
監修者
リメディ株式会社 ヘッドハンター
日髙 大志 | HIDAKA Taishi
筑波大学大学院を卒業後、日本工営(開発コンサルティング会社)に新卒入社。官公庁・建設・不動産・総合商社セクターでの国際開発プロジェクトにコンサルタントとして従事。その後、KPMGコンサルティング株式会社に参画し、DXコンサルタントとして、官公庁・不動産セクターでのDX推進に携わる。
コンサルタントとしてキャリアを歩む中で、優秀な人材がポテンシャルを最大限発揮して活躍することが企業の成長へ直結することを実感し、ヘッドハンターとしてリメディに参画。コンサルティングファーム、M&A、不動産・建設業界を中心にハイキャリア層の採用・転職支援を実施。
本記事のポイント
データサイエンティストの報酬を考えるとき、厚生労働省job tagの公的分類では全国573万円が参考値です。一方で、公式採用ページの公開レンジを見ると、リクルートのデータサイエンティストは543万〜2,173万円、グリッドは500万〜1,200万円、LINE Digital Frontierは500万〜900万円と、企業・役割・スキル水準で大きく変わります。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 公的分類の参考年収 | job tagでは全国573万円。職業分類に対応する参考値として扱う |
| 各社の募集要項の公開レンジ | 500万〜2,173万円。シニア・リード・事業責任に近い求人ほど上振れしやすい |
| 年収が上がる経験 | 事業課題、統計・機械学習、データ基盤、ML運用、意思決定支援をつなぐ経験 |
| 採用されやすい前職 | データアナリスト、MLエンジニア、BI、データエンジニア、事業企画、ITコンサル |
| 相談すべきタイミング | 求人応募前。現年収、経験、志望企業タイプから応募順序を決める段階 |
この記事では、データサイエンティストの年収を単一の平均で断定せず、公的統計・各社の募集要項・企業タイプ別に分けて解説します。年収を上げたい方は、どの企業が高いかだけでなく、自分の経験がどのレンジに乗るかを確認してください。
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データサイエンティストの年収レンジ
データサイエンティストの年収は、見るデータによって印象が変わります。job tagの573万円は、公的統計として使いやすい一方で、同ページにもある通り、職業分類に対応する統計であり、データサイエンティストだけの完全な実測値ではありません。転職判断では、各社の募集要項のレンジも合わせて見る必要があります。
| 区分 | 年収・報酬 | 見方 |
|---|---|---|
| job tag 賃金 | 573万円 | 令和6年賃金構造基本統計調査を加工した全国値 |
| ITSSレベル3 | 600万〜900万円 | 自立して企画・プロジェクト管理を担う水準の参考 |
| ITSSレベル4 | 650万〜950万円 | 高度な専門性と推進力を持つ層の参考 |
| ITSSレベル5以上 | 700万〜1,100万円 | 上位専門人材の参考。各社の募集要項ではさらに高い例もある |
| リクルート各社の募集要項 | 543万〜2,173万円 | 大規模サービスのデータ活用を担う求人例 |
| グリッド各社の募集要項 | 500万〜1,200万円 | AI・数理最適化を用いた課題解決の求人例 |
| LINE Digital Frontier各社の募集要項 | 500万〜900万円 | プロダクト改善型の求人例 |
| カウシェ各社の募集要項 | 月給75万〜150万円 | 12か月換算で900万〜1,800万円。賞与等は含めず計算 |
公的分類では平均的なIT職種に近い見え方になりますが、各社の募集要項では500万円台から2,000万円超まで幅があります。この差は、分析専任か、ML実装まで担うか、事業責任に近い意思決定を任されるかで変わります。年収比較では、職種名だけでなく担当範囲を読むことが大切です。
年収が上がる人・上がりにくい人
データサイエンティストで年収が上がる人は、分析結果を出すだけでなく、事業課題を定義し、データを整え、モデルや施策を実装し、意思決定に使える形まで持っていける人です。データサイエンティスト協会も、必要な力をビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力の3つで整理しています。
| タイプ | 年収が上がりやすい理由 | 補足 |
|---|---|---|
| 事業課題から分析テーマを作れる人 | 売上、利益、継続率、業務効率などに接続して説明できる | リクルートやカウシェの求人情報でも意思決定支援が重視される |
| SQL・Python/R・統計解析を実務で使える人 | 分析の再現性と速度を示しやすい | LINE Digital Frontierやカウシェの必須経験に含まれる |
