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IT業界の残業時間は多い?企業別データ・職種別残業事情・繁忙期を解説

監修者

リメディ株式会社 ヘッドハンター

日髙 大志 | HIDAKA Taishi

筑波大学大学院を卒業後、日本工営(開発コンサルティング会社)に新卒入社。官公庁・建設・不動産・総合商社セクターでの国際開発プロジェクトにコンサルタントとして従事。その後、KPMGコンサルティング株式会社に参画し、DXコンサルタントとして、官公庁・不動産セクターでのDX推進に携わる。
コンサルタントとしてキャリアを歩む中で、優秀な人材がポテンシャルを最大限発揮して活躍することが企業の成長へ直結することを実感し、ヘッドハンターとしてリメディに参画。コンサルティングファーム、M&A、不動産・建設業界を中心にハイキャリア層の採用・転職支援を実施。

目次

本記事のポイント

IT業界の平均残業時間は何時間か?

厚生労働省の毎月勤労統計調査(2024年平均)では、情報通信業の月平均所定外労働時間は15.8時間です。対象は従業員5人以上の事業所で、SIer・Web・SaaS・ゲーム・ITコンサル各社の社員だけを集計した数字ではありません。IT業界全体の目安として読み、企業・職種別の数値とは分けて確認しましょう。

情報通信業の統計と各社の開示値では、対象者や集計期間が異なります。企業の全社平均、配属予定部署の実績、繁忙期のピークを分け、同じ条件の数字かを確かめてください。

サービス残業(未払い残業)はあるか?

IT企業の未払い残業の有無は、企業規模だけでは判断できません。固定残業代を採用している企業でも、対象時間、超過分、深夜・休日労働の扱いは求人票や就業規則などで確認します。Sansanの2027年度入社の新卒採用では、月給に35時間相当の固定残業手当を含む設計が公式に案内されています。

裁量労働制やフレックスタイム制の適用範囲も企業・職種で異なります。制度名だけで働き方を推測せず、応募時に固定残業代の時間数、超過分の支給、深夜・休日労働の扱いを確認しましょう。

残業が少ない企業はどこか?

SmartHRの公式データは2025年の月平均残業時間16.6時間、LINEヤフーのESGデータは2025年度の年間所定外労働時間177時間/人を掲載しています。後者を12か月で割ると約14.8時間ですが、会社・集計範囲・期間が異なるため、残業の少ない順に並べることはできません。

繁忙期はいつか(季節変動)?

繁忙期を知るには、平均残業時間と案件の予定を別々に見る必要があります。年度末のシステム稼働、決算、広告・ECのキャンペーン、ゲームの発売などが重なる場合を想定し、応募先の直近実績と人員体制を確認しましょう。

夏季休暇の時期を含め、繁忙・閑散のパターンは案件の進捗や会社の決算期で変わります。年間平均は特定の数週間のピークを示さないため、企業選びでは平均値だけでなく、忙しくなる月、夜間・休日対応、ピーク時の勤怠管理を確認すると実態をつかみやすくなります。

36協定の上限は守られているか?

厚生労働省の案内では、時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情がある場合も、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満・2〜6か月の各平均80時間以内で、月45時間を超えられるのは年6か月までです。法律上の上限は、各社の実際の勤務時間を示す数字ではありません。

実際の残業時間は、企業、職種、配属プロジェクトによって異なります。応募前には、繁忙期の平均ではなく直近のピーク、休日・夜間対応、超過時の承認と健康管理の運用を確認しましょう。

業態別(SIer・SaaS・Web)の違いは何か?

次の表は、業態ごとの残業時間を比較する統計表ではありません。応募先に仕事の予定を聞くための例として、負荷が重なる場面を挙げています。

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業態平均値の扱い負荷が高まりやすい場面
SaaS・クラウド業務場面の例新機能のリリース、障害対応、顧客導入が重なる時期
Webサービス・EC業務場面の例大型キャンペーン、セール、広告出稿の集中
SIer業務場面の例納期前、結合テスト、本番移行、運用障害対応
ゲーム業務場面の例タイトル発売前の開発・テスト・運営対応
ITコンサル業務場面の例クライアントの決算・予算策定、複数案件の節目
リメディ編集部による、応募先へ確認する業務場面の例。各業態の平均残業時間や発生頻度を示すものではありません。

業態名だけで残業時間を推測するのは危険です。残業を重視する場合は、企業が開示する数値の定義と年度、配属予定部署の業務、繁忙期の実績を確認して判断しましょう。

転職エージェントを使うメリットは何か?

