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日本のコンテンツ産業の変革を推進するPwCのE&Mチーム ー エンタメ×異業種で挑む産業構造変革の最前線

日本が世界に誇る強力な資産──アニメ、漫画、ゲームなどの「コンテンツ」。
人口減少や内需縮小といった課題を抱える日本経済において、これらのコンテンツをどう活用し、どのように産業・社会へ波及させていくのかは重要なテーマとなっています。

こうした成長領域を牽引し、産業構造そのものの変革「インダストリートランスフォーメーション(IX)」を推進しているのが、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のエンターテインメント&メディア(E&M)チームです。

今回、E&Mチームの戦略とビジョンを紐解くべく、執行役員 パートナー 松岡 英自様にインタビューを実施。松岡様のキャリア、E&Mチームの現在地、そして同チームが提唱するコンテンツの生態系モデル(コンテンツと5つのC)の全体像から具体的なプロジェクト事例、さらに国・省庁・異業種を巻き込んだエコシステム形成まで、多角的に語っていただきました。

Interviewee|PwCコンサルティング
執行役員 パートナー 松岡 英自

外資系コンサルティングファームを経て、現在に至る。通算20年以上のコンサルティング経験を有する。
主に全社トランスフォーメーションに関するプロジェクトに従事。グローバルビジネスサービス(GSSC、BPO)への変革、エンド・ツー・エンドの業務プロセス改革(BPR)、グローバル経営管理情報基盤構築など、組織・プロセス・ITなどに係るコンサルティングサービスを包括的に提供している。

Interviewer|リメディ 平岡 弦

慶應義塾大学卒業後、デロイトトーマツグループの有限責任監査法人トーマツに新卒入社。パブリックセクター部門にて、官公庁へのアドバイザリー業務に従事しつつ、大手事業会社のシステム導入案件や機関設計領域におけるコンサルティング案件に従事。パブリックセクター部門では官公庁を通し、スタートアップのエコシステム組成に貢献し、スタートアップへの伴走支援も行う。現在はヘッドハンターとして戦略・総合コンサルティングファームなどを中心とした転職サポートに従事。20代若手からエグゼクティブ層まで、幅広い支援を経験し、業界トップクラスの実績を誇る。

Interviewer|リメディ 日髙 大志

筑波大学大学院を卒業後、日本工営(開発コンサルティング会社)に新卒入社。官公庁・建設・不動産・総合商社セクターでの国際開発プロジェクトにコンサルタントとして従事。その後、KPMGコンサルティング株式会社に参画し、DXコンサルタントとして、官公庁・不動産セクターでのDX推進に携わる。コンサルタントとしてキャリアを歩む中で、優秀な人材がポテンシャルを最大限発揮して活躍することが企業の成長へ直結することを実感し、ヘッドハンターとしてリメディに参画。コンサルティングファーム、M&A、不動産・建設業界を中心にハイキャリア層の採用・転職支援を実施。

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転職意思が固まる前の情報収集にも
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目次

E&Mチームが取り組むインダストリートランスフォーメーション(IX)|日本コンテンツを軸にした成長戦略

――まずは、松岡様ご自身のご経歴と、現在率いるチームについて教えてください。

松岡様:これまで一貫してコンサルティングファームの領域でキャリアを積んできました。PwCは私にとって3社目となるプロフェッショナルファームで、2014年に入社してから約11年が経ちます。社内でも比較的社歴が長い方にあたり、組織への愛着も深く、内部事情にも精通しています。

キャリアのスタートは会計領域のコンサルティングで、長らくその分野を中心に携わってきました。その後10年ほど前からテクノロジー企業を中心とした“インダストリー側”の支援へとシフトし、現在のE&M領域を主とするようになったのは5〜6年前のことです。当時支援していた企業がテクノロジーとエンタメの両領域を展開しており、その経験が契機となってこの領域に深く関わるようになりました。

現在、私がリードするE&Mチームは主に4つの産業カテゴリを支援しています。

  • マスメディア(放送局・広告代理店)
  • コンテンツホルダー(ゲーム会社・出版社・映画・音楽
  • プラットフォーマー(インターネット企業)
  • 印刷関連企業

