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SIerとITコンサルの違いをビジネスモデルで解説|なぜ同じスキルで年収が変わるのか

監修者

リメディ株式会社 ディレクター

馬越 雄司 | MAGOSHI Yuji

神戸大学を卒業後、阪急阪神ホールディングスに新卒入社。経理事業部に配属となり、グループ企業5社を担当。担当企業の決算業務や税務、IFRS改正対応業務に従事。
その後リクルートに転職しキャリアアドバイザーとして、候補者様に徹底的に向き合いながら、20代から50代まで様々な業界・職種の方のキャリア支援に従事。結果として、新人賞をはじめ、顧客価値貢献・チーム貢献に関する複数の賞を受賞。
現在はディレクターとして、M&A業界、戦略・総合コンサルティングファーム、メガベンチャー企業に特化した転職サポートを行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。

目次

本記事のポイント

SIerとITコンサルの違いを「年収が高いのはどっちか」で比べると、判断を誤りやすくなります。本当に効いてくるのは、同じITのスキルがどの事業モデルで値付けされるかという、報酬の付き方の構造だからです。本記事は、SIer・受託開発・社内SE・SE/エンジニアとして働き、ITコンサルへの転職を検討中の方、あるいは「同じような仕事なのに年収が違うのはなぜか」を疑問に感じている中途転職層を対象にしています。どちらが上という話ではありません。事業モデルの違いを構造で理解し、自分の選択に活かすための記事です。

結論を先に言うと、SIerは人月(投じた時間・工数)で値付けされる構造が中心で、ITコンサルは成果・レバレッジで値付けされる構造に寄っています。同じ要件定義の力でも、前者では「滞りなく作る・運用する力」として、後者では「事業成果を牽引する力」として値付けされる。だから報酬の天井が変わるのであって、あなたのスキルが劣っているからではありません。まず全体像を一覧で示します。

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項目結論
SIerの値付けの構造投じた工数(人月)に単価を掛けて請求する構造が中心。年収は利益への近さ(上流か・自社知見を持つか・基幹領域か)で上下する
ITコンサルの値付けの構造クライアントの事業成果に対するフィーから報酬が決まる。1人月の請求単価は300〜600万円という、成果価値が直接売上に転化する事業モデル
年収差の正体スキルの優劣ではなく、置かれた事業モデルで報酬の付き方が違うだけ。同じ力が別の値付けをされている
道の選び方会社種別で人月か成果かが固定されるのではなく、人月の外側に立てるかという個人の立ち位置の設計で動かせる
相談すべきタイミング転職する前。残ってどう上流に動くか、コンサルへどう動くかを並べて検討する段階
出所:各社有価証券報告書、コンサル業界の年収解説、厚生労働省 job tag、IPA デジタルスキル標準と弊社の転職支援の観点から弊社独自作成。値付けや向き不向きの整理は弊社見解であり、合否や将来を保証するものではありません

SIerとITコンサルは「価値の源泉」がどう違うか

ビジネスモデルの違いに入る前に、両者の価値がそもそもどこから生まれているかを押さえます。価値の源泉が違うから、値付けの仕方も変わるのです。公的なスキル標準と職業分類を手がかりにすると、感覚論ではなく役割の重心で比べられます。

IPAのデジタルスキル標準では、SIerや社内SEに近い「ソフトウェアエンジニア」は、システムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う役割と定義されています。これに対し、ITコンサルに近い「ビジネスアーキテクト」は、ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義し、経営視点で最適なビジネスモデルと業務プロセスを設計し、関係者をコーディネートしてプロセス全体を牽引し成果を創出する役割とされています。SIerは要件どおりにシステムを設計し、品質高く作り、安定して動かし続けることに価値の重心があり、ITコンサルは課題を定義し成果まで牽引することに重心がある、という整理です。