各企業の月平均残業時間や繁忙期の実態は求人票に明記されないケースがあります。求人票に加えて、面接や転職エージェントへの質問で、配属プロジェクト単位の働き方と繁忙期のピーク水準を確認しましょう。

IT業界とは

IT企業の仕事は、受託のシステム開発、自社サービス、ソフトウェアなどに分かれます。この記事では応募先を考えるため、SIer、Webサービス、SaaS、ゲーム、ITコンサルの5分野を取り上げます。公的統計の「情報通信業」と、この5分野の企業・社員の範囲は同一ではありません。

情報サービス産業協会(JISA)の2024年調査では、回答企業300社の従業員数が273,469人でした。ただしJISA会員企業の回答範囲であり、IT業界全体の従業員数ではありません。残業を考えるときは、業界全体の統計、企業の公式開示、職種・配属先の情報を切り分けて読みます。

残業の発生場面は業態によって異なります。受託開発が中心のSIerでは納期前、自社プロダクトのSaaSではリリースや顧客導入が負荷の節目になることがあります。実際の勤務時間は企業・職種・案件ごとに確認しましょう。

業界概要

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項目内容
統計上の近似範囲情報通信業(IT業界全体と同一ではない)
JISA調査の回答範囲回答企業300社・従業員273,469人(2024年、会員企業調査)
業界平均残業時間月15.8時間(2024年平均、情報通信業・就業形態計)
繁忙期の扱い業態・案件の予定を確認。年間平均と特定月のピークは別に読む
企業例(5分野)SIer:NTTデータ・富士通・NEC・日立/Web:サイバーエージェント・楽天・メルカリ/SaaS:Sansan・SmartHR・freee/ゲーム:任天堂・バンダイナムコ/ITコンサル:ベイカレント・アクセンチュア
企業別の比較公式平均、対象年度、集計範囲がそろう場合に限り比較
出所:厚生労働省・e-Stat「毎月勤労統計調査」2024年平均、JISA「情報サービス産業基本統計調査 2024」

IT業界の残業時間データ

厚生労働省・e-Statの毎月勤労統計調査(2024年平均、従業員5人以上の事業所)では、情報通信業の月平均所定外労働時間は15.8時間です。この値は情報通信業の就業形態計であり、IT業界の5業態だけを抽出した値ではありません。比較表も同じ調査・同じ定義にそろえます。

産業平均は、特定の企業・職種・案件のピークを示しません。応募先の公式開示を読むときも、集計対象と期間を確認し、配属予定チームの勤務時間は別に聞きましょう。

業界別残業時間比較

厚生労働省・e-Statの毎月勤労統計調査(2024年平均、従業員5人以上の事業所、就業形態計)から、同じ定義で確認できる産業を比較します。職種別・企業別の値ではありません。

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産業月平均所定外労働時間集計年・定義読み方
運輸業、郵便業21.7時間2024年平均・就業形態計産業全体の平均
情報通信業15.8時間2024年平均・就業形態計IT業界の近似値
製造業13.2時間2024年平均・就業形態計同じ調査定義で比較
建設業12.7時間2024年平均・就業形態計同じ調査定義で比較
卸売業、小売業7.1時間2024年平均・就業形態計同じ調査定義で比較
宿泊業、飲食サービス業5.2時間2024年平均・就業形態計同じ調査定義で比較
調査産業計10.1時間2024年平均・就業形態計調査対象産業の集計
出所:厚生労働省「令和7年版 労働経済の分析」第1−(3)−1・2図(本文52〜53ページ)。毎月勤労統計調査に基づく2024年平均、就業形態計・性別計、事業所規模5人以上。

