
監修者
リメディ株式会社 ディレクター
馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji
神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
本記事のポイント
経理で決算や財務数値に向き合ってきた人は、FASへ直接転職を狙えるケースがあります。ただし、経理経験があるだけでは十分ではありません。FASでは、財務デューデリジェンス、企業価値評価、事業再生、PMI、データ分析などを通じて、M&Aや経営判断を支援します。経理で作った数字を、経営課題や投資判断にどうつなげたかを説明できるかが分岐点です。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 直接転職を狙える人 | 決算、連結、会計論点、財務分析、管理会計、予算管理、監査対応を説明できる経理経験者 |
| 迂回ルートが向く人 | 仕訳、支払、請求、月次補助が中心で、分析や社外説明の経験が少ない人 |
| 狙いやすい領域 | 財務DD、バリュエーション、T&R、CVA、PMI支援 |
| 選考対策の要点 | 経理実務を、財務分析・論点整理・説明力へ翻訳する |
| 相談すべきタイミング | 応募前。職務経歴書でどのFAS領域を狙うか決める段階 |
| 現在の経理経験 | 可能性 | 狙いやすい企業タイプ | 先に補うべき経験 |
|---|---|---|---|
| 連結決算・開示・監査対応 | 高 | BIG4 FAS、財務DD、評価 | M&Aプロセス、事業理解、資料化 |
| 管理会計・予算管理・FP&A | 中〜高 | T&R、CVA、PMI、事業再生 | 社外向け説明、短期案件、利害調整 |
| 単体決算・税務・会計処理 | 中 | 会計系FAS、専門ブティック、監査法人アドバイザリー | 財務分析、企業価値評価、DD論点 |
| 経理補助・定型処理中心 | 低〜中 | 会計事務所、経営企画補佐、財務コンサル周辺職 | 決算主担当、財務三表分析、顧客説明 |
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経理からFASへ転職できるか
経理からFASへ転職できるかは、担当業務の名前よりも、数字を使って意思決定を支えた経験があるかで変わります。FASは、M&Aや事業再生の場面で、財務情報を読み、リスクや価値を整理し、クライアントに説明する仕事です。経理で財務諸表や会計論点を扱ってきた人は、FASに近い土台を持っています。
一方で、経理の仕事は範囲が広いです。支払処理や請求書処理の経験だけでは、財務DDやバリュエーションに直結しにくい場合があります。KPMG FASのCorporate Finance部門では、M&Aアドバイザリー、企業・事業価値評価、ストラクチャリングが職務内容として示されました。経理経験をそのまま出すのではなく、FASの業務単位に変換して伝える必要があります。
結論として、連結決算、開示、監査対応、管理会計、予算管理、投資審査、事業計画に関わっている人は直接応募を検討できます。定型処理が中心の人は、監査法人アドバイザリー、会計事務所、経営企画、FP&Aなどを挟み、分析と説明の経験を作ってから動く方が現実的です。
もう一つの分岐は、応募先のFAS部門を先に決めているかどうかです。KPMG FASのCorporate Finance、PwCアドバイザリーのDeals Execution、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、EY-Parthenonでは、評価される経理経験の重みが部門ごとに異なります。応募前に職務経歴書を1通だけ作ってBIG4 FAS横断で出すと、書類段階で論点がぼやけやすくなります。
経理経験者がFASで評価されやすい経験
経理経験者が評価されやすいのは、決算を締めた経験だけではありません。FASで見られるのは、財務数値の背景を読み、論点を整理し、相手に説明した経験です。たとえば、監査法人からの指摘に対応した経験、会計処理の影響を事業部門へ説明した経験、予算と実績の差異を分析した経験は、FASの仕事へ接続しやすくなります。
| 経理経験 | FASでの見られ方 | 書類・面接での見せ方 |
|---|---|---|
| 月次・年次決算 | PL・BS・CFを理解する土台 | 担当範囲、論点、関係者、締め切り対応を整理する |