厚生労働省のjob tagでも、経営コンサルタントの仕事は、情報収集・整理から現場視察・関係者ヒアリング、分析と問題点の報告、経営戦略や業務改革案のプレゼン、実施状況のチェックと支援まで、と整理されています。求められる力として傾聴力や指導、読解力・文章力、交渉力といった対人と論点設計の力が上位に並ぶのが特徴です。SIerが磨くシステム構築の確かさや業務知見とは、価値の出どころが異なることがわかります。なお転身ルートとして、金融・財務・技術など専門業務を経験した後にコンサルへ移る人もおり、学歴より職歴が重視されるとされています。SE・SIerとしての技術経験は、この「職歴」の一つになり得ます。

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比較の軸SIer(受託開発・SE)ITコンサル
役割の重心要件に沿ってシステムを設計・実装し、安定して動かし続ける課題を定義し関係者を動かして事業成果まで牽引する
価値の源泉システム構築の確かさ、品質と納期を守る実行力、業務とITの橋渡し会社をまたいで再現できる論点設計・調整・推進の力
近い人材類型(IPA DSS-P)ソフトウェアエンジニア(設計・実装・運用)ビジネスアーキテクト(目的定義・変革牽引)
主に問われる力要件を満たし事業を止めない設計・運用判断傾聴・指導・読解と文章・交渉(job tag)
出所:厚生労働省 job tag、IPA デジタルスキル標準DSS-Pの人材類型と弊社の転職支援の観点から弊社独自作成。役割の対応づけは重心を示すための整理で、個人の実際の役割は幅があります

ここで大切なのは、どちらの価値が優れているという話ではないということです。SIerの「要件を満たし、止めずに動かし切る」価値は、社会のシステムを支える土台であり欠かせません。ITコンサルの「課題を定義し成果を牽引する」価値とは、価値の出どころが違うだけです。この違いが、次に説明するビジネスモデル=値付けの構造の差につながっていきます。

ビジネスモデルの違い — 「人月で値付け」と「成果・レバレッジで値付け」

本記事の幹はここです。SIerとITコンサルの最も大きな違いは、役割の中身よりも何に値段を付けているかという事業モデルにあります。同じITの仕事でも、時間・工数に値段を付けるのか、成果や生み出した価値に値段を付けるのかで、報酬の天井が変わります。ここを構造で理解しておくと、年収差の理由も、後述する「やることは変わらないのに年収が上がる」という現象も、すっきり説明できます。

SIer(受託開発)の中心にあるのは、投じた工数に単価を掛けて請求する人月モデルです。何人が何か月関わったか(人月)に基づいて対価が決まる構造で、見積もりも請求も工数を基礎に組み立てられます。この構造のもとでは、年収は「利益への近さ」で上下します。具体的には、顧客の経営課題に近い上流を担うか、自社プロダクトや固有の業務知見を持てるか、失敗時の影響が大きい基幹領域を担うか、です。たとえば上流・自社知見型の野村総合研究所(NRI)は有価証券報告書ベースで平均年収1,322万円と、人月モデルの中でも利益に近い側に位置しています。一方で下流の実装中心になるほど、工数の対価という値付けに近づきやすい傾向があるでしょう。

ITコンサル(成果・レバレッジモデル)は、クライアントの事業成果に対するフィーから報酬が決まります。コンサル業界の年収解説によれば、1人月の請求単価は300〜600万円で、高い専門性とアウトプットの品質が直接売上に転化する事業モデルとされています。ここで値が付いているのは、費やした時間そのものではなく、課題を定義し成果を出す価値です。同じ1か月でも、時間の対価として売るのか、成果の価値として売るのかで、付く値段が変わる。これがレバレッジ(てこ)と呼ばれる所以で、少ない人数でも高い価値を生み出せれば、その分が単価に乗っていきます。

整理すると、人月モデルは「投じた時間・工数が積み上がるほど対価が増える」構造、成果・レバレッジモデルは「生み出した価値が大きいほど対価が増える」構造です。どちらが正しいということではなく、値段の付き方の設計が違う。SIerの人月モデルは、品質と納期を担保するうえで合理的な仕組みであり、社会の重要なシステムが止まらず動いているのはこの構造に支えられている面もあります。問題は優劣ではなく、自分のスキルがどちらの値付けの仕組みの上に置かれているか、です。