この表では、情報通信業は調査産業計より高い値です。ただし「情報通信業」はIT業界の5業態そのものではなく、企業・職種・配属先の違いも含んだ産業分類です。順位だけで働き方を判断せず、応募先の公式開示と配属先の実態を確認しましょう。

SmartHRは2025年の月平均残業時間16.6時間、ベイカレントの公式サステナビリティページは2026年2月期の月間平均残業時間25時間を掲載しています。集計期間や対象範囲がそろっていないため、数値の差をそのまま配属先の働き方の差と捉えないでください。

季節変動:繁忙期と閑散期

下表は、応募先に繁忙期を聞く際の例です。暦の月だけで残業時間を予測せず、案件の節目と休日・夜間対応、人員体制の重なりを確認しましょう。

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時期傾向主な要因確認したい点
1〜3月案件によって負荷上昇官公庁・金融の年度末システム稼働、決算、ゲームの発売準備本番移行、休日・夜間対応の有無
4〜5月案件の切替時期新年度のシステム稼働後の安定化、新人配属・業務移管引き継ぎ期間と障害対応の当番
6〜8月会社・案件により異なる夏季休暇、プロジェクト中盤、上期のリリース休暇取得時の引き継ぎと人員体制
9月案件によって負荷上昇クライアントの中間決算、下期リリース準備決算対応とリリース予定の重なり
10〜12月事業によって変動年末セール、来年度予算策定、年明けリリース準備キャンペーン・納期・予算業務の重なり
リメディ編集部による、案件の予定を確認するための例。各月の業界平均や発生頻度を示す表ではありません。

同じ年度末でも、案件の納期や本番移行の予定によって忙しさは変わります。応募先には、直近1年で忙しかった月と、そのときの休日・夜間対応を聞きましょう。

繁忙要因は業態ごとに異なります。Webサービスの広告事業は出稿の集中、ECはセール、ゲームはタイトル発売前の開発・テストなどが負荷要因になります。いずれも企業・部署ごとの差が大きく、一般的な月間残業時間には置き換えられません。

SaaS系でも、顧客導入、障害対応、リリースの重なり方によって負荷は変わります。企業の年間平均はその会社の集計範囲における指標であり、特定の月の繁忙度を示すものではありません。公開数値と面接で確認した配属先の状況を分けて考えましょう。

サービス残業と36協定の上限規制

時間外労働の上限規制は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から原則として適用されています。建設業や自動車運転業務などには猶予期間があり、2024年4月から適用対象となりました。IT企業でも、36協定の内容と勤怠管理の運用を会社ごとに確認します。

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区分法定上限・健康リスクに関する基準
通常の36協定月45時間・年360時間
特別条項付き36協定時間外労働は年720時間以内。時間外労働+休日労働は月100時間未満、2〜6か月の各平均80時間以内。月45時間を超えられるのは年6か月まで
脳・心臓疾患の労災認定に関する別基準発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月の月平均におおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症の関連性が強いと評価。ここでの時間外労働は1週間当たり40時間を超えた労働時間
出所:厚生労働省「時間外労働の上限規制」と「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」。法律上の上限と労災認定の評価基準は異なります。

36協定の上限は、各社の平均残業時間や繁忙期の実績を保証するものではありません。発症前2〜6か月の月平均80時間超などは、脳・心臓疾患の労災認定で業務との関連性が強いと評価される別の基準であり、法定上限ではありません。連続勤務、休息、休日・深夜対応も含め、企業の勤怠管理や健康確保措置を応募先の説明と就業規則で確かめます。

固定残業代は、一定時間分の割増賃金を定額で支払う仕組みです。ハローワークの求人入力案内は、固定残業代の額と対象時間、超過分を法定どおり追加支給する旨の明記を求めています。応募時は、求人票の記載と給与明細での扱いを確認しましょう。

裁量労働制の対象者でも、健康・福祉確保措置や深夜・休日労働の扱いなど、求人・就業規則で確認すべき点があります。制度名だけで実際の勤務時間を判断せず、勤怠の把握方法と長時間労働時の対応を確認しましょう。

