
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
日髙 大志 | HIDAKA Taishi
筑波大学大学院を卒業後、日本工営(開発コンサルティング会社)に新卒入社。官公庁・建設・不動産・総合商社セクターでの国際開発プロジェクトにコンサルタントとして従事。その後、KPMGコンサルティング株式会社に参画し、DXコンサルタントとして、官公庁・不動産セクターでのDX推進に携わる。
コンサルタントとしてキャリアを歩む中で、優秀な人材がポテンシャルを最大限発揮して活躍することが企業の成長へ直結することを実感し、ヘッドハンターとしてリメディに参画。コンサルティングファーム、M&A、不動産・建設業界を中心にハイキャリア層の採用・転職支援を実施。
富士通向けの職務経歴書では、「IT業界でDXに関わった」と広く見せるより、応募ロールで担う工程と、自分の主案件を一対一で結ぶことが重要です。コンサルタント、ソリューションエンジニア、開発、セールス、プロジェクトマネジメントでは、同じ案件でも残すべき判断が異なるからです。
書き分けの基準は、富士通の公式職種紹介と現行募集です。公開されていない選考基準は推測せず、本人が面接でも説明できる事実に絞ります。
富士通向けの職務経歴書は応募ロールから逆算する
富士通の公式職種紹介には、セールス、コンサルタント、ソリューションエンジニア、データ、インフラ、研究開発、ソフトウェア開発など幅広い仕事が掲載されています。システム関連職も、ビジョン策定や検証、構築、運用、その先の価値創出まで連続しています。
そのため、職務経歴書の起点は会社の大きさや技術名ではありません。まず応募する募集要項を一つ選び、「その仕事のどの工程に、自分のどの案件が対応するか」を決めます。応募先が変われば、職務要約と最初に置く案件も変えてください。
| 応募ロール | 最初に示す経験 | 案件欄で残す判断 |
|---|---|---|
| コンサルタント | 顧客課題を構造化した案件 | 調査、仮説、ユースケース、データ要件 |
| ソリューションエンジニア | 要件を実装・運用へ落とした案件 | 設計、移行、品質、運用上の選択 |
| 研究開発・ソフトウェア開発 | 技術課題を検証・実装した案件 | 選択肢比較、実装、最適化、成果物 |
| セールス | 顧客と社内外を動かした提案 | 課題、提案仮説、体制、意思決定 |
| プロジェクトマネジメント | 制約下で成果物を成立させた案件 | 計画、予算、契約、リスク、合意 |
先に募集要項と主案件を一対一で結ぶ
募集要項の業務を左側、自分の案件を右側に書き出します。対応する案件が複数ある場合は、応募職種の中心工程を最も長く説明できるものを主案件にします。足りない要件は無理に補わず、関連経験として範囲を限定してください。
職務要約・案件欄・スキル欄の役割を分ける
- 職務要約:応募ロール、対象顧客・業務、主な責任を短く示す
- 案件欄:課題、自分の判断、関係者、実行、結果を時系列で示す
- スキル欄:案件欄で使った技術・方法・資格だけを裏づけとして並べる
スキル欄にある製品名や方法論が案件欄に登場しないと、経験の深さが伝わりません。逆に案件欄で重要な判断をしているのに、職務要約が「幅広く経験」とだけ書かれている場合も、主張がぼやける原因です。
コンサルタントは仮説から実装への接続を書く
Data & AI領域の現行募集は、業界・競合・技術の調査、顧客業務の整理、課題仮説、AIユースケース、データ要件・制約、提案資料を仕事として挙げています。職務経歴書では「提案した」という結果だけでなく、何を調べ、どの業務を分解し、なぜその仮説を選んだかを残します。
| 記載項目 | 書く内容 | 確認できること |
|---|---|---|
| 調査 | 業界、顧客業務、競合、技術のどこを見たか | 仮説の前提 |
| 課題仮説 | 現象と原因をどう分けたか | 論点の組み立て |
| ユースケース | 誰のどの判断・作業を変える案か | 技術と業務の接続 |
| 実装接続 | データ要件、制約、検証、次工程 | 提案後まで見ている範囲 |
前職がエンジニアの場合は、実装の詳細を減らすのではなく、顧客業務の課題をどう発見し、どの選択肢を提案し、実装条件へ落としたかを前に出します。前職が企画職なら、企画書だけで終わらず、検証と実装部門への引き渡しまでを書きましょう。
ソリューションエンジニアは要件と運用の判断を残す
富士通の公式職種紹介は、顧客のビジョンから検証、システム構築、運用、その先の価値までを仕事の流れとして示しています。「上流から下流まで担当した」だけでは、どこで自分が判断したか分かりません。
- 要件が対立した場面で、何を優先し、誰と合意したか
- 設計の選択肢と、性能・品質・費用・移行・運用のどの制約を見たか
- 構築後に起きた障害や運用負荷へ、どの変更を加えたか
- 顧客部門へ定着させるため、手順や役割をどう変えたか
成果数値を置く場合は、本人が説明できる範囲に限定します。守秘義務で数値を出せない案件は、処理の対象、改善の方向、影響を受けた部門、定着した運用など、事実として説明できる変化で補えます。
研究開発・ソフトウェア開発は技術選択と外部価値を示す
