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【2026年5月更新】IT業界の残業時間は多い?企業別データ・職種別残業事情・繁忙期を徹底解説

監修者

リメディ株式会社 ディレクター

馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji

神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。

目次

本記事のポイント

IT業界の平均残業時間は何時間か?

厚生労働省「2024年版 労働経済の分析」によると、情報通信業(IT業界を含む)の月平均所定外労働時間は15.8時間です。全産業平均13.9時間と比べて約2時間多い水準ですが、運輸業(約20時間)や建設業(約16時間)よりは少ない中位の業界に位置付けられます。

ただしIT業界の中でも業態による差が大きく、SaaS・自社サービス系では月15〜30時間、SIer受託開発では月25〜45時間、ITコンサルでは月50〜70時間と、所属企業や業態で実態が大きく変わる点に注意が必要です。

サービス残業(未払い残業)はあるか?

大手IT企業では36協定の遵守と上長承認制が徹底されており、原則として未払い残業は発生しません。固定残業代(みなし残業制度)を超過した分は、ほぼ全社で別途残業代が支給される運用。Sansanでは新卒初任給に30時間分の固定残業代が含まれ、超過分は別途支給される設計です。

一方で、裁量労働制適用者については労働時間の自己申告に依存する部分があり、見えない残業が発生しやすい構造もあるでしょう。求職者は応募時に固定残業代の時間数と、超過分支給の有無を確認しておくことをおすすめします。

残業が少ない企業はどこか?

公開数値ベースで残業が少ないIT企業は、SmartHR(月15.0時間/2024年度公式HP)、LINEヤフー(年間192時間=月換算約16.0時間/FY2024 ESG Data)など。SaaS・Webサービス系の自社プロダクト企業に低水準が集中する傾向が見られます。

繁忙期はいつか(季節変動)?

IT業界の主要繁忙期は1〜3月(年度末)と9月(中間決算)です。SIerは官公庁・金融案件のサービスイン、Webサービスは広告繁忙期、ECは年度末セール、ゲームは新作タイトル発売前のクランチタイムが残業集中の主な要因と言えるでしょう。

逆に6〜8月は夏季休暇シーズンで比較的閑散期となり、残業時間が月10〜25時間まで下がる企業も少なくありません。年間の残業時間は繁閑の波で平均値以上にばらつくため、企業選びでは平均値だけでなく繁忙期のピーク水準も確認すると実態がつかめます。

36協定の上限は守られているか?

厚生労働省の労働基準法第36条と働き方改革関連法(2020年4月から全業種で施行)により、通常の36協定では月45時間・年360時間、特別条項を結んだ場合でも月100時間未満(複数月平均80時間以下)・年720時間が上限となるルール。大手IT企業ではこれらの上限を超える残業は発生しにくい運用が定着しつつあります。

ただし上限ぎりぎりまで残業が発生するプロジェクトはSIerを中心に存在し、特にサービスイン直前の数週間は月60〜80時間に達するケースも報告されているのが実情。求職者は配属プロジェクトの繁忙期実態をエージェント経由で確認するのが安全でしょう。

業態別(SIer・SaaS・Web)の残業時間差はどれくらいか?

IT業界の主要5業態における月平均残業時間の目安は次のとおりです。

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業態月平均残業時間目安残業の特徴
SaaS・クラウド月15〜30時間リリースサイクル分散で繁閑の波が小さい
Webサービス・EC月15〜35時間新規プロダクト・年度末セール時に集中
SIer月25〜45時間納期前・サービスイン前にピーク
ゲーム月20〜30時間(クランチ時は変動大)タイトル発売前数ヶ月で集中
ITコンサル月50〜70時間クライアント決算期に連動
出所:弊社独自調べ

同じ「IT業界」と言っても、SaaSとITコンサルでは月平均で3倍以上の差がつくため、残業を重視するなら業態選びが第一の判断軸となるでしょう。

転職エージェントを使うメリットは何か?