同じスキルでも単価が変わる理由 — スキルの優劣ではなく事業モデルの差

「同じ要件定義をやっているのに、なぜ単価が違うのか」。これはSE・SIerの方から最もよく聞く疑問です。答えは、スキルの優劣ではなく、その力がどの事業モデルで値付けされているかにあります。同じ要件定義の力でも、人月モデルの中では滞りなく作る・運用する力として値付けされ、成果・レバレッジモデルの中では事業成果を牽引する力として値付けされる。後者のほうが価値が大きいと評価されやすいため、同じ力でも付く値段が変わります。

もう少し構造に踏み込みます。人月モデルでは、単価は工数の対価という基礎の上に積まれるため、どれだけ優れた要件定義をしても、その価値が「短い時間で終わった=請求工数が減る」方向に働くと、対価としてはかえって増えにくいことがあります。つまり、価値を出すほど工数が減り、工数で値付けする構造とは噛み合いにくい場面があるのです。一方、成果・レバレッジモデルでは、短い時間で大きな成果を出せること自体が価値として評価されるため、効率の良さが単価を押し上げる方向に働きます。同じ「効率よく価値を出す力」が、片方では対価を減らし、もう片方では対価を増やす。これがスキルの優劣ではなく事業モデルの差で単価が変わる、という意味です。

具体的なイメージを持つために、同じ「業務課題を整理して解決の道筋を描く力」を考えてみます。人月モデルの受託開発でこの力を発揮すると、それは要件定義工程を滞りなく進める力として評価され、対価は工程に割り当てられた工数に紐づきます。同じ力を成果・レバレッジモデルのコンサルで発揮すると、クライアントの事業がどう変わったかという成果に紐づくフィーとして評価されます。前者は「工程を担った時間」に、後者は「事業に与えた変化の大きさ」に値段が付く。力の中身は同じでも、値段の根拠になっているものが違うのです。

ですので「コンサルのほうが単価が高い」という見方は、半分正しく半分ミスリードです。正確には、コンサルの値付けの仕組みのほうが、価値を出す力を単価に反映しやすい、ということです。事業モデルによって単価の付き方が数倍変わりうるのは事実ですが、それはあなたの力が劣っていたから安かったのではなく、その力を高く値付けする仕組みの上に置かれていなかっただけ、と理解するのが構造的に正確です。なお、単価が具体的に何倍になるかは案件や領域で大きく変わるため、一律に「2〜3倍になる」と断定はしません。はっきり言えるのは、値付けの仕組みが違えば同じ力でも付く値段が変わる、という構造の方です。

多重下請けと商流の階層 — 構造を理解した人が上流側に回る価値

人月モデルを語るうえで避けて通れないのが、受託開発に見られる商流の階層構造です。これはしばしば「多重下請け」と呼ばれますが、本記事では特定企業を批判するためではなく、値付けがどこで決まるかを理解するための構造として扱います。仕組みを知ることが、自分の立ち位置を選ぶ材料になるからです。

受託の商流は、発注者から元請(上流)、二次請・三次請(下流)へと仕事が流れる階層になりやすい構造です。発注者から距離が近いほど、何を作るべきかという課題定義の権限を持ちやすく、距離が遠いほど、決まった要件を実装する役割に寄っていきます。利益率も、課題を定義し提案する上流に厚く乗りやすい。これは特定の会社が悪いという話ではなく、受託という事業モデルに共通して現れる商流の構造で、先ほどの「利益への近さで年収が決まる」という整理とも一致します。建設業の元請・下請の関係になぞらえられることもありますが、ここでは値付けの距離を説明するための例えとして触れるにとどめます。

