
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
森 大輔 | MORI Daisuke
早稲田大学を卒業後、KPMGグループに新卒入社。
その後、みずほ不動産投資顧問株式会社などの不動産ファンドにおいて、ホテル・オフィス・レジデンスのファンドレイズ業務に従事、またブティック系FASにおいて国内M&Aアドバイザリー業務も経験。
リメディ参画後は不動産ファンド業界やM&Aファームの採用支援に従事。
不動産ファンドへの転職は、前職の業界名より、取得・期中運用・資金調達などの担当業務と求人の必須経験が重なるかで検討します。仲介、PM、不動産融資の経験にも接点はありますが、ファンド勤務歴がない人を対象にするかは職種ごとに異なります。
応募先を選ぶ順序は、経験した仕事を整理し、募集要項と照合したうえで、担当範囲と待遇を確かめること。会社名や平均年収から先に候補を決めると、自分が希望する仕事との違いを見落としやすくなります。
不動産ファンドの求人について
仲介で価格交渉を担ってきた人と、PMとして賃料・修繕費を管理してきた人では、説明しやすい経験が違います。まずは担当した工程から職種を探すと、応募条件を読む手がかりになります。
| これまでの経験 | 検討する仕事 | 職歴から確認したいこと |
|---|---|---|
| 不動産売買・仲介 | 物件探索、取得の検討・実行 | 扱った資産、価格の検討、契約交渉、決済までの担当範囲 |
| プロパティマネジメント(PM) | 保有中の運用、PM会社との調整 | 賃料・空室・修繕費の変化と、それに対する提案や判断 |
| 不動産融資 | 借入の調達、財務・資金管理 | 審査、融資条件の設計、契約、実行後のモニタリング |
| 証券・投資家対応 | 投資家への説明、資金調達・運用報告 | 説明相手、扱った商品、作成資料、質問への対応 |
| 経理・会計 | ファンド経理、資金・決算管理 | 担当勘定、資金繰り、連結・決算、委託先との分担 |
取得を担うアクイジションは、投資対象を探し、収支や物件の状態を調べ、取得へ進める仕事です。期中運用は、取得後の計画・予算を管理し、PM会社などと運営を改善する仕事。PMで培った現場の知識と、投資家側で運用を判断する経験は同じではありません。
資金調達や投資家報告を取得担当が兼ねる求人もあれば、別部門で募集する場合もあります。DBJアセットマネジメントの採用情報でも、取得・私募リート運用・ファンド管理は別の募集です。「ファンドに転職したい」を「どの業務を担いたいか」まで具体化すると、確認する求人が絞れます。
求人票は、仕事内容と応募条件を分けて読みます。仕事に興味があっても、必須の実務経験が不足していれば、資格や意欲だけで補えるとは限りません。反対に、ファンド勤務経験がなくても、売買や融資の経験を応募条件に挙げる求人はあります。
以下は2026年9月20日に確認した企業公式の募集情報です。取得と運用の条件を比較するために選んだ例であり、推奨順位ではありません。募集の継続状況と最新条件は、応募前にリンク先で確かめてください。
| 募集職種 | 担当業務の特徴 | 応募に必要な経験・知識 |
|---|---|---|
| DBJアセットマネジメント/アクイジション担当 | 取得、投資家営業、ファンド組成・借入調達など | 私募ファンドAM、不動産売買、信託受益権の売買仲介・信託受託営業、私募ファンドへの出資・ノンリコースローン業務のいずれかの経験。MS Officeスキル |
| DBJアセットマネジメント/私募リートのアセットマネージャー担当 | 運用計画・予算・資金管理、PM会社への指示、売却・取得補助など | 不動産ファンド・投資法人等でのAM経験。MS Officeスキル |
| 三井住友ファイナンス&リース/不動産マネジメント部 | 期中管理、売却、収支管理。SMFLみらいパートナーズへ出向 | 不動産取得・運用・賃貸・売却・法人仲介、不動産ファイナンス等の指定業務のいずれか3年以上。宅建士(取得予定を含む)、会計・金融知識。総合職・大卒以上 |
同じDBJアセットマネジメントでも、取得担当は複数の隣接業務を経験条件に挙げ、私募リートの運用担当はAM経験を求めています。「不動産業界の経験がある」だけでは、どちらの求人に合うかは決まりません。PM経験だけで後者の必須条件を満たすと読み替えないことが大切です。
「歓迎」と「必須」、将来の異動と当初の仕事を分ける
資格の扱いにも違いがあります。上記DBJの求人では不動産関連資格は歓迎条件ですが、SMFLの求人では宅建士または取得予定が必須条件です。資格名が載っているかだけでなく、どの欄にあるかまで読みましょう。
また、「取得から運用への異動の可能性」があっても、入社直後から両方を担うとは限りません。面接では「最初に主担当となる業務」「自分が作成する資料」「最終判断をする人」を質問すると、部門全体の仕事と本人の役割を区別できます。
不動産ファンドの業務内容とは?
