大阪府立大学中退後、教育系ベンチャー企業に入社。新店舗の立ち上げ・店舗運営・マーケティング業務に従事し、事業拡大に貢献。その後、エス・エム・エスに転職し、キャリアアドバイザーとして医療従事者の転職支援を行い、トップクラスの成績を達成。より幅広い業界・職種・年齢層の候補者様を支援するため、リメディに参画。現在はM&A、不動産、建設業界におけるエグゼクティブ採用や転職支援を担当し、多様なキャリア支援に取り組んでいる。
M&Aの取引実行が未経験でも、経営企画・経理財務・事業開発の実務経験から応募を検討できる事業会社の求人があります。買い手側でM&Aに関わりたい人は、取引経験が必須か、別の経験を応募条件として認めるかを、募集ごとに見極めましょう。
たとえば、ウィルズの経営企画募集は、M&Aの実行経験がなくても、案件の検討や事業性の評価に関わった経験を応募の目安に挙げています。ただし、専門知識や事業の実務まで不要という意味ではありません。以下は2026年10月16日に確認した各社の公式採用情報に基づく比較です。
本記事のポイント
| 応募前の疑問 | 判断の要点 |
|---|---|
| 取引未経験でも検討できるか | 経営企画や管理部門、事業開発などの経験を応募条件にする募集がある |
| 「M&A担当」なら条件は同じか | 実行経験を必須とする募集と、関連経験を選択肢にする募集を区別する |
| 準備で何を優先するか | 必須条件と担当業務に、自分が行った分析・判断・改善を対応させる |
| 提示額をどう比較するか | 職位、固定残業代、賞与などを確認し、個別求人の金額を未経験者の相場にしない。 |
未経験から事業会社のM&A担当へ転職できるか
経営企画などで事業の計画・評価・管理を担ってきた人は、その経験を応募条件に含む募集から検討できます。まず確認したいのは、取引だけが未経験なのか、関連する事業・会計の実務も未経験なのかです。
| 現在の経験 | 募集との照合 | 応募前に行うこと |
|---|---|---|
| 完全未経験:経営企画・経理財務・事業開発なども未経験 | 今回確認した専門職募集の必須経験との差がある | 現職で事業計画、管理会計、投資案の検討等に関わる機会を探し、担当できる実務を増やす |
| 隣接経験あり:関連実務はあるがM&Aの取引実行は未経験 | 関連経験を条件に含む募集を検討する | 経験した業務がどの必須条件に当たるか、具体的に説明する |
| M&A実務の経験者:DD・価値評価・契約交渉などを経験 | 実務経験を条件とする経験者寄りの募集も比較対象になる | 担当工程と入社後に担う業務を照合する |
事業会社では、自社の戦略に合う投資かを検討し、取引後の事業や組織の運営にも関わる募集があります。仲介・FA・FASの仕事も比較したい場合は、M&A業界への転職と未経験者の応募条件が役立ちます。既にFASで取引実務を経験した人は、FASから事業会社M&Aへの転職判断を参照してください。
M&A専任の肩書きがなくても、事業計画や子会社管理で担った仕事を伝えれば、比較する募集を絞れます。取引経験と関連実務のどちらを求める求人か迷う場合は、担当者を選び、職歴と募集条件を照らし合わせながら相談できます。
公式募集で分かれる必須経験と歓迎経験
「いずれか」と書かれた経験条件があっても、別の行の必須条件まで免除されるわけではありません。経験の選択肢と追加条件を一緒に読むと、自分が応募条件を満たしているかを判断しやすくなります。
| 企業・募集 | 必須条件の読み方 | M&A経験の位置付け |
|---|---|---|
| 株式会社ウィルズ 経営企画(事業戦略・M&A・資本政策) | 経営戦略・事業開発等、M&A・提携・投資の検討実行、戦略コンサル・投資銀行・PE・VC等の業務経験のいずれか | 実行未経験でも案件検討・事業性評価の経験を応募の目安に記載。PMIや財務モデル等は歓迎 |
| KLab株式会社 経営企画・関係会社管理 | 管理部門またはプロフェッショナルファーム等の実務2年以上に加え、財務3表の基礎知識 | M&A・PMI等の主導経験は歓迎。経営企画・関係会社管理5年以上も歓迎条件 |