これらを1つの大きなセグメントとして捉え、幅広く産業をカバーしています。

近年は、個社単位での課題解決にとどまらず、業界全体を改革するIXを掲げ、構造そのものを変えていく取り組みを強力に推進している点が、私たちの大きな特徴です。

PwCコンサルティング独自の「Contentと5C」とは|5兆円市場を動かす産業モデルの全貌

――E&Mチームの掲げる独自フレームワークについて教えてください。

松岡様:私たちは「エンターテインメント&メディア・インダストリー・イニシアチブ」という組織を立ち上げ、多様な活動を行っています。その中心的なフレームワークが 「Contentと5C」 です。私たちは、コンテンツへ投資し(資本:Capital)、コンテンツを創り(創作:Creator)、配る(配給:Channel)ことを通じて、生活者による所有(Commerce)・体験(Community)として消費され、再び新たなコンテンツの創出へ還るという循環が、メディア生態系の一部として複数の企業の有機的な連携によって実現していると考え、コンテンツとそれを取り巻く5つのC(5C)と呼んでいます。これは、映像・音楽などの“ソフトコンテンツ”を軸に、周辺産業・生活者・社会を包括的に巻き込んでいく産業モデルです。

背景には、日本政府が約20年前から進め、近年再構築が進む 「クールジャパン戦略」 があります。アニメ、漫画、ゲームなど、日本のソフトコンテンツは世界的にも極めて競争力の高い領域であり、その海外市場規模は実際に5.7兆円という規模にまで拡大しています。さらに、正規市場だけにとどまらず、二次流通や模造品対策まで含めれば、その倍以上のポテンシャルが眠っているとも言われています。

私たちは、コンテンツがエンタメ企業だけのものではなく、キャラクタービジネス、グッズ、街づくり、観光など、多くの産業に影響をもたらす可能性があると考え、「この豊富なコンテンツ資産を日本産業全体の持続的成長にどう結びつけるか」という観点から取り組みを進めています。

単に「コンテンツを輸出する」ではなく、産業構造そのものを変革し、インパクトを生むことを明確に掲げている点が、私たちの大きな強みであり、コンテンツを軸に、社会や産業、そして世界中の人々の生活新たな価値を届けていく──このような大きな視座でプロジェクトに取り組んでいます。

海外展開支援|欧州市場開拓・法規制対応・データ統合の実例

――実際に企業の海外進出を支援する案件はあるのでしょうか。

松岡はい、多数あります。具体例として、多様な事業を展開する企業の 欧州市場開拓 を支援した事例があります。欧州での事業展開にあたり、海外戦略の策定に伴走しました。

法規制対応とデータ統合が鍵|ドメスティックな体制からの脱却と、グローバル経営判断の実現

松岡様:このような海外支援時には大きく2つの観点があります。

① 各国の法規制対応
海外展開における最大のハードルのひとつが「国ごとの規制・商習慣」です。
これらに対し、PwCの専門知見を活かし、企業がスムーズに海外で事業を展開できるよう支援しています。

② 国内外データの統合・可視化基盤の整備
実は、これが非常に重要なポイントです。日本のエンタメ企業の多くは 国内市場を中心(ドメスティック)に最適化された体制 のため、海外拠点を含めた全社データが統合されていないケースが多くあります。

そこで、「国内データと海外販売データの統合」「グローバルKPIの可視化」「経営判断に必要な情報基盤の構築」を支援し、グローバル経営が可能な体制への変革を支援しています。

――海外進出支援は貴社の強みなのでしょうか。

松岡様:まさにここが、PwCのグローバルネットワークと専門知が真価を発揮できるところです。日本市場は人口減少により縮小が避けられず、企業が成長するためには海外進出が不可避となってきています。しかし日本のエンタメ企業は、歴史的にドメスティック志向が強く、海外展開に必要な知見やネットワークが不足しがちです。そこでPwCのグローバルネットワークと専門性が、海外進出を目指す企業にとって非常に価値ある支援につながるのです。

日本コンテンツの輸出とインバウンドの循環モデル|PwCが描く地域活性化の構造

――観光市場における「インバウンド」と日本のコンテンツを組み合わせた取り組みも増えているのでしょうか。

松岡はい、増えています。直近では、レジャー産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)支援が特に多いです。テーマパークをはじめとするレジャー施設には多くの外国人観光客が訪れていますが、施設の運営効率化やデジタル化を進めるためのDXプロジェクトが活発になっています。