各企業の月平均残業時間や繁忙期の実態は求人票には明記されないケースが多く、企業の働き方を正確に把握するにはエージェント経由の情報が有効。リメディはIT業界・コンサル業界の転職支援実績を踏まえ、配属プロジェクト単位での残業実態や、繁忙期のピーク水準まで含めて求職者に共有しています。

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IT業界とは

IT業界は、情報通信業のうちソフトウェア開発・情報サービス・インターネット附随サービスを中心とする産業群です。経済産業省の分類では大きくSIer・Webサービス/EC・SaaS/クラウド・ゲーム・ITコンサルの5つの主要分野に分かれ、それぞれ事業モデルが異なる構造を持っています。

IDC Japanの調査では国内IT市場規模は2024年時点で約32.4兆円。情報サービス産業協会(JISA)の統計では従事者数が約124万人と、日本の主要産業の一つに数えられます。市場拡大の背景には、企業のDX推進、クラウド・SaaSの普及、生成AIの実装ニーズなどが挙げられるでしょう。

残業の観点では、業態によって実態が大きく分かれるのが特徴と言えるでしょう。受託開発が中心のSIerは納期前にピークが立ちやすい一方、自社プロダクトのSaaSはリリースサイクルが分散されており、繁忙期の偏りが小さい構造になっています。

業界概要

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項目内容
市場規模約32.4兆円(2024年)
従業員数情報サービス産業 約124万人
業界平均残業時間月15.8時間(情報通信業/全業種平均13.9時間)
繁忙期平均残業時間月25〜70時間(業態により幅)
主要プレーヤー(5分野)SIer:NTTデータ・富士通・NEC・日立/Web:サイバーエージェント・楽天・メルカリ/SaaS:Sansan・SmartHR・freee/ゲーム:任天堂・バンダイナムコ/ITコンサル:ベイカレント・アクセンチュア
2030年人材不足予測最大79万人(経産省)
出所:IDC Japan「国内IT市場予測 2024-2028」・JISA「情報サービス産業基本統計調査 2024」・厚生労働省「2024年版 労働経済の分析」・経済産業省「IT人材需給に関する調査」

IT業界の残業時間データ

厚生労働省「2024年版 労働経済の分析 第3章 労働時間・賃金等の動向」によると、情報通信業の月平均所定外労働時間は15.8時間です。全産業平均13.9時間と比べて+1.9時間。中位水準の残業業界と位置付けられます。

とはいえ、業界内のばらつきが大きいのがIT業界の特徴。SaaSと受託開発SIerでは月平均で10〜15時間の差が開き、ITコンサル系の一部企業では月50時間を超える水準も観測されています。

業界別残業時間比較

厚生労働省「2024年版 労働経済の分析」を基に、主要業界の月平均所定外労働時間(一般労働者)を比較してみましょう。

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業界月平均所定外労働時間全産業比備考
運輸業、郵便業約20時間+6時間2024年問題で改革進行中
建設業約16時間+2時間2024年問題で改革進行中
情報通信業(IT業界含む)15.8時間+1.9時間SIer〜SaaSで業態差あり
学術研究、専門・技術サービス業約14〜15時間+1時間コンサル含む
製造業約14時間±0時間
全産業平均13.9時間2024年実績
金融業、保険業約12時間-2時間
卸売業、小売業約10時間-4時間
宿泊業、飲食サービス業約8時間-6時間所定労働時間自体が短い
出所:厚生労働省「2024年版 労働経済の分析 第3章 労働時間・賃金等の動向」

運輸・建設に続く第3位の残業時間水準ですが、中位グループとしてはコンサル含む専門サービス業や製造業と並ぶ位置付け。突出した残業業界とは言いにくい一方、業態差が他業界より大きい点はIT業界の特徴と言えるでしょう。

例えばSaaS系のSmartHRは月15.0時間と全産業平均13.9時間に近い水準。一方ITコンサル系のベイカレント・コンサルティングは推定月50〜70時間と、運輸業を超える水準にあります。同じIT業界に分類される企業同士で月35〜55時間の差が開く例は、他業界では見られにくい構造でしょう。

季節変動:繁忙期と閑散期

IT業界の残業時間は年間を通じて一定ではなく、特定の月に集中する季節変動が見られます。月別の繁閑度合いを整理したのが下表です。

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時期繁忙度主な要因残業時間目安
1〜3月繁忙期(最大)官公庁・金融の年度末システム稼働、決算業務、ゲームのリリース集中月30〜60時間
4〜5月やや繁忙新年度システム稼働後の安定化対応、新人配属の業務移管月15〜30時間
6〜8月比較的閑散夏季休暇シーズン、プロジェクトの中盤フェーズ月10〜25時間
9月繁忙期(中間決算)クライアント中間決算対応、下期リリース準備月20〜40時間
10〜12月標準〜繁忙年末セール対応(EC)、来年度予算策定支援、年明けリリース準備月15〜35時間
出所:弊社独自調べ