企業別の公開データと制度

企業が掲載する数値には、実際の残業時間と、給与に含まれる固定残業代の時間数があります。次の表は、各社の公表年・対象範囲を併記した例です。実績と制度上の時間を分けて読んでください。

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企業名公式に確認できる指標指標の範囲制度・注意点
SmartHR月平均残業時間16.6時間(2025年)公式の人的資本データ他社との順位ではなく、対象範囲と算定方法を確認
LINEヤフー年間所定外労働時間177時間/人(2025年度、月換算約14.8時間)LINEヤフーと主要な子会社。カバレッジ100%年間の値を12か月で割った換算。配属部署の月平均そのものではない
サイバーエージェントクリエイター採用FAQの勤務時間欄:平均残業31時間/月採用FAQの掲載値別の人事回答は30時間程度と説明。時間外80時間・46時間と深夜46時間相当の固定残業代は制度上の時間
Sansan35時間相当の固定残業手当2027年度入社の新卒ビジネス職募集要項制度上の時間数で、実績平均ではない。超過分は別途支給
ベイカレント月間平均残業時間25時間(2026年2月期)公式サステナビリティページの掲載値個別の職種・配属先の平均を示す値ではない
出所:ラクス全社データ・採用情報、SmartHR人的資本データ、LINEヤフーESGデータ、サイバーエージェントのクリエイター採用FAQ、Sansanの2027年度新卒募集要項、ベイカレントの公式サステナビリティ情報(2026年10月8日参照)。各社の実績年と対象範囲は表中に記載。

SmartHRとLINEヤフーは公式に残業関連の指標を開示しています。ただし、SmartHRは月平均、LINEヤフーは年間平均であり、年度や算定方法も異なります。開示の有無だけで働きやすさを断定せず、配属先の業務と繁忙期を確認しましょう。

企業間の比較では、平均の数字だけでなく、対象者、集計期間、所定外労働時間の定義、固定残業代との関係をそろえる必要があります。条件が異なる数値をランキングに並べると、読者が実態を誤解するためです。

ラクスの平均残業時間は、IT業界の中では少ない?

ラクスの公式全社データでは、2026年6月時点の月平均残業時間は16.5時間です(連結、正規・非正規)。情報通信業の15.8時間(2024年平均)とは集計時期と対象者が異なるため、この2値だけではIT業界内で残業が少ないと判断できません。

ラクスの全社データと採用情報には、異なる範囲の数字が載っています。採用情報の18.5時間は2025年3月期のラクス/RLC実績(RPを除く)です。16.5時間との違いをそのまま残業削減の成果とは捉えず、配属予定の会社・部署の直近実績と繁忙期を聞きましょう。

公式平均を開示している企業の読み方

SmartHRは2025年の月平均残業時間を16.6時間と公表しています。これは同社の人的資本データであり、情報通信業の平均や他社の制度上の固定残業時間と同じ指標ではありません。

LINEヤフーのESGデータは、2025年度の年間所定外労働時間177時間/人を掲載しています。12か月で割ると約14.8時間です。報告対象はLINEヤフーと有価証券報告書にある主要な子会社で、年間の平均を換算した値を、部署別の月間実績として扱わないようにしてください。

自社プロダクト型でも、リリース、顧客導入、障害対応、キャンペーンなどの重なり方で負荷は変わります。事業モデルだけで年間を通じた勤務時間を推測せず、応募先の部署・職種・直近の繁忙期を確認しましょう。

サイバーエージェントのクリエイター採用FAQの勤務時間欄には、平均残業31時間/月の記載があります。同欄の固定残業代は、時間外労働について月給制職種80時間・裁量労働制46時間相当、深夜労働について両区分46時間相当で、超過分は別途支給とされています。別の人事回答の「30時間程度」とも区別し、掲載値を全社・全職種の共通実績と読み替えないでください。

公式実績と制度上の時間を分けて読む

大手SIerでも、企業全体の平均だけで配属先の勤務時間は判断できません。官公庁・金融案件などでは、サービスイン前、本番移行、障害対応が重なることがありますが、発生時期と頻度は案件ごとに異なります。配属予定のプロジェクト単位で確認しましょう。

