東京大学を卒業後、株式会社クニエに入社。ヘルスケアチームにて、医療機関向けの業務改革およびDX支援に従事。製薬企業と医療機関の治験リクルートメント領域における新規サービス立ち上げプロジェクトでは、病院現場の業務プロセス整理やシステム要件の検証を担当。また、医療機関を対象とした医療DX推進プロジェクトに参画し、診療記録や問診票・同意書などの電子化を通じて、業務効率化と情報共有基盤の整備を支援。現在はこれまでのバックグラウンドを活かし、プロフェッショナルファームに在籍する / 志望する方向けの転職支援を行う。
業務改革・IT・人事・経営企画などの経験を生かして買収後の統合支援に携わりたい人は、PMIコンサルの募集を検討できます。統合計画と実行、IT統合、人事統合では、必要な経験が異なります。担当領域と必須経験を自分の職務経験と照らし合わせ、応募に向けて何を準備すべきかを考えましょう。
KPMG FAS、シグマクシス、リヴァンプの公式募集では、同じPMIに関わる職種でも、応募条件となる経験や、主担当として求められる実績が異なります。人事領域はAGSコンサルティングの募集も含めて比較します。採用情報の確認日は2026年10月16日です。
本記事のポイント
| 現在の経験 | まず照合する募集 | 応募準備で確認すること |
|---|---|---|
| ITプロジェクトを率いた | ITを基点にPMIを支援する専門枠 | 統合後の構想まで自分が作ったか、経営層・事業部門との調整を担ったか |
| 人事の特定領域を主担当として経験した | 人事・組織統合の専門枠、PMIを含む人事コンサル職 | 定常運用に加え、課題特定から実行まで担った範囲 |
| 業務改革・経営企画で変更を推進した | 統合方針から実行まで扱う専門枠 | 対象業界、業務の範囲、語学などの追加条件との対応 |
| PMI案件の経験がある | 経験した統合領域と次に担いたい役割が合う募集 | 担当領域を深めるか、複数領域をまとめる役割を希望するか |
| 上記の関連実務も未経験 | 確認した募集の必須条件との差を先に確認 | 一般的な学習だけで代替せず、必要な担当実績を増やす方法を考える |
PMI求人は統合計画・IT・人事の担当領域で分かれる
PMIは買収後の統合を指し、対象となる仕事は会社によって異なります。募集を探す際は、何を統合する職種かを先に確かめましょう。ITの構想やシステム移行を担う募集と、人事制度や組織の統合を担う募集では、応募時に伝えるべき経験も異なります。
KPMG FASのIntegration & Separation(統合・分離支援、以下I&S)には、専門領域ごとに複数の募集があります。シグマクシスはIT評価から統合実行、リヴァンプはシステムを基点に経営・業務・文化も視野に入れた支援を掲げています。同じPMIという言葉を使っていても、担当する仕事は異なります。具体的な業務を確認しましょう。
PMIを財務DDやFAなどの仕事とも比べたい場合は、FASの部門比較で全体の違いを確認できます。以下では、統合支援の募集を選ぶための条件に絞って比較します。
IT、人事、経営企画のどの経験を統合支援で使いたいかが定まると、比較する募集を絞れます。担当者を選ぶ際も、これまで自分が担った設計や実行の内容を伝えると、求人の専門領域を具体的に相談できます。
統合実行・IT統合の応募条件を3社で比べる
シグマクシスは複数の経験を応募条件の選択肢として挙げています。リヴァンプは、挙げられた実績の両方を求めています。KPMG FASでは、募集する専門領域によって必要な経験が異なります。選択できる条件か、追加で満たす条件かを確認し、自分の職歴と照らし合わせてください。
| 企業・専門枠 | 主な経験条件 | 読み落としたくない点 |
|---|---|---|
| 株式会社KPMG FAS I&S:東京、自動車・製造セクター | 対象分野で3年以上。ディール推進・プロジェクト管理等、M&A・PMI等の業務、これらに類する経営企画などを列挙 | プロジェクト管理の経験例ではシステム開発プロジェクトを除く。日本語・高い英語力、MS Office、協働や実行支援への志向等も記載 |