主要繁忙期は1〜3月の年度末と9月の中間決算。官公庁・金融案件の多いSIerでは繁忙期の残業が月60時間を超えるケースも珍しくありません。

業態によって繁忙要因も異なります。Webサービスの広告事業は決算期の駆け込み出稿、ECは年末・年度末セール、ゲームはタイトル発売前の数ヶ月(クランチタイム)が突出して繁忙となるのが代表例。

SaaS系の企業は受託開発のような外部依存の納期が少ないため、繁閑の波が比較的ゆるやかです。SmartHRの公開数値が年間を通じて15.0時間で安定するのは、こうした事業構造的な要因も寄与しているでしょう。閑散期には月10時間台前半に下がる企業もあり、年間を均すと業態差はさらに広がる傾向が見られます。

サービス残業と36協定の上限規制

働き方改革関連法の施行により、2020年4月から全業種で36協定の上限規制が義務化されました。IT業界も例外ではなく、上場企業を中心に36協定の遵守が定着しています。

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区分上限
通常の36協定月45時間・年360時間
特別条項付き36協定月100時間未満(複数月平均80時間以下)・年720時間
過労死ライン月80時間(脳・心臓疾患の労災認定基準)
出所:厚生労働省「労働基準法第36条」「働き方改革関連法」

大手IT企業では月45時間を超える月が連続する社員に対し、上長承認と健康診断の追加実施が義務付けられているケースが多く、上限ぎりぎりまでの残業は発生しにくい運用が定着しているのが現状。過労死ライン月80時間は脳・心臓疾患の労災認定基準にもなっており、企業の健康配慮義務上もこの水準を超えないよう運用されています。

一方、固定残業代(みなし残業制度)を導入している企業では、所定の残業時間(30〜80時間相当)が給与に組み込まれた前払い制となります。超過分はほぼ全社で別途残業代として支給されますが、応募時に固定残業代の時間数と超過分支給の有無を確認しておきましょう。

裁量労働制(専門業務型・企画業務型)が適用される職種でも、実労働時間が著しく長くなった場合は健康管理時間として把握する仕組みが大手企業では整備されています。「裁量労働制だから無制限に働かせてよい」という運用は、現在の法制度では成立しません。

企業別残業時間ランキング

IT業界の主要企業14社の月平均残業時間・みなし残業制度の有無・残業代支給状況を一覧化したのが下表。公式数値が公表されている企業(SmartHR・LINEヤフーなど)と採用ページで固定残業代の設計を確認できる企業を中心に、業態別に残業実態を整理しています。

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順位企業名月平均残業時間業態みなし残業制度残業代支給
1SmartHR15.0時間SaaSあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
2LINEヤフー約16.0時間(年間192時間)Webサービスあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
3サイバーエージェント職種・部門により変動Webサービスあり(ビジネス職80h/エンジニア職46h相当)超過分支給
4Sansan約20〜30時間(推定)SaaSあり(30時間分固定残業代/新卒)超過分支給
5freee約20〜30時間(推定)SaaSあり(裁量労働制)規定範囲内
6NTTデータグループ約20〜25時間(推定)SIerあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
7富士通約20〜25時間(推定)SIerあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
8NEC約20〜25時間(推定)SIerあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
9日立製作所約20〜25時間(推定)SIer/総合電機あり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
10任天堂約20〜30時間(推定/繁忙期は変動大)ゲームあり(裁量労働制)規定範囲内
11楽天グループ約25〜35時間(推定)Webサービスあり(裁量労働制適用者あり)超過分支給
12メルカリ約25〜35時間(推定)Webサービスあり(裁量労働制)規定範囲内
13野村総合研究所(NRI)約25〜35時間(推定)SIer/シンクタンクあり(裁量労働制)超過分支給
14ベイカレント・コンサルティング約50〜70時間(推定)ITコンサルあり(45時間相当)超過分支給
出所:SmartHR公式HP人的資本データ(2024年度)・LINEヤフー ESG Data(FY2024)・サイバーエージェント採用ページ・Sansan採用ページ・各社直近年度有価証券報告書および弊社独自調べ

SmartHRとLINEヤフーは公式に月平均残業時間を開示しており、業界の中でも透明性の高い企業と言えるでしょう。一方、SIerやITコンサル系の多くは公式数値を公表していないため、実態確認には採用ページの記述やエージェント経由の情報収集が有効です。

