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ベンチャー業界で後悔しやすい人は?選んでよい人との違いをデータで解説

監修者

リメディ株式会社 ヘッドハンター

飯田 貞大 | IIDA Sadahiro

早稲田大学を卒業後、三菱UFJ銀行に新卒入社。4年間の勤務期間でベンチャーから上場企業まで500社以上の法人を担当。また、オーナー社長の相続、事業承継提案や個人の資産形成提案等にも従事。その後、2020年4月にプルデンシャル生命保険に転職。2年半営業として社内表彰を受賞する等活躍。その後マネージャーに昇格し、新規の採用と育成に従事する中で、200名を超える転職相談を実施。現在は自身のキャリアチェンジの経験も踏まえ、ハイキャリア層への転職サポートを行う。

ベンチャー転職は、情報通信業の一般労働者離職率9.8%だけで判断できる話ではありません。避けるべきなのは「ベンチャー」そのものではなく、会社のステージ、資金調達余力、職種、報酬設計、次のキャリアで回収できる経験が見えないまま入社することです。

目次

本記事のポイント

ベンチャー転職は本当に避けたほうがよいですか?

安定した役割、評価制度、短期の年収維持を最優先する人は慎重に見たほうがよいです。一方で、曖昧な環境で成果を作れる人、事業責任やプロダクト責任を早く取りたい人には、大手では得にくい裁量を得られる可能性があります。

ベンチャーが不安視される理由は何ですか?

資金調達の不確実性、役割の変化、制度未整備、SOを含む報酬の読みづらさ、次の転職で成果を説明しにくい点が主な理由です。特に早期ステージでは、入社時の職種名と実際の仕事がずれることがあります。

ベンチャーの離職率は高いですか?

ベンチャー企業だけを対象にした公的な離職率は確認しにくく、会社単体で未公表なら断定できません。参考として、厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、情報通信業の一般労働者離職率は9.8%です。

年収は下がりやすいですか?

会社と職種によります。メガベンチャーや上場SaaSでは平均年収を確認できる会社もありますが、非上場企業では平均年収が未公表のケースが多く、基本給とSOを分けて見る必要があります。SOは上振れ要素であり、現金収入の代替として見ないほうが安全です。

将来性はありますか?

政府はスタートアップ育成5か年計画で、2027年度に投資額を10兆円規模にする目標を掲げています。STARTUP DBの2025年レポートでも資金調達総額は速報値で9,727億円です。ただし、業界全体の伸びと個社の成否は分けて判断してください。

転職エージェントに相談する意味はありますか?

あります。求人票だけでは資金調達後の採用背景、配属組織の課題、SOの考え方、入社後に期待される成果が見えにくいためです。特にベンチャーでは、内定を取ることよりも入社後に何を背負うかの確認が重要になります。

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結論避けたほうがよいケース選んでよいケース
会社ステージランウェイや事業仮説が見えない調達後の用途と採用理由が説明できる
職種役割が広すぎて成果指標が曖昧入社後90日で見る指標が明確
報酬SOを現金年収の代替として見る基本給で生活が成り立ちSOは上振れと捉える
キャリア退職後に説明できる成果が残らない次の市場価値に変わる経験を作れる
出所:リメディ作成

この先は、ベンチャーを一括りにせず、ステージ、資金調達、職種、報酬、キャリア回収に分けて判断します。ここを分けるだけで、「避けるべきか」という不安はかなり具体的になります。

ベンチャー業界とは

ベンチャー業界は、新しい技術や事業モデルで既存市場の課題を解く企業群です。スタートアップと近い意味で使われますが、創業直後の会社、資金調達を重ねた成長企業、上場済みのメガベンチャーでは、働き方も報酬も採用難易度も大きく異なります。

カテゴリ内では、SaaS・クラウド、AI・ディープテック、フィンテック・モビリティ、メガベンチャーの4分野に分けると見やすい整理です。たとえばSmartHRマネーフォワードはSaaS、ABEJAFLUXはAI・データ領域、GOはモビリティ、DeNAサイバーエージェントはメガベンチャーの代表例です。