不動産ファンドの仕事には、物件の取得・運用、資金調達、投資家報告、管理部門などがあります。賃貸収益、運営費、修繕、資金調達、売却などが投資成果に影響するため、取得時の判断と保有中の運用は、どちらも重要です。
アクイジション
アクイジションは取得候補を検討し、取得実行まで進める仕事です。代表的な工程は、投資方針に合う候補を探すソーシング、デューデリジェンス、価値評価、契約実行です。工程の分け方や外部専門家との役割分担には会社ごとの差があります。
候補物件については、法務、建物、収支などの論点を調べ、将来収支の前提から価値を検討します。面接で重要なのは、分析した事実だけでなく、疑った前提と判断への反映です。
取得を進める場合は、条件交渉、社内承認、融資、売買契約や関連文書の確認へ進みます。応募時は、分析担当だったのか、関係者をまとめて実行まで担ったのかを分けて説明してください。
取得件数だけで職務を評価せず、扱った案件の規模や難易度、自分の担当工程、投資判断への影響を確認します。報酬制度も会社・職位で異なるため、求人票と個別オファーで比べます。
アセットマネージャー(期中管理)
アクイジションが取得した不動産から得られる収益を継続的に最大化していく業務がアセットマネジメント業務です。不動産は経年とともに劣化するので修繕や更新等の費用がかかってきます。また、テナントの退去が発生することで賃料減少による収益力低下という事態も想定されます。
アセットマネジメントでは、プロパティマネジメント会社などと連携し、賃貸、修繕、予算、実績を管理します。当初計画との差を確認し、保有方針や売却を含む選択肢を検討するのも役割の一部です。求人では担当アセットと投資家報告の範囲も確認してください。
その他ミドル、バックオフィス
取得・期中運用以外にも、資金調達、投資家報告、経理、法務・コンプライアンスなどの仕事があります。デット調達では、金融機関との条件調整や契約、返済・財務制限条項の管理などが担当候補です。
投資家対応では、出資検討に必要な情報の提供や、運用状況の報告などを担う場合があります。資金調達と運用報告を同じ担当者が担うとは限りません。
管理部門の候補は、ファンド経理、組成支援、法務・コンプライアンス、人事・総務などです。職種名だけでなく、外部委託先との分担と社内で担う判断を確認します。
求人票で担当工程の境界を見分ける
求人票に部門全体の仕事が書かれていても、採用される本人がすべてを担当するとは限りません。動詞と成果物に注目し、入社直後に自分が作るもの、提案する相手、承認する人を切り分けます。
| 求人票の記載 | まだ分からないこと | 面接での確認例 |
|---|---|---|
| 投資案件の検討 | 候補探索、分析、委員会説明、契約のどこを担うか | 入社直後に主担当となる工程と最終承認者は誰か |
| アセットマネジメント | 予算管理、リーシング、修繕、売却の担当境界 | 担当アセットと外部PM会社への指示・承認範囲はどこまでか |
| 投資家対応 | 既存投資家への報告か、新規資金調達も含むか | 本人が作る資料、説明する相手、使用言語は何か |
| ファンド管理 | 会計、契約、コンプライアンスの内製・委託範囲 | 外部委託先の成果物を誰がレビューし、判断するか |
| 幅広く担当 | 恒常的な兼務か、将来の異動可能性か | 最初の半年で任される業務と評価指標は何か |
「幅広く経験できる」という説明は、入社直後の責任へ置き換えて確認してください。将来の可能性と現在の欠員業務を分ければ、入社後の期待違いを減らせます。
不動産ファンドとREITの仕組みを理解する
不動産ファンドの仕組みを理解する
不動産ファンドを理解するには、物件そのものだけでなく、投資家から集めた資金をどの仕組みで運用し、収益とリスクをどう配分するかを見る必要があります。
そのような投資対象としては、株式、債券等、様々な金融商品がありますが、不動産も金融商品としての顔を持っています。株式から配当、債券から利払いといった収益が得られるのと同様に、不動産を所有しテナントに賃貸することで賃料という収益が得られるのです。