次世代アクセラレータ向けソフトウェア開発の現行募集は、研究から開発、設計・実装・最適化、OSSを含む成果、社内外関係者との連携を扱っています。技術名を並べるだけでなく、技術課題、比較した案、採用理由、検証、利用先をつないでください。
例えば「生成AI関連の開発に従事」では、責任範囲が不明です。「どの処理上の制約を対象にし、どの設計案を比較し、何を実装・検証し、次の開発や外部成果へどう渡したか」という順にすると、技術選択の再現性が伝わります。論文、特許、OSS、製品化などは、本人の関与範囲を明記してください。
セールスは顧客課題と社内リソースの組み合わせを書く
大手金融グループ向けの現行募集は、顧客の新規ビジネスに対し、SE、プロダクト、アライアンス先と連携し、顧客と社内のキーパーソンを動かす仕事を示しています。個人売上だけでは、この体制をどう作ったかが見えません。
| 案件欄の順序 | 具体化する問い |
|---|---|
| 顧客課題 | 顧客のどの事業・業務判断が停滞していたか |
| 提案仮説 | 製品起点ではなく、何を変える案を作ったか |
| 体制 | SE、プロダクト、外部パートナーの誰をなぜ組み合わせたか |
| 意思決定 | 顧客内の論点と、前進させた材料は何か |
| 結果 | 受注だけでなく、実行・次工程へ何が移ったか |
プロジェクトマネジメントは予算・成果物・リスクを分解する
AIアクセラレータのプロジェクトマネジメント募集は、計画、実績、予算、成果物、マイルストーン、委託先、契約、リスクを管理対象に挙げています。「大規模プロジェクトを管理」だけでなく、管理対象ごとに起きた差異と、自分が行った是正を書きます。
人数や予算を示せる場合も、それだけを成果にしません。マイルストーンが遅れた原因、成果物の受入条件、委託先との契約上の論点、技術チームと事業側の認識差などから一つを選び、どの判断材料で合意したかを説明してください。
募集要項の仕事と自分の案件を対応させる
募集要項の言葉をそのまま自己PRへ貼っても、経験の証明にはなりません。「仮説」「リーダーシップ」「技術理解」などの語を、自分が実際に行った判断へ戻します。
Before / After
| Before | Afterの構造 |
|---|---|
| 金融業界のDX案件で顧客折衝から導入まで幅広く担当 | 対象業務の課題→調査・仮説→顧客と社内の論点→提案・設計判断→実装・運用への接続→本人の確定実績 |
| コミュニケーション力を生かしてプロジェクトを推進 | 利害が異なった関係者→共有した判断材料→変更した計画・要件→合意後の成果物 |
| 最新技術を活用して性能を改善 | 技術上の制約→比較した案→採用理由→実装・検証→利用または外部成果への接続 |
前職別の対応表
- SIer経験者:担当工程の広さより、要件・設計・移行・運用で自分が判断した箇所を選ぶ
- 事業会社の企画経験者:企画の名称より、業務課題、検証、実装部門との合意、定着を書く
- ソフトウェア企業の営業経験者:売上だけでなく、顧客の意思決定と技術部門をどう接続したかを書く
- 研究開発経験者:技術成果だけでなく、利用条件、開発移管、外部成果のどこまで担ったかを書く
職務要約・案件・スキルの内容をそろえる
職務要約では主案件を一文で要約し、案件欄でその判断を展開し、スキル欄で使った方法や技術を裏づけます。三つの欄で別々の強みを主張しないことがポイントです。
| 欄 | 役割 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 応募職種との接点を示す | 顧客・課題・責任・主結果があるか |
| 案件詳細 | 主張を事実で証明する | 判断、関係者、実行、結果がつながるか |
| スキル | 案件を再現する手段を示す | 案件内で使った事実があるか |
面接で深掘りされる説明を先に整える
面接回数や質問内容を予測するより、職務経歴書に書いた主案件を、背景、担当範囲、判断、反対意見、結果、次に変える点の順で説明できるようにします。チーム成果は、チーム全体と自分の担当を分けてください。
応募求人が変わる場合は、同じ案件でも説明の中心を変えます。コンサルタントなら課題仮説、セールスなら顧客と体制、PMなら制約と是正を中心にします。ただし、事実や自分の担当範囲を求人に合わせて変えてはいけません。
富士通の職務経歴書に関するよくある質問
複数の職種へ応募する場合、職務経歴書は分けますか?
主案件と職務要約は応募職種ごとに調整してください。事実は同じでも、コンサルタント、SE、セールス、PMで最初に示す判断が異なります。
成果を数値で書けない場合はどうしますか?
対象業務、変更した設計や運用、関係部門、成果物、改善の方向など、本人が説明できる事実で補います。確認できない数値は推定で置かないでください。
技術スタックはどこまで詳しく書きますか?
一覧だけで終わらせず、主案件で何の課題に使い、どの判断をしたかを案件欄へ書きます。補助的に使った技術は担当範囲を限定します。
応募時に募集要項が更新されたらどうしますか?
応募時点の募集要項を再確認し、主案件との対応表を更新してください。ここで挙げた求人例は職種差を理解する材料であり、募集継続を保証するものではありません。