| 株式会社シグマクシス IT-DD/IT-PMIを活用した業務変革コンサルタント | IT-DD/IT-PMIのコンサル経験、M&Aの非IT領域の実務、大中規模ITのリード経験等のいずれか | 最後の選択肢は、経営層・事業部門等を交えた関係者のマネジメント能力も求める。CIO/CDO補佐経験は歓迎 |
| 株式会社リヴァンプ システム-PMIコンサルタント | 大型システム再構築のPM経験に加え、統合後の全体構想を描いた実績 | マネージャー/シニアマネージャーの募集。進捗・課題管理などのPMO能力は歓迎であり、左記の実績を置き換えない |
KPMG FASには、上記とは別に「IT戦略・M&A」の募集があります。コンサル、SI・ITコンサル、事業会社のそれぞれについて、応募条件となる経験を示し、いずれかで2~3年以上の実務経験を求めています。事業会社の経験の項では、設計・開発・運用のみやRPA・マーケティング関連システム中心の経験を除き、基幹業務のIT構想や統合・分離を重視しています。
人事統合は担当領域・経験年数・英語条件を照合する
人事企画や制度運用の経験から検討する場合は、制度を扱った年数に加え、主担当として行った仕事を確認します。買収・再編に伴う人事統合を含む募集でも、通常の人事制度や労務の仕事を併せて扱う場合があります。
| 公式募集 | 経験・追加条件 | PMIとの関係 |
|---|---|---|
| KPMG FAS I&S:People CoE(人事・組織の専門チーム) | 対象職務で2年程度以上。組織人事アドバイザリーや事業会社の人事企画・経営企画等を記載。4年制大学卒以上、TOEIC800点以上相当の英語力、MS Office等も求める | 人事DD、統合・再編後の制度設計、風土変革等を扱う。事業会社の項ではPMIや人事プロジェクト管理等は尚可 |
| 株式会社AGSコンサルティング 人事・組織コンサルタント/人事経験者歓迎(大手町HR事業部) | 特定の人事領域の主担当経験が目安5年以上。課題特定から施策立案・実行まで手がけた経験を重視 | 人事統合に加え、制度設計・運用、労務DD、組織開発などを含む。PMIだけを担当する募集ではない |
AGSコンサルティングでは、経営層への提案やプロジェクト管理は歓迎条件です。募集が求める主担当の経験があるかを確かめず、調整力だけを強調しても、応募条件に合うことは説明できません。制度の課題を見つけ、改定案を作り、関係者へ説明して実行した経験があるなら、どの段階を担当したかを具体的に伝えられます。
KPMG FASのPeople CoEでは、語学などの追加条件も別に確認してください。経験年数だけを比較して応募可否を決めると、職種ごとの必須条件を見落としてしまいます。また、人事統合に関心があっても、希望案件への配属が決まっているとは限らないため、入社後の担当範囲を確認しましょう。
戦略PMIを希望する人は計画と実行の担当範囲を確かめる
統合の方針を考えたい人は、その求人で計画を作った後に何を担うかも確認すると、希望する仕事を選びやすくなります。KPMG FASの自動車・製造セクターの募集は、統合方針に加え、シナジー施策の実行やモニタリング、統合後の業務運営モデルなどを挙げています。
シグマクシスの募集では、統合後のビジネスモデルに合わせてITロードマップを作り、重複システムの統廃合やガバナンスの標準化を進めます。計画を作るだけでなく、実行時に担う仕事も含まれます。戦略立案と実行のどちらか一方と考えず、それぞれをどの程度担当するか質問してみましょう。
なお、KPMG FASのStrategy部門には、経営・事業戦略や買収前・取引中の支援、企業価値向上を扱う募集もあります。部門名だけでは、担当する工程は分かりません。「買収後のどの課題に取り組みたいのか」を決め、統合支援の各職種の業務と照らし合わせてください。
職務経歴書では統合を設計した仕事と運営を支えた仕事を分ける