賃貸収益を得ることを目的とする不動産は売買され、取得後の運用や将来の売却までを含めて投資判断が行われます。取引量は対象資産や集計期間で変わるため、応募先が扱うアセットタイプと投資戦略を個別に確認してください。
不動産ファンドは、投資家から集めた資金や借入金を使って不動産等へ投資し、賃貸収益や売却損益などを投資成果へつなげます。どの資金を使い、何に投資し、どの期間で回収するかはファンドごとに異なります。
REITの仕組みを理解する
不動産ファンドでは、投資目的や法的な枠組みに応じてヴィークル(器)が使われます。ヴィークルを通じた投資は、直接不動産を保有する場合と、権利、費用、流動性、運営への関与が同じではありません。
ヴィークルには様々なものがありますが、その内の一つがREITです。REITは「Real Estate Investment Trust」の略称で、日本のJ-REITでは投資法人という形が用いられます。
J-REITの投資法人は、投資証券を発行して資金を調達する仕組みです。投資家は投資口を保有し、運用成果に応じた分配を受けます。
上場しているJ-REITの投資口は取引所で売買できます。ただし、実際の売買可能性は取引時間や流動性にも左右されるため、「いつでも売れる」とは限りません。
Excel・Wordのスキルを業務に合わせて示す
取得では収支モデル、期中運用では予算と実績、投資家対応では運用報告など、職務によって扱う資料が変わります。応募先で数値の検証と文書による説明をどこまで担うかが確認事項です。
不動産価値や事業計画を検討する場面では、賃料、稼働、運営費、修繕、資金調達など複数の前提を扱います。面接では、計算結果だけでなく、前提の出所、確認者、変更時の影響を説明できるかが準備の要点です。
表計算ソフトの要件は求人ごとに確認してください。実務経験を示す場合は、基本関数の名称を並べるより、どの収支項目を検証し、前提変更をどう反映し、レビュー可能な状態へ整えたかを具体化します。
契約、社内承認、投資家報告などの文書を扱う求人では、読み手、判断事項、根拠を分けて書く力が必要です。使用ソフトを全社共通と決めつけず、募集要項と面接で実際の成果物を確認します。
ツール名より、数字と文章を使って誰の判断を支えたかを示してください。未経験の成果物がある場合は、入社前に何を学び、入社後に誰のレビューを受けるかまで整理します。
不動産ファンドの面接前に準備すること
代表案件は、規模の大きさだけで選ばず、自分の判断を説明できるものを選びます。職務経歴書に書いた結果について、面接で「なぜその案を選んだか」「ほかにどんな案があったか」を聞かれても説明できる状態が目安です。
- 前提:物件の種類、案件の目的、課題、期限を整理する。
- 選択肢:価格、募集条件、修繕、借入条件など、実際に比べた案を書く。
- 判断:自分の提案と根拠、承認者が決めた範囲を分ける。
- 調整:買主、テナント、PM会社、金融機関などとの調整を振り返る。
- 結果:提案の採否、実行後の変化、確認できていない点をまとめる。
PM経験者なら、設備の修繕を一件取り上げ、見積額だけでなく、実施時期やテナントへの影響をどう比べたかまで振り返るとよいでしょう。仲介経験者は価格や契約条件をめぐる交渉、融資経験者は収支の懸念に対して条件をどう検討したかが候補になります。これらは経験整理の例であり、実際の面接での出題ではありません。
物件名・顧客名・未公開の価格など、守秘情報を出す必要はありません。開示できる資産の種類や担当工程で説明し、数値を省くときも、自分の行動まで曖昧にしないことがポイントです。他者の判断を自分の成果に含めず、失敗や再検討があればその経緯も整理します。
選考内容は応募先からの案内で確認する
DBJアセットマネジメントの採用情報には、書類選考と面接・適性検査が案内されています。ただし、面接回数や課題の有無は業界共通ではありません。受け取った選考案内で提出物と実施内容を確かめ、必要な準備から取り組みましょう。