ベイカレントの公式サステナビリティページは、2026年2月期の月間平均残業時間25時間を掲載しています。個々の職種やプロジェクトの値とは区別し、繁忙期のピークと勤務時間の管理方法を応募先に聞きましょう。

固定残業代や裁量労働制の制度情報は、実際の残業時間の平均とは別の情報です。求人票に記載された時間数、超過分の支給、深夜・休日労働の扱いを確認し、制度の時間数を勤務実績と読み替えないようにしましょう。

みなし残業制度の理解

固定残業代の時間数は、実際の勤務時間を示すものではありません。公式に確認できる例を、制度上の時間数と実績平均に分けて示します。

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企業固定残業代の時間数超過分の支給備考
Sansan35時間相当(2027年度入社の新卒ビジネス職)超過分は別途支給募集職種の制度上の時間であり、全社平均ではない
サイバーエージェント時間外:月給制80時間/裁量労働制46時間相当。深夜:両区分46時間相当超過分は別途支給クリエイター採用FAQの勤務時間欄。実績の31時間/月とは別の数字
出所:Sansanの2027年度新卒ビジネス職募集要項、サイバーエージェントのクリエイター採用FAQ。固定残業代に相当する時間数は、実際に働いた時間の平均ではありません。

固定残業代の時間数は企業ごとに大きく異なります。応募時には「固定残業代に何時間分含まれるか」「超過分は別途支給されるか」の2点を確認しましょう。

裁量労働制(専門業務型・企画業務型)が適用される職種では、制度上のみなし労働時間と実際の勤務時間を分けて確認します。深夜・休日労働の扱い、健康・福祉確保措置、勤怠の把握方法は、職種・企業ごとの求人や就業規則で確認しましょう。

職種別の残業事情

次の8職種は、応募先へ担当業務を確認する際の例です。職種別の平均残業時間や順位ではなく、案件の予定・当番・締切が重なる場面に注目してください。

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職種平均値の扱い残業が発生しやすい場面確認ポイント
PM(プロジェクトマネージャー)確認場面の例複数案件の調整、トラブル対応、顧客折衝案件数と権限範囲、ピーク時の体制
SE(システムエンジニア/SIer所属)確認場面の例サービスイン前、リリース、運用障害対応納期、夜間・休日対応、代休
ITアーキテクト確認場面の例大規模設計レビュー、技術選定、移行判断裁量の範囲とレビューの締切
インフラエンジニア確認場面の例障害対応、移行、夜間メンテナンス24時間運用の当番と呼び出し頻度
PG(プログラマー)確認場面の例コーディング、テストの納期前、不具合対応SEとの役割分担とリリース体制
QAエンジニア/テスター確認場面の例リリース直前の集中テスト、品質問題への対応テスト計画とリリース延期の判断権限
PdM(プロダクトマネージャー)確認場面の例計画変更、分析、関係者調整意思決定範囲とリリース計画
データサイエンティスト確認場面の例分析プロジェクトの締切、モデル検証、報告データ更新の頻度と締切の重なり
リメディ編集部による、応募先に仕事内容と勤務体制を聞くための例。職種別の平均残業時間・発生頻度を示す表ではありません。

残業が発生しやすい場面:PM・SE

PMは工程・品質・コスト管理と関係者調整を担うため、複数案件の節目やトラブル対応が重なると負荷が高まりやすい職種です。案件数、権限範囲、支援メンバーの有無で働き方が変わるため、月平均の数字だけで判断しないようにしましょう。

SEは、結合テストから本番稼働にかけて作業が集中する案件があります。サービスイン直前の勤務時間、休日・夜間対応、障害発生時の呼び出し、代休の取得状況を配属予定チームに確認しましょう。

案件サイクルを確認したい職種:データサイエンティスト・PdM

データサイエンティストは、分析プロジェクトの締切やモデル検証、経営報告が重なると負荷が高まりやすくなります。会社・プロジェクトによってデータ更新の頻度や締切が異なるため、平均値ではなく直近の案件サイクルを確認します。