| 連結・開示 | 会計基準、子会社管理、外部報告への耐性 | 論点の複雑さと説明相手を明確にする |
| 管理会計・予算管理 | 事業計画や改善施策に近い経験 | 差異分析、示唆、事業部門への提案を整理する |
| 監査対応 | 資料化、根拠提示、専門家対応の経験 | 指摘への対応、会計論点の整理方法を話す |
| 資金繰り・財務 | T&Rや事業再生に近い経験 | キャッシュフロー、金融機関対応、改善策を示す |
特に強いのは、経営層や事業責任者に数字を説明した経験です。FASでは、分析そのものに加えて、買収、売却、再生、統合の意思決定に耐える説明が求められます。経理の実績を伝えるときは、処理件数より論点の難度を中心に組み立てましょう。
もう一段細かく見ると、同じ「決算経験」でも、単体決算と連結決算では評価のされ方が変わります。単体決算は会計処理の正確さを支える土台、連結決算は子会社管理・内部取引消去・のれん・換算差額など、FASの財務DDで頻出する論点と直接重なります。経歴を書くときは、決算をひとくくりにせず、担当した範囲と論点を分けて記載すると、書類段階で読み手の理解が進みます。
| 経理機能 | FASで活かせる軸 | 接続しやすい部門 | 書類で書く具体例 |
|---|---|---|---|
| 単体決算 | 会計処理の正確性、論点抽出 | 会計系FAS、専門ブティック | 担当勘定、決算スケジュール、論点メモ作成 |
| 連結決算 | 子会社管理、内部取引消去、のれん | 財務DD、評価 | 連結プロセス上の調整論点、外貨換算、子会社統制 |
| 監査対応 | 論点整理、根拠提示、専門家対応 | BIG4 FAS、会計系FAS | 指摘事項、提出資料、会計判断の経緯 |
| 経営管理 | 事業計画、KPI設計、経営会議資料 | PMI、CVA | 事業計画策定、月次経営会議への報告 |
| FP&A | 予実差異、感応度分析、シナリオ | T&R、CVA、Financial Analysis | 予実分析、ローリングフォーキャスト、改善提案 |
各社の募集要項から見る不足しやすい経験
経理経験者が不足しやすいのは、M&A案件の全体像、外部クライアント向けの説明、短期集中のプロジェクト推進です。PwCのフィナンシャルアドバイザリーでは、M&A案件全体の推進・管理、ストラクチャリング、バリュエーション、DD統括、条件交渉支援、開示資料作成支援が説明されています。経理経験だけでは、取引の前後をつなぐ視点が不足しやすいです。
| 各社の募集要項で見られる要件 | 経理で代替しやすい経験 | 不足しやすい経験 | 補い方 |
|---|---|---|---|
| 財務デューデリジェンス | 決算、会計論点、監査対応 | 正常収益力、運転資本、買収リスクの整理 | PL・BS・CFから論点を作る練習をする |
| 企業価値評価 | 財務諸表、事業計画、予算管理 | DCF、類似会社比較、前提条件の説明 | 評価手法の基礎と事業ドライバーを学ぶ |
| 事業再生・T&R | 資金繰り、管理会計、予実分析 | 利害関係者調整、再生計画、金融機関対応 | 事業計画と改善施策を一体で整理する |
| PMI・CVA | 管理会計、KPI、データ集計 | 買収後の統合、収益性分析、オペレーション改善 | 事業部門と連携した改善経験を作る |
KPMG FASのT&R部門では、財務・事業DD、財務3表計画を含む事業計画、債権者・株主・従業員等との利害調整が職務内容に含まれます。経理から応募する場合、財務数値を作る力に加えて、誰の意思決定を支える数字なのかまで説明できるようにしておきたいところです。
不足経験は「経験がない」で終わらせず、応募までに少しでも近づける動き方を決めておきましょう。経理在籍中に補える代表的な4つは、M&Aプロセス理解、社内提案、顧客折衝に近い経験、財務モデリングです。完全に同じ案件を踏めなくても、現職の予算管理・連結対応・経営会議資料作成のなかで関連する場面を選び、職務経歴書で説明できる粒度まで言語化しておきます。
| 不足しやすい経験 | 経理在籍中の補い方 | 応募時の見せ方 |
|---|---|---|
| M&Aプロセス | 自社のM&A・子会社再編・出資検討に経理側として関与する | DD対応、PPA、開示のどこに入ったかを明示する |
| 社内提案 | 経営会議・予算会議で改善提案や投資判断資料を担当する | 論点、前提、示唆、意思決定への影響を分けて書く |