――施設DXの先に、どのような構想を描かれているのでしょうか。

松岡様私が目指しているのは、単なるDXではなく、「循環(ループ)」をつくり出すことです。Contentと5Cの考え方では、まず日本のコンテンツを海外へ輸出します。すると、その国・地域で日本の作品・キャラクター・ブランドに触れた人々が増え、興味関心が高まります。その結果、「日本に実際に行ってみたい」と考える人が増え、観光(インバウンド)という形で日本へ戻ってくるわけです。

この“還流”を捉えることで、「地域経済の活性化」「観光関連産業への波及」「周辺ビジネス(宿泊・交通・地域産品など)の成長」といった効果が生まれます。つまり、輸出(アウトバウンド) → 観光(インバウンド) → 地域活性化という好循環が実現可能だと考えています。

現時点では対外的に強く打ち出してはいませんが、目標として、「ここまで一気通貫でつなげたい」という思いを強く持っています。

地方ビジネスの構造課題と再編戦略|ローカルコンテンツ活用による成長モデル

――日本の地方には、魅力的なローカルコンテンツが多数あると感じます。地方創生に関わる取り組みも進めているのでしょうか。

松岡様:現状は「これから」という段階です。自治体と連携する試みや、官公庁と議論しながら企画を進めているものはあります。しかし、まだ具体的な案件として動いているわけではありません。

――なぜ地方ビジネスは“具体化”が難しいのでしょうか。

松岡様:構造的なハードルがあるからです。地域によっては、企業も自治体も規模が小さくなり、「予算」「経営体力」「投資余力」といった点で制約が大きくなります。結果として、コンサルティングファームと直接契約し、プロジェクトを進めること自体が難しくなりがちです。

――そうした中で、どのようなアプローチが考えられるのでしょうか。

松岡様:1社単位では規模が小さく、資金的な余裕も乏しいため変革に後ろ向きになるケースも少なくありません。

俯瞰して見た時、 明らかな“無駄”や“非効率”の存在に気が付くことがあります。そこで有効なのが、「地域単位での再編」です。

放送局を例にすると、複数局を束ねて地域ごとに再編し、統合された体制のもとで地域の特長あるコンテンツを投入する。これにより、競争力を高め、新たな価値を生むことが可能になります。
こうした“業界再編”の発想は、ローカルコンテンツの再起につながると考えています。

官民連携で挑む海外市場開拓|省庁・商社・金融を巻き込んだエコシステムの形成

――最近E&Mチームが手掛けられたプロジェクトの中で、特に印象深いものはありますか。

松岡様:先ほど触れた日本のコンテンツ、すなわち「IP(キャラクターや作品などの知的財産)」を海外に持っていくという支援が印象深いです。

日本のIPを使ったグッズなどの知的財産を海外市場で展開するにあたっては、「現地での需要調査」「サプライチェーン構造の分析」「事業化支援」が必要です。二次流通も扱うプラットフォームがあれば、「コンテンツを越境ECで海外に届けるための仕組みづくり」「海外市場の規制調査」「POS導入における課題整理」も必要になります。単なる“マーケティング調査”にとどまらず、流通・販売の構造まで踏み込んだ包括的な支援が要求されます。

これらは、私たちが掲げる「Contentと5C」を具体的に体現する、非常に象徴的なプロジェクトです。

インダストリートランスフォーメーション(IX)のもたらす効果|産業の裾野拡大と、志ある人材の集積

――IXを掲げたことによる効果や、周囲への波及についてはいかがでしょうか。

松岡様:取り組みはまだ初期段階ではありますが、大きく2つの効果が現れていると感じています。

1つ目は、ビジネス領域の拡大です。E&M領域のプレイヤーは、1社ごとの規模が小さく、市場も他産業と比較するとそれほど大きくありません。この領域だけで事業を広げ続けるのには限界がありました。そこで、コンテンツを“入口”として、他産業のクライアントとの接点を広げることに注力しています。エンターテインメントは多くの産業と接続し得る領域であり、その関係性から新たなビジネス機会を創出していくことが狙いの1つです。

