動かし、意思決定を進めた過程 | 専門部署が担った成果を自分の実績に含める |
| M&A部門 | 案件類型、担当工程、分析・交渉・実行支援 | 専門性を中小企業オーナーへの提案へどう移すか | 案件名や未公表情報を過度に具体化する |
| 営業管理職 | 自らの顧客実績と、育成・行動改善の両方 | プレイヤーとして案件を作り続ける行動の鮮度 | 組織実績だけで本人の役割が見えない |
たとえばリテール営業で事業承継の相談を受けたなら、顧客との関係年数や預かり資産ではなく、相談が生まれた会話、法人・個人の論点をどう分けたか、専門部署へ何を共有したか、紹介後も顧客へどう説明したかを中心にします。法人営業なら、経営者と財務担当者の意見が異なる場面で論点を整えた行動が使えます。M&A部門経験者は、担当した分析だけでなく、経営者に近い営業へ移る理由を明確にしてください。
実績数値は顧客情報を守って構造化する
証券営業の実績には、預かり資産、手数料収益、新規資金、紹介件数、社内表彰などがあります。ただし、顧客名、保有資産、取引内容、未公表の資本政策を特定できる情報は開示しません。M&A部門経験者も案件名や条件を安易に書かず、前職の守秘義務と社内規程を優先します。
| 数値・事実 | 伝える目的 | 匿名化の方法 | 併記する行動 |
|---|---|---|---|
| 新規開拓の成果 | 接点づくりの再現性 | 社内で開示できる達成状況や期間に限定 | 対象選定、初回提案、改善、継続接点 |
| 顧客資産・収益 | 担当規模ではなく顧客責任を示す | 個別顧客を特定できる金額は避ける | 不利情報の説明、提案見送り、長期フォロー |
| 法人案件・承継相談 | 経営課題への接点を示す | 会社名、精密な規模、時期、家族事情を伏せる | 課題発見、専門部署連携、顧客への説明 |
| M&A実行案件 | 専門性と担当工程を示す | 公表済み案件でも前職規程を確認する | 本人の分析、資料、交渉、進行管理の範囲 |
数字は大きさを競うためではなく、行動の結果を読み手が理解するために使います。「新規資金を獲得した」だけでなく、どの顧客層を選び、どんな仮説で接点を作り、拒否理由をどう分析し、提案をどう修正したかまで書きます。開示できない案件では、守秘のため匿名化していることを伝え、質問されても境界を越えて話さないことが大切です。
職務経歴書と応募時の説明を一つの事例でつなぐ
職務経歴書に「顧客本位の営業」「法人課題への提案」と書いても、面接で具体例を別の案件から話すと、本人の強みがぼやけます。主な実績を二つから三つに絞り、顧客状況、課題、本人の判断、社内外の関係者、結果、M&A仲介での再現先を一枚にまとめてください。書類は要点、応募時の説明は判断の理由と失敗からの改善を補う役割です。
| 書類の主張 | 説明で確認する事実 | 募集職務との接続 | 矛盾の点検 |
|---|---|---|---|
| 新規開拓に強い | 顧客リストがない状態で何を起点にしたか | ダイレクトソーシング、案件開拓 | 会社から与えられた見込み客だけではないか |
| 顧客本位を徹底 | 収益より顧客利益を優先した具体的な判断 | 経営者への誠実な説明、長期信頼 | 理念の言い換えだけになっていないか |
| 法人課題を解決 | 本人が捉えた課題と専門部署へ渡した情報 | 企業分析、提案、専門家連携 | 部署全体の成果を本人の成果にしていないか |
| M&A実務に精通 | 案件類型、担当工程、判断した論点 | 評価、条件調整、契約、案件進行 | 資料作成だけなのに一気通貫と表現していないか |
うまくいかなかった営業経験も準備します。M&A仲介では長期で不確実な案件を扱うため、失注理由をどのように把握し、顧客への対応や自分の行動をどう変えたかは重要な判断材料になります。ただし、これは各社が公開した面接質問ではありません。公式募集要項の仕事に対し、自分が同じ状況でどう行動するかを検証する準備です。
企業選択は顧客獲得・担当モデル・報酬の公開範囲で比べる
M&A総合研究所の公式求人は、企業情報部がダイレクトソーシングから案件を担い、マッチングは別部門が担当する職務を説明しています。日本M&Aセンターは、案件発掘、企業評価、概要書、交渉、基本合意、デューデリジェンス対応、契約など幅広い工程を掲載しています。M&Aキャピタルパートナーズは、直接提案と専任制、一気通貫の担当、専門家チームの支援を掲げています。証券営業のどの経験を使いたいかによって、合うモデルは変わります。
| 比較軸 | 公開情報で確認 | 自分から質問 | 証券経験との接続 |
|---|---|---|---|
| 顧客獲得 | 直接提案、提携先、担当部門 | 入社直後の対象顧客と接点づくり | リテール開拓、法人関係、紹介ネットワークのどれを使うか |
| 担当モデル | 専任・分業、マッチング、専門家支援 | 本人が主担当になる工程と時期 | 一人で広く担うか、専門部署と案件を進めるか |
| 育成 | 入社時研修、OJT、教育部門 | 同行、案件レビュー、独り立ちの判断 | 法人財務や契約実務の不足をどう補うか |
| 報酬・評価 | 基本給、成果連動の制度、公開される条件 | 個人とチームの評価、支給時期、制度変更 | 報酬だけでなく顧客本位と案件品質も確認 |
公式求人に平均報酬やインセンティブの説明があっても、それだけで自分の入社条件や将来収入は決まりません。基本給、成果の計上時点、案件が長期化した場合の扱い、個人と部門の評価、顧客への適切な説明や案件品質をどう扱うかを確認します。証券会社と同じく、制度の見出しではなく、現場で何をすれば評価され、顧客へどの責任を負うのかを理解してから選びましょう。
応募前30日で整える準備
| 週 | 準備 | 完成物 |
|---|---|---|
| 1週目 | リテール/法人/M&A部門の経験を顧客・課題・行動・結果で棚卸し | 経験マップ |
| 2週目 | 公式求人3社の顧客獲得、専任/分業、担当工程を比較 | 企業比較表 |
| 3週目 | 財務三表、企業価値、DD、株式譲渡、仲介とFAの違いを学ぶ | 基礎知識メモ |
| 4週目 | 転職理由、志望理由、実績、逆質問を企業別に模擬 | 面接回答 |
証券営業からM&A仲介への転職でよくある質問
証券外務員資格は評価される?