| 顧客折衝 | 監査法人・税理士・金融機関・取引先との折衝役を引き受ける | 論点整理、追加資料、合意形成までの流れを示す |
| 財務モデリング | 事業計画・投資判断のExcelモデルを自分で組み直す | 3表連動、感応度、シナリオ分岐の有無を書く |
FAS各社が明示する必須要件と歓迎資格
FAS各社の求人ページには、必須要件と歓迎資格が別々に書かれています。経理からの応募を検討するときは、印象ではなく、この募集要項の言葉に自分の経験を当てはめて確認する方が判断を誤りにくくなります。KPMG FASのCorporate Finance部門は、必須要件としてM&Aまたは企業再生アドバイザリー、企業・事業価値評価、財務デューデリジェンス、金融機関業務、戦略系コンサルティング、事業企画、または会計事務所における3年程度以上の実務経験を挙げています。完全未経験からの応募を前提にした募集ではなく、経理として決算や財務分析の実務経験を積んでいることが出発点になります。
| 部門 | 必須要件 | 歓迎資格 | 学歴・語学 |
|---|---|---|---|
| KPMG FAS Corporate Finance | M&A・企業再生アドバイザリー、価値評価、財務DD、金融機関業務等で3年程度以上の実務経験 | 公認会計士(日本・米国)、税理士、証券アナリスト、MBA | 4年制大学卒以上、ビジネスレベルの英語力 |
| KPMG FAS Turnaround & Restructuring | 金融機関(法人向け業務)または事業会社で原則3年以上の実務経験、もしくは公認会計士・米国公認会計士等の資格を持ちBig4監査法人で原則3年以上の実務経験 | ―(会計士資格は必須要件の経路の一つとして記載) | 4年制大学卒以上 |
| KPMG FAS Client Value Analytics(データストラテジスト) | コンサルティングファームでの戦略立案・M&A支援、または事業会社の経営企画・財務企画・FP&A業務で2年以上 | BI・ETLツール実務経験、統計・機械学習の理解 | データアナリティクスへの強い関心 |
資格については、FASの必須要件そのものというより、書類選考や面接で経験を補強する材料として働きます。厚生労働省 job tagの経理事務の解説では、関連資格として日商簿記検定、簿記能力検定が挙げられており、財務諸表を読む基礎として仕事の役に立つとされています。一方、経営コンサルタントの解説では、関連資格に公認会計士・税理士・中小企業診断士が並びますが、「資格がなくてもなることは可能」であり、どのような専門業務を経験してきたかという職歴の方が重視されると説明されています。FASへの応募でも、資格の有無より、経理実務のなかで何を担当し、どんな論点を扱ったかを具体的に語れることが優先されます。
採用の入口についても確認しておきたい点があります。KPMG FASの求人ページは、新卒採用と並んで経験者採用を年間を通じて募集する枠を設けています。新卒の一括採用のようにエントリー時期が固定されているわけではないため、経理として現職で成果を積みながら、自分の実務経験がどの部門の必須要件に届いているかを継続的に確認し、届いたタイミングで応募する動き方が現実的です。
狙いやすい企業タイプとポジション
経理からFASを狙う場合、企業名だけで応募先を決めるとミスマッチが起きやすくなります。FASには財務DD、バリュエーション、事業再生、PMI、データ分析、フォレンジックなど複数の入口があります。現在の経理経験に近い領域から入る方が、書類と面接の説得力を作りやすいです。
| 企業タイプ | 狙いやすいポジション | 向いている経理経験 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| BIG4 FAS | 財務DD、バリュエーション、T&R、CVA | 連結、開示、監査対応、管理会計 | 応募者層が強く、領域別の準備が必要 |
| 専門ブティック | 財務DD、M&Aアドバイザリー、評価 | 会計事務所、監査対応、M&A周辺経験 | 採用枠が限られ、即戦力性を見られやすい |
| 事業再生系 | T&R、事業計画、資金繰り支援 | 資金管理、予実分析、金融機関対応 | 利害関係者調整や現場感が問われる |
| データ分析型FAS | CVA、PMI、経営管理高度化 | 管理会計、KPI分析、BI、予算管理 | 分析だけでなく財務・事業文脈が必要 |