この構造を理解すると、前向きな選択肢が見えてきます。商流の発注側・上流側(課題を定義する側)に近づくほど、同じITの素養がより高く値付けされやすい、ということです。コンサルへの移行は、商流の上流=値付けの高い側に立つための一つの道です。ただしこれはSIerが下で、コンサルが上、という話ではありません。SIerの中にも、上流の要件定義・グランドデザインを担う役割や、自社プロダクトで価値を出す役割があり、そこは商流の上流に位置します。要は、自分が商流のどこに立っているかを正しく把握し、より発注者に近い側へ動けるかどうか。構造を知っている人ほど、消耗ではなく立ち位置の設計で報酬を動かせます。

ビジネスモデルで見た比較表

ここまでを、人月モデルと成果・レバレッジモデルという二つの値付けの仕組みで並べてみましょう。先ほどの役割比較表が「価値の源泉」を比べたのに対し、この表は値付けの効き方を比べます。どちらが優れているかという読み方ではなく、同じスキルがどう値付けされるかの違いに注目すると、差がつかみやすくなります。

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値付けの見方SIer(人月モデル)ITコンサル(成果・レバレッジモデル)
何に値段が付くか投じた工数(人月)に単価を掛けた対価クライアントの事業成果に対するフィー
単価が上がる方向利益への近さ(上流・自社知見・基幹領域)で上がる少人数で大きな価値を出すレバレッジで上がる
効率の良さの扱い請求工数が減る方向にも働き対価に反映されにくい場面がある効率よく成果を出すこと自体が価値として評価されやすい
商流での位置発注者に近い上流ほど課題定義の権限と利益が厚い課題を定義する側に立つことが前提の事業
主なリスク下流・実装中心に固定化すると値付けの天井が低くなりやすい人月の外側に立てず時間だけ売ると事業モデルを変えても消耗する
出所:各社有価証券報告書、コンサル業界の年収解説(1人月300〜600万円)、IPA DSS-Pと弊社の転職支援の観点から弊社独自作成。値付けの効き方の整理は弊社見解で、将来や合否を保証しません

この表から見えるのは、SIerは工数を基礎に値付けされるがゆえに、上流・自社知見に動けるかで天井が決まる、ITコンサルは成果に値付けされる代わりに人月の外側に立てるかが問われる、という対照です。どちらにも単価を上げる道があり、どちらにも消耗のリスクがある。だからこそ、自分がどちらの値付けの仕組みの上で価値を伸ばしたいのかを基準に選ぶと、判断がぶれにくくなります。

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SE→ITコンサルで年収が上がる構造

SEやSIerからITコンサルへ移ると年収が上がりやすい、とよく言われます。これを「SIerの仕事が劣るから安く、コンサルが偉いから高い」と読むのは誤りです。正しくは、置かれた事業モデルの値付けが変わるからです。移行しても作業の中身、つまり要件を整理し、システムで業務を変えるという地続きの力は、すぐには大きく変わりません。それでも年収が上がりうるのは、同じ力が成果価値として値付けされる仕組みの上に移るからです。

言い換えると、「やることは変わらないのに年収が上がる」という現象は、あなたのスキルが急に上がったからではありません。人月モデルの中では成果価値として値付けされにくかった力が、成果・レバレッジモデルの中では正しく値付けされるようになった、というのが構造的な説明です。これはSIerを下げる話ではなく、むしろSIerで培った要件定義・設計・プロジェクト推進の力が、別の値付けの仕組みの上で評価され直す、という前向きな見方です。土台にできる技術と業務の経験があるからこそ、移行後に成果を出せる、とも言えます。

需要側の事情も、この値付けの動きを後押ししています。IPAは「深刻化するDXを推進する人材不足と課題」として、変革を推進する上流・変革側の人材が不足しているという問題認識を公式に示しています。課題を定義し成果まで牽引できる人が足りていないからこそ、その力は高く値付けされやすい。SIer・SEとして技術を理解したうえで上流に立てる人は、この不足を埋める希少な側に回れる可能性があります。需給の数値そのものを断定はしませんが、上流・変革側の人材が求められているという公式の問題認識は、年収が上がる構造を説明する背景として押さえておく価値があります。