| 株式会社ZOZO グローバル経営企画(M&A・PMI推進) | 事業会社の経営管理、または事業会社・ファンド・コンサルでの海外事業もしくはM&A業務。さらに英語を使った業務経験が必要 | M&A調査・財務モデル・PMI等は歓迎。英語は読み書きとビジネスの議論が可能な水準 |
| 日本特殊陶業株式会社 M&Aスペシャリスト | M&A実務3年以上、財務モデル・企業価値評価の実務、分析・交渉・経営層への説明など | M&A実務が必須の管理職募集。経営企画やPMIの経験、専門資格は歓迎であり、実務の代替にはならない |
| 株式会社カンリー 経営企画室M&A責任者候補 | 高い営業目標を達成した経験、戦略的思考、関係構築とディール推進、進行管理・調整、簿記2級レベル以上の会計知識 | M&A実務経験は不問。ただし左記の必須条件は残る。PMI主導や事業再建等は歓迎 |
KLabの「簿記2級程度」は知識の水準を示す表現です。資格保有を必須とする記載へ読み替えないようにしましょう。また、日本特殊陶業の募集要項に挙がっている勤務先は、どこでM&A実務を経験したかの選択肢です。勤務先が合うだけでは、M&A実務の条件を満たしたことにはなりません。
この比較で最初に確認したいのは、職名より実際の業務です。「経営企画の経験あり」で止めず、事業性の評価、グループ管理、海外事業の改善など、どの業務が応募先の条件に当たるかまで示すと、経験の不足も明確になります。
経営企画・経理財務・事業開発で伝える経験は違う
同じM&A未経験でも、経営企画なら事業の見通し、経理財務なら管理の仕組み、事業開発なら事業性の検証を起点に、これまで担った仕事を説明できます。以下は前述の仕事内容に基づく応募準備の提案であり、各社が公表した選考基準を示したものではありません。
経営企画は計画を作った後の判断まで説明する
ウィルズは事業性の検証や投資案件の検討、ZOZOは海外子会社の事業計画とモニタリングを仕事内容に挙げています。計画を作った経験は、計画の前提と、どの判断に使ったかまで説明すると、これらの業務との関係が伝わります。
売上や費用を集計しただけなのか、収益の見通しを変える要因を調べたのか。複数の案を比較し、経営陣に提案したのか。さらに実績が計画から外れた際、何を見直したのか。自分が担当したところを明確にし、投資の判断経験と呼べる範囲を誇張しないで書きましょう。
経理財務は子会社の数字と管理体制への関与を示す
KLabのように関係会社管理を含む求人では、子会社の計画や業績をどう把握し、管理上の課題をどう改善したかを伝えましょう。月次決算や報告の作業を列挙するより、どの問題を改善したかを具体的に記載できます。
たとえば、会社ごとに異なる費用の区分をそろえた、資金の見通しを事業部と検討した、といった経験があるなら、その目的と担当範囲を書きます。DDは対象企業の事業・財務等を調べる工程です。通常の決算とDDを同じ経験として扱わず、取引に関与した事実がなければ決算・管理の実務として伝えてください。
事業開発は成長の手段をどう選んだかを伝える
新規事業や提携を検討した経験があれば、ウィルズの募集で求められる仕事と照らし合わせて説明できます。顧客や市場をどう調べたか、自社で事業を立ち上げる案と外部と組む案をどう比較したかなど、事業性の検討過程を説明しましょう。
提案後に事業を進めた人は、当初の仮説と違った点、その後の改善も記載できます。ただし、カンリーのように営業目標の達成を必須にする募集では、事業開発という肩書きだけで条件を満たすとは限りません。求める実績の種類まで一致するかを確認してください。
取引経験の代わりに確認したい実務スキル
関連経験を認める募集でも、事業や会計の数字を読み、関係者と仕事を進める力は必要です。自分で行った作業を振り返り、どの力を身に付けていて、何が足りないかを確かめましょう。
- 事業計画・事業性評価:売上、費用、投資の前提を説明し、前提を変えたときの見通しを比べられるか
- 会計・管理:財務3表の関係を理解し、子会社や事業の収益・資金の動きを説明できるか
- 経営陣への説明:分析結果からどの判断を求め、代わりの案や残る懸念をどう示したか