逆質問では「担当物件はいつ、どのように決まるか」「経験のない工程を誰がレビューするか」「入社後に期待する成果は何か」を確認します。将来やりたい仕事だけでなく、募集されている仕事を引き受ける理由まで説明できると、応募理由と職歴がつながります。
不動産ファンドの求人情報を複数経路で確認する
不動産と金融の両方を扱うため、前職経験のどこが求人要件と重なるかを整理する必要があります。採用チャネルや募集状況は会社・時期で変わるため、公式採用ページと紹介求人を同じ時点で確認してください。
自分の職歴を振り返り、取得、期中運用、資金調達、投資家対応、管理部門のどこに接点があるかを確認します。求人票だけで担当境界を判断しにくい場合は、応募先の職務を理解する相談相手へ確認する方法もあります。
相談する場合も、担当者の経歴だけでなく、どの求人・職務を根拠に助言しているかを確認してください。社風や将来性を一括評価するのではなく、配属、担当工程、評価、現行求人の違いを具体的に比較します。
応募する不動産ファンドの情報を集める
不動産ファンドの採用情報
募集状況は会社と時期で変わります。まず公式採用ページで掲載中の職種と要件を確認し、公開情報だけで担当範囲が分からない場合は、求人の背景を把握している転職エージェントへ確認します。
未経験で応募先を探すときも、会社数を広げるだけでは不十分です。必須経験、担当アセット、入社直後の業務、評価される成果を読み、自分の経験と重なる求人から優先順位を付けます。
応募職種は、経験した工程から一段隣へ広げられるかで選びます。仲介から取得、物件管理から期中運用、融資から資金調達などは候補になりますが、実際の要件と役割は募集要項で照合してください。
将来ほかの工程も経験したい場合は、ジョブローテーションの有無、異動実績、応募職種で優先される期間を面接で確認します。制度の有無だけで、希望する異動が実現すると判断しないことが大切です。
不動産ファンドの最新ニュース
応募先の投資方針や直近の取得・売却を調べるときは、公式サイト、決算・運用資料、適時開示など発行主体が明確な情報を優先します。公開情報が限られる場合は、確認できた事実と推測を分け、面接で投資対象や採用背景を質問します。
取引件数が多いことだけで、担当範囲、育成環境、働き方が決まるわけではありません。自分が担う工程、レビュー体制、同時に担当する物件数を確認し、伸ばしたい経験と負荷の両面で判断してください。
不動産ファンドの年収は求人と職位で確認する
年収は、会社の平均値、求人の募集レンジ、自分への提示額を区別して比較します。今回確認したDBJの2求人は給与を非公開としており、公開ページだけでは提示額を判断できません。金額が分からない段階で、別の会社や職位の年収を当てはめないことが大切です。
年収比較では報酬の内訳と担当責任をそろえる
不動産ファンドの報酬を比較するときは、会社の系列名だけでなく、職位、担当工程、固定給・変動給の内訳、評価対象をそろえます。不動産と金融の両方を扱う仕事でも、取得、期中運用、資金調達、管理部門では責任の範囲が異なります。
業界一律の年収レンジは置かず、現行求人と個別オファーで確認してください。提示額だけでなく、職位、試用期間、賞与の評価期間、初年度の計算方法まで比較します。
外資系は英語要件と変動報酬を求人別に見る
外資系でも、投資対象、投資家、社内の報告先、募集職種によって仕事内容と採用要件は異なります。企業名から投資姿勢や採用意欲を決めつけず、掲載中の求人と公式発表を確認してください。
報酬を比べる場合は、固定給と変動給、評価単位、支給条件、対象職位を分けます。公開根拠のない高額年収例を基準にせず、自分に提示された条件と求人票の記載を使って判断してください。
英語要件は、投資家・本社・社内会議・契約文書との接点で変わります。外資系という名称だけで要否を決めず、募集要項の必須・歓迎条件と面接で確認してください。
日系はスポンサー名より役割と評価制度を比べる
日系の不動産ファンドは、スポンサー、投資対象、運用形態、組織体制によって求人の内容が変わります。スポンサー規模から年収や担当権限を推測せず、募集職位と担当業務を確認します。