| 周辺職種 | 経営企画、FP&A、会計コンサル | 定型経理から分析へ広げたい人 | 次にFASへ移る前提で経験を選ぶ |
会計系のキャリアを比較したい場合は、PwCコンサルティングの年収記事や、KPMGコンサルティングの年収記事、戦略コンサルの記事も参考になります。FASはコンサルに近い働き方を持ちながら、財務・会計の専門性が強く出る職種です。
BIG4 FASは部門ごとに公式採用ページを分けて運用しています。KPMG FASのCorporate FinanceはM&Aアドバイザリーと企業・事業価値評価、Turnaround & Restructuringは財務・事業DDと事業計画・利害調整、Client Value AnalyticsはM&A各フェーズの財務・非財務データ分析を扱う部門です。経理出身者は、自分の現職経験が「会計論点寄り」「事業計画寄り」「データ分析寄り」のどれに近いかで、応募する部門の優先順位が変わります。
PwCアドバイザリーのフィナンシャルアドバイザリーは、M&A案件全体の推進・管理、ストラクチャリング、バリュエーション、DD統括、条件交渉支援、開示資料作成支援を扱います。バリュエーションは、トランザクションバリュエーション、財務報告目的のバリュエーション、モデリングが中心です。デロイト トーマツ FAは、国内外ネットワークで企業の経営課題を把握し、ソリューションを提供すると説明しています。EY-Parthenonは戦略・トランザクション寄りで、事業会社の経営企画・経営管理経験が活きやすい領域があります。
| ファーム | 代表的な部門・サービス | 経理出身者の評価ポイント | 歓迎されやすい経験 |
|---|---|---|---|
| KPMG FAS | Corporate Finance、T&R、CVA | 連結・開示・監査対応の論点整理力 | M&A、企業再生、価値評価、財務DD、事業企画・経営企画・投資審査、監査法人・税理士法人 |
| PwCアドバイザリー | フィナンシャルアドバイザリー、バリュエーション | カーブアウト財務、評価モデル、開示資料 | M&A実務、財務報告目的のバリュエーション、財務DD |
| デロイト トーマツ FA | M&A、再編、ターンアラウンド、フォレンジック | 連結・税務・内部統制の経験 | 国内外ネットワークでの案件推進、経営課題への解像度 |
| EY-Parthenon | 戦略・トランザクション、PMI、商業DD | 事業計画、経営企画寄りの数値分析 | 事業会社の経営企画、戦略コンサル、投資銀行 |
直接転職が難しい場合の迂回ルート
直接転職が難しい場合は、FASに近い経験を先に作るルートを選びます。迂回ルートは遠回りではありません。定型経理からいきなりFASへ応募するより、監査対応、管理会計、財務分析、経営企画、会計コンサルを挟むことで、次の応募で語れる材料が増えます。
| 前職 | 狙う職種 | 狙う企業タイプ | 足りない経験 | 書類/面接での見せ方 |
|---|---|---|---|---|
| 連結・開示経理 | 財務DD、バリュエーション | BIG4 FAS、会計系ブティック | M&Aプロセス、評価手法、外部顧客説明 | 会計論点を事業リスクや買収論点に変換して示す |
| 管理会計・FP&A | T&R、CVA、PMI | FAS、事業再生系、データ分析型FAS | 短期集中案件、社外向け資料、利害調整 | 予実差異から示唆を出し、改善施策へつなげた経験を示す |
| 単体決算中心 | 会計コンサル、財務DDジュニア | 専門ブティック、監査法人アドバイザリー | 連結、開示、監査対応、財務分析 | 決算の担当範囲と会計論点の深さを具体化する |
| 経理補助・支払処理中心 | 経理主担当、会計事務所、経営企画補佐 | 事業会社、会計事務所、財務コンサル周辺職 | 決算主担当、PL・BS・CF分析、説明経験 | まず数字を締める経験から、分析・説明へ広げる計画を話す |
直接ルートが向くのは、すでに財務分析や会計論点を主担当として扱い、相手に説明してきた人です。迂回ルートが必要になりやすいのは、経理処理の正確さはあるものの、事業の意思決定や社外クライアントへの説明に近い経験が少ない人です。応募前に、自分の経理経験がどちらに近いかを見極めましょう。