ランキング上位(残業少なめ)と下位(残業多め)の差は、月平均で3〜4倍以上。同じ「IT業界の上場企業」というカテゴリでこれほど差が開く業界は他に多くなく、企業選びの一手間が労働時間に大きく跳ね返る点はIT業界の特徴と言えるでしょう。

残業少なめ企業の特徴(SaaS・Webサービス)

SmartHRは2024年度の月平均残業時間が15.0時間と業界最低水準。男性育休取得率98.6%、有給取得率60.06%といった他指標も合わせて、働きやすさを公式HPの人的資本データで明示しています。

LINEヤフーはFY2024 ESG Dataで年間平均残業時間192時間(月換算約16.0時間)と公表。リモートワーク制度利用率100%、リモートワーク利用者12,130名と、柔軟な働き方の広がりが残業抑制と両立しています。

SaaSやWebサービス系で残業が少ない理由は、自社プロダクトを継続改善するモデルのためリリースサイクルが分散される点。受託開発のような「納期厳守の集中作業」が発生しにくく、年間を通じてフラットな労働環境になりやすい構造でしょう。

サイバーエージェントは採用ページ上で、ビジネス職80時間相当・エンジニア職46時間相当など職種別に固定残業代の設計が異なります。実残業時間もビジネス職とエンジニア職、メディア事業とゲーム事業で変わるため、応募時は配属部門単位で確認するのが現実的です。

残業多めの企業の特徴(SIer・ITコンサル)

NTTデータグループ・富士通・NEC・日立製作所などの大手SIerは、推定月20〜25時間と中位水準ですが、プロジェクトのサービスイン直前は月60時間を超えるケースもあるとされます。官公庁・金融案件は変更管理が厳しく、繁忙期が長期化しやすい構造でしょう。

ベイカレント・コンサルティングはITコンサル系として残業時間が突出して長く、月50〜70時間が業界記事の推定値。クライアントの決算期(3月・9月)に合わせた支援業務が多く、PMフェーズではさらに伸びるパターンも観測されています。

ただしベイカレントは45時間相当のみなし残業を含んだ給与体系で、超過分は別途支給される設計。NRIも同様に裁量労働制下で残業代支給の仕組みが整っており、長時間労働=サービス残業ではない点に注意が必要です。

みなし残業制度の理解

IT業界の多くの企業は、固定残業代(みなし残業制度)を導入しています。代表的な例を整理しました。

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企業固定残業代の時間数超過分の支給備考
Sansan30時間分(新卒初任給)超過分支給月給40万円に固定残業代含む
サイバーエージェントビジネス職80時間/エンジニア職46時間相当超過分支給年俸制(月額12分割)に組み込み
ベイカレント・コンサルティング45時間相当超過分支給裁量労働制との併用なし
出所:各社公式採用ページ・有価証券報告書(直近年度)

固定残業代の時間数は企業ごとに大きく異なります。応募時には「固定残業代に何時間分含まれるか」「超過分は別途支給されるか」の2点を確認しましょう。

裁量労働制(専門業務型・企画業務型)が適用される職種では、所定労働時間にかかわらず一定の労働時間分が給与に含まれる扱いとなる点も重要。PM・アーキテクト・ITコンサルタントなどに多く適用されますが、深夜・休日労働分は別途割増賃金が支給されるのが原則です。

職種別の残業事情

同じIT業界でも、職種によって残業時間の実態は大きく異なるのが実情。代表的な8職種の月平均残業時間目安を整理しました。

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職種月平均残業時間目安残業発生要因備考
PM(プロジェクトマネージャー)月30〜50時間複数案件のスケジュール調整・トラブル対応・顧客折衝裁量労働制適用が多い
SE(システムエンジニア/SIer所属)月25〜45時間サービスイン前・リリース対応・運用障害対応受託開発で納期がタイト
ITアーキテクト月25〜40時間大規模設計レビュー・技術選定の意思決定裁量大の上位職種
インフラエンジニア月20〜40時間障害対応・移行プロジェクト・夜間メンテナンス24時間運用は当番制
PG(プログラマー)月20〜40時間コーディング・テストの納期前・不具合対応SEと兼任が多い
QAエンジニア/テスター月20〜35時間リリース直前の集中テストリリース前に偏る
PdM(プロダクトマネージャー)月20〜35時間リプランニング・A/Bテスト分析Web・SaaS中心
データサイエンティスト月15〜30時間分析プロジェクトの締切・モデル精度検証比較的フラット
出所:弊社独自調べ