| ML基盤やMLOpsまで触れる人 | 分析で終わらず、運用や改善に関われる | 高レンジ求人で評価されやすい |
| データ基盤やアーキテクチャを設計できる人 | 組織全体のデータ活用に影響できる | Wismettacの求人情報ではデータアーキテクチャ設計が求められる |
| マネジメントや育成に関われる人 | 個人貢献を超えてチーム成果を出せる | シニア・リード求人で上限が伸びやすい |
一方で、年収が伸びにくいのは、分析作業だけに閉じるケースです。SQLやPythonが使えても、課題設定、指標設計、施策提案、モデル運用まで説明できないと、上位レンジでは弱く見えます。技術と事業の接続が、年収を分ける大きなポイントです。
経験別の年収アップルート
データサイエンティストへの転職ルートは、現職の経験によって変わります。完全未経験から上位求人へ直接進むより、データ分析、BI、データエンジニアリング、機械学習、事業企画などの隣接経験を作る方が現実的です。経験をどう年収レンジへ接続するかを整理しましょう。
| 現在の経歴 | 可能性 | 狙いやすい企業タイプ | 先に補うべき経験 |
|---|---|---|---|
| データサイエンティスト経験者 | 高 | 大規模事業会社、AI企業、シニア求人 | 事業成果、ML運用、チームリード |
| データアナリスト / BI | 中〜高 | プロダクト改善型、SaaS、事業会社DX | 統計解析、Python/R、施策実装 |
| MLエンジニア | 中〜高 | AI企業、レコメンド、数理最適化領域 | 事業課題、顧客折衝、指標設計 |
| データエンジニア | 中〜高 | データ基盤、MLOps、事業会社DX | 分析設計、モデル評価、意思決定支援 |
| ITコンサル / 事業企画 | 中 | DX、業務改善、AI活用支援 | SQL、統計、分析実装 |
| 完全未経験 | 低〜中 | 分析補助、BI、データ関連の周辺職種 | 実務データ、SQL、課題解決の実績 |
たとえば、データアナリスト出身者は、分析だけでなく施策提案まで広げると年収レンジが上がりやすくなります。データエンジニア出身者は、基盤構築に加えてモデル活用や事業KPIの理解を補うと強みが伝わります。自分の前職をデータ職の評価軸へ翻訳することが重要です。
企業タイプ別の報酬構造
データサイエンティストの報酬は、企業タイプで変わる点に注意が必要です。大規模事業会社では事業インパクト、AI企業では専門性、SaaSではプロダクト改善、コンサル型では顧客課題解決、金融・製造DXでは業務理解とガバナンスが評価されやすくなります。
| 企業タイプ | 向いている人 | 年収レンジ傾向 | 選考で見られる点 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 大規模事業会社 | 多様なデータと大きな事業課題を扱いたい人 | 中〜高。上位求人は2,000万円超もある | 意思決定支援、事業KPI、横断連携 | 担当領域が広く、説明責任も重い |
| AI / 数理最適化企業 | 機械学習や最適化を深めたい人 | 中〜高。専門性で上振れ | モデル開発、数理、実装、顧客課題 | 技術だけでなく業務理解も問われる |
| SaaS / Webサービス | プロダクト改善とデータ分析をつなげたい人 | 中。シニアは高い | SQL、A/Bテスト、レコメンド、施策提案 | 成果の定量化が求められる |
| コンサル型 / SI型 | 複数業界の課題を扱いたい人 | 中〜高 | 提案、要件定義、分析設計、実装支援 | 顧客折衝の比重が大きい |
| 金融・製造・商社DX | 業務データを深く扱いたい人 | 中。管理職候補で高くなる | 業務理解、データ基盤、ガバナンス | 社内調整力が年収に影響しやすい |
IT・SaaS企業の年収水準を比較したい方は、マネーフォワードの年収記事やサイバーエージェントの年収記事も参考になるはずです。AI企業を見たい方は、既存のABEJA、PKSHA Technology、JDSCの記事と合わせて見ると、企業タイプごとの報酬差を把握しやすくなります。
年収が高い企業・ポジション
年収が高いデータサイエンティスト求人には、共通点があります。単に分析を担当するだけでなく、事業責任に近い判断、モデルの本番運用、データ基盤の設計、複数部門を巻き込むプロジェクト推進を担う求人です。職種名が同じでも、役割の広さで報酬は変わります。
| 企業 / ポジション例 | 公開レンジ | 高年収になりやすい理由 |
|---|---|---|
| リクルート / データサイエンティスト | 543万〜2,173万円 | 大規模サービスのデータ活用、事業戦略、プロダクト改善まで関わる |
| カウシェ / Data Scientist | 月給75万〜150万円 | 一人目に近い立ち位置で、分析、ML設計、実装、採用・育成まで期待される |
| グリッド / データサイエンティスト | 500万〜1,200万円 | AIと数理最適化で顧客の業務課題を解く専門性が求められる |