- 部門をまたぐ実行:意見や期限が異なる関係者と、何を決めて仕事を進めたか
これは全社共通の採用基準ではなく、公式募集に書かれた業務に、自分の経験がどう合うかを確認するための項目です。日本特殊陶業のようにモデル作成・価値評価の実務を必須にする募集では、知識と実務を区別します。教材で作ったモデルは学習成果として扱い、実際の取引で使用した経験とは書かないでください。
学習・資格は応募条件との差から優先順位を決める
会計の理解が不足するなら、財務3表と簿記の学習から始める方法があります。ただし、KLabやカンリーの表現は知識の水準を示すものであり、資格取得だけが目的にならないようにしましょう。学んだ内容を、自分が担当する事業や会社の数字を使って説明できるか、確かめてみましょう。
実務経験が足りない場合は、現職で事業計画の策定や見直し、子会社の業績管理、提携案の検討などを担当する機会を探します。すぐに担当できるとは限りませんが、応募要件に当たる仕事を増やす準備です。資格を増やしても、M&A実務の年数が必要な募集の条件は別に残ります。
関連実務が既にあり、会計知識も説明できる人は、資格の取得が応募の必須条件でなければ、資格取得前から応募を検討できます。応募先が資格保有を求めるのか、同程度の知識を求めるのかを分け、条件を満たしているかで準備の順番を決めてください。
応募先は取引実行・経営管理・PMIの担当範囲で選ぶ
同じM&Aを含む職種でも、取引の検討を多く担う募集と、経営管理や買収後の改善まで担う募集では日々の仕事が異なります。PMIは買収後の統合を指しますが、PMIという語だけでは応募条件も担当範囲も決まりません。
ウィルズは新規事業や事業性の検証を含み、経験・志向に応じて重点的に担う業務を決める募集です。KLabでは、グループ計画や関係会社管理も担当業務です。取引がない時期も事業や子会社を見続けたい人は、M&A案件以外の担当業務も含めて希望と照らせます。
ZOZOは海外子会社の計画・改善からM&A・PMIまで、カンリーは案件の実行からPMI・投資回収までを仕事内容に挙げています。他方、日本特殊陶業ではソーシングの主担当は別の本部で、募集職は売却を含む案件実行やPMIの初期連携を担います。「最初から最後まで関わる」といった印象だけでなく、実際に担当する工程を確認しましょう。
年収レンジは募集職位と給与の内訳をそろえて読む
個別求人の表示額は、募集されている職位と給与条件も含めて比較します。確認した募集には管理職も含まれるため、金額をまとめてM&A未経験者の平均と捉えることはできません。
| 公式募集 | 想定額の表示 | 併せて読む条件 |
|---|---|---|
| ウィルズ:経営企画 | 800万~1,300万円と記載。 | 現年収・経験・スキルを考慮して決定。経験・スキルに応じて管理職としての提示もある。固定残業代45時間分を含むが、管理職は支給対象外。決算賞与は業績により別途支給する場合がある。 |
| カンリー:M&A責任者候補 | 440万~1,100万円と記載。 | 月給と賞与を含む。月給には45時間相当の固定残業代を含み、超過分は別途支給。賞与は業績に応じる。 |
| ZOZO:グローバル経営企画 | 900万~1,300万円と記載。 | 月20時間の残業を想定。経験・スキルで前後する。実働に応じた残業代と業績による賞与の記載あり。 |
| 日本特殊陶業:M&Aスペシャリスト | 1,200万~1,800万円と記載。 | 管理職クラスの目安。M&A実務経験を求める募集で、選考を通じて上下する場合がある。 |
KLabの表示は応相談です。固定残業代の対象時間は、実際の残業時間とは別です。比較する際は、通常の給与と業績による賞与、残業代の扱いを確認してください。
職位と給与の内訳が異なる以上、金額だけで応募候補を決めると仕事内容を取り違えます。経営企画・事業開発の職種とM&Aのキーワードで求人を探し、担う仕事と条件を合わせて比べられます。
職務経歴書と面接では判断に関わった範囲を説明する