残業が多い職種:PM・SE

PMはプロジェクトの工程管理・品質管理・コスト管理を担う中核職種で、複数の関係者調整やトラブル対応のため月30〜50時間の残業が発生しやすい立場です。特に大規模SIerでは1人で複数案件を並行管理するケースも多く、繁忙期は月60時間に迫る水準まで伸びます。

SE(特にSIer所属)はプロジェクトの設計フェーズは標準的な労働時間ですが、結合テスト〜本番稼働の3〜4週間に残業が集中する傾向。サービスイン直前は月60〜80時間に達するパターンが多く、繁閑の波が大きいのが特徴と言えるでしょう。

残業が少ない職種:データサイエンティスト・PdM

データサイエンティストは月15〜30時間と比較的フラット。SaaS・Web系の自社サービス企業に所属するケースが多く、データ分析プロジェクトの締切以外は安定した労働時間で働けます。

PdM(プロダクトマネージャー)は会議体が多い反面、残業時間自体は月20〜35時間に収まる傾向。Webサービス・SaaSの企業文化として、長時間労働よりも生産性を重視する設計が標準化されつつあるためです。

裁量労働制の落とし穴

PM・アーキテクト・ITコンサルタントなどは裁量労働制(専門業務型・企画業務型)が適用される割合が高い職種。所定労働時間にかかわらず一定の「みなし労働時間」分が給与に含まれる仕組みで、自分の裁量で働き方を組み立てやすい一方、見えない残業が発生しやすい構造もあります。

裁量労働制下でも深夜(22時〜5時)・休日労働分は別途割増賃金が支給されるのが原則。実態を把握するには、勤怠申告と給与明細の深夜手当・休日手当の有無を確認するのが確実でしょう。

IT業界の繁忙期と季節変動

IT業界の残業は、年間を通じて均等に発生するというより、年度末・中間決算・大型リリース前に集中します。月平均15.8時間という統計値だけを見ると穏やかに見えますが、繁忙期の数週間だけ月40〜60時間に跳ねる企業もあり、転職前には季節変動を確認することが重要です。

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時期繁忙度主な要因残業時間目安
1〜3月繁忙期(最大)官公庁・金融の年度末システム稼働、決算業務、ゲームのリリース集中業態により月30〜60時間
4〜5月やや繁忙新年度システム稼働後の安定化対応、新人配属の業務移管月15〜30時間
6〜8月比較的閑散夏季休暇シーズン、プロジェクトの中盤フェーズ月10〜25時間
9月繁忙期(中間)クライアント中間決算対応、下期リリース準備月20〜40時間
10〜12月標準〜繁忙年末セール対応、来年度予算策定支援、年明けリリース準備月15〜35時間
出所:弊社独自調べ、各社採用ページ・既存リメディ記事の集約

SIerは年度末のサービスイン前に集中しやすい

SIerでは、官公庁・金融・大手企業のシステム更改が年度末に集中しやすく、1〜3月が最大の山になります。設計フェーズは比較的落ち着いていても、結合テスト、本番移行、障害対応が重なると、短期間で残業が増えやすい構造です。

そのため大手SIerを志望する場合は、平均残業時間だけでなく「本番移行前のピーク」「休日・夜間対応の頻度」「代休取得の実態」を確認しましょう。NTTデータグループ野村総合研究所のような大規模案件を扱う企業では、配属プロジェクト単位の差が大きくなります。

Web・SaaSはリリース前後の山を見極める

Webサービス・SaaSでは、年次の繁忙期よりも新機能リリース前後や大型キャンペーン前の負荷が重要です。自社プロダクト型の企業はリリースサイクルを分散しやすく、SIerより残業の山は小さい傾向があります。

一方、広告・EC・ゲームに近い事業は季節イベントの影響を受けます。サイバーエージェントのような広告・メディア系、ゲーム系の部門では年度末や大型タイトル発売前に負荷が増えるため、応募時には部署別の繁忙期を確認しておくとミスマッチを防ぎやすくなります。

IT業界の残業を減らす取り組み

IT業界では、業界レベル・企業レベル・個人レベルの3つの軸で残業削減の取り組みが進んでいます。それぞれの代表的な動きを順に見ていきましょう。

業界レベル:働き方改革と「2024年問題」の波及

2020年4月から働き方改革関連法により、全業種で36協定特別条項の上限規制(月100時間未満・複数月平均80時間以下・年720時間)が義務化されました。IT業界の大手企業はこの上限を遵守する勤怠管理システムを整備し、上長承認制による残業の見える化が定着しています。