2つ目は、志ある人材が集まり、チームがより強くなっていることです。
「産業全体を変革する」という大きな志に共感する人材が採用などを通じて外部から集まり、組織としての厚みが増しています。

E&Mが創出する新たなビジネス機会|商社・小売・交通・金融業界への波及

――具体的には、どのようなステークホルダーがIXの取り組みに関わってくるのでしょうか。

松岡様:関係する産業は非常に幅広いです。たとえば次の通りです。

  • 総合商社
    海外市場でのIP展開やサプライチェーン構築など、事業化に向けた調査・企画
  • リテール(小売)
    「どう集客するか」という観点でのエンタメコンテンツの活用
  • 鉄道・不動産デベロッパー
    街づくりの文脈で、「エンタメを活用して地域に人を呼び込む」取り組み
  • 金融機関(銀行・投資ファンド等)
    コンテンツ産業の成長性に着目した新たな収益機会の模索として、IPビジネスに資金供給するファンドの組成

このように、「Contentと5C」 を基点としたプロジェクトは、E&Mという枠を超えて、多様な業界へ波及しています。PwCでは、それぞれの企業のニーズに合わせた支援をしています。

国を巻き込み、リスクを共有する|官民連携で挑む海外市場開拓

――一企業だけでなく業界全体や国まで巻き込む取り組みになると、非常に大きなインパクトが出るように感じます。国との連携についてはいかがでしょうか。

松岡様:国との連携は不可欠です。日本の成長戦略の中にはコンテンツ産業が位置付けられています。国をあげて取り組んでいる、放送局の海外展開や映像配信プラットフォームの国際展開などのプロジェクトに関しても、PwCは積極的に取り組んでいます。

――なぜそこまで国の関与が必要なのか、もう少し踏み込んで教えてください

松岡様:企業が単体で海外展開を成し遂げることが理想ではあります。しかし実際には、そのための十分な資金力・体力を持つ企業は限られています。既存のエンタメ企業で「自力で世界展開できる」規模の企業は、ごく一握りの企業なのではないでしょうか。また、他産業がIPを活用して海外展開する場合も、新規事業となるためリスクが大きい。そのため、十分な投資が行われにくいという課題があります。そこで必要なのが、国が一定のリスクを共有し、官民で挑戦する仕組みです。国が音頭を取り、複数プレイヤーが乗れるプラットフォームを作ることで、「海外市場への踏み出しやすさ」「インバウンド効果の増大」「産業全体の底上げ」といった波及効果が期待できます。

――国へのアプローチは具体的にどのように進めているのでしょうか。

松岡様:エンターテインメント&メディア・インダストリー・イニシアチブでコンテンツの潜在力を引き出すための仕組みや制度の提言を行い、産官学での有志が討議する場を設けています。

このように、官民・産業横断のエコシステム構築を目的とした活動を積極的に進めています。

E&Mで築くキャリアの価値|「グローバル×DX」で広がる専門性と役割

――PwCコンサルティングにはエンタメ業界の事業会社出身者もいらっしゃいますが、コンサルティングファームという立場でエンタメ業界にアプローチする魅力はどこにあるのでしょうか。

松岡様:最も大きな魅力は、「国の戦略」という大きな枠組みや未来志向の構想に関わりながら、自分たちから発信できる点です。事業会社の場合、どうしても自社ビジネスを最優先に考える必要があり、取り組む範囲や視点が限定されがちです。

一方、コンサルティングファームであれば、「産業全体」「社会課題」「国の成長戦略」といった“大きな枠組み”を見据えて、エンタメ領域に貢献することができます。

エンタメは多くの人にとってなじみのある業界でもあり、その領域で社会的に意味のある取り組みができることは、大きな醍醐味(だいごみ)だと思います。

――コンサルタントとして、どのようなマインドが求められるのでしょうか。

松岡様:重要なのは 「日本を変える」 という気概や、目先の利益を追求するだけではない世界観を持っていることです。もちろんビジネスである以上、収益を上げることは必要です。しかしその前提の上で、「好きな領域であるエンタメに対し、コンサルティングという形で価値を提供する社会的に意味のあるプロジェクトを推進する」こうした姿勢が不可欠だと考えています。