PdMは、計画変更や関係者調整、リリース判断が重なると負荷が高まります。Webサービス・SaaSでも企業文化やプロダクトの段階によって異なるため、会議体、意思決定の範囲、リリース計画を確認しましょう。

裁量労働制の落とし穴

裁量労働制は、会社の職種名だけで適用が決まる制度ではありません。厚生労働省の専門業務型の案内は、法令で定められた対象業務、労使協定、本人同意、健康・福祉確保措置などを要件として説明しています。応募先では、実際の担当業務、みなし労働時間、勤怠の把握方法、制度への同意・撤回の手続きを確認してください。

裁量労働制でも、深夜(22時〜5時)・休日労働の扱いは通常の勤務時間とは分けて確認します。実態を把握するには、勤怠の記録方法、健康・福祉確保措置、給与明細の深夜手当・休日手当の扱いを応募先に確認しましょう。

IT業界の繁忙期と季節変動

IT業界の年間平均は、特定の月や案件のピークを示しません。年度末・中間決算・大型リリース前などに負荷が高まる案件はありますが、繁忙期は企業・部署ごとに異なります。転職前には、直近の忙しい月、夜間・休日対応、ピーク時の勤怠管理を確認しましょう。

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時期傾向主な要因確認したい点
1〜3月案件によって負荷上昇官公庁・金融の年度末システム稼働、決算、ゲームの発売準備本番移行、休日・夜間対応の有無
4〜5月案件の切替時期新年度のシステム稼働後の安定化、新人配属・業務移管引き継ぎ期間と障害対応の当番
6〜8月会社・案件により異なる夏季休暇、プロジェクト中盤、上期のリリース休暇取得時の引き継ぎと人員体制
9月案件によって負荷上昇クライアントの中間決算、下期リリース準備決算対応とリリース予定の重なり
10〜12月事業によって変動年末セール、来年度予算策定、年明けリリース準備キャンペーン・納期・予算業務の重なり
リメディ編集部による、案件の予定を確認するための例。各月の業界平均や発生頻度を示す表ではありません。

SIerは年度末のサービスイン前を確認

SIerでは、官公庁・金融・大手企業のシステム更改に伴い、年度末のサービスイン前に業務が重なる案件があります。1〜3月を一律の繁忙期とは扱わず、結合テスト、本番移行、障害対応の時期と体制を応募先に確認します。

そのため大手SIerを志望する場合は、平均残業時間だけでなく「本番移行前のピーク」「休日・夜間対応の頻度」「代休取得の実態」を確認しましょう。NTTデータグループや野村総合研究所のような大規模案件を扱う企業でも、配属プロジェクト単位で状況が変わります。

Web・SaaSはリリース前後の山を見極める

Webサービス・SaaSでは、年次の繁忙期よりも新機能リリース前後や大型キャンペーン前に負荷が高まる案件があります。自社プロダクト型でも、リリース体制、障害対応、顧客導入の分担によって残業の山は変わります。

一方、広告・EC・ゲームに近い事業は季節イベントの影響を受ける業態です。広告・メディア系やゲーム系の求人を検討する場合は、年度末や大型タイトル発売前に負荷が高まるかを応募先へ確認します。事業モデルだけで判断せず、入社後の想定と実態を照合しましょう。

IT業界の残業を減らす取り組み

IT業界の残業削減を考えるときは、業界共通の法的枠組み、企業の制度・勤怠管理、個人が転職前に確認できる条件を分けて見ることが基本です。

業界レベル:36協定と労働時間の記録

時間外労働の上限規制の適用時期は企業規模・業務によって異なります。上限の内容は前述のとおりですが、企業の勤怠管理や上長承認の運用は会社ごとに異なります。法律上の上限と、個社の実績・運用を混同しないようにしましょう。

法律上の上限があることと、会社の勤務体制が整っていることは別です。納期の決め方、勤怠の記録、長時間労働時の承認・健康確保措置、支援メンバーの配置を、応募先の説明と就業規則で確かめましょう。