2024年4月からの運輸・建設業の規制強化(いわゆる「2024年問題」)を契機に、IT業界でも顧客企業との納期交渉・予算交渉のあり方が見直されつつあるのが現状。「無理な短納期=割増フィー」の建付けが定着しはじめ、SIerの長時間労働を構造的に減らす方向に動き始めました。

経済産業省の予測では、2030年までに最大79万人のIT人材不足が見込まれています。企業は採用競争力として労働環境改善を位置付けるようになり、残業削減は採用ブランディングの重要要素となりつつあります。

企業レベル:制度・ツール導入

IT企業の主な残業削減施策を整理すると下表のようになります。

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取り組み代表的な事例
裁量労働制・フレックスタイム制の導入NTTデータ・NRI・サイバーエージェント・SmartHRなど多数。コアタイム短縮や完全フレックス化が進む
リモートワーク制度の拡大LINEヤフーは制度利用率100%、利用者12,130名(FY2024 ESG Data)
PCシャットダウン・残業時間の上限管理富士通・NEC・日立など大手SIerは月45時間超を要因分析の対象とし、上長承認を厳格化
副業・兼業の解禁楽天・サイバーエージェント・SmartHR等が解禁。本業の労働時間管理が前提
生成AIの全社活用LINEヤフーは2024年度から生成AI活用を全社員に義務化、AI関連研修受講者約4,080名
出所:各社公式HP・ESG Data・人的資本データおよび弊社独自調べ

特に注目すべきは生成AIの導入効果。LINEヤフーは2024年度から生成AI活用を全社員に義務化し、AI関連研修の受講者が約4,080名に達しました。コーディング・ドキュメント作成・調査時間の短縮が期待されており、業界全体で類似の動きが広がっています。

個人レベル:転職・キャリア戦略

個人ができる残業削減の最も大きなレバーは、業態と所属企業の選び方でしょう。SaaS・Webサービス系は受託開発のSIerより月平均で5〜15時間少ない傾向にあり、転職での業態変更は構造的な残業削減につながります。

裁量労働制が適用される職種であれば、業務の優先順位づけと前倒し設計で「みなし残業時間」内に収めるのが基本戦略です。上司との週1回の1on1で繁忙期前のリソース調整を行うことで、突発的な残業集中を未然に防げます。

ChatGPT・GitHub Copilot・Claudeなどの生成AIツールを使いこなすスキルは、残業削減の即効性が高い投資です。コーディング・ドキュメント作成・社内調査の時間短縮につながるケースもあり、個人の生産性向上が結果として労働時間短縮に直結します。

転職時には平均残業時間だけでなく、繁忙期のピーク水準・固定残業代の運用・裁量労働制の適用範囲を確認することが大切です。月平均が15時間でも繁忙期に月60時間まで跳ねる企業もあれば、年間通じて20時間前後で安定する企業もあり、年単位の働きやすさは平均値だけでは測れません。

IT業界で残業が少ないホワイト企業の見分け方

残業が少ないIT企業を見分けるには、口コミの印象だけでなく、公開データ・制度・面接で得られる情報を組み合わせて判断する必要があります。特に月平均残業時間、固定残業代、繁忙期ピークの3点は、入社後の働き方に直結します。

公開データでは平均残業時間と制度利用率を見る

まず確認したいのは、公式HP・人的資本データ・ESG Dataに掲載される平均残業時間です。公開数値がある企業では、SmartHRが月15.0時間、LINEヤフーが年間192時間(月換算約16.0時間)と、残業の少なさを判断しやすい材料があります。

あわせて、リモートワーク制度・フレックスタイム制・副業制度などの利用実績も見るべきです。LINEヤフーのようにリモートワーク制度利用率100%を開示している企業は、制度が形骸化していないかを判断しやすいでしょう。

面接では繁忙期と固定残業代を具体的に聞く

面接では「平均残業時間はどれくらいですか」だけでなく、「繁忙期は何月か」「繁忙期のピークは月何時間か」「固定残業代を超える残業はどの程度発生するか」まで確認しましょう。平均値だけでは、月15時間の企業でも一時的に月60時間へ伸びる実態を見落とす可能性があります。