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分野代表企業転職時の焦点
SaaS・クラウドSmartHR、freee、マネーフォワード、ラクスルARR成長、解約率、営業・CS組織の成熟度
AI・ディープテックABEJA、FLUX、ACES研究開発期間、顧客実装、技術職の専門性
フィンテック・モビリティGO、Finatext規制、提携先、資金調達、オペレーション
メガベンチャーDeNA、サイバーエージェント、メルカリ事業ポートフォリオ、制度開示、職種別期待値
出所:リメディ作成(各社公開情報・既存個社記事リサーチを参照)

「ベンチャーは危ない」と感じる原因の多くは、この分解をしないまま会社を見ることです。創業初期の不確実性と、上場済み企業の高い成果期待は別のリスクです。

まず分けるべき4つのステージ

ベンチャー転職で最初に見るべきなのは企業名よりもステージです。同じ「ベンチャー」でも、シード・シリーズA、ミドル、レイター、メガベンチャーでは、仕事の不確実性とキャリアの回収方法が異なります。

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ステージ主な特徴向く人注意点
シード・シリーズA事業仮説と顧客検証が中心何もない状態から作れる人役割と給与の安定性は低め
ミドル採用・営業・開発が急拡大仕組み化と実行を両方できる人管理職不足で負荷が偏りやすい
レイターIPOやM&Aを見据えた管理体制を整える専門性を事業成長に接続できる人SOの期待値を過大に見積もらない
メガベンチャー上場済みで複数事業を運営大きな組織で裁量も取りたい人成果期待が高く、配属で経験が変わる
出所:リメディ作成

早期ステージほど、職務定義は粗くなりがちです。逆に、メガベンチャーほど制度は整いやすいものの、大きな事業責任や高い成果期待が乗る構図です。自分が求めているのが自由度なのか、専門性なのか、報酬なのかを分けると、候補企業を絞りやすくなります。

ベンチャー転職で後悔しやすい5つの場面

  1. 資金調達直後の採用理由を確認していない
  2. 職種名だけで業務範囲を判断している
  3. SOを含めて年収が上がると見ている
  4. マネージャーや評価制度の未整備を軽く見ている
  5. 退職後に語れる成果を作る計画がない

資金調達直後の会社は、採用を一気に増やすことがあります。その採用が「既存事業を伸ばすため」なのか、「新規仮説を検証するため」なのかで、入社後の仕事は大きく変わります。前者なら既存の型を改善する力、後者なら失敗を前提に仮説を変える力が必要です。

職種名だけで判断すると、入社後のずれが起きやすいです。BizDevと書かれていても、実際は営業開拓、アライアンス、採用、オペレーション改善まで横断しがちです。PdMも、プロダクト戦略を担う会社もあれば、顧客要望整理と開発進行が中心の会社もあります。

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後悔の場面起きる理由入社前の質問
仕事が広すぎる人員不足で役割が分かれていない入社後90日で何を達成すればよいか
給与が期待より低いSO込みで魅力的に見える基本給、賞与、SOの比率はどうか
評価が曖昧制度を作っている途中前回の昇給・評価で何が見られたか
上司が変わる組織拡大でレイヤーが増える直属上司と決裁者は誰か
転職で説明しにくい成果指標を持たずに働くこの仕事で残せる定量成果は何か
出所:リメディ作成

後悔の多くは、会社が悪いからではなく、期待値のすり合わせ不足から起きます。選考中に聞きにくい質問こそ、入社後の納得感に直結する論点です。

資金調達とEXITから見る報酬リスク

ベンチャーの将来性を見るときは、調達額だけでなく出口の形も確認します。STARTUP DBの2025年年間レポートでは、国内スタートアップの資金調達総額は速報値で9,727億円、予測値で1兆599億円です。資金が流れている市場である一方、IPO件数は49件、買収件数は207件と、出口はIPOだけではありません。