残業削減の取り組みは、企業が公表する勤怠管理、業務分担、健康確保措置などの情報から確認します。人材需給の予測だけで、残業が減ることや職場環境が改善することを推測しないようにします。

企業レベル:制度・ツール導入

応募先の制度・ツールを読むときは、次の点を確認しましょう。

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取り組み代表的な事例
労働時間の記録と上限管理勤怠の記録方法、月45時間超の承認、長時間労働時の健康確保措置を確認
フレックスタイム制・裁量労働制適用対象、みなし時間、深夜・休日労働、健康・福祉確保措置を確認
リモートワーク・休暇制度制度の有無だけでなく、繁忙期の利用実績と引き継ぎ体制を確認
業務分担・自動化ツール導入による効果を一般化せず、対象業務と運用実績を確認
出所:厚生労働省の労働時間規制の案内、各社の制度開示を確認する際の観点を整理

制度やツールの導入は、残業時間の削減を自動的に意味しません。対象業務、利用率、業務分担、導入前後の実績が開示されているかを確認し、制度の名称だけで働き方を判断しないようにします。

個人レベル:転職・キャリア戦略

個人が残業を抑えたい場合は、業態名だけでなく、所属企業、職種、配属プロジェクト、繁忙期、制度運用を確認することが重要です。転職前に比較条件をそろえることで、入社後の働き方を検討しやすくなります。

裁量労働制が適用される職種でも、みなし労働時間と実際の負荷は別に確認します。業務の優先順位、支援体制、繁忙期前のリソース調整、健康・福祉確保措置を上司や採用担当者に確認しましょう。

業務ツールの導入で作業時間が短くなる場合もありますが、効果は業務内容と運用で変わります。コーディング、文書作成、調査など、対象業務のルールと確認手順を把握したうえで利用しましょう。

転職時には平均残業時間だけでなく、繁忙期のピーク、固定残業代の運用、裁量労働制の適用範囲、休日・夜間対応を確認します。平均値だけでは、配属先の勤務時間や短期間の負荷は測れません。

IT業界で残業の少なさを確認する方法

残業が少ないIT企業を見分けるには、口コミの印象だけでなく、公開データ・制度・面接で得られる情報を組み合わせて判断する必要があります。特に月平均残業時間、固定残業代、繁忙期ピークの3点は、入社後の働き方に直結します。

公開データでは平均残業時間と制度利用率を見る

まず確認したいのは、公式HP・人的資本データ・ESG Dataに掲載される平均残業時間です。SmartHRは2025年の月平均16.6時間、LINEヤフーは2025年度の年間平均177時間(月換算約14.8時間)を開示しています。ただし、年度・対象者・算定方法が同じかを確認してから比較します。

あわせて、リモートワーク、フレックスタイム、休暇などの制度利用実績も確認します。制度があるだけでなく、繁忙期にも使えるか、引き継ぎや業務分担が整っているかを採用担当者や面接で聞きましょう。

面接では繁忙期と固定残業代を具体的に聞く

面接では「平均残業時間はどれくらいですか」だけでなく、「直近1年で忙しかった月はいつか」「ピーク時に休日・夜間対応はあるか」「固定残業代を超える残業はどう扱うか」まで確認しましょう。平均値だけでは、配属先の一時的な負荷を判断できません。

固定残業代がある求人では、給与に含まれる時間数と超過分の支給ルールを確認します。Sansanの2027年度新卒ビジネス職は35時間相当、サイバーエージェントのクリエイター採用FAQは時間外労働について月給制80時間・裁量労働制46時間相当、深夜労働について両区分46時間相当と案内しています。これらは制度上の時間で、実績平均や中途の全職種に共通する条件ではありません。

エージェント経由で配属先の実態を確認する

IT業界では同じ企業でも、配属される事業部・プロジェクト・職種によって残業時間が変わるものです。求人票や採用ページだけでは配属先の繁忙期を把握しにくいため、転職エージェント経由で部門別の働き方を確認する方法も選択肢です。