――他ファームからのセクターチェンジや、事業会社出身者も募集されていますが、どのような方に来ていただきたいでしょうか。

松岡様:やはり「エンタメが好きで、この領域で結果を出したい」という方が最も望ましいです。スキル面では、「DX」「IT」「AIエンジニアリング」といった技術領域が重要になっています。エンタメ業界はDXが遅れている側面もあるため、こうしたスキルを持つ方の活躍余地は非常に大きいです。

――事業会社出身の方については、実際にどのような属性の方がいらっしゃいますか。

松岡様:これまではマスメディアや放送局、広告代理店などの出身者を積極的に採用してきました。理由は、この業界特有の文化や、言語化しにくい“非言語のニュアンス”が存在するためです。その文脈を理解していないと、そもそも関係構築や議論が難しくなります。

そうした意味で、事業会社出身者は ある種の「通訳者」 としても非常に重要な役割を担っています。

――グローバルなプロジェクトにおいては、どのような経験が求められますか。

松岡様:今後は海外展開支援をより強化していくため、グローバルでのビジネス経験を持つ人材を歓迎しています。

必ずしも経験業界がエンタメである必要はありません。異なる文化・価値観を持つ人々と、どのようにコミュニケーションを取り、プロジェクトを前に進めてきたか。むしろその経験こそが大きな価値になると考えています。

――プロジェクトへのアサイン(配属)はどのように決めているのでしょうか。

松岡様:基本は プロジェクト側が求めるスペックと、個人のスキル・経験のマッチング です。ただし、本人の「やりたいテーマ」は必ずヒアリングし、可能な限り反映しています。需要と供給のバランスを見ながらも、本人の希望を重視する点はPwCの特長だと感じています。

――マネージャーポジション以上のメンバーが自分で案件を獲得する際、業界や会社の制限はありますか。

松岡様:基本的に制限はありません。案件を獲得できれば、やりたい取り組みを推進できます。ただし、「自分たちのリソースに見合うか」「クライアント側に一定の体力があるか」「単発で終わらず継続性が期待できるか」などの観点は重要になります。それらが成立すれば、基本的には自由に取り組めます。

PwCの評価制度|収益だけでなく“インパクト”を評価するカルチャー

――先ほど、「利益追求だけではない」というお話がありましたが、その考え方は評価制度にも反映されているのでしょうか。

松岡様:はい、明確に反映されています。PwCグローバルネットワーク全体として 「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」 というPurpose(存在意義)を掲げています。また、PwC Japan グループとしても単に収益を上げるだけではなく、社会に意味のあることを実行するという方針を明確にしています。

評価においても、単なる売上などの定量的指標だけではなく、「プロジェクトが生み出したインパクト」「新しい取り組みへのチャレンジ」「社会的価値を生む活動」といった面をしっかりと評価しています。

たとえば、長期のシステム導入プロジェクトは確かに数字を作りやすい領域です。しかし数字が出やすい案件だけが評価されるのではなく、新しい価値創造に挑戦した取り組みや、大きな社会的インパクトを生む仕事についてもきちんと評価対象になります。

――具体的な評価プロセスはどのように行われているのでしょうか。

松岡様:評価会議を実施し、そこで キャリアコーチ が本人の成果を説明します。「当該期間にどのような成果を出したのか」「どのような役割を果たしたのか」「インパクトをどのように生んだのか」などの観点で、客観的な審査が行われます。

――定量的な目標設定は柔軟に変えられるのでしょうか。

松岡様:特にシニアマネージャー以上では、かなり柔軟に調整しています。組織の方向性に沿いつつ、個人の特性に合わせて目標を最適化していく形です。

――貴社は従業員満足度が非常に高い印象があります。様々な企業口コミサイトやランキングでも常に上位に位置されていると思いますが、その背景には何があるとお考えですか。

松岡様:最大の理由は コミュニケーションの取りやすさと、その頻度の多さ にあると考えています。制度として「キャリアコーチ制度」があり、定期的な面談を通じて状況確認やキャリア相談ができます。

さらに、制度とは別に毎月、全メンバーに向けてアンケートを実施しています。体調や悩み、気になっていることを共有してもらい、フォローが必要な人には積極的に声をかける仕組みを整えています。こうした取り組みにより、「心理的に安心して働ける関係性」が構築されており、それが高い満足度につながっているのだと思います。