SOは、この出口に連動します。付与された時点で現金になるわけではなく、上場、M&A、セカンダリー取引などの機会が必要です。入社時に期待値を高く置きすぎると、基本給を下げた分を回収できないまま数年が過ぎることもあります。

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項目2025年の確認値転職判断への意味
資金調達総額速報値9,727億円、予測値1兆599億円市場には資金が流れているが、個社選別は必要
資金調達社数速報値2,231社採用機会はあるが、全社が順調とは限らない
IPO件数49件SOの換金経路をIPOだけに置かない
買収件数207件M&Aも出口として確認する
研究開発型調達額3,658億円AI・ディープテックは資金規模と時間軸を確認
出所:STARTUP DB「【2025年 年間】国内スタートアップ投資動向レポート」

報酬条件では、基本給で生活と貯蓄が成り立つかを先に確認してください。SOは魅力的な制度ですが、換金条件、行使価格、退職時の扱い、希薄化の可能性まで聞いて初めて判断材料になります。

職種別に見た向き不向き

ベンチャーの向き不向きは、性格よりも職種で変わります。エンジニアなら技術負債や開発速度、PdMなら顧客理解と意思決定、BizDevなら仮説検証と交渉、CSなら解約率や顧客定着への責任が重くなりやすい領域です。

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職種向いている人避けたほうがよいサイン回収できるキャリア資産
エンジニア技術選定と実装を両方担える仕様変更が多い環境を強く嫌う設計、開発速度、プロダクト改善実績
PdM・PM顧客課題と開発優先度をつなげる権限範囲が曖昧だと動けないロードマップ、KPI改善、意思決定経験
BizDev未整備な市場で仮説を作れる既存商材の型通り営業を望む新規提携、売上立ち上げ、事業検証
マーケティング獲得から継続まで数字で見られる大きな予算と分業体制を前提にするグロース施策、CRM、CAC改善
CS顧客の成果とプロダクト改善をつなげる問い合わせ対応だけを想定している継続率、アップセル、顧客課題の構造化
コーポレートIPO準備や制度設計を作れる既存ルールの運用だけを望む内部統制、採用制度、管理体制構築
出所:リメディ作成

ベンチャーを選ぶなら、入社時点で「何を経験として持ち帰るか」を決めておくと安全です。会社の結果が想定通りでなくても、職務経歴書で語れる成果が残ればキャリアは回収できます。

リメディが扱うハイクラスの非公開ポジションを、年収・職種で絞り込んで確認できます。
経歴を登録された方には、合致するポジションのスカウトが届くこともあります。

遷移先で年収・職種から絞り込めます

労働環境と年収データ

ベンチャーの労働環境は会社ごとに差があります。公的統計でベンチャー限定の平均残業や離職率を断定することはできないため、ここでは近い業種である情報通信業の統計と、上場・非上場の個社データを分けます。

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指標情報通信業調査産業計読み方
一般労働者の離職率9.8%11.5%産業計より低いが個社差は大きい
月間所定外労働時間15.8時間10.0時間情報通信業は長めに出る
月間現金給与総額528,822円348,182円給与水準は高め
出所:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」「毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報」

この表は「ベンチャーは楽ではない」と断定するためではなく、給与水準と労働時間を同時に見るための基準です。情報通信業は給与が高めに出る一方で、所定外労働時間も調査産業計より長めです。会社単体の残業時間や離職率が未公表なら、未公表のまま扱うのが正確です。

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企業区分平均年収・推定レンジ補足
サイバーエージェント東証プライム914万円2025年9月期有価証券報告書ベース
DeNA東証プライム882万円2025年3月期有価証券報告書ベース
ABEJA東証グロース953万円2025年8月期有価証券報告書ベース
マネーフォワード東証プライム711万円2024年11月期有価証券報告書ベース
SmartHR非上場745万円公式人的資本データを基にした既存記事整理
FLUX非上場650万〜750万円既存記事のリメディ独自調査レンジ
出所:各社の直近年度有価証券報告書、各社公式人的資本データ、既存リメディ個社記事リサーチ