同じ職位名でも、管理する物件・ファンド、部下、投資家対応、決裁権の範囲は一致しません。年収を横並びにするときは、責任の範囲も同じ表へ置いてください。
独立系か大企業系かだけで報酬水準を断定することもできません。個別の求人、評価制度、オファー条件で比べます。
働き方や雇用の安定性も、日系・外資系という二分だけでは判断できません。勤務時間、出社方針、異動、評価、雇用契約を会社・職位ごとに確認してください。
不動産ファンド業界で活かせる資格
DBJアセットマネジメントの取得・運用求人では不動産関連資格は歓迎条件ですが、SMFLの不動産マネジメント部では宅建士または取得予定が必須条件です。資格名だけでなく、必須・歓迎の区分と、同時に求められる実務経験を照合してください。
業務との接点を説明しやすい資格
宅地建物取引士
資格の有無だけで採用や年収は決まりません。募集要項で必須・歓迎のどちらかを確認し、実務では取引や契約のどの場面で知識を使ったかを説明します。
不動産証券化マスター
不動産証券化協会認定マスターは、一般社団法人不動産証券化協会が実施する、不動産と金融分野の実践的な専門知識を扱う資格制度です。
簿記2級
簿記2級は、会計知識を学ぶ選択肢の一つです。応募先で必須・歓迎かを確認し、資格名だけでなく、収支や仕訳、予実差異の確認に知識をどう使ったかを説明します。
経理職では、会計処理を自社で担う範囲と外部委託先との分担を確認してください。資格学習で得た知識と、実務でレビュー・説明した経験は別の評価材料です。
経理に限らず、取得、期中運用、資金調達でも社外関係者との調整が生じます。
応募職種に会計知識が必要なら、学習範囲と実務要件の差を確認し、入社前に補う項目を決めておきましょう。
専門職で要件になり得る資格
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担う国家資格です。難易度や業界内の保有率を根拠なく推測せず、応募職種で資格や鑑定評価の実務がどう扱われるかを確認します。
取得・評価に関わる求人では、鑑定評価の知識を投資判断へどう接続したかが重要です。資格保有者の配属先を一括りにせず、募集職務と本人の実務経験を照合してください。
不動産ファンド業界からのキャリアパス
会社の系列ではなく、次に担う責任で比べる
次の勤務先を選ぶときは、独立系、大企業系、外資系という順番を決める前に、現在の担当と次に増やしたい責任を比べます。たとえば取得だけでなく期中運用まで担いたいのか、国内投資家に加えて海外投資家への報告を担いたいのかで、見るべき求人が変わるからです。
スポンサーや資本関係だけから、意思決定の速さ、裁量、報酬を推測することはできません。投資委員会までの距離、担当案件数、上司のレビュー、評価制度を求人と面接で確認します。
会社名より、担当工程と判断範囲が広がるかを見てください。年収が上がっても担当が狭くなる場合があるため、オファー条件と仕事内容は別々の比較軸です。
外資系を検討するときは投資家と報告先を確認する
外資系を候補にする場合の確認項目は、本社や海外投資家との接点、使用言語、投資判断の場所、国内チームの権限です。同じ会社でも取得、運用、資金調達、管理部門で要件は異なります。
昇進可能性を判断するには、スポンサーからの出向者の有無だけでなく、中途入社者の職位、評価基準、ポジションの任期を質問します。公開情報がなければ、確認事項として残してください。
外資系への転職を年収だけで決めず、変動報酬の条件と求められる成果をそろえて比べます。英語での報告や投資家対応が必要なら、その経験を入社後にどの水準まで求められるかも確認します。
業界外へ移る場合は経験を工程単位で翻訳する
業界外を検討する場合は、「不動産ファンド経験」とひとまとめにせず、案件探索、価値評価、資金調達、運用改善、投資家報告などへ分解します。転職先の職務で同じ判断や成果が求められるかを照合してください。