――E&Mチームの実際のカルチャーはどのようなものでしょうか。

松岡様:非常に風通しが良く、フラットな組織だと思います。私自身がトップダウン型ではなくメンバーが話しやすい環境をつくるタイプであり、その姿勢が現在の組織風土にも影響していると感じています。

――今後の組織づくりについては、どのような構想をお持ちですか。

松岡様:今の「働きやすい・話しやすい」環境を維持しつつ、次のステップとして、個々がより大きな力を発揮できる強い集団へと進化させていきたい と考えています。現在のカルチャーを土台にしながら、「クライアントから価値を評価される集団」「高い専門性と実行力を持つチーム」へと成長させることが、私の描く未来像です。

AI時代のE&M|業務再設計・ガバナンス構築・”人の役割”のアップデート

――最後に、AI関連の案件についてお伺いします。どの程度増えており、どのような状況にあるのでしょうか。

松岡様:AI関連のテーマは大きく2つの側面に分かれます。

① 業務効率化(オペレーション改善)
バックオフィス業務を中心に、AIを活用して効率化できる余地は非常に大きく、多くのプロジェクトが進んでいます

② データ活用(付加価値向上)
クライアントが保有するデータを活用し、AIによって高度なインサイトを導き出す取り組みも増えています。

近年、生成AIの登場により、これまでは外部にコンサルティングを任せざるを得なかった領域について「自社でもある程度のことができてしまう」という状況が生まれました。そのため、コンサルの価値が再定義されつつあると思っています。

――自社でも対応できるようになった今、コンサルティングファームが介入する価値はどこにあるのでしょうか。

松岡様:AIを使うこと自体は、クライアントご自身でも実施できます。しかし、放置すると組織内にルールがないままツールが乱立してしまい、「標準化」「ガバナンス」「ROI(投資対効果)の測定」などが不十分になるリスクがあります。

そこで、私たちが価値を発揮できるのが、AI活用の「ルール化」や「業務プロセスの再設計」です。AIによって既存業務がなくなる場合、「では人は何をするのか?」という“役割の再定義”が必要になります。これはまさに 組織設計・プロセス設計そのもの であり、コンサルタントが深く貢献できる領域です。

――そうした状況下で、コンサルティングファームとしては、どのように存在感を出していくべきだとお考えでしょうか。

松岡様:率直に申し上げますと、「AIを活用すること」そのものに対して、コンサルティングファームが大きなバリューを発揮できるとは考えていません。“AIでこんなことができます”という説明は、多くの場合クライアントご自身も理解していますし、自分たちの業務であれば自社で対応できてしまうケースが増えています。

むしろ重要なのは、「AIを活用するとはいえ、そこには必ず人が存在し、業務が完全に無人化されるわけではない」という点です。AIの導入によって従来の役割が消失した際、その人は次に何を担うのか。あるいは、AIを使う前提の世界では、人はどのように価値を発揮すべきなのか。

私は、こうした“人の役割の再定義”こそが、コンサルティングファームにとって大きなビジネスチャンスであると考えています。

――AIが浸透した際に求められる、人へのアプローチや役割の再設計ということですね。具体的には、どのようなタイミングでそのような案件が増えていくイメージでしょうか。

松岡様:1つの大きな契機は、ERP(統合基幹業務システム)を導入した後の 「その次のフェーズ」 が到来したタイミングです。ERPはあくまでデータを整えるための基盤であり、その上に “活用の基盤”としてAIが乗っていく 流れが進んでいます。そうなると必ず、「AIをどう使うのか?」「業務が変わったときに、人は何を担うべきなのか?」という議論が起こります。

これはまさに 業務プロセスそのものの再設計 にあたり、かつてERP導入後にRPAが普及した時と構造は非常によく似ています。AIによって生まれる新しい役割を定義すること。そして、それに伴い、人材を 「どのようにスキルアップしていくのか」 という育成の設計も、必ずセットで考える必要があります。

そこまで含めて伴走していくことが、これからのコンサルティングファームが果たすべき重要な役割だと考えています。

(左から)松岡 英自様、日髙 大志、平岡 弦
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