職務経歴書は、チーム全体の仕事と自分が判断・設計した仕事を分けて記載します。リヴァンプの全体構想、シグマクシスのプロジェクトを率いた実績、AGSコンサルティングの人事主担当経験のような要件を持つ求人では、自分が決めた内容を明確に伝えましょう。
| 説明が不足する表現 | 自分の実績から書き足す内容 | 照合する募集条件 |
|---|---|---|
| システム統合のPMOを担当 | 統合後の構成案を自分が作ったのか、移行の順番や方式を提案したのか、進捗・課題の報告を担当したのか | 大型再構築のPM、統合後の全体構想、ITプロジェクトのリード |
| 人事制度を運用 | どの問題を特定し、どの制度・施策の案を作り、関係者と合意し、実行したか | 特定領域の主担当、課題特定から施策立案・実行 |
| 統合計画を作成 | 統合方針の選択肢、施策の優先順位、関係する領域、実施後の効果確認のうち担当した範囲 | 統合方針、施策実行、モニタリングを含む支援 |
PMI案件の経験がなくても、部門をまたいで制度や業務を変えた経験があれば、その内容と担当範囲を正確に伝えましょう。通常のシステム刷新を、買収後の統合と呼び替える必要はありません。案件の種類と自分の役割を明らかにすれば、応募条件に合う経験と、まだ足りない経験を説明できます。
KPMG FASの前掲募集は、希望部門を明記し、履歴書・職務経歴書と志望動機書を用意するよう案内しています。志望動機書はA4用紙1枚程度です。また、現年収・希望年収は応募書類に記載しない指示があります。応募先の提出要領に合わせて準備してください。
面接では統合の選択肢と実行上の制約を説明する
統合案を説明する練習では、効果だけでなく、どの順番で進めるか、どの業務は変えないかも考えてみましょう。以下は、リメディが各社の統合支援業務を踏まえて作成した面接準備の例です。実在の採用課題や面接の過去問ではありません。
IT統合は最終形と移行中の運営を分けて考える
買い手と対象会社で同じ業務を異なるシステムで処理している場合、すぐに片方を廃止する案だけでなく、当面は連携して使う案も比較する練習ができます。シグマクシスのロードマップ策定や統廃合、リヴァンプの全体構想・データ移行といった仕事を想定し、最終形と移行の順番を分けて説明する練習をしましょう。
対象業務を止めずに移すために、何を先に調べ、どの部署に何を決めてもらうか。効果と移行の負担をどう比べるか。自分の実務で似た判断をした経験があれば、その検討内容と担当範囲を説明してください。
人事統合は制度案と実施までの説明を用意する
人事領域では、統合後の人事制度に加え、変更点を関係者へどう説明し、運用へ移すかを検討できます。People CoEの制度設計・風土変革や、AGSコンサルティングの施策立案から実行までという仕事内容に沿った準備です。制度案と実施方法の双方を扱った経験があるかを振り返りましょう。
年収・職位は専門枠と提示額の内訳で比較する
給与は、応募する専門領域と職位をそろえて比較します。リヴァンプの対象募集はマネージャー/シニアマネージャーです。別の職位や人事領域の募集と並べる際は、任される仕事の違いも合わせて確認してください。
| 確認した募集 | 給与表示の読み方 |
|---|---|
| KPMG FAS:前掲の通年採用 | 年俸制で、経験・能力を考慮して応相談。応募する専門領域と職位ごとの条件を確認する |
| シグマクシス:前掲のIT-PMI募集 | 応相談。経験・能力・前職給与を考慮する記載 |
| リヴァンプ:前掲のシステムPMI募集 | 特定の年俸額を前提とした月給例があり、採用レンジの表示とは異なる。賞与は会社・チーム業績や個人評価で変動 |
| AGSコンサルティング:前掲の人事経験者募集 | 給与欄の本文は月額表示。残業代は別途で、賞与は業績に応じて支給。 |
提示額を受け取ったら、固定の給与、変動する賞与、残業代や深夜手当の扱いを分けて比べます。例示額が採用時の最低額だと考えたり、月額を年額と読んだりしないようにしましょう。KPMG FASの職位・給与条件を詳しく調べる場合は、KPMG FASの年収と公式求人の条件も参照できます。