ただし、移れば自動で年収が上がるわけではありません。年収を比べるときは職種名でひとくくりにせず、役職・領域・事業モデルの単位で見る必要があります。本記事では特定の数値を断定しません。SIer各社の年収は有価証券報告書ベースで、日立製作所961万円、富士通929万円、NTTデータグループ923万円(持株会社単体)、TIS807万円、SCSK788万円と、同じSIerでも幅があります。コンサル側も、ITコンサルタント職と経営コンサルタント職では公的な平均が分かれ、役職別レンジも戦略・総合・IT系で異なります。どの職種区分で見るかで代表値が変わるため、実数を見比べたい方は後述のSIer業界の年収コンサル業界の年収をご覧ください。年収の高低だけでなく、値付けの構造とあわせて考えるほうが、納得して動けます。

SIer化・コンサル化 — 事業モデルは会社種別で固定されない

ここまで人月モデルと成果・レバレッジモデルを対置してきましたが、現実の業界はそれほどきれいに二分されていません。近年はSIerのコンサル化、コンサルのSIer化という両方向の動きが進んでいます。事業モデルは会社の種別で永久に固定されるものではない、という点を押さえておくと、選択肢の幅が広がります。

SIer側では、単に要件どおりに作る受託から、上流の構想策定やDX推進といった課題定義の領域へ広げる動きや、自社プロダクト・サービスを持って人月から離れる動きが見られます。これらは商流の上流=利益に近い側に立つ動きであり、人月モデルの中にいながら成果・レバレッジ側へ近づく道です。先のNRIのように上流・自社知見型のSIerが高い年収水準にあるのは、この構造と整合します。コンサル側では、構想だけでなく実装・運用まで一気通貫で担う動きが進み、エンジニアリングを内製化する流れもあります。両者の境界は実務上、思われているほど明確ではありません。

転職を検討するなら、会社の看板や「SIer/コンサル」という肩書きだけでなく、募集要項に書かれた役割の中身から、その仕事が商流のどこに位置するかを読み解く視点が役立ちます。要件定義や構想策定、課題のヒアリングといった課題を定義する側の言葉が並ぶ役割は上流・成果側に近く、決まった仕様の実装・テスト・運用が中心の役割は人月側に近い、という見当がつきます。同じ会社名でも部署や案件で立ち位置は変わるため、肩書きで判断せず、任される役割が課題定義に踏み込めるかを確かめるのが現実的です。

ここから導けるのは、人月か成果かは勤め先の看板で決まるのではなく、自分が人月の外側に立てているかで決まる、ということです。人月の外側に立つとは、与えられた工数をこなすのではなく、何を解くべきかという論点そのものを設計し、関係者を動かして成果まで持っていく働き方を指します。SIerに残る場合でも、上流・自社プロダクト・基幹領域という利益に近い側へ動けば、人月の外側に近づけます。コンサルに移っても、人月の外側に立てず忙しさだけを売れば、事業モデルを変えても消耗しやすい。事業モデルの違いは出発点であって、最終的な立ち位置は個人の設計で動かせる、というのが前向きな着地です。

自分はどちら側に立つべきか — タイプ別の考え方

同じSE・SIerでも、担ってきた仕事によって、人月の外側に立つための道は変わります。次の早見表で、自分がどのタイプに近いかをまず確認してください。向く道の表記は、役割定義と現職経験の距離から判断した弊社の見解であり、合否を保証するものではありません。

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現職のタイプSIerに残って人月の外側へ動く道コンサルで成果側に立つ場合の入口(弊社見解)
下流・実装が中心上流の要件定義・設計に手を挙げ、課題定義の経験を作るまずはIT実装に近い領域から入り、上流経験を積み上げる順序が現実的
要件定義・上流が中心顧客の経営課題に踏み込み、構想策定・グランドデザインへ広げる業務・DXコンサルに近い。課題定義の経験を成果の言葉で語れれば直接ルートも見える
PM・プロジェクト推進が中心QCD管理だけでなく、何を優先すべきかの論点設計まで担うPMO・上流PM領域に近い。体制と合意形成の経験が資産になる
インフラ・クラウド・データが中心移行や基盤の判断を事業価値に接続して語る経験を積むIT・クラウドやデータ/AIコンサル領域に接続しやすい
出所:IPA DSS-Pの人材類型、各社公式採用ページの要件構造と弊社の転職支援の観点から弊社独自作成。向く道は弊社見解で合否を保証しません