迂回ルートを選ぶときに重要なのは、次の応募で語れる経験を1〜2年以内に作れるかです。会計事務所や監査法人アドバイザリーでは、DDの一部、調査業務、評価補助、レポート作成に触れられます。事業会社の経営企画やFP&Aでは、事業計画策定、投資判断資料、月次の経営報告を通じてM&A判断に近い材料が作れる環境です。経理として在籍したまま動く場合は、自社の子会社再編・出資検討・組織再編に手を挙げ、案件経験を積み増す方法もあります。
職務経歴書で見せるべき実績
FAS応募の職務経歴書では、経理業務を時系列で並べるだけでは弱くなります。採用側が知りたいのは、数字を正確に処理できるかだけでなく、財務情報から論点を作り、相手に説明し、意思決定を支えられるかです。職務経歴書では、担当範囲、論点、分析、説明相手、成果を分けて書きます。
| 書く項目 | 弱い書き方 | 改善方向 |
|---|---|---|
| 決算経験 | 月次決算を担当した | 担当勘定、論点、締めスケジュール、関係者対応を書く |
| 監査対応 | 監査法人対応をした | 指摘内容、提出資料、会計判断、改善策まで示す |
| 管理会計 | 予算管理をした | 差異要因、示唆、事業部門への提案を整理する |
| 財務分析 | 数値分析をした | PL・BS・CFから見た課題と意思決定への影響を書く |
| 改善経験 | 業務効率化をした | 改善前の課題、関係者、効果、再現性を説明する |
数値実績を書く場合は、自分の実績として面接で説明できる範囲に留めます。大きく見せるより、どの論点を整理し、どの判断に関わったかを正確に書く方が安全です。FASでは、成果の派手さだけでなく、分析の筋道と誠実性も見られます。
応募部門ごとに、書類で強調する論点を入れ替えると書き手の意図が伝わりやすくなる構成です。財務DD狙いなら正常収益力・運転資本・QoE論点、バリュエーション狙いならDCFと類似会社比較の前提条件、T&R狙いなら資金繰り表と利害関係者調整、CVA狙いならBI・データモデル・KPI設計の経験を、それぞれ前面に出します。同じ経理経験でも、どの順番で書くかで読み手の印象は変わります。
面接で説明すべき転職理由
経理からFASを目指す面接では、転職理由の組み立てが重要です。「会計を活かしたい」「専門性を高めたい」だけでは、FASの仕事理解が浅く見えます。過去の経理経験、FASで活きる経験、足りない経験の補い方、応募企業で扱いたい領域をつなげて説明しましょう。
| 要素 | 説明すべき内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 過去経験 | 経理で扱った財務数値、会計論点、説明相手 | 処理業務だけで終えない |
| FASで活きる経験 | 財務分析、監査対応、管理会計、資料化、関係者調整 | 応募部門の業務と接続する |
| 足りない経験 | M&Aプロセス、企業価値評価、DD、社外顧客対応 | 不足を隠さず、補う行動を話す |
| 志望理由 | 財務情報を経営判断へ接続したい理由 | 高年収やブランドだけを理由にしない |
よい転職理由は、経理経験から自然につながっています。たとえば、決算や監査対応を通じて、数字が経営判断に与える影響を感じた経験があるなら、財務DDや事業再生への関心として説明できる理由です。足りない経験を認めたうえで、どの領域で補うかまで話せると、現実的なキャリア設計として伝わります。
面接官は、転職理由の背景に「数字の精度より意思決定」へ関心が移った瞬間があるかを聞きます。月次・年次の締めを最後まで担い切ったうえで、その数字が経営や投資の判断にどう使われているかを見たくなった、というストーリーは経理出身者にとって自然です。逆に、現職への不満が中心だったり、コンサル一般への漠然とした憧れだけが前面に出ると、応募部門への適合度が伝わりにくくなります。
選考で問われやすい論点とキャリアパスの考え方
中途採用の選考では、学歴よりも職歴・専門経験の中身が重視される傾向があります。厚生労働省 job tagの経営コンサルタントの解説では、大企業等で金融・財務・国際・技術・人事などの専門業務を経験した人が、その経験を活かして参入する例が示され、「学歴よりも、どのような専門業務を経験してきたかという職歴が重視される」とされています。FASも同様に、経理としての実務経験をどの部門の業務に接続できるかを、選考側は職歴の記述から読み取ろうとします。
| 選考で問われやすい論点 | 経理出身者が準備しておく説明 |
|---|---|
| なぜ経理からFASか | 数字を作る側から、数字を使って意思決定を支える側へ関心が移った経緯を、担当業務の具体例で話す |