専門領域と職位が決まったら、現在の募集で担当業務と給与条件を確認できます。FAS・コンサルの業種とPMIのキーワードで求人を探し、統合計画・IT・人事のどの仕事を含むかまで読んで比較してください。
不足する経験は応募する専門枠に合わせて補う
希望する募集が統合後の構想を求めるのに、これまで進捗管理を中心に担当してきたなら、構想策定の担当実績があるかを確認しましょう。次のプロジェクトで、移行方式やシステムの構成案の比較に関われないか考えてみましょう。
人事の定常運用を担ってきた人は、制度や業務の課題を特定し、改定案の検討・関係者への説明・実施まで担当した経験を探してください。その実績がなければ、現職で施策の実行を担当する機会を増やせないか検討します。特定の担当業務を任されることや、短期間で要件を満たすことを約束するものではありません。
統合の案を作り、合意後の実行や現場への定着まで担いたい人は、今回取り上げた求人を検討できます。一方、戦略提案だけを担当したい人や、ITの設計・開発だけを続けたい人は、構想策定や実行の役割を求める募集と希望が合うかを考える必要があります。
応募・相談の前に確認する条件をまとめる
応募先の専門領域で求められる経験があり、その内容を説明できるなら、自分で書類の準備を進められます。複数の専門領域にまたがる経験がある人や、主担当としてどこまでの実績を求めるか迷う人は、募集名・領域・担当実績を並べたメモを用意すると、比較の論点が明確になります。
- 仕事内容:「入社後は統合計画と実行管理のどちらを主に担当しますか」「PMI以外に、DDや事業分離、一般的な制度改定を担当する機会はありますか」
- 担当実績:「私が担当した構想策定や制度改定の経験は、募集する役割のどの部分に当たりますか」
- 働く条件:「出張や常駐を伴う場合、担当領域や案件によってどのように異なりますか」
- 報酬:「提示額のうち、会社業績や個人評価で変わる部分はどれですか」「一度だけの手当を含みますか」
- 応募日程:「現職との調整に向けて、選考日程と入社日の目安を確認できますか」
支援会社のPMI職と、自社の投資や事業運営に関わる役割で迷う場合は、希望する立場も整理してください。既にFASで経験を持つ人が事業会社を検討する判断は、FASから事業会社M&Aへの転職で扱っています。
PMIコンサルへの転職でよくある質問
案件の詳しい内容を話せない場合、経験をどう説明しますか?
守秘対象の情報を出さずに、業務の種類と自分が担当した範囲を説明する準備をしてください。相手会社名や未公表の価格を示さなくても、構想の比較、制度案の検討、実行時の調整など、自分の役割を具体化できます。開示できる範囲を越えて資料を持ち出さないようにしましょう。
同じ会社の複数の専門枠に迷う場合はどう選びますか?
希望する統合領域と、各枠で求める担当実績の両方を比較します。複数の専門領域に関わる経験がある場合は、どの仕事を主担当にしたいかを示し、応募窓口へ相談してください。専門領域が違う募集の経験年数・語学条件・実務条件を、一つの応募条件として混ぜて読まないようにしましょう。
入社後はPMIだけを担当できますか?
募集名だけでは判断できません。今回確認した募集には、買収前の調査、事業分離・再編、人事制度の通常の設計・運用も含むものがあります。希望案件への配属が前提になっていないかを確かめ、現在の案件と入社後の役割を応募前に質問してください。
応募する専門領域を絞った後は、応募する順番や、応募前に積んでおきたい経験を具体的に検討できます。比較中の求人と職務経歴を用意し、担当者との面談で、統合領域ごとの必要な経験と応募に向けた準備を相談できます。



応募条件が異なるため、「PM・PMOを経験した」という説明だけでは、応募先を決められません。全体構想を描いたのか、プロジェクトを率いたのか、運営を支えたのか、自分の役割を明らかにして条件と照らし合わせましょう。システム開発の経験がある場合も、I&Sの別の専門領域の応募条件を満たすとは限りません。