大切なのは、コンサルへ動くことだけが正解ではないという点です。下流・実装が中心のSEが、いまの会社で上流の要件定義に手を挙げ、課題を定義する側へ広げれば、SIerに残ったまま人月の外側へ近づけます。残留と転職は対立する選択ではありません。どちらでも問われるのは「人月の外側に立つ行動を取れるか」という共通の一点です。自分のタイプを確かめて、いまの環境で次の一歩が踏めるかまで考えてみてください。

コンサルへ動く準備を具体的に進めたい場合は、本クラスタの個別記事が役立ちます。SE全体の移行ルートと評価される経験の整理はSEからITコンサルへ転職できる?で、技術スキルをコンサルの価値にどう翻訳するかはエンジニアのスキルはコンサルでどう武器になる?で扱っています。また、年収は上がっても労働時間が伸びて時給では一時的に下がる場合があり、その収支の見方はコンサル転職は割に合う?時給で見る収支で詳しく整理しています。値付けの構造を理解したうえで、これらの記事で自分の立ち位置の設計を具体化してください。

SIerとITコンサルの違いでよくある不安と回答

最後に、SIerとITコンサルの違いを考えるときに多い不安を、事実ベースの考え方で整理します。不安は事実で確かめることが、納得して選ぶための近道です。

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不安事実ベースの考え方
結局どっちが上なの?上下ではなく値付けの仕組みが違う。SIerは人月(工数)、コンサルは成果・レバレッジで値段が付く。役割の重心が異なるだけ
同じ仕事なのに年収が違うのはなぜ?同じ力でも、人月モデルでは作る・運用する力、成果モデルでは成果を牽引する力として値付けされる。スキルの優劣ではなく事業モデルの差
SIerの経験はコンサルで通用する?要件定義・設計・プロジェクト推進は課題定義に翻訳できる。完全未経験ではなく隣接経験として準備するのが現実的
年収はどれくらい変わる?役職・領域・事業モデルで変わり一律でない。単価倍率も案件次第で断定できない。実数はSIer業界・コンサル業界の年収解説で見比べるのが正確
多重下請けって悪いこと?善悪ではなく商流の構造。発注者に近い上流ほど課題定義の権限と利益が厚い。構造を知って上流側に動けるかが鍵
SIerに残るのは不利?不利とは言えない。上流・自社プロダクト・基幹領域へ動けば人月の外側に近づける。残留でも値付けは動かせる
出所:厚生労働省 job tag、IPA DSS-P、各社有価証券報告書、自社の年収解説記事と弊社の転職支援の観点から弊社独自作成。考え方は弊社見解です

リメディは、戦略・ITコンサルへの転職支援に取り組む転職エージェントで、年収1,000万円以上の方が利用したいと思う転職エージェントとして評価をいただいています。SIer・SEとして培った要件定義・設計・プロジェクト推進の経験を、ITコンサルでどう評価される形に翻訳するか、あるいはSIerに残ってどう上流・成果側へ動くか、その両方を並べて整理する支援をしています。すぐ転職と決めていなくても、応募前の段階で相談すると、人月の外側に立つための準備を比較しながら進めやすくなります。まずはコンサルの全体像を知りたい場合はコンサル業界への転職を、向き不向きを確かめたい場合はコンサル業界に向いている人もあわせてご覧ください。

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本記事はSIerとITコンサルのビジネスモデル(値付けの構造)の違いを比較しました。移行の具体的な進め方や年収の実数をさらに深掘りしたい場合は、次の記事もあわせて確認してください。

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