上場企業の平均年収は確認しやすい一方、非上場企業は前提を分ける必要があります。ベンチャー転職で「年収が下がるか」を見るときは、会社名だけでなく、上場区分、職種、SOの有無、基本給の比率を分けてください。

入社前に確認すべきチェックポイント

ベンチャーを避けるべきか迷うときは、抽象的な社風ではなく、選考中に確認できる事実へ落とし込みます。採用担当者や面接官に聞くべきなのは「忙しいですか」ではなく、忙しさがどこから来るのかです。

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確認項目質問例危険サイン
採用背景このポジションを今採用する理由は何ですか明確な事業課題が説明されない
資金余力直近調達の使途と今後の採用計画はどうなっていますか採用計画だけ大きく、収益化の説明が薄い
成果指標半年後に何ができていれば評価されますか期待値が抽象的なまま
上司・組織直属上司と意思決定者は誰ですか入社後に決まる、という回答だけ
報酬基本給、賞与、SO、昇給条件を分けて教えてくださいSOの説明だけが強い
退職後の市場価値このポジションで得られる実績は何ですか学びや成長だけで成果指標がない
出所:リメディ作成

質問への回答が具体的であれば、多少の不確実性は受け入れやすくなります。逆に、どの質問にも抽象的な回答しか返らない場合は、入社後の期待値調整に苦労する可能性が高いです。

ベンチャー業界の選考対策と相談準備

ベンチャーの選考では、完成された職務経歴よりも、変化の中で成果を作れるかが見られます。過去の経験は、売上、継続率、工数削減、採用、プロダクト改善など、事業上の指標へ変換して説明できる状態にしておくと伝わりやすいです。

リメディでは、ベンチャーやIT・インターネット領域の応募先を検討する際、求人票だけでは見えにくい採用背景、役割期待、報酬条件を整理します。Google口コミ4.9/5.0(2025年5月時点)の評価を得ており、選考前の情報整理から条件確認まで支援可能です。

相談前には、今の年収、下げられる下限、SOに期待する範囲、次の転職で語りたい成果をメモしておくと、候補企業の見極めが速くなります。会社の魅力だけでなく、自分が背負えるリスクまで言語化しておくと判断がぶれにくくなります。

ベンチャー業界の転職で成功するポイント

ベンチャー転職で成功する人は、会社の夢だけでなく、自分の役割を具体化して入社します。市場が伸びている、資金調達が大きい、カルチャーが合うという理由だけでは、入社後の成果につながりません。

業界理解はステージ別に行う

SaaS、AI、フィンテック、メガベンチャーでは、評価される経験が異なります。SaaSなら継続率や営業生産性、AIなら実装力や顧客課題の深さ、メガベンチャーなら複数事業を横断する調整力が見られやすいです。

スキルは成果指標まで落とす

「自走できます」では足りません。受注率を上げた、解約率を下げた、開発リードタイムを短縮した、採用歩留まりを改善したなど、会社の成長に結びつく指標で話すと、ベンチャー側も入社後の任せ方をイメージしやすくなります。

エージェントは情報の非対称性を埋めるために使う

ベンチャーでは、求人票に書かれた職務と実際の期待役割がずれることがあります。第三者経由で採用背景や配属予定組織を確認できれば、入社後の誤解を減らせます。

ベンチャー業界への転職を検討するなら

ベンチャー転職は、避けるか挑戦するかの二択ではありません。早期ステージを避けてレイターやメガベンチャーを選ぶ、年収を維持できる職種に絞る、SOを上振れ要素として扱うなど、リスクを分ければ選択肢は残ります。

不安が大きい場合は、まず会社のステージ、資金調達、職種、報酬、キャリア回収の5点を整理してください。個別企業の詳細は、DeNAサイバーエージェントSmartHRマネーフォワードABEJAFLUXGOの個別記事も確認できます。

選ぶべき人は、変化の大きさを受け入れたうえで、自分の市場価値に変わる経験を取りに行ける人です。避けるべき人は、会社の成長だけに期待し、自分の役割や条件を確認しないまま入社してしまう人です。

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