| なぜこの部門か | 自分の経理経験が会計論点寄り・事業計画寄り・データ分析寄りのどれに近いかを部門の必須要件と結びつける |
| 会計論点をどう事業判断につなげたか | 決算・監査対応・予実差異分析などの結果を、どの関係者にどう説明し、何が決まったかまで話す |
| 語学力の実務での使用状況 | 資料作成・メール・会議など、英語をどの場面でどの程度使ってきたかを具体的に示す |
キャリアパスも、応募前に漠然とでも考えておく価値があります。経営コンサルタントの職業解説は、専門分野の経験を積んだ人が、実力と実績次第で独立開業に至る道も示しています。FASでも、財務DD・評価・事業再生などの実務を一定期間積んだ後、専門ブティックへの転身、事業会社の経営企画・財務責任者候補としてのキャリア、独立してアドバイザリー業務を担う道など、進む先は一つではありません。応募段階で「FASの先に何を目指すか」を持っておくと、面接で聞かれる中長期のキャリア観にも答えやすくなります。
年収についても、FAS各社の水準と、経理職としての一般的な水準は分けて考える必要があります。厚生労働省 job tagの経理事務は、賃金構造基本統計調査を出典とする統計値を公表していますが、これは経理事務職全般の集計であり、FAS各社の年収レンジとは前提が異なります。本記事では応募判断とキャリア設計を中心に扱うため、具体的な年収比較はFASの年収記事を確認してください。
今動くべき人・準備してから動くべき人
今動いてよいのは、経理経験をFASの評価観点に合わせて整理できる人です。決算、連結、開示、監査対応、管理会計、予算管理、資金繰り、会計論点のいずれかを、課題、行動、成果、説明相手まで話せるなら、応募準備に入る価値があります。
| 現在の状態 | 判断 | 次にやること |
|---|---|---|
| 会計論点や監査対応を主担当で説明できる | 直接応募を検討 | 財務DD・評価の募集要項に合わせて職務経歴書を作る |
| 管理会計や予実分析で事業部門に提案している | 領域を選べば応募可能性あり | T&R、CVA、PMIなど近い部門を比較する |
| 決算経験はあるが分析・説明が少ない | 準備してから応募 | 分析資料、事業理解、M&A基礎を補う |
| 定型処理が中心 | 迂回ルートを推奨 | 決算主担当、会計事務所、経営企画補佐などで材料を作る |
準備してから動く場合も、学習だけで止めないことが大切です。簿記やM&Aの基礎を学ぶだけでなく、現職で予実差異を分析する、監査対応の論点を整理する、経営会議資料に関わるなど、職務経歴書に書ける経験へ変える必要があります。
判断軸として、応募時期を決める前に確認したいのは3つです。部門を1〜2に絞れているか、職務経歴書を部門別に分けられるか、面接で過去経験と志望部門の業務を1対1でつなげられるかです。すべて満たせるなら、半年以内の応募が現実的です。1つでも揺れる場合は、書類で当てる部門を決めるところから準備を始めると、無理な応募の前にやることが見えやすくなります。
次に読むべきFAS記事
経理からFASを目指す場合、ルートを確認した後は、応募可能性、職務経歴書、面接準備を分けて進めると判断しやすくなります。自分の現在地を知りたい人は「FASの転職難易度」、書類を作る人は「FASの職務経歴書」、面接前の人は「FASの面接対策」、まだ直接応募に不安がある人は「FAS未経験転職」を確認してください。
あわせて、FAS各社の評価軸を比較したい場合はKPMG FAS・PwCアドバイザリー・デロイト トーマツ FA・EY-Parthenonの企業別記事も参考になります。同じBIG4でも、部門構成・案件比率・評価制度が異なるため、応募順序を考えるときに役立ちます。応募準備の段階ごとに記事を切り替えると、判断材料が分かりやすく整理できます。
経理からFASを目指す人の相談ポイント
経理からFASを目指す人は、応募前に3つを確認してください。第一に、現在の経理経験が財務DD、評価、T&R、CVA、PMIのどこに近いか。第二に、直接応募するか、迂回ルートで経験を作るか。第三に、職務経歴書と面接で同じストーリーを話せるかです。
リメディでは、経理・財務・会計領域からコンサルティングやFAS周辺職を目指す方に対し、職務経歴書の訴求軸、狙う企業タイプ、面接で説明すべき転職理由を整理しています。自分の経理経験がFASでどう評価されるか知りたい方は、応募前の段階で相談すると、直接ルートと迂回ルートを比較しやすくなります。