資格は金融商品の取扱経験を示しますが、M&Aアドバイザーの担当業務を代替するものではありません。資格名だけでなく、適合性確認、不利情報の説明、顧客判断を支えた場面を話してください。
リテール営業は法人営業より不利?
一律には決まりません。リテールでも経営者・富裕層への新規開拓と長期関係を持つ人は強みがあります。一方で法人財務や組織意思決定の理解は補う必要があります。経験の名称より、M&A業務への距離で判断しましょう。
高年収を志望理由にしてもよい?
報酬は企業選びの大切な条件ですが、主理由だけにすると顧客本位や仕事理解が伝わりません。担当範囲、案件モデル、成長したい専門性、顧客へ届けたい価値と組み合わせて説明してください。
今すぐ応募するケースと先に経験を補うケース
応募のタイミングは、証券会社での役職や営業表彰だけでは決まりません。M&A仲介の公式募集要項が示す仕事内容に対して、新規開拓、経営者との信頼構築、法人課題の把握、専門部署との連携を具体的な事例で説明できるかを確認します。営業経験を広く対象とする求人はありますが、証券出身という属性だけでなく、本人の行動と担当範囲が必要です。
| 現在地 | 応募判断 | 準備する証拠 | 不足の補い方 |
|---|---|---|---|
| リテールで経営者・オーナーを新規開拓 | 営業経験対象求人を比較 | 対象選定、初回接点、難しい局面の説明、長期関係 | 法人財務と会社組織の意思決定を学ぶ |
| 法人営業で資本政策・承継へ関与 | 直接応募を検討 | 課題仮説、役員合意、専門部署連携、本人の担当工程 | 譲渡案件の相手探し・契約実務を学ぶ |
| M&A・投資銀行部門 | 経験者職を含めて比較 | 案件類型、分析、資料、交渉、進行管理の本人範囲 | 中小企業オーナーへの直接開拓を準備 |
| 営業管理職で顧客担当が少ない | プレイヤー経験の鮮度を点検 | 最近の顧客事例、自分の新規開拓、改善行動 | 自ら案件を作る行動を実務で増やす |
先に経験を補うなら、資格名を増やすだけでなく、募集職務に近い行動を増やします。法人オーナーとの同席を担う、事業承継相談で課題整理と専門部署への引き継ぎ資料を作る、法人財務を用いた提案を担当する、M&A部門との案件会議で本人の役割を持つなどです。社内で得られない企業評価・契約の知識は、学習内容と理解できていない論点を明確にします。
報酬を高めたい気持ちだけでなく、会社そのものの譲渡という不可逆性の高い判断を支える責任を引き受けられるかも確認してください。商品提案より案件期間が長く、売り手、買い手、家族、従業員、専門家の意向をまたぐ場面があります。自分が得たいものと、顧客へ負う責任を同じ重さで説明できる状態になってから応募先を選びましょう。
応募企業ごとに最終確認シートを作る
複数社へ同時に応募する場合も、志望動機と逆質問を共通化しすぎないでください。M&A総合研究所では企業情報部と法人部の分業、M&Aキャピタルパートナーズでは直接提案と専任制、日本M&Aセンターでは金融・会計ネットワークと幅広い工程が公式情報の比較点です。一社ごとに、顧客の入口、本人の担当工程、専門家支援、育成、評価の公開範囲を一枚へまとめます。
- 前職の主な顧客と、応募先で最初に接点を作る顧客は一致するか。
- 自分が得意な新規開拓・法人提案・分析は、どの担当工程で使われるか。
- マッチングや契約実務を別部門へ渡すのか、本人が主担当として担うのか。
- 未経験工程について、研修・同行・案件レビューはどのように行われるか。
- 報酬条件だけでなく、顧客本位・案件品質・部門連携をどう確認したか。
このシートと職務経歴書を並べ、同じ実績が会社ごとに別の意味へ変わっていないかを点検します。新規開拓の事例はどの会社でも使えますが、分業会社では部門間連携、専任制の会社では案件全体への責任を補足する必要があります。会社の特徴に合わせて事実を誇張せず、同じ経験のどの側面を強調するかだけを変えてください。
証券営業の強みを顧客価値へ変換しよう
証券営業からM&A仲介へ移る際は、新規開拓、難しい局面での対話、顧客本位の判断、経営者との関係をM&Aの工程へつなぎます。同時に、会社譲渡の不可逆性、法人財務、複数利害の調整という新しい責任を理解する必要があります。
転職の可否は「証券出身」だけでは決まりません。リテール、法人、M&A部門の現在地を分け、応募先の顧客獲得と担当工程に合う証拠を準備してください。公開情報で分からない担当範囲や評価方法は、自分から確認したうえで判断しましょう。
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