固定残業代がある企業では、給与に含まれる時間数と超過分支給のルールを確認します。Sansanの30時間分、サイバーエージェントのビジネス職80時間/エンジニア職46時間相当のように、時間数の設計は企業・職種で大きく異なります。

エージェント経由で配属先の実態を確認する

IT業界では同じ企業でも、配属される事業部・プロジェクト・職種によって残業時間が変わります。求人票や採用ページだけでは配属先の繁忙期を把握しにくいため、転職エージェント経由で部門別の働き方を確認するのが現実的です。

特にSIer・ITコンサルは、案件単位で繁忙期が変わります。残業を抑えたい方は、候補企業を広げる前に「受託開発か自社プロダクトか」「運用保守比率は高いか」「夜間・休日対応があるか」を整理しておくと、企業選定の精度が上がります。

IT業界への転職支援

IT業界の残業実態は、求人票に記載される「残業時間」だけでは正確に把握できません。同じ企業でも配属プロジェクト・職種・繁忙期で月あたり2〜3倍の差が出るため、企業選びには現場感のある情報が欠かせません。

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残業を最小化したい方にはSaaS・Webサービスを、年収を最大化したい方にはITコンサル・大手SIerを軸に、ライフプランや家族構成も加味して個別に求人をご提案します。同じ業界内でも個社の働き方は大きく異なるため、相談ベースの情報整理だけでも転職判断の解像度が上がります。

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IT業界の転職で残業の少ない企業を選ぶポイント

残業の少ない企業を選ぶには、単に月平均残業時間が低い企業を並べるだけでは不十分です。IT業界では業態・職種・制度運用の3つを組み合わせて見ることで、入社後の働き方をより正確に予測できます。

公開データの精査:平均値とピーク値を分ける

最初のポイントは、平均残業時間とピーク残業時間を分けて考えることです。厚生労働省データの情報通信業15.8時間は業界全体の平均であり、職種や案件ごとの山谷を示すものではありません。平均値が低くても繁忙期が重い企業はあるため、月別の変動幅を確認しましょう。

公開データがない企業では、同じ業態の相場を参考にします。SaaS・Webサービスは月15〜30時間、SIerは月25〜45時間、ITコンサルは月50〜70時間を目安にし、候補企業がどのレンジに近いかを確認すると判断しやすくなります。

面接時の質問例:制度ではなく運用を聞く

面接では制度の有無だけでなく、運用実態を確認してください。たとえば「フレックス制度はありますか」ではなく、「繁忙期でもフレックスを使えますか」「月45時間を超える場合の承認フローはどうなっていますか」と聞く方が、働き方の実態をつかみやすくなります。

また、配属予定チームの直近プロジェクトについて、リリース前後の勤務時間、障害対応の頻度、休日対応後の代休取得状況を確認しましょう。36協定の上限を守っているかだけでなく、実際に休める運用かどうかが重要です。

エージェント活用:残業と年収のバランスを調整する

残業を抑えたい場合、年収・職種・業態のどこで折り合いをつけるかが転職戦略の中心になります。SaaS・Webサービスは働き方が安定しやすい一方、ITコンサルや大手SIerより年収上限が低くなるケースもあります。

エージェントを活用すると、候補企業の残業実態だけでなく、年収交渉や配属先交渉も含めて比較できます。残業を最小化したい方は、業態変更・職種変更・企業規模の優先順位を明確にしたうえで求人を選ぶと、入社後の納得度が高くなります。

IT業界への転職を検討するなら

IT業界の残業時間は、業態・企業・職種の3つの軸で大きく変動します。SaaS・Webサービス系は月15〜30時間、SIer・大手電機は月20〜25時間、ITコンサル系は月50〜70時間と、3倍以上の幅があるのが現実です。

残業を抑えながらキャリアを伸ばしたい方は、業態選びを第一の判断軸とし、繁忙期のピーク水準と固定残業代の運用を確認してください。個社の年収・働き方・選考対策を網羅した記事は、NTTデータグループ野村総合研究所サイバーエージェントベイカレント・コンサルティングSansanSmartHRで公開中です。IT業界の残業実態に不安がある方は、まずはリメディにご相談ください。本記事に掲載した各社の選考対策から年収交渉まで一貫してサポートいたします。

厚生労働省データの情報通信業15.8時間を基準に、自分が許容できる繁閑のパターンを描いてから企業を絞り込むのが現実的なアプローチです。

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