特にSIer・ITコンサルでは、案件の進み方で繁忙期が変わります。残業を抑えたい方は、候補企業を広げる前に「受託開発か自社プロダクトか」「運用保守の割合」「夜間・休日対応の有無」を整理しましょう。応募先の説明を比較するための判断材料になります。

IT業界の転職前に確認したい情報

IT業界の残業実態は、求人票に記載される「残業時間」だけでは把握しきれません。配属プロジェクト、職種、繁忙期、制度運用で勤務時間が変わるため、企業選びでは公式開示と現場の確認事項を分けて整理します。

転職エージェントなどの相談先を使う場合は、求人票だけでは確認しにくい配属先の働き方や選考準備について、質問事項を先に整理します。

確認する項目は、配属プロジェクト単位の働き方、書類選考、コーディングテスト・技術面接・カルチャーフィット面接の有無、年収条件です。企業ごとの選考フローや問われる観点は、応募先の採用情報と担当者への質問で確かめます。

候補を比較するときは、SaaS・Webサービス、ITコンサル、大手SIerなどの業態名だけで判断せず、ライフプランや希望条件を踏まえて求人を確認します。同じ業界内でも個社の働き方は大きく異なるため、比較条件を表にして整理すると判断しやすくなります。

IT業界の転職で残業の少ない企業を選ぶポイント

残業の少ない企業を選ぶには、月平均残業時間だけでなく、対象年度・対象者・集計方法、業態・職種、制度運用を分けて確認することが重要です。複数の情報を同じ条件にそろえると、入社後の働き方を検討しやすくなります。

公開データの精査:平均値とピーク値を分ける

最初のポイントは、平均残業時間とピーク残業時間を分けて考えることです。厚生労働省・e-Statの情報通信業15.8時間は、2024年平均の産業分類の値であり、職種や案件ごとの山谷を示すものではありません。平均値が低くても繁忙期が重い企業はあり得るため、月別の変動幅と配属先の実績を確認しましょう。

公開データがない企業では、同じ業態の数値レンジを相場として当てはめないことが重要です。候補企業に公式平均があるか、対象年度・対象者・算定方法は何か、配属予定チームの繁忙期と制度運用はどうかを確認してください。

面接時の質問例:制度ではなく運用を聞く

面接では制度の有無だけでなく、運用実態を確認してください。たとえば「フレックス制度はありますか」ではなく、「繁忙期でもフレックスを使えますか」「月45時間を超える場合の承認フローはどうなっていますか」と聞く方が、働き方の実態をつかみやすくなります。

また、配属予定チームの直近プロジェクトについて、リリース前後の勤務時間、障害対応の頻度、休日対応後の代休取得状況を確認しましょう。36協定の上限を守っているかだけでなく、実際に休める運用かどうかが重要です。

エージェント活用:残業と年収のバランスを調整する

残業を抑えたい場合、年収・職種・業態のどこで折り合いをつけるかが転職戦略の中心です。SaaS・WebサービスとITコンサルや大手SIerでは、案件や報酬の条件が異なるケースもあります。

エージェントを活用すると、候補企業の残業実態だけでなく、年収や配属先の確認事項も比較できます。残業を抑えたい方は、業態変更・職種変更・企業規模の優先順位を明確にしたうえで求人を選ぶと、入社後の納得度が高まりやすいでしょう。

IT業界への転職を検討するなら

IT業界の残業時間は、業態・企業・職種の3つの軸で変わります。業界平均は情報通信業という近似値、企業別の公式開示は会社ごとの指標、職種・繁忙期は配属先の確認事項として、同じ数字のように扱わないことが重要です。

残業を抑えながらキャリアを伸ばしたい方は、業態選びを判断軸の一つとし、繁忙期のピーク水準と固定残業代の運用を確認してください。業界全体の年収はIT業界の年収を整理した記事で、個社の働き方や選考対策は関連する企業記事で確認できます。求人票だけでは分からない配属先の確認事項は、応募先や相談先に具体的に質問しましょう。

厚生労働省・e-Statの情報通信業15.8時間(2024年平均)を業界の近似値として確認し、企業の公式開示と配属先の繁閑パターンを重ねてから候補を絞り込むのが現実的です。

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