「経営企画を担当」「財務に詳しい」だけでは、事業性の検証や子会社管理のどこを担ったのかが分かりません。ウィルズの事業性検証、KLabの関係会社管理、ZOZOの計画モニタリングに関わる経験があるなら、自分が作った資料や分析結果が誰の何の判断に使われたかを説明しましょう。自分が担当した範囲を具体的に伝えられます。
| 抽象的な書き方 | 自分の経験で補う内容 |
|---|---|
| 事業計画の作成を担当 | 対象事業、売上・費用の予測に用いた前提、比較した案、提案先、計画の修正まで担った範囲 |
| 子会社の管理業務を担当 | 管理した科目や指標、会社ごとの違い、改善した集計・報告の仕組み、事業部や経営陣との調整 |
| 新規事業の立ち上げを推進 | 顧客・市場の検証、提携等の選択肢、事業性を判断した内容、自分が実行した施策と結果の見直し |
面接の練習では、「なぜ自社開発や提携ではなく買収を選ぶのか」「当初の計画が外れたとき、どの前提を見直すか」「買収後の管理方法を変える際、誰と何を決めるか」といった問いを使えます。これらは募集業務から考えた準備用の質問例であり、各社で実際に出題された質問ではありません。
応募を進める前に確認したいことと相談準備
必須条件に合う実務を説明でき、入社後の仕事も希望に合うなら、自分で求人を比較し、応募書類の準備を進められます。関連経験に当たるか判断が分かれたり、経営企画とPMIのどちらを主業務にしたいか迷ったりする場合は、職務の違いを相談すると、応募先を選ぶ手がかりになります。
- 職務範囲:「新規のM&A案件がない時期は何を担当しますか」「契約交渉と分析では、どちらの主担当を期待していますか」
- 買収後の役割:「統合計画や子会社の業績管理まで、入社後の担当に含まれますか」
- 給与条件:「提示額に一度だけの手当が含まれますか」「賞与はどの条件で変わりますか」
- 応募日程:「現職の退職調整に向けて、選考日程と入社日の目安を相談できますか」
- 再応募:「同じ職種へ再応募する場合に、期間の条件はありますか」
相談時は、気になる求人と自分が行った業務のメモを用意すると、足りない条件を具体化できます。仕事の名前だけを並べるより、担当した分析や改善、関係者との調整内容を示す方が、募集との違いを確認しやすくなります。
事業会社M&Aの未経験転職でよくある質問
社内でM&A案件を手伝った場合も、未経験として応募しますか?
未経験か経験者かの呼び方より、実際に担当した工程を説明してください。調査や会議の運営を手伝った経験と、価値評価・交渉などを主担当として進めた経験は異なります。自分の担当工程を記載し、応募先の経験要件に含まれるかを確かめましょう。
簿記の資格を取得する前でも応募準備を始められますか?
始められます。会計知識を求める募集なら、財務諸表を読む練習と並行して、自分の管理会計・事業分析の経験をまとめられます。資格保有そのものが条件の場合は、その要件を別に確認してください。
希望する業界にM&A専任の募集がない場合はどう探しますか?
経営企画・事業開発・関係会社管理も希望に合うなら、仕事内容に投資検討やPMIを含む募集まで広げて探せます。ただし、将来M&Aを担当できると推測せず、現在の担当業務と配属先を確認してください。取引専任を希望する場合は、その希望を保ったうえで募集状況を調べる選び方もあります。
この記事の求人ページが見つからなくなったらどうすればよいですか?
企業の最新の採用一覧で、同じ職種や近い職務の募集があるかを確認してください。掲載終了前の条件が別の職種にも当てはまるとは限りません。現在の募集条件と自分の経験を照らし合わせ、任される仕事も改めて確認しましょう。
応募前に迷う点がある場合は、必須経験の解釈について聞きたいのか、入社後の仕事内容を知りたいのかを整理し、誰に確認すべきか考えましょう。比較している求人と職歴を用意し、担当者との面談で、取引未経験でも応募を検討できる職種や、応募に向けて準備することを相談できます。



取引後も事業に関わりたい人は、上記のような募集を検討できます。一方、取引実行だけに集中したい人は、経営管理や新規事業も兼ねる職種を選ぶと希望から外れる場合があります。仲介経験者が役割を変える判断は、M&A仲介から事業会社へ転職するタイミングで詳しく扱っています。