| Wismettacグループ / Data Scientist | 応相談 | AI活用、データアーキテクチャ、プロジェクトリードを担う |
| LINE Digital Frontier / Data Scientist | 500万〜900万円 | プロダクト改善、マーケティング、レコメンド、パーソナライズに関わる |
高年収求人を狙うなら、求人票の「年収上限」だけではなく、求められる経験を読んでください。リクルートのように大規模サービスの意思決定支援を担う求人、カウシェのようにML領域を一気通貫でリードする求人、Wismettacのようにデータ活用戦略や基盤整備を担う求人では、分析と実装と事業推進の接続が問われます。
年収交渉で評価される実績
データサイエンティストの年収交渉では、「Pythonが使える」「機械学習を学んだ」だけでは弱くなります。企業が見たいのは、データを使ってどの意思決定を変えたか、どの業務を改善したか、どのプロダクト価値を高めたかです。成果を事業言語に置き換える準備が必要です。
| 評価される実績 | 職務経歴書で書くこと | 面接で話すこと |
|---|---|---|
| 事業KPI改善 | 対象指標、分析方法、改善施策、役割 | なぜその指標を選び、どう意思決定に使ったか |
| MLモデルの本番運用 | モデル目的、評価指標、運用体制、改善サイクル | 精度だけでなく運用・保守の工夫 |
| データ基盤整備 | データ品質、処理速度、活用範囲、利用部門 | 分析者以外にも価値が出た点 |
| 横断プロジェクト推進 | 関係部署、課題、合意形成、成果 | 利害が異なる相手をどう動かしたか |
| AI活用・生成AI活用 | 業務課題、導入範囲、リスク対応、効果検証 | 新技術を事業にどう適用したか |
年収交渉の材料は、成果の大きさだけではありません。分析設計、仮説検証、関係者説明、モデル運用、データ品質改善のように、再現性を示せる実績も評価されます。特に上位求人では、自分がいなくても回る仕組みを作った経験が強く伝わります。
転職で年収を上げるタイミング
転職で年収を上げやすいタイミングは、実績が説明できるようになった時期です。たとえば、分析結果をもとに施策が動いた、MLモデルを運用に乗せた、データ基盤を整えて他部署が使えるようにした、プロジェクトリードを経験した、という状態です。
| 状態 | 転職判断 | 次にやること |
|---|---|---|
| 分析実務が1〜2年あり、SQL・Python/Rを使える | メンバー求人を比較 | 統計、施策提案、可視化を補強 |
| 施策提案やKPI改善まで経験した | 年収アップを狙いやすい | 成果と意思決定への関与を整理 |
| MLモデルやデータ基盤を運用した | 専門求人を狙える | 運用、品質、再現性を説明できる形にする |
| プロジェクトリードや育成を担った | シニア求人を比較 | チーム成果と事業貢献を言語化 |
| 現職でデータ接点が少ない | 準備優先 | BI、分析補助、データ基盤など周辺経験を作る |
焦って高い求人に応募するより、現職で実績をもう一段作る方がよいケースもあります。特に完全未経験や分析経験が浅い方は、学習履歴だけでなく、実務データを扱った経験、業務改善への関与、SQLでの抽出・可視化など、転職先が評価しやすい証拠を作りましょう。
年収だけで選ぶリスク
データサイエンティストは、年収だけで選ぶと危険な職種です。求人によって、分析専任、MLエンジニア寄り、データ基盤寄り、AIコンサル寄り、事業企画寄りなど役割が異なります。年収上限が高くても、強みと職務内容が合わないと、入社後に成果を出しにくくなります。
- 研究寄りか事業寄りかを確認する
- 分析専任か、ML実装や基盤まで含むかを確認する
- 評価指標がモデル精度か、事業KPIかを確認する
- 既存チームの有無と一人目採用かを確認する
- 求められるコミュニケーション範囲を確認する
また、月給レンジや想定年収の見方にも注意が必要です。カウシェのように月給75万〜150万円と書かれている場合、12か月換算で900万〜1,800万円と整理できますが、賞与やインセンティブを含めて断定するのは避けるべきです。報酬の内訳と評価制度まで確認しましょう。
データサイエンティストで年収を上げたい人の相談ポイント
データサイエンティストで年収を上げたい方は、求人を探す前に、自分の経験の位置づけを整理することが重要です。公的統計では573万円という参考値がある一方、各社の募集要項では500万円台から2,000万円超まで差があります。この差を埋めるのは、職務名ではなく、任される役割と成果です。
- 現職の経験が分析、ML、基盤、事業推進のどこに強いか
- 各社の募集要項の必須経験に対して、足りない要素は何か
- 大規模事業会社、AI企業、SaaS、DX企業のどれを狙うべきか
- 職務経歴書で事業成果と再現性をどう見せるか
- 年収交渉で使う実績をどの順番で伝えるか
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