PEファンド、金融機関、事業会社の不動産部門などは隣接候補になり得ますが、投資対象と意思決定の仕組みは異なります。現職での肩書ではなく、担当した分析、交渉、実行、運用の範囲で説明します。
転職後に得たい経験が明確なら、現在の職場で増やせる責任と、求人で入社直後に任される責任を比較します。待遇、仕事内容、将来の選択肢を一つの評価軸に混ぜないことが重要です。
内定承諾前は担当範囲と労働条件を別々に照合する
不動産ファンドの内定を判断するときは、提示年収だけで決めず、入社後に担う工程と書面上の労働条件を照合してください。同じ「アセットマネージャー」という募集名でも、取得、期中運用、投資家報告、売却のどこまで担当するかは求人ごとに異なります。面接で聞いた将来の担当可能性と、入社直後に任される仕事を分けて確認することが大切です。
| 確認する項目 | 書面と面接で照合する内容 | 不動産ファンドでの確認例 |
|---|---|---|
| 業務内容 | 雇入れ直後の業務と変更の範囲 | 取得、期中運用、投資家報告、売却の担当境界 |
| 就業場所 | 雇入れ直後の勤務地と変更の範囲 | 出向、転勤、投資先や物件への訪問頻度 |
| 報酬 | 固定給、変動給、評価期間、初年度の扱い | 個人・チーム・ファンド実績のどれが評価へ反映されるか |
| 労働時間 | 始業・終業、時間外労働、固定残業代がある場合の内訳 | 投資委員会、決算、取得・売却時に業務が集中する可能性 |
| 雇用条件 | 契約期間、試用期間、休日、退職に関する事項 | 試用期間中の役割・報酬に相違がないか |
2024年4月以降、求人時には業務内容と就業場所について変更の範囲も明示事項に加わっています。ただし、法令上の明示事項を確認するだけで、希望する投資工程を経験できるとは限りません。最初に担当する物件・アセットタイプ、意思決定の権限、レビューする上司、投資家との接点を質問し、求人票、選考中の説明、労働条件通知書の間に違いがないかを見ます。
条件に不明点がある場合は、承諾期限の直前にまとめて聞くのではなく、優先順位を付けて確認しましょう。役割と評価のつながりが分かれば、提示年収の高低だけでは見えない入社後の経験を比較できます。
担当範囲と労働条件を整理する方法は、コンサル転職を扱った別記事の応募前・面接・オファー面談で確認する8項目も参考になります。不動産ファンドの採用要件を示した記事ではないため、確認項目を整理する際の参考として活用してください。
- 候補企業を広げたい場合は、不動産ファンドの会社一覧から各社の事業と採用情報を確認する。
- 報酬条件を詳しく比べたい場合は、不動産ファンドの年収で、比較する数字の違いを押さえる。
- 相談相手を選びたい場合は、不動産ファンド転職のエージェント選びで、情報の確認方法や支援内容を見る。
不動産ファンドへの転職でよくある質問
ファンド会社で働いたことがなくても応募できますか?
募集要項によります。不動産売買やノンリコースローンの経験を挙げる取得求人もありますが、AM経験を必須とする運用求人もあります。ファンド勤務歴と、応募職務の経験を分けて確認してください。
PM経験はアセットマネジメントに活かせますか?
賃料・修繕・運営費の管理や改善提案は、運用業務との接点になります。ただし、PMとAMは同じ経験ではありません。自分が提案した範囲と、所有者側で判断した範囲を分けて説明しましょう。
宅建士や不動産証券化マスターがあれば有利ですか?
資格の扱いは求人ごとに異なります。必須・歓迎の区分を確認し、求められる実務経験と併せて判断してください。資格の取得だけで実務経験の要件を満たすわけではありません。
英語は必須ですか?
業界全体で一律に必須とは判断できません。応募職種の条件を読み、投資家報告や社内会議、契約文書など、実際に英語を使う場面と必要な水準を確認しましょう。
給与が非公開の求人は、どう比較すればよいですか?
担当職位と経験を伝え、想定される条件を個別に確認します。金額が提示されたら、固定・変動、初年度の扱い、責任範囲をそろえて比較してください。他社の平均年収をその求人の提示額